どうも。今回はXiaomiのRedmi K50 Proを今更ながら入手する機会があったので、レビューしてみたい。
- 新型チップ搭載で高性能なRedmi K50 Pro
- 2K解像度のAMO LED画面や1億画像のカメラ性能もチェック。
- 数が少ないDimensity 9000搭載スマホ。結果としてハイエンドスマホ並みに高騰も
新型チップ搭載で高性能なRedmi K50 Pro
Redmi K50 Proを一言で示すのであれば、とても性能の高いスマートフォンだ。スペックは以下のようになる
SoC:MediaTek Dimensity 9000
メモリ:8/12GB
ストレージ:128/256/512GB
画面:6.67インチ WQHD+解像度
120Hz対応 AMOLEDパネル
カメラ
標準:1億800万画素(ISOCELL HM2を採用)
超広角:800万画素
マクロ:200万画素
フロント:2000万画素
バッテリー:5000mAh
120W充電対応
OS:Android 12
本体の箱にはデカデカと120W 2Kの文字が並ぶ
今回は黒系となる墨羽をチョイス。隕石をモチーフにしたデザインだそうだが、見え方によっては背面が割れてるようにしか見えない。
露出をアンダーにして撮影するとデザインが映えてくる。
Redmi K50 ProはXiaomiのサブブランドのRedmiシリーズから登場したハイエンドモデルだ。特徴としては、今年初頭に発表されたMediaTekのハイエンドプロセッサであるDimensity 9000を搭載している点だ。
Dimensity 9000はMediaTekらしく安価ながらも高性能なプロセッサというポジションになる。今回のものはTSMC 4nmプロセスを採用しており、性能的にもSnapdragon 8 Gen 1に引けを取らないものになっているなど注目されている。直近ではマイナーチェンジ版にあたるDimensity 9000+も一部端末にて採用されている。
低性能だったイメージを一新する MediaTek Dimensity 9000の高いスペック
Redmi K50 Proを使ってみたが、Dimensity 9000は従来のMediaTekを感じさせないハイエンドチップと言える仕上がりだ。CPUではARM Cortex-X2、A710、A510コアを採用した3クラスター構成となり、GPUではMali-G710 MC10を採用している。Mali G710系搭載としては世界初のSoCだ。
これだけの性能を有しているだけあって、性能面で不満を感じることは少ない。単純性能であれば今年発売の最新ハイエンド機種にも全く引けを取らないもので、高負荷なコンテンツでもゴリゴリと動かすことができる。
高負荷な原神も最高画質で60fpsの設定でも快適に動作する。発熱については多少あるものの、事前の話通りSnapdragon 8 Gen 1を搭載しているXiaomi 12に比べるとこちらの方が快適に感じる。
ミリシタ動作検証編
— はやぽん (@Hayaponlog) 2022年10月16日
左上:Pixel 7 Pro(Tensor G2)
右上:Honor Magic 4 Ultimate(Snapdragon 8 Gen.1)
左下:Redmi K50 Pro(Dimensity 9000)
右下:OnePlus 10R(Dimensity 8100)
Magic 4 Ultimateのみタイミングが-4。それ以外は-2 pic.twitter.com/eLyHjXW0Rz
リズムゲームもある程度快適に動かせるようだ。
2K解像度のAMO LED画面や1億画像のカメラ性能もチェック。
Redmi K50 ProはDimensity 9000搭載が売りだけのスマホではない。2K解像度のAMO LEDパネルや1億画素カメラを中心とした3眼カメラといった部