ついに来た
NW-WM1シリーズの後継機!というところで、発表された新機種をざっくりとWM1Aオーナーの視点で見ていこうかと思う。
Android搭載で純粋に進化をとげたNW-WM1AM2とNW-WM1ZM2
2016年に発表されたNW-WM1AシリーズはNW-ZX2の後継機として登場しました。
当時はまだ未熟だったAndroid搭載DAPから一新してAシリーズで好評だった専用OSを搭載し、高音質ながらもバッテリーライフも大幅に改善されたモデルでした。
初のSignetureシリーズのウォークマンでもあり、初の4.4mmバランスプラグ搭載、初のDSDネイティブ対応、S-Master HXの大幅アップデートが加えられたド級ウォークマンでした。
また、上位には純度99.96%の銅削りだしボディのWM1Zを加え当時30万円の実売価格と共にインパクトを与えたのは記憶に新しいでしょう。
あれから5年。Signetureシリーズのウォークマンは世代相応の進化を遂げて帰ってきました。
WM1 M2シリーズの最大の変化は筐体サイズとAndroid搭載な点だろう。
筐体サイズは初代WM1Aなどより二回りほど大きくなっています。
これは画面サイズが5インチになったことが大きいと言えるでしょう。
Android OSはAndroid 11を搭載
音楽プレイヤーという用途に限れば4~5年ほどは過去の経験から見ても使えそうな勢いだ。
もちろんWi-Fiに対応しているため、各種ストリーミングサービスも利用可能だ。
大きな変化のひとつに端子がWMポートからUSB3.2 Type-Cに変更されている。
これでハイエンドモデルからもWMポートが消えたことで、他社のアンプやシステムとの接続も容易になったと言える。
大容量のハイレゾ音源データも高速に転送できるようになっている。
また、ZX500で不評だった側面配置から本体底面の配置になってるのもポイントだ。
音質面でもブラッシュアップされたNM-WM1 M2シリーズ
音質面では電源部のコンデンサーがDMP-Z1に積まれているものをブラッシュアップしたFCCAP3を採用。それ以外にも高音質はんだや水晶発信機などの部品類もより高品質なものが採用されている。
ソフトウェア面ではアップコンバート技術のDESSはXperia にも採用されているDSEE Ultimateを採用。
これは他社製アプリではもちろん、Buletooth接続のヘッドホンやイヤホンでも使用できるとのことだ。
ウォークマンとしては初めて、DMP-Z1などにも採用されていたDSDリマスタリングエンジンを搭載している。
これは独自のアルゴリズムにより元のデータを損なうことなくDSD信号に変換する機能といえるものだ。
本モデルではDMP-Z1を上回るDSD 11.2MHz相当への変換に対応しているという。
ちなみに核のデジタルアンプはNW-WM1シリーズと同じものが引き続き使用されている。
NW-WM1Aを持つユーザーの視点から見たWM1AM2は買いなのか
正直、未知数が多いと言えるだろう。聴いてみないとこればかりはわからない。
核となるS-Master HXが5年前の前機種と変わらないのは惜しいと思う方もいるかもしれないが、S-Masterのモバイル向けは音はもちろん低消費電力である点も評価したい。
加えて今回は電源部中心のアナログ面とソフト面でのブラッシュアップが大きいと言えるが、DAC周りが同じことから音の毛色は既存のWM1Aシリーズとかなり近いのではないかと想像できる。
音以外ではNW-WM1Aからは二回りくらい本体サイズが大型化しているのは評価が分かれるだろう。
Android搭載による操作性の向上や音質面での致し方ない部分はあるが、一昔前のスマホより大きいDAPになってる感は否めない。
合わせて重量も増加しています。
NW-WM1AM2では約300g
NW-WM1ZM2では約490gとなってます。
鈍器に片足突っ込んでますね...
これについてはホームユースでの使用が増えたこと、ポータブルアンプも持ち出すことを考えればまぁ悪くないのかなと。
Android OS搭載は個人的には好意をもって迎えたいところだ。
近年のストリーミングサービスが台頭するなかで、ローカルストレージのみのスタイルは前時代的とも言えるだろう。
今はまだ否定的でも数年先は当たり前になっていると考えれば先行投資みたいなものです。
ただ、過去にAndroid OS搭載ウォークマンで未熟さゆえに失敗したものがあったことを踏まえるとこの決定は否定的な声も少なくはないだろう。
その上でFiioなどのようなピュアミュージックモードがないこと(音楽再生に特化し、余計な機能が全てOFFになるモード)やAstell&KernのプレイヤーのようなカスタムUIを被せたAndroid OSでもないところは評価が真っ二つとも言える。
そのため、スマホのようなAndroid搭載となれば肝心の音質や電池持ちというところが不安視される。
個人的にもA100とZX500はどちらも使ったが、どちらもバッテリー持ちの悪さを理由に手放している。
音質についてはプロセッサ部がシールドされてることもあって、心配は無用とも言えるだろう。
プロセッサなどは非公開だが、ZX500シリーズを加味すればこちらの構成になるのが濃厚だろう。
電池持ちに難がある可能性があるが、公称40時間の長時間再生を掲げるWM1AM2ではプロセッサが変更されているのか、はたまたバッテリーの増量をはかったのかは不明だ。
急速充電とはいっても満充電で4.5時間かかることから、Qualcomm系のQCではないと想像できる。
恐らくZX507やA100シリーズで使われたものと同じプロセッサが採用されていてバッテリー容量が倍以上になったとみるのが無難だろう。
総評、WM1AM2の発表を見て
このウォークマンも近年のソニーの命名規則にならったM2(マークツー)というものになっているが、それもあるのか既存のWM1シリーズからまるっきり音の傾向から何から変わるということは無いものと思われる。
むしろWM1シリーズにAndroidとType-Cを載せて、出てくる料理はそのままに、味付けに深みなどを加えてさらなる高みを目指したものととらえるのが良いかもしれない。
これは近年のαシリーズのミラーレス一眼カメラやXperia と言った携帯電話を見ても通じるところがあり、機能面はブラッシュアップされても核となる基本デザインや抑えるべき点はしっかり押さえているのがポイントだ。
価格はNW-WM1AM2が実売16万円前後、NW-WM1ZM2が実売40万円前後になるという。
1ZM2は99.99%純度の銅削り出しフレームや内部配線にキンバーケーブルを使用するなど、随所に抜かりのないものになっている。
コスパとかそんな物差しで測れる商品ではない。
ちなみにSignetureシリーズのカテゴリーにはWM1ZM2しか今回はラインナップされていない
WM1AM2も価格だけでいえばWM1Aの時の実売13万円前後より若干値上がりした形だ。
他社のプレイヤーもひしめく価格帯ではあるが、個人的に思うウォークマンの強みとしては
・独自のS-Master搭載によって他社DAPでは絶対に出せないサウンドを楽しめる
・圧縮音源でも高音質で楽しめる工夫がされており、音源を選ばない
この二つは欠かせないところだろう。
ウォークマンにしか楽しめないものがあるというユーザーとしては悩ましいところだ。
それでは、3月25日の発売までしばし待つとしよう。
それでは