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POCO F4 GT 実機レビュー フラッグシップキラーの名前に偽りなし コスパ抜群ハイエンド

 先日日本でも電撃的に発表されたPOCOブランドでのスマートフォン。今回は、日本でも正規販売となったPOCO F4 GTを遅かれ手に入れましたので、実機レビューを書いてみることにする。

 

ざっくりとPOCO F4GTを説明すると

・日本初のPOCOブランドとなるXiaomiのスマートフォン

・10万円以上で販売されているスマホと同じくらいのスペックで7万円台で買える

・ゲーミング要素も強いので、ヘビーゲーマーにもオススメ

・防水防塵、おサイフケータイがない。オンラインでしか買えないところがネックか

 

 はじめに、POCOはXiaomiが展開するサブブランドとなっている。以前はインドや東南アジアをはじめとした地域に「安価で高パフォーマンスな製品」を展開するブランドとして登場している。

 現在は中国国内でRedmiシリーズとして販売した一部商品を、グローバル等で販売する際に使われるブランドとしても認知されている。そのため、今回レビューのPOCO F4 GTはXiaomiのスマートフォンと思っていただいて良い。

 そんなPOCO F4 GTは日本で初投入となる商品で、POCOのブランドイメージを知らしめる布石となる立ち位置の端末だ。

 

 

ゲーミング要素強めだが、ゲーミングスマホ感を抑えて使いやすいPOCO F4 GT

 

 ゲーミングスマホ級とも言えるPOCO F4 GT。スペックは以下のようになる。

 

SoC Qualcomm Snapdragon 8 Gen 1

メモリ 8/12GB

ストレージ 128/256GB

 

画面 6.73インチ FHD+ OLED

120Hzリフレッシュレート対応

 

カメラ

メインカメラ(6400万画素)

超広角カメラ(1300万画素)

マクロカメラ(200万画素) 

 

フロントカメラ(2000万画素)

 

バッテリー:4760mAh

指紋認証、120W急速充電対応

値段:7万4,800円〜

 

 


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箱や本体の表示は先行して販売されているグローバル版と同じものだ


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今回は鮮やかなサイバーイエローをチョイス。他にもステルスブラック、ナイトシルバーのカラーリングがある


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カメラのフラッシュ周りの稲妻マークなどはデザインアクセントとなっている

 

 POCO F4 GTは核となるSoCはQualcomm Snapdragon 8 Gen 1を搭載しており、現時点で発売されているスマートフォンとしてはトップクラスのスペックだ。

 正直なところ、日本で販売されている端末でこのプロセッサーを積みながら7万円台の設定は破格と言える。


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日本ではGalaxy S22シリーズ、ソニーのXperia 1IVやAQUOS R7が同じSnapdragon 8 Gen.1を採用している。どれも10万円以上と高価な端末だ

 

 このプロセッサは発熱多めと言われるものだが、POCO F4 GTではデュアルベイパーチェンバー液冷と言われる強力な冷却機構を備えている。加えて、銅ブロックやグラファイトシートも備えており、冷却性能も文句なしだ。f:id:hayaponlog:20220724131738j:image

冷却機構は近年のハイエンドスマートフォンにおいて、力を入れている部分となる

 

 特徴的なポイントとして、機能の割り当てが可能なトリガーキーが本体側面に備わっている。磁力方式の物理的なフィードバックがあるもので、これが端末右側の上下にそれぞれある。ここにカメラの起動などを割り当てることができる。


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トリガーはスイッチでの引き出し式だ

 

 冷却性能やトリガーキーで物々しいスマホと思われるかもしないが、POCO F4 GTは中国ではRedmi K50 Gameing editionという名前で販売されているものだ。

 名前にGameingとある通り、このスマホは「ゲーミングスマホ」のジャンルに腰まで浸かっているスマホと考えて良い。強力な冷却性能やトリガーキーの存在も納得がいく。画面のタッチサンプリングレートも480Hzとなっていることから、タッチ感度の求められる場面でも活躍できそうだ。

 

 一方で、POCO F4 GTはゲーミングスマホ感を大きく演出していない端末だ。他社の端末に比べると実用的な機能のみに留めており、背面も派手に光ったりはしない。ソフトウェアも標準のMiUIとなっているため、ROG PhoneやBlackSharkといったものに比べるとクセも控えめだ。


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それでもクリック感のある物理LRトリガーを備えているスマホは数少なく、希少な存在となる

 

 カラーもステルスブラックやナイトシルバーをチョイスすれば、「いかにもゲーミングスマホ」という感覚はないのだ。

 

 ディスプレイは6.67インチのOLEDパネルを採用。120HzのリフレッシュレートやHDR10に対応するなど、最新のトレンドもしっかり抑えてる。

 480Hzのタッチスキャンレートにも対応することでタッチ感度の良さ、反応速度を売りとしており、ゲームなどのより細かい精度が求められる場面でも強いスマートフォンだ。

 

 本体スピーカーはステレオスピーカーながら、ユニットはデュアルスピーカーという構成を採用。実質的に左右で2つずつスピーカーが入っており、4つのスピーカーからなる迫力のサウンドを楽しむことができる。

 サウンドについては、ゲーミングスマホ的な側面からも力を入れているポイントのため、スピーカーの品質は過去のXiaomiスマホの中でもトップクラスで良いものだ。

 

フラッグシップ級というPOCO F4 GTのカメラを使ってみて


 POCO F4 GTでは6400万画素のメインカメラをはじめ、800万画素の超広角カメラ、200万画素のマクロカメラ持つ3眼構成となる。メインカメラのイメージセンサーには、ソニー製のIMX686(1/1.7型)を採用している。

