こんにちは。今回はソニーのXperia 5IIIのレビューだ。Xperia 1シリーズばかり買ってた筆者としては初めてのXperia 5シリーズとなるので、まとめてみることにする。
- Xperia 1III譲りのカメラ性能を持ったXperia 5III
- 120Hz対応の画面性能、強化されたオーディオ性能、小さくてもソニーらしさをしっかり押さえたXperia 5III
- キャリアでの値下げで手に取りやすくなったXperia 5III
- ソニーらしさをコンパクトにギュッと詰め込んだスマホがXperia 5III
Xperia 1III譲りのカメラ性能を持ったXperia 5III
超広角16mm f2.2
広角 24mm f1.7
望遠 70mm f2.3/105mm f2.8
このXperia 5IIIのカメラについては、Xperia 1IIIとほぼ同等となる。ズームレンズはXperia 1III同様にペリスコープ式の構造を採用しながらも、レンズを切り替えることで70mmと105mmの2つの画角に対応する。
そのため、構成は実質的に4眼機と同じになる。特に105mmでf2.8という構成は若干画角こそ異なるものの、他社のペリスコープ搭載機よりもレンズが明るい点が特徴だ。
今回のXperia 5IIIでは全センサーがデュアルフォトダイオード搭載となった。メインカメラほどではないが、超広角や望遠カメラでも秒間10コマの連写とトラッキングAFなどを用いた超高速のピント合わせが可能だ。ピントが常に狙ったところに合うということは、ピンぼけとかのミスショットも少なくなる。
今作では全センサーが「Exmor RS for mobile」を採用。解像度はすべて1200万画素だ。簡単に言えば全てソニー自社製のセンサーになったのだ。
レンズはXperia 1IIに引き続きZeissレンズを採用。T*コーティングも抜かりない。このT*コーティングはスマホではXperia 1/5シリーズとVIVO X60/X70シリーズでしか採用されていないものとなる。
また、Xperia 5IIIでは差別化としてtofセンサーが搭載されていない。
以下、Xperia 5IIIでいくつか撮ってみた。基本的にBASICモードで撮影している。
撮ってみて思ったが、近年のトレンドでよくあるような「パッと見で鮮やか」という色味ではないが、かなり見た色に近いものとなっている。作例を見る限り、Xperia 1IIIと大きく変わると言ったことは無いと言える。動体撮影時にはtofセンサーが生きる場面もあるだろうが、筆者の腕では分からなかった。
各レンズのデジタルズーム域というのは各社多眼化したカメラにおいては苦手な領域と言われてきたが、このXperia 5IIIではこの部分もテコ入れをしてきたなと感じる。この大きさで105㎜相当が撮れるスマホがないので、この部分だけでも唯一無二と言える。
Xperia 5IIIでは標準カメラアプリがPhoto Proに一本化され、よりシームレスな切り替えが可能になった。Xperia 1IIIと同じ操作系と言えるだろう。
ただ、動画撮影においては他社のスマホの方が撮りやすいと感じた次第だ。好みのスタイルで追い込めるCinema Proもありますが、こちらはある程度上級者向け。「気軽に綺麗に手振れなく」というところでは一歩劣るように感じた。
120Hz対応の画面性能、強化されたオーディオ性能、小さくてもソニーらしさをしっかり押さえたXperia 5III
ソニーとしても力を入れたカメラ周りはもちろんだが、それ以外の機能もしっかり押さえたハードウェアとなっている。
SoC:Qualcomm Snapdragon 888
メモリ:8GB
ストレージ:128GB
画面:6.1インチ FHD+ 2520×1080
120Hz対応、HDR10 BT2020対応
バッテリー 4500mAh
通信規格的には日本版は5G対応ではあるが、Xperia 1IIIと異なりミリ波には非対応である。また、日本の大手3キャリア全てで取り扱いがあることから比較的入手性の良いスマホとなる。2021年モデルにおいて大手3キャリア全てが取り扱ったAndroid端末はXperia 1IIIとXperia 5IIIしかない形だ。
画面は前作同様の120fpsに対応したものに。さらには残像低減処理を行う240fps相当の処理(原理的にはシャープの黒フレーム挿入の240Hzに近い)や、240Hzのタッチレートにもしっかり対応している。このあたりはXperia 5IIからの踏襲と言えるでしょう。
