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Xperia 10IV レビュー 軽量コンパクトでバッテリー長持ちなスマートフォン

 

 どうもこんにちは。今回はソニーのXperia 10IVのファーストインプレッションとかについて、まとめていくことにする。

 

ざっくりと

・ソニーが発売する最新ミドル帯スマホ

・21:9で有機ELパネルを搭載

・5000mAhの大容量バッテリーを搭載

・161gの軽量ボディ

・360Upmix DSEE Ultimateに対応した高音質なスマートフォン

・eSIMにも対応(ドコモ版は非対応)

・ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルで販売され、お値段は6万5000〜7万円前後

 

軽量ボディに大容量バッテリーを詰め込んだXperia 10IV
 

 Xperia 10IVのスペックはいわゆるミドル帯と呼ばれるものだ。下記にスペックをまとめるが、無難なところに仕上がっている。

 

SoC:Qualcomm Snapdragon 695G 5G

メモリ:6GB

ストレージ:128GB

 

画面:6インチ FHD+(2160×1080)

有機ELパネル

 

カメラ

1200万画素(標準)/800万画素(超広角)/800万画素(望遠)

 

バッテリー 5000mAh

 

重量:161g(国内モデル)

 

OS:Android 12

 

 Xperia 10IVは、2022年に販売された。ソニーのミドル帯スマートフォンだ。デザインやコンセプトはおおむね近年のXperia を踏襲しつつ、細かいところをブラッシュアップしている。このXperia 10IVは名前の通り4世代目となる機種だ


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ポップなカラーが特徴のXperia 10IV。今回筆者は緑系のmintをチョイスした。


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 Xperia 10IVのディスプレイは従来の液晶パネルではなく、Xperia 5シリーズと同様に有機ELパネルが採用されている。上位機種のように120Hzのリフレッシュレートには対応しないが、色表現などで従来機種よりもアップグレードされている。

 

 Xperia 10IVのプロセッサはQualcomm Snapdragon 695G 5Gが採用されている。この手のプロセッサを採用する機種はミドル帯と呼べるものだが、いわゆる600番台となるため700番台を採用する「アッパーミドル」と呼ばれる機種に比べるとパフォーマンスでは一歩劣るところもある。

 

 Xperia 10IVはメモリは6GB、ストレージは128GBの構成となる。Xperia 10IIIに引き続きSDカードを利用できるので、メディアの保存場所には困らないスマートフォンだ。日本では依然としてSDカードが利用できることを求める声が多く、そのような声に答える形で搭載させているものと考える。


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SIMイジェクトピンを利用しないでSDカードを交換できる点はもはやソニーのお家芸だ

 

 Xperia 10IVの売りとして電池持ちの良さがある。画面サイズ6インチ、161gの筐体に5000mAhという大容量バッテリーを搭載しているため、見た目以上に電池持ちは良好だ。ミドル帯のプロセッサーを搭載してることもあって、筆者の使い方では2日間利用することができた。

 

 本体の重量は161gとXperia 10IIIの168gから7gも軽量化している。バッテリー容量が増加したにもかかわらず、軽量化できているのはすごいことだ。この容量を搭載したスマートフォンとしては世界最軽量だ。


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本体のデザインはXperia 10IIIを概ね踏襲しており、ひと目見てXperiaと分かるデザインとなっている。今回の Xperia 10IVでは2.5 D ガラスと言われるものではなく、きちっとフレームに収まるような形でガラスが収まっている。耐久面ではこちらの方が有利であり、万一落とした際に画面が破損すると言ったリスクを低減できる。

 


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Xperia 1IVと比較するとひと回り小さい印象だ。

 

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本体サイズも非常にコンパクトだ。横幅のサイズはiPhone 13 miniと大きく変わらないなどコンパクトな仕上がりになっている。

 


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Xperia 10IVのカメラは1200万画素の標準カメラを中心とした3眼構成だ。作例は以下の通り



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 こうしてみるとクオリティはまぁまぁといったところだ。Xperia 10IVはPhoto Proは利用できないが、変わりに夜景モードが利用できるなど、Xperia 1シリーズとは明確に差別化はされている。


