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ライカと手を組んだシャープのハイエンドスマホ「AQUOS R6」のカメラを1ヵ月使ってみて感じた「粗削り感」とは

 今回はAQUOS R6を改めて1か月ちょっと使ってみての評価としたい。本体のレビューはこちらから

 

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カメラ特化スマホだが...期待外れ?なAQUOS R6 

 

 1型の大型センサー、ライカを冠するレンズに監修のチューニング。彗星のように現れて市場に衝撃を与え、従来のAQUOSユーザーがひっくり返るようなクオリティとなったこのスマホ。

 

 意外にも市場の評価は真っ二つだ。良く言われたのは「期待外れ」という声。なぜ、期待外れだったのか、発売日に購入して使い続ける筆者が考えてみた。

 

 

スマホだと思って使うと肩透かしをくらうAQUOS R6のカメラ

 

 決定的に違うのはここだ。1型のセンサーを積みながらもカメラバンプを20㎜という厚さに抑えた結果、光学的にもかなりの無茶をしているようにも感じるAQUOS R6。

 

 その結果、最短焦点距離は10㎝を超えてしまい、スマホとしては「寄れない」機種となった。そのような場面ではデジタルズームを使用すれば良いが、そのようにパッと体が動くのは専用機のカメラを趣味でつかうような少数の方だろう。

 

 その結果、簡単に撮れなきゃいけないスマホのカメラで「寄れなくて撮りにくい」という評価になってしまったと思われる。

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 よく見るラーメンショット。実はピントが迷子になっている。このくらいの距離でもピントが合うかギリギリなのが、使いにくいという評価なのだろう。

 

 また、スマホにしてはオートフォーカスの反応があまり良いとは言えない。アップデートでマシになったとはいえ、シャッターの追従性が良くないこともあって動体を撮るのには不向きだ。

 

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 暗くなりはじめると、このようなゆっくり動く被写体でもオートでは厳しいものとなる。マニュアル撮影でISO感度を上げても、そこまで耐性がないのかノイジー気味になることも。

 

画質が良くないが綺麗に撮れるAQUOS R6

 

 綺麗に撮れると「画質が良い」はまた違うものとなる。AQUOS R6は確かに綺麗に撮れるが、画質的にはあまり良いとは言えない。近年多く積まれる2~3倍のズームレンズも搭載されていないので、ズーム時の画質はお世辞にも褒められるものではない。

 そして寄れないと言ったところもネックで、ズーム域の実用クラスは2倍がせいぜいといったところだ。

 

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AQUOS R6のセンサーは2020万画素と近年の高画素スマホに比べれば劣る

 

 正直センサーが1型とでかいだけあって、このスマホに関しては絞り開放の状態での撮影となるがゆえに「ボケ過ぎる」なんて描写も見られた。

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アジサイを。同じ束でこの距離ながらボケるので、これは好みが分かれるところ

 

 個人的にはセンサーが大きくなくても2倍ズームのカメラ、もしくはf3.5くらいの可変絞りがほしいところかなと。そうすれば前述のフードフォトもグッと撮りやすくなる。

 

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 また、画像処理は良くも悪くもライカチューニングで近年のトレンドの「ディティールがはっきりしてる絵」は苦手な印象だ。ややソフトフォーカスとみるのが良いだろうか。

 

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苦手な作例の例

 

 窓越しの写真ではTofセンサーの兼ね合いなのかどうもオートではピントが合いにくいことがしばしばあった。

 

 

どちらかというとカメラ。スマホのカメラとは真反対の弄って楽しむカメラスマホ

 

 今回1か月使っての感想はまさに「カメラだな」というところだ。よくあるスマホが得意とする「誰でも簡単に、綺麗に」とはまた違うベクトルのスマホカメラと言える。

 

 正直、このスマホでベストショットを狙うのは簡単ではない。1型センサーをあのサイズに詰め込んだツケは焦点距離からくる使いにくさ、周辺減光などの今までのスマホでは無視できた側面も無視できなくなってきた。

 

 その上フォーカスの遅さ、シャッターの反応の悪さ、三脚モード切替がやたらシビアなことは挙げられる。手振れ補正がEISのみと静止画では手振れしやすい点もあり、他社のような使いやすいスマホとは言えない。

