近年日本でもeSports分野が一般化しており、ゲーミングスマホという分野にも注目が集まっている。その中でも「ゲーム機」に近いコンセプトで参入したLenovoが投入するLegion Phoneがある。
一部では「ゲテモノ」と言われるスマホであるが、今回はこちらをレビューしてみる。
- 基本スペックに抜かりはないLegion Phone 2
- Legion Phone 2のカメラを使ってみて
- Legion Phone 2を実際に使ってみて
- Legion Phone 2は最後発のゲーミングスマホだからこそ独自性で差別化を図った製品
ざっくりと
・Lenovo Legionのブランドを冠するゲーミングスマホ
・720Hzのタッチサンプリングレート、デュアル空冷ファンというぶっ飛んだ仕様
・横持ち特化のスマートフォン
・防水防塵、おサイフケータイがない。オンラインでしか買えないところがネックか
はじめに、Legion Phoneはレノボ展開するゲーミングブランドの名を冠したスマートフォンとなっている。いわゆるゲーミングスマホであるが、レノボが参入したのは2年前となり、この分野では新参になる。
今回レビューの商品は第2世代の商品となるLenovo Legion Phone 2 Duelというものだ。中国ではLegion Phone Proと呼ばれるものだ。
基本スペックに抜かりはないLegion Phone 2
ゲーミングスマホということもあってか、端末のスペックに抜かりはない。以下にまとめてみる
SoC Qualcomm Snapdragon 888
メモリ 12/16/18GB
ストレージ 256/512GB
画面 6.9インチ FHD+ OLED
144Hzフレームレート対応
カメラ
リア メイン(64MP)+超広角(16MP)
フロント 44MP
バッテリー:5500mAh
指紋認証、90W充電対応
箱や本体の表示は先行して販売されている中国版と同じものだ。本土では機種名が異なるので違いはそこになる。
端末は黒系のカラーとなるが、フレームにはアクセントカラーが備わっている。
カメラのフラッシュ周りのYをもしたマークはもちろん光る。
核となるSoCはQualcomm Snapdragon 888を搭載しており、昨年販売のスマートフォンではトップクラスのスペックだ。
このプロセッサは発熱多めと言われるものだが、Legion Phone 2ではベイパーチェンバー液冷機構に加え、冷却効率の高い銅ブロックをプロセッサ周りに備える。極め付けは空冷ファンを吸気と排気にそれぞれ2つ備えるという対策っぷりだ。
冷却機構は近年のハイエンドスマートフォンにおいて、力を入れている部分となるが、外部冷却なしであればトップレベルのものとなっている。
特徴的なポイントとして、機能の割り当てが可能なトリガーキーが本体側面に備わっている。このトリガーが左右で2つずつ、合計4つまで割り当て可能になっている。
加えてスライドパッドを2つ備えている。場所は本体裏手の盛り上がっている場所になる。
先述のトリガーと合わせて6つのファンクションを割り当てることが可能だ。まず人間の指の数を思い出してほしいところだ。
ASUS ROG Phone 5ですら拡張ファンを取り付けてトリガーは4つとなるが、本体のみで6つのファンクションを割り当てられるLegion Phoneはクレイジーな端末だ。
ディスプレイは6.9インチのOLEDパネルを採用。144Hzのリフレッシュレートに対応しており、HDR10の表現に対応するなど最新のトレンドもしっかり抑えてる。
720Hzのタッチスキャンレートにも対応している。タッチ感度の良さを売りとしており、ゲームなどのより細かい精度が求められる場面でも優秀だ。
加えて画面自体も感圧タッチに対応している。BlackSharkシリーズに備わっているものと同様で、画面を押す力の強さでファンクションを割り当てる事が可能だ。先のLRトリガー、スライドパッドと合わせて、合計8つのファンクションを割り当てられる。改めて自分の指の数を思い出してほしいところだ。
本体スピーカーはステレオスピーカーながら、ユニットを巧みに使うことで迫力のサウンドを楽しむことができる。横持ちに最適化されたサラウンドサウンドも楽しむ事ができる。
Legion Phone 2のカメラを使ってみて
Legion Phoneでは6400万画素のメインカメラと1600万画素の超広角カメラの2眼構成となる。
加えて、フロントカメラは4400万画素と高画素なものを採用。ポップアップカメラを採用することで、本体にはノッチなどを設けていない。ただ、この機種のフロントカメラは少々特徴的で、電源ボタンのところにあるのだ。
写真を見てお分かりの通り、フロントカメラはなんと横から出てくるのである。とても個性的でクレイジーとしか表現することができない。
一方で、ゲーム配信時に自分の顔を映した状態でも配信できるのだが、その場合にはものすごく理にかなった構成だ。横持ちでは自分の手でカメラを遮ることがないので、ナイスプレイをした表情を伝えることができる。
それを踏まえてメインカメラの位置を見てほしい。どう考えてもここじゃないだろという場所にある。本体の真ん中付近の配置は縦持ち時に撮影しにくいものとなる。
普通に持つと写真のように手でカメラを覆ってしまうのだ。
そんなヘンテコとも言えるカメラだが、実際に使ってみると写りは悪くない。このクラスのスマートフォンとしては少々劣るところはあるが、普通に使う分には大きな不満はないだろう。
加えて、フロントカメラは美顔エフェクトなどをはじめとした自撮り機能を多く備えている。顔のラインの修正や肌シミを消す機能などが備わっている。
