フェス限千早さんのつぎはSHS高槻さんで新年のガチャ運が消えました。
今回はSnapdragon 8 Gen.1こと第1世代Snapdragon 8プロセッサ環境について、ミリシタの検証結果を速報値ではあるが書いていく。
Snapdragon 8 Gen 1とは?
Qualcomm社が提供しているSoCであり、2022年発売のハイエンドデバイスに搭載されているものだ。搭載1号機は昨年12月にローンチされたMotolora edge 30 Proとなり、続いてXiaomi 12シリーズやGalaxy S22シリーズなどのハイエンドモデルにも採用される見込みだ。具体的な進化点は、アーキテクチャの刷新もあって以下のようになる。
・4nmプロセスにて製造
消費電力はSnapdragon 888 5G比較で25%減
・Snapdragon™ X65 5G Modem-RF Systemを採用
5G CAなどを用いて最大10Gbpsの通信が可能に
・CPU/GPUアーキテクチャの刷新
プライムコアはCortex-X2ベースとなってより高性能に
GPUはSnapdragon 888 5G比較30%の性能向上(単純計算で単精度2.3TFLOPS)
なお、CPU/GPU共にKyro Adrenoではあるが番号の付番はされていない
・AI性能の強化
Snapdragon 888 5G比較でメモリ容量が2倍。処理は最大4倍高速に
・カメラISPの大幅強化
18bit RAWに対応。2億画素のセンサーや3眼36MPの同時撮影が可能に
ライカとのボケエフェクトなどをハードウェアレベルで最適化可能に
正直なところ順当な進化だと言えるが、大きな変化としては命名規則が変わったことだ。今回からSnapdragon 8シリーズ 第n世代というものになり、従来のような数字での付番では無くなる形でIntelやAMDのPC向けプロセッサと同じような形となる。
第11世代Core i7プロセッサのように第1世代Snapdragon 8プロセッサというのがある種適切とも言える。今後はSnapdragon 7プロセッサやSnapdragon 4プロセッサが出ていくのだろう。
Snapdragon 888 5Gからから比較して3割相当のスペック向上となる。これはApple M1にも単純性能では近いものに仕上がっており、A12世代のiPad Proクラスよりも強力なチップセットとなる。
ミリシタにおけるSnapdragon 8 Gen 1
筆者としては1月にXiaomi 12 Proを用いて検証しているが、ロード時間はSnapdragon 888端末との比較では、現時点で平均0.5秒の短縮効果が見込める結果だ。Snapdragon 888搭載のMi11 Ultraとの比較では、メモリバススピードやストレージのシーケンシャルリードに差がある関係で意外と差は感じるものだ。
現時点でと言う書き方は、まだ環境への最適化が行き届いてないからだ。1月15日時点でミリシタはデフォルトでは非対応、GPUのアーキテクチャの刷新がありながらも画質の乱れや動作不良などは全く問題を見せない挙動には驚く。
Xiaomi 12 Pro
— はやぽん (@Hayaponlog) 2022年1月14日
Snapdragon 8 Gen.1 メモリ 8GB
EMUI 13 Android 12
ミリシタ DIAMOND JOKER 難易度MM
ノーツタイミング -3 スピード 195
3D高画質
最適化は全くされてないが、力押しでゴリゴリと行ける。シーケンシャルリードがかなり早いので端末課金の効果は現時点でもアリ pic.twitter.com/yulebOD5hU
一方、シンデレラガールズ スターライトステージではSoCの最適化はおろか、GPUの系統が変わってしまったので描画にジャギが入るものになる。過去にクアルコム系ではAdreno 6xxに変わったときに見られたので、クアルコム系ハイエンドでは2018年以来4年ぶりの出来事だ。
おおお。Xiaomi 12 Proでデレステやったら4年ぶりくらいにジャギが出るのを見た…マジか。
— はやぽん (@Hayaponlog) 2022年1月14日
これはGPUが対応してないことを意味してるので、Snapdragon 8 Gen.1端末でデレステをやるのはまだ控えたほうがいい。
あとフリックノーツの音が鳴らない不具合がある
一応3Dリッチ 高画質モードの設定です() pic.twitter.com/Bl4HR3dL9u
かつてはMali GPUを積んだデバイスでよく見られていた現象だが、G76系になってからはG77やG78でも基本構成が近いためか大きな乱れはなくなっていた。(おかげでGoogle Tensorにも発売時点で3Dリッチがちゃんと描画できた)
2年落ちのSnapdragon 865からは合算で大体1.5秒、3年落ちのSnapdragon 855端末からは約3秒と短縮が見込めることから、基本的には2〜3年落ちのスマホから乗り換えると効果がわかりやすいと思います。正直、世代別のロード時間の幅は年々縮まっており、Snapdragon 888端末でも十分に戦えることに異論はありません。比較に使用したのは以下の端末だ。
Xiaomi 12 Pro(メモリ8GB)
Xiaomi Mi11 Ultra(メモリ8GB)
SONY Xperia 1II(メモリ8GB)
SONY Xperia 1(メモリ6GB)
Snapdragon 8 Gen 1搭載端末は買いか?