 

 コンピューテーショナルフォトグラフィーに力を入れているという割には、細部ディティールやノイズ処理は甘い。HDR周りもアップデートで良くなったとは言え、まだ完璧とは言えない。

 気に入った絵が出ないならマニュアル撮影で何とかしたいが、設定項目は限られるのでLightroomなどと組み合わせるのが得策と言えるだろう。

 

 こんな感想が出る時点で誰でも簡単にきれいに撮れる「スマホカメラ」としては不合格だ。こんなカメラを求めるのはマニアくらいなものであり、恐らくこれがAQUOS R6のカメラに対して多くの方が「期待外れ」と思った要因と考える。

 

 特にスマホのライカチューニングは往年のファーウェイを連想こともあって、必然的に比較対象がMate 40 ProやP40 Proと言った現行機という化け物のようなスマホになったことも大きいはずだ。

 乗り換えでも同じライカならP20 ProやMate 20Proをはじめとした、現行でもトップレベルのカメラ特化フラッグシップとなっていたことも評価が割れた理由だ。

 

 確かにこれらの機種のような絵は撮れないことは無いが、AQUOS R6で撮って出しにて出すのはかなり厳しい。

HUAWEI P20Pro Shot On flic.kr

 ここではP20 Proで撮影した写真をまとめているが、このクオリティを知ってた上でAQUOS R6を触ると拍子抜けする感は否めない。

 一方で、マニュアル撮影で撮る楽しさは大いにあり、ここを評価できるかでこの機種にもつイメージは大きく変わる。

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このほかにもいくつかflickrであげているので、興味があればぜひ。

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マニュアル撮影ではしっかり撮れる。

 

 これは近年のXperiaが得意とするジャンルな気もするが、マニュアルモードの項目にある「色合い」と言った変にラフな表現で分かりにくいうえに、変に弄らせてくれないので、XperiaのPhoto Proの感覚で触ってはいけない。

 

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 感覚的にはマニュアル撮影がデフォルトだと使いやすいとも思ったが、これでは大多数の人からしたら使いにくい。XperiaのPhoto Proを使って思うように撮れないという感覚に近いと思われる。

 

最後に、今後のアップデートに期待したいAQUOS R6

 

 正直なところ、粗削り感のあるハードなのは否定できない。メーカーとしてもAQUOS R6は「1型センサーによる自然なボケ表現」を売りとしている以上は、最短焦点距離や無理のある構成から来るボケすぎるという状況を改善するのは難しいだろう。

 

 ただ、絵作りやディティール補正などは今後のアップデートで大いに化ける可能性があるので、ここにはしっかり期待したい。

prtimes.jp

navier.co

 画像処理にはベンチャー企業の開発したAIが搭載されている。ディープラーニングを用いた画像処理とのことで、今はまだ微妙な精度でも今後に化ける可能性は大いにあると言える。

 

 TofセンサーはついてるのでAF高速化以外にも深度情報を元にしたパンフォーカスも可能にする画像処理や、テレマクロ処理などにも対応してほしいところだ。あとはズーム時の画質劣化を抑えたり、高感度撮影時のノイズを低減したりといった点はまだまだ伸びしろもあるかと思われる。

 

 このAQUOS R6もコンピューテーションフォトグラフィーについて発表会ではかなりいろいろと力を入れていた。だからこそアップデートで化ける余地が残されているといえる。

 筆者としてはフォーカスの遅さと反応の悪さ。HDR周りの甘さとデジタルズーム時の画質劣化をもう少し抑えられれば、よりスマートフォンとして使いやすくなるかなと思うところだ。

 

 これからは光学性能やセンサースペックだけではなく、もう一つの柱としてスマホにはコンピューテーショナルフォトグラフィーの時代が来るだろう。ファーウェイもP50 Proでその方向にシフトしたような発表を行い、Googleも自社カスタムSoCであるTensorをPixel 6に乗せると発表している。Appleもなにか隠し玉を持っていてもおかしくはないだろう。

 

今後の後継機もあわせて期待したいところだ。