何枚か撮ってみたが、筆者としても「思った以上によく撮れてるな」という印象を持つ。これに関しては搭載しているプロセッサーの画像処理性能が高いことが推察される。ハイエンドチップを積んでくると、パフォーマンス以外の場面でも恩恵が現れる。
Legion Phone 2を実際に使ってみて
Snapdragon 888を積んでいるだけあって性能面で困ることは少ない。カメラも作例を見る通り、特段推している機種と比べなければ撮れる写真のクオリティも上々だ。
画面にはエッジがないフラットディスプレイだ。ゲーミングスマホらしく本体上下にベゼルを設けており、横持ちで利用した際の誤タップを防ぐ利点もある。HDR10や144Hzリフレッシュレートに対応するパネルを搭載しているため、非常良質な映像体験を可能にしている。
Lenovo Legion Phone Duel 2にてミリシタ
— はやぽん (@Hayaponlog) 2022年7月19日
3D高画質 難易度MM タイミング ±0
日本未発売スマホでミリシタやりやすいランキング堂々上位に躍り出てきたゲテモノスマホ。タッチスキャンレート720Hzは頭が悪すぎる(ほめてる) pic.twitter.com/GhaWKFuRxH
バッテリー持ちは比較的良好な印象だ。空冷ファンなどを利用すれば減っていくが、元の冷却性能も高いので必ずしも常時利用する必要はないと感じる。参考までに、原神をプレイしたら1時間で30%ほど消費した。発熱については、高負荷時はベイチャンバーの関係もあり、背面中心部のファン付近が全体的に熱を持つ形となる。
OSはAndroid 11ベースのLegion OS 12を採用している。基本的にはAOSPと呼ばれるものに近い仕上がりで、一般的なAndroidスマートフォンと同じよう使用できる。
通信方面は5Gバンドも現在日本で多く使われてるn77/78に対応している。4Gバンドも加えてB19に対応するなど、比較的使いやすくまとまっている。
Legion Phone 2は65W給電の超高速充電に対応する。加えてもうひとつのUSB端子にも同時給電することで最大90Wでのデュアルターボ充電が可能だ。5500mAhのバッテリーを最速30分でフル充電可能だ。
USB端子を2つ挿して充電が可能だ。見た目の絵面は最高にクレイジーだ
Legion Phoneは正直なところを言うのなら、使いにくい点が多い。スマートフォンでありながら、ポップアップカメラが側面から出る点、リアカメラの配置などからも縦に持って使うことを想定していない。本体も260gクラスとなり、スマートフォンとしては重たい。
意外かもしれないが、Legion Phoneはゲーミングスマートフォンでありながら近年では主流になりつつあるイヤホンジャックを備えていない。これについてはUSB 端子が2つあるので1つを充電専用にし、もう1つの空いた方にUSB 端子のイヤホンを接続するといった使い方が可能だ。
Legion Phone 2は最後発のゲーミングスマホだからこそ独自性で差別化を図った製品
Legion Phoneはいわゆるゲーミングスマホと呼べる分野に属するスマートフォンとなる。この手のものはSnapdragon 8番台のハイエンドチップ、144Hzのリフレッシュレートに対応したディスプレイを搭載するものが多いが、近年はこれだけでは他社と差別化ができない状態だ。
この分野に最も後発で参入してきたレノボは、よりゲームプレイに特化した構成にこのスマートフォン仕上げてきた。
空冷ファンを2つ搭載してみたり、LR トリガーの数を他社のスマートフォンよりも多めに設定するなど、Legion Phoneはスマートフォンというよりは、ゲーム機に近いコンセプトで作られているのが分かる
ゲーミングモードの完成度も高い。これに加えて、Xperiaにもあるような直接給電モードなども備えている
Legion Phoneの3Dアバターをおいてゲーム配信できる謎機能。アバターの種類増やせれば誰でもVtuber配信可能になるのではと夢がある。
— はやぽん (@Hayaponlog) 2022年8月6日
ちなみにフェイストラッキングはしてるので表情が変わる pic.twitter.com/i9bxLUFQbp
インカメラで3Dキャラクターを表示してVtuber的な配信も可能だ。このキャラクターはフェイストラッキングに対応しているので、表情もある程度追従する
筆者的には「ゲームに特化した人とは違う個性的なスマホ」としてもアリと感じた次第だ。ゲーミングスマホは高額なものが多く、どうしても専用機として仕立てるには抵抗がある。
その面でも明確に他社のスマホと差別化されていて、お値段も比較的安価ならLegion Phone 2は選択肢としてアリだ。
そのため、ゲーム機としての2台目スマホとしては悪くない選択だ。日本語もしっかり使える上に、グローバルモデルは技適マークも表示できる。安心して使えるスマートフォンなのだ。
Legion Phone Duel 2は技適マークを表示可能だ
最後に、Legion Phoneというのは非常に戦略的な端末だ。元々Lenovoのブランドでスマートフォンは展開しており、現在はこれに加えMotorolaのブランドも保有している。
Legion Phoneはゲーミングブランドとして既に展開されていたLegionを冠する商品なだけあって、ブランド認知度という面ではかなり高い。
この部分はゲーミングスマホしか展開しないREDMAGICやBlackSharkとは異なり、ゲーミングPCや周辺機器を展開するASUSのROG Phoneに近いブランディングと商品展開になっている。
最後発の攻めたプロダクト。海の向こうには少し変わったスマートフォンがあることを覚えておくと何かいいことがあるかもしれない。