HDR10やBT2020対応のマスターモニタークラスの画面性能は引き続き備える。外部モニターとしても利用可能なので、より高品質な画面となっている。
プロセッサはQualcomm Snapdragon 888を採用。基本スペックは今期のハイエンドと言えるものだ。日本版ではメモリ8GB、ストレージ128GBの構成となる。よく言われる発熱だが、Xperia 5IIIの場合は本体が小さいこともあって体感的に「背面が暖かい」と感じることが多い。この部分はソニーだけでは解決が難しいところではある。
コンパクトながら4500mA/hとバッテリー容量が多く、画面解像度が落とされていることなどもあってか体感的にはXperia 1IIIよりも電池もちは良い印象だ。
本体のスピーカーはステレオとなっているが、左右どちらも近い形状として制御されるものとなっている。加えて、音圧は従来機比較で4割増しとなっている。このため、ソニーとしても「フルレンジスピーカー」と謳っており、360Realty Audioにも単体対応するという力の入れようだ。
従来機に引き続きイヤホンジャックも搭載。回路設計を見直したことで、Xperia 1III同様に出力が4割増となっているため口径の大きいヘッドホンも快適に鳴らすことができるようになっている。
DSP処理としては、DSEE Ultimateも引き続き搭載。ストリーミング配信の音源でも、より良い音で楽しめる工夫がされている。Xperia 5IIIはXperia 1シリーズよりもコンパクトなことから、音楽プレイヤーとしても非常に使いやすいスマホとなっている。
L-γレイザーといった独自のゲーミング機能も魅力だ。これは特定の画面色のコントラスト等を変えて潜む敵を認識しやすくするものだ。特に近年eSpotsタイトルになっているPUBG Mobile、フォートナイトといったコンテンツでは大いに役立つものだろう。
合わせてRTレコードという録画開始から30秒前までさかのぼって録画される機能も備えており、決定的なファインプレーを逃さない工夫がされている。
他社のゲーミングスマホがリフレッシュレートやタッチサンプリングレート、 冷却性能というプレイヤーとしての側面をアピールする中で、「配信側への配慮」も踏まえたソニーのアプローチはまた違ったものと言える。
L-γレイザーとイコライザーはそれぞれアプリごとに設定ができ、最大4つのアプリにてプリセットを設定可能。この辺りはXperia 1IIIやXperia Pro Iと共通になる。
しかも、スクリーンショットやスクリーンレコード時にこれらの設定は反映されないという仕様となってるため、ゲーム映像や音声を配信する際でも安心だ。前述のタッチレートやこれらの最適化機能、ゲームコンテンツ用のミキサーなどを備え、コンシューマゲーム機でPlay Stationを長年展開するソニーらしいアプローチといえる。
デザイン的にはXperia 5シリーズを踏襲したものになる。本体カラーはXperia 1IIIとは異なる形となり、以下の4色が展開される。
フロストブラック
フロストホワイト
グリーン
ピンク(ソフトバンクのみ取り扱いなし)
グリーンとピンクは光沢加工がされており、ブラックとホワイトはフロストガラスと艶消し加工のフレームとなっている。背面パネルはXperia 1IIIのフロストガラスとは異なり、今回レビューのグリーンでは通常のガラス仕上げとなる。フレームもつやのあるもので丸みを帯びているのがXperia 1IIIとの違いと言える。フレームに関しては初代Xperia 1みたいなものと言えるだろうか。
キャリアでの値下げで手に取りやすくなったXperia 5III
日本国内モデルは各社キャリアの意向もあって、全キャリアmmWave(ミリ波)対応の最上位モデルでの投入となったXperia 1III。各キャリアでもお値段は15万円以上となり、オープンマーケット版も15万円クラスとiPhone Proシリーズよりも高額になったのは事実と言える。
一方、Xperia 5IIIの価格設定は11万円前後とXperia 1シリーズよりは安価になっている。また、今回ソフトバンクではかなり高額な値引きが入っており、ほぼ半額の一括6.8万円という価格設定となっている。
あ、きみ機変でも7万くらいで買えるのね pic.twitter.com/ltQWQyzOy1
— はやぽん (@Hayaponlog) 2022年2月5日