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Xperia 10IVでは夜景モードが利用可能だ。


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ちなみに今回の写真に入っているフレームはこちらのアプリで編集したものだ。

 

 

 Xperia 10IVではキャリアで販売されるものでもeSIM にも対応した形となる。キャリアで販売されるXperiaにおいて、Xperia 1IVに次ぐデュアルSIM端末だ。

 一方で、販売されるキャリアによって仕様が異なる点があるなど、Xperia 1IVのような全キャリアほぼフルバンド対応と言った分かりやすさはない。

 例えば、ドコモ版のSO-52CはeSIMに非対応となり、au版のSOG07は4Gバンドが自社向けに特化している代わりにWiMAX 2+の帯域にも対応している。

 

 購入後にキャリアを乗り換えて使いたい場合は、4G対応周波数も多く、eSIM対応の楽天モバイルで販売されているXQ-CC44。対応周波数は若干少ないが、同じくeSIM対応のソフトバンクの202SOがおすすめだ。

 

ヘッドホンオーディオに力を入れたXperia 10IV

 

 Xperia 10IVはイヤホンジャックからのオーディオ関係は強化されている。ウォークマンにも搭載される高音質アップコンバート機能であるDSEE Ultimateを前作に引き続き搭載。音質的には不利なストリーミング配信音源もより良い音で楽しめる工夫がされている。

 加えて、「360 Upmix」という360 Reality Audioの音響効果を擬似的に加えることができる機能が追加されている。ソニーのスマートフォンでもDSEE Ultimateに対応しているスマートフォンは出ているが、360UpmixについてはXperia 1IVとこのXperia 10IVのみの機能となっている。

 

 ハードウェアとしてはハイレゾ出力も可能なイヤホンジャックを備える他、BluetoothオーディオもLDACの他にaptX adaptiveの24bit/96kHzフォーマットにも対応している。なお、ストリーミング再生におけるビットパーフェクト再生には非対応だ。



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Xperia 10IVとWF-1000XM4の組み合わせは非常に良好なリスニング体験を可能にする。

 

   音質を上位機種にあたるXperia 1IVと比較すると、イヤホンジャックからの出音は一聴しただけで「1IVのほうが良い」と体感できる。これはXperia 1IVの方が内蔵のアンプなどが別実装になり、音圧などを含めてチューニングされているからだ。その点はXperia 10IVは明確に差別化されているとわかる。

 一方で、Bluetoothオーディオの場合はそこまで大きな差はない。aptX AdaptiveやLDAC対応の機器と組み合わせれば高音質再生が可能だ。

 

 本体のスピーカーは上位機種とは異なりモノラルとなっている。音割れなどはないが、ボリュームはやや小さめだ。

 

 比較的発熱が少ない事が売りのプロセッサーではあるが、同じものを搭載するOPPO Reno7 Aに比べてもXperia 10IVは発熱を感じやすいスマートフォンという印象があった。本体サイズの違いはあるが、それでもXperia 10IVは発熱を感じる。後述の軽量化に際して冷却機構を削っているのではないかと感じるくらいだ。

 

Xperia 10IVの場合は本体が薄いこともあって体感的に「背面が暖かい」と感じることが多い。

 

無難なスマホであるが、ソニーらしさがないXperia 10IV
 

「値段が高価で無難なスマホ」

 

 Xperia 10IVを利用して感じた率直な感想だ。近年ではアッパーミドルというカテゴリーも生まれ、ミドル帯のスマートフォンは非常に激しい競争が行われている。

 

6インチで21:9アスペクト比を採用した縦長の画面

強化されたヘッドフォンオーディオ

軽量コンパクトボディに大容量バッテリー

IP68の防水防塵に対応した本体 

eSIMに対応。デュアルSIM運用も可能

 

Xperia 10IVの利点は上記のようになる。確かに無難にまとまっているが、少々引っかかる点もあったので惜しい点も合わせて以下に記してみる。

 

 まず、Xperia 10IVの価格は正直なことを言うのであれば高い。約6万5000円〜7万円前後とキャリアによって価格は異なるが、基本スペックを加味しても適正価格とは言えない。チップセット単価の違いやグローバルでの販売数を考えても実売5万円後半が妥当だ。