 率直な感想を申し上げるのなら、カメラ構成的にはフラッグシップと言うには少々厳しいかもしれない。実売7万円台のスマートフォンとしては、特段尖ったところもなく標準的とも言えるものだ。作例は以下のようになる。


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 何枚か撮ってみたが、筆者としても「思った以上によく撮れてるな」という印象を持つ。これに関しては、搭載しているプロセッサーのISP処理性能が高いことが推察される。ハイエンドチップを積んでくると、パフォーマンス以外の場面でも恩恵が現れる。

 

POCO F4 GTを実際に使ってみて


 Snapdragon 8 Gen 1を積んでいるだけあって性能面で困ることは無い。カメラも作例を見る通り、価格を考えれば撮れる写真のクオリティも上々だ。

 画面はエッジがないフラットディスプレイとなっている。近年はXiaomiに限らずこの手のスマホが増えており、画面の誤操作を防ぐとともに保護フィルムを選びやすいといった利点もある。

 HDR10や120Hzリフレッシュレートに対応するパネルを搭載しているため、非常良質な映像体験を可能にしている。

 

 バッテリー持ちは比較的良好な印象だ。Xiaomi 12 Proを使ったときに比べると、ソフトウェア周りもこなれたのか、体感的には他社のハイエンド端末と大きな差はない。参考までに、原神をプレイしたら1時間で30%ほど消費した。発熱については、高負荷時はベイチャンバーの関係もあり、背面が全体的に熱を持つ形となる。

 

 OSはAndroid 12ベースのMiUI13を採用しているが、ホーム画面のアプリはPOCOランチャーが採用されており、MiUI純正のものと少しだけデザインが異なる。MiUI12から多くの場所がブラッシュアップされており、より洗練されたデザインとなった。

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POCOランチャーはMiUI系のホーム画面アプリの中でもAndroid標準のものに近い

 

 通信方面は5Gバンドも現在日本で多く使われてるn77/78に加え、転用帯域にも対応している。4Gバンドも加えてB19に対応するなど、比較的使いやすくまとまっている。

 

 POCO F4 GTは120W給電の超高速充電に対応し、4760mAhのバッテリーを最速17分でフル充電可能だ。120Wチャージャーも付属し、Xiaomi 12シリーズのような超高速と言える充電速度を体験できる。

 これに慣れてしまうと、他社のスマートフォンの急速充電には満足できなくなってしまうので怖いところだ。

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120W給電のアダプターは少々大型だ。充電ケーブルはゲーミング用途も考慮してL型端子となっている

 

最後に。フラッグシップキラーの名に偽りなしのハイエンド端末

 

 POCO F4 GTの売り文句は「フラッグシップキラー」となる。Snapdragon 8 Gen 1搭載でトレンディな機能をあらかた網羅したハイエンド端末となっている。それだけのスペックながら税込み7万4,800円から購入可能とかなり値段を抑えてきている。

 近年のハイエンド端末は高機能化とブランディングが進み、15万円以上の価格となっている商品も多くなってきている。それらの機種に比べても同じくらいのスペックで値段が半額近いとなれば、消費者に与えるインパクトも大きい。

 

 初回販売時は、期間限定で1万円オフの6万4800円から購入できた。現在も定期的にセールを行っており、タイミングが揃えば安価に購入することも可能だ。当初の6万4800円という価格設定はヨーロッパ版よりも安く、円安が進む状況下で「この値段で出したな」と評価したい限りだ。

 

 一方で、POCO F4 GTは「コスト的に切りつめている」スマートフォンであることもわかる。

 例えを挙げるなら、画面は120Hz対応であるが、近年主流になりつつある可変リフレッシュレートには対応しない1つ前の世代となる。

 カメラに関しても、2年ほど前のハイエンド機とハードウェア的に大きな差はない。防水防塵もなければ、日本固有機能と言えるFeliCaなどにも非対応となる。

 今回、明暗を分けそうな点が「オンライン販路限定」という点だ。POCO F4 GTは店頭販売は行わず、全て公式ストアやAmazon等のECサイトでの販売となる。MVNOでの抱き合わせ販売もオンラインのみとなってる。これは販売、中間マージンを抑えるかつてのXiaomiの販売方法に近いものだ。

 一方で、実機を触って質感などを確認できないため、コアユーザーの口コミ、メディアの宣伝に賭けた形と見て取れる。

 

 筆者的には「ちょっとリッチな2台目スマホ」としてもアリと感じた次第だ。ゲーミングスマホは高額なものが多く、どうしても専用機として仕立てることには抵抗がある。その面でも明確に他社のスマホと差別化されていて、お値段も比較的安価でハイスペックな端末が手に入るのならPOCO F4 GTは選択肢としてアリだ。

 

 最後に、POCO F4 GTはPOCOブランドの日本参入初号機として、「ロープライス・ハイスペック」のイメージを貫くのなら非常に戦略的な端末だ。

 今回投入のPOCO F4 GTは、おサイフケータイが利用できない点や、防水防塵に対応しない点など、使い勝手が良いかと言われると「良い」と言い切れない部分もある。

 そのようなデメリットがありながらも、最新スペックをこの価格で提供することに意味がある。

 POCOブランドについても、今後MVNO等のオペレーターと組んでの販売、店頭での商品展開、FeliCa搭載といったローカライズも考えられる。

 

 様々な理由でスマートフォンの価格が高騰する中、POCOブランドは低価格で高性能を武器に存在感を示していくのではないだろうか。今後の商品展開にも期待したいところだ。