auのGalaxy S21ほどのパンチはないものの、発売時期や価格設定、機能面を考えれば十分破格だ。何かと話題の月額1円維持まで可能な端末となってますが、まだ発売から半年すら経ってないこの機種でもそうなってしまうのか。
1円維持はドコモなども追従しているようで、売れ行きも比較的好調なよう。そのため、多くの方がこの機に手に取ってみた端末ではなかったでしょうか。
ソニーらしさをコンパクトにギュッと詰め込んだスマホがXperia 5III
ソニーのスマホに興味がわいた人、Xperiaを使い続けたい人向けのスマホ
このXperia 5IIIのターゲットを一言でいえばこんなところになる。Xperia 1IIIというソニーマニア向けの全部載せスマホから、ソニーらしさと普段使いでの操作性、機能性を天秤にかけてバランスよく仕上げたのがXperia 5IIIかなと。
カメラに関してはXperia 1IIIを踏襲しており、コンパクトながら高速AFと換算105㎜の望遠を撮影できるのは魅力と言えるでしょう。近年のソニーらしくクセはあるが、それ以外は比較的使いやすくまとまっているように感じたところ。
120fps対応の高クオリティのパネルで外部入力にも対応 360Realty Audio対応スピーカー
DSEE Ultimate対応の卓越したオーディオ機能
L-γレイザー、RTレコードなどの独自のゲーミング補正
コンパクトで168gの軽量ボディ
価格やサイズでiPhone 13やGalaxy S21などど競合するラインとなるが、カメラ構成やエンタメ機能で差別化を図っており、他社のスマホと比べても独自性のある商品だと感じる。コンパクトながら大容量のバッテリーを搭載していたりと、この辺りの妥協はないようにも感じた。
本体はIP68等級の防水にも対応していることから、このように雪面に突っ込んでも問題はない。
個人的に使ってみた感想はやはり「小さくなったXperia 1III」であり、ソニーの提唱する小さいサイズでも「こだわり」を求める層にはジャストなスマホとは言えるだろう。機能面ではXperia 1IIIからミリ波通信や無接点充電などが省かれたりしているが、基本コンセプトと方向性は変わっておらず、ソニーらしさは十分に感じられると言える。
ただ、Xperia 5IIIのカメラはグローバルトレンドはガン無視の「カメラとしてのフィーリングに特化したもの」となり、既存のスマホカメラのものさしで比べる機種ではない。個人的にはXperia 5シリーズはXperia 1シリーズとは異なり、普及モデルの側面もあることから、夜景モードを始めとしたもう少しトレンディングな機能があっても良かったかなと思うところだ。
カメラアプリで売りにしているPhoto Proもどちらかと言えば「中級機クラスの操作UI」になっていて、正直このクラスのカメラを触ったことのある層というべきか。マニュアルでの撮影経験があると言った層以外には、複雑で分かりにくいものになってると感じた次第だ。
Cinema Proに至ってはある程度知識がなければまず使いこなせない。元々が短編映画などの撮影が主と思われるので、TikTok等で近年トレンドの「縦動画」はそもそも撮れないようになっている。
Xperia 1シリーズがソニーマニア向けのスマホなら、Xperia 5シリーズはコンパクトでソニーらしさを求めるユーザー以外にも「ソニーのスマホ使ってみたい」「今のスマホもXperiaだから次もXperiaがいい」という層も拾い上げるラインと言えるところ。
キヤノンのEOS Kissシリーズみたいな「簡単に、抽象な言葉でのシーンセレクト」などが、オートモードにあっても良かったかなと。もっと言えば、他社にもあるようなちょっと派手目なAI補正や夜景モードがあっても良かった。αシリーズにあるクリエイティブルックといったフィルター機能など、「簡単にきれいに撮れる。気軽に編集できる」というところを備えても良かったかなと思う。
ソニーとしても「Xperiaをαシリーズへの入り口」にするなら、このあたりの勝手の良さをもう少し整備してあげても良かったのではないかと感じた次第だ。誰でも簡単に撮れる機能は流行として、スマホの当たり前として取り入れつつPhoto ProやCinema Proでよりクリエイティブに突き詰める。
撮影機能を機種で絞るのでなく、近年のスマホトレンドと、ソニーが突き詰めたものを載せ、場面によってユーザーに選ばせるのが良いのではないかと感じるところだ。さて、このXperia 5IIIというスマホは、以下のような方におすすめのスマホではないでしょうか。
ソニーのスマホを使いたい方
コンパクトでハイエンドなスマホが欲しい方
それでは