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 この実売価格を考えるのであれば、POCO F4 GT(セール時6万4800円)やNothing Phone (1)(6万3800円〜)といった高性能な機種もある。防水、FeliCa 搭載を考えるのであれば、Google Pixel 6a(5万3900円〜)がある。どのスマートフォンをとってもXperia 10IVより高性能ながら安価なものだ。

 

そして、もうひとつの惜しいところが「無難」という評価。Xperia 10IVを使ってみても、これといった強いインパクトを与えてくれる特徴がないのだ。

 道具として使い続けるスマートフォンにおいては「無難」な商品が好まれる。それは買い替えといった点で生きており、Xperiaが今まで積み上げてきた実績による評価だ。

 新たにXperia を選んでもらう層に届けるにあたって大切なものは他社との差別化である。成熟した現状に対して極論を言うのであれば、どのメーカーの機種を選んでいても、ある程度の価格になれば基本的にできることは変わらないのだ。

 

 王道と言えるラインは既にiPhoneやGalaxyが君臨しており、値段の安さではXiaomiやOPPOをはじめとした中国メーカーに日本メーカーはとても歯が立たない状態だ。

 加えて国内向けブランディングではシャープが幅広い販路と機種展開で優位に立ち、MotorolaなどもFeliCa搭載商品を展開するなど激しい競争が続いている。

 

 その中でソニーはどうか。Xperia 1や5シリーズといったハイエンドはある程度差別化されており、固定ファンがついてきている状態だ。一方で今回レビューの10シリーズや、もうひとつ下のランクであるAceシリーズに関しては、好き好んでXperiaを選んでいる人は少ないと感じる。

 

 確かに Xperia 1IVでは、αシリーズのエッセンスを汲んだカメラ性能、独自性に富んだゲーミング性能があり、他社のハイエンドスマートフォンとも差別化ができている。

 一方でこのミドル帯のXperia 10IVは他社と大きく差別化されていない。極端な話を言うのであれば、「バッテリー容量が多くてコンパクトなスマホ」なだけである。このスマホにXperia 1や5シリーズにあるような「ソニーらしさ」と呼べるようなものはない。

 

 比較的安価なこの価格帯は一番の激戦区となり、ランニングコストを抑える目的を持った「ある程度スマートフォンに対して関心がある層」が選ぶものだ。そのような人たちが手に取ってくれるかと考えた時に、現状のXperiaであれば少し躊躇してしまう。


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Xperia 10IVと同じくらいのスペックとなるOPPO Reno7 Aも価格帯を考えれば、機能面やデザインで差別化されている機種となる。

 

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   そしてもう1つ。これだけは伝えたいのだが、Xperia 10IVの時点で基本的なスペックは5年落ちのハイエンドスマホだと思っていただいてよい。

 これはスマートフォンそのものの賞味期限がとても短いことを意味する。特にXperiaはアップデートを長期にわたって行ってくれるとは言い難いもので、AQUOSやGalaxy などに比べるとアップデートされる期間は短い。

 

   バッテリーの劣化を抑える工夫にしかり、大容量バッテリーを搭載して「長く使える」点を意識している商品でありながら、OSのアップデートやスペックを考えると1年半から2年で買い替えするのが望ましい製品だ。これが嫌なのであれば、もう少し予算を出してハイエンドモデルを購入することをおすすめする。


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2017〜18年頃に購入したスマートフォンの買い替え需要も狙っているが、この場合Xperia  10IVでは基本スペックは全く変わらないと思ってもらって良い。

 

結局、Xperia 10IVのターゲットは誰なのか。

 

 値段も高く、これといった強い特徴もないXperia 10IV。キャリアの施策の関係もあるのだろうが、家電量販店系の売上ランキングを見てみると、常に上位にランクインしている。

 

 個人的な考察になるが、このXperia 10IVを選んでいる方の多くは「なんとなくXperiaかな」という感覚で選んでいると考える。言い方を変えれば、あらゆる選択肢の中から消去法で選んでいるのだ。

 むしろ、そのような層を狙って、この機種を展開しているのではないかと感じるぐらいだ。

 

 今現在、日本市場においては多種多様なスマートフォンが展開されている。一方でSIMフリーや格安スマホという言葉を当たり前に聞くようになった昨今でも、大手キャリアで絞って購入する方が8割強を占めるなど、依然とキャリアの販売力は強い。