個人的にはまだ早いような気もしますね。これは言うまでもなく、日本ではまだSnapdragon8 Gen 1搭載機で正規販売されたスマホがないこと、比較的最適化の早いミリシタでも最適化がまだされていない点がどうも引っかかる。
現時点で発表済み機種が5機種しかないのでそれはそう。そして発熱がやはり多い。正直毎年のようにこれは言われ続けているが、今年のは端末の放熱設計の兼ね合いもあって特にホカホカ。
一方で、発熱した状態でもSnapdragon 888クラスの動作は維持できるので、スペックだけ見るなら優秀だ。ミリシタくらいなら昔のように使い物にならなくなることはない。
昨年はGalaxy S21が日本でも発売が4月24日とグローバル版から2ヶ月ほどのラグがあったが、それ以降のデバイスが出そろわずにミリシタ4周年イベントにはSnapdragon 888環境へは最適化が間に合わないという結果になった。
今年も半導体不足が続くこと、コロナ渦で物流が打撃を受けてることをを考えれば、端末の発売はおのずと遅れている。ローンチデバイスの発売は早くなっているのにも関わらずだ。
5周年イベントまでの最適化は賭けになるという点で端末課金を迷わせる結果になることは間違いないでしょう。現時点で日本発売に期待がかかるのは、例年通りGalaxy S22シリーズにAQUOS R7(仮称)やSONY Xperia 1IV(仮称)と言うところ。
あとはXiaomi 12シリーズあたりの日本投入もあり得るのではないかと考えられる。このため、Snapdragon 8 Gen 1向けに最適化されるとなれば搭載機発売からですので、6月末の周年イベントまでに間に合うかどうかはかなりギリギリになる。
現時点でアナウンスされているイベントも含めて走りたいならSnapdragon 8 Gen. 1搭載端末よりも、昨年発売のSnapdragon 888搭載端末を選択した方。
悩ましいところにGoogle Tensor搭載のPixel 6シリーズがある。単純にゲームを走らせるならSnapdragon 888のほうが優位となる。Android OSのローンチデバイス特有のクセがあったりするのであまりお勧めはしないが、Pixel 6の価格はかなり魅力的な設定なので下手なSnapdragon 700番台の端末よりは良い。
最後に。今年のイベント最適環境を占う
毎度毎度のこの記事を書いて4年を迎えてしまいました。Apple端末との比較はよく言われますが、Apple A15端末(iPhone 13シリーズ)と8 Gen.1では最適化の有無こそありますが現時点での動作感はほぼ同等だ。最適化の伸びを加味してもApple M1搭載のiPad Proには一歩劣る印象とはなりそうです。
また同世代のプロセッサの動向を見る限りでは、MediaTek Dimensity 9000ではMali G710 MC10を採用。一部ではSnapdragon 8 Gen 1をも上回ると言われてはいるが、ゲームプレイなどでの詳細は未知数だ。こちらもGPUが従来のG70系からは大きく刷新されてるとのことで、最適化されるまではまともにできないのが予想されます。Dimensity 1200比較でも大幅な性能向上をしており、安価に高性能を実現することが可能と言えるだろう。フラッグシップは通信規格やブランドの観点からSnapdragon 8シリーズを採用することにはなるだろうが、アプリケーションプロセッサに関してはDimensityも負けず劣らずなので、日本でも搭載機が出てほしいところだ。
サムスンのExynos 2200はAMDのRNDA2系GPUを搭載し、レイトレーシングにも対応。こちらもGPUがMali系とは異なるものとなるので、最適化には時間がかかるだろう。日本発売が絶望的なので、下手するとXiaomi Sarge S1のように日本のコンテンツはまともに最適化されないまま終わる可能性もある。
供給と歩留まりに難ありなのか、Exynos 2200は韓国向けGalaxy S22シリーズには搭載されずヨーロッパ向けのみ搭載となるようだ。性能向上はExynos 2100比較でCPUが7% GPUが17%の向上と一部韓国メディアが報じている。
この周年イベント前の端末課金は最新チップセットをとるか、安定で旧チップセットを取るかは本当に悩ましいところだ。正直今年もSnapdragon 8 Gen 1端末をゲームを動かす端末として使うには、かなりの賭けとなる部分が大きい。端末課金の迷い時の季節ですね。