 加えてスマートフォンにあまり明るくない層からすると、OPPOやXiaomiといった中国メーカーは耳に馴染みがなく「知らないメーカーのよくわからない機種」となる。よく分からないは「不信感」に繋がってしまうのだ。

 

 一方で、日本メーカーと言えるシャープや富士通のスマートフォンは黎明機ともいえる2013年頃までは、正直まともな商品が少なかった。発熱でオーバーヒートし再起動を繰り返す機種が普通に売られていたりと、日本メーカーのスマートフォンに良い印象はあまりなかった。一番マシだったのがXperiaだったように感じる。

 

 当時のイメージを固くなに引きずっているのであれば、今もなお消去法でXperiaが選ばれるというのも納得がいく。「Xperiaがいい!」ではなく「Xperiaでいいや。」「Xperiaなら他に比べてマシなのでは」という流れが多いと感じる。

 

 それでは、なぜもっと安価なXperia Ace IIIではなく、Xperia 10IVが売れ筋なのか。簡単に言えば保険だと思って買ってる節があると考える。前者は3万円台の価格設定であるが、安いことを理由に何かしら色々削っていることが伺える。

 そのような場面でスマートフォンを購入するとなれば、必然的に脳裏に浮かぶのは「安物買いの銭失い」という言葉だ。安いものを買ってもすぐ後悔するのであれば、もう一つ上のグレードを買って不安を払拭するような感覚だ。


 その上でこのXperia 10IVを見ていくと、ターゲットは「スマホは使えれば何でもいい」という層に受けている。ショップなどで勧められて購入してると捉えることも可能だ。

 ソニーはXperia 10IVのターゲットを「価格を抑えながらもソニーの魅力に惹かれて購入する人」としているが、これを求めて買う人はむしろ少数なのではと感じる。

 

 「とりあえずソニーのXperiaなら大丈夫。」そんな感覚の指名買いによって一定数売れていると考えるのが適切だ。

 

 ただ、この指名買いが通じるのは「キャリア」というぬるま湯に浸かった日本市場という環境要因がある。多少値段が高くても、キャリアで分割で買う選択肢が主流な日本だからこそ通じるのだ。

 仮にも日本のSIMフリーの市場において、今の Xperia 10シリーズを展開しようものなら、中国メーカーやシャープ、Motorolaなどに押されてかなり厳しい戦いを強いられるのはずだ。

 

 諸外国の端末単体の価格だけで勝負するような場面ではかなり厳しい。正直このスマホが香港市場で3800香港ドル(日本円で約6万6000円)と聞いた時、筆者は売れる気がしないと感じた。あちらでもソニーのブランド力は一定数あるが、同じくらいの価格でもっと高性能なものは多くある。


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日本以外の地域ではミドル帯の端末で防水対応のものが少ないので、そういう面では一定数の需要があるように感じる。

 

 

最後に、Xperia 10IVは用途を絞ればいいスマホ。

 

 ソニーらしくない無難なスマホとなっているXperia 10IV。一方で、これだけあれば満足だと感じる方も多いのではないかと感じた商品だ。

 

 もちろん、高負荷なゲームや画像編集などを多用するものに関してはストレスに感じることもある。それらのことをしないのであれば十分お勧めできるスマホだ。

 

 加えて無難なスマホという点も、道具という意味ではある意味武器になる。変に尖っているところがないので、比較的使いやすい構成に仕上がっている。加えて、本体が軽量で大容量バッテリーを採用している点は大いに評価したい。

 防水防塵、おサイフケータイといった日本において必須の機能は全て備わっており、スマートフォンをコミュニケーションツールとしての用途しか求めないのであれば悪くない選択肢だ。

 

 値引きなどについてはソフトバンクにて「のりかえ一括1円」という破格で販売されている。現行ルールに当てはめれば、契約をしなくても2万円前後で購入できる。破格すぎるとしか言いようがない。

 

 国内キャリアで買える安心感。これに加えてコンパクトでバッテリー持ちの良い端末を求めるのであれば 、Xperia 10IVはマストバイといえるスマートフォンだ。

 

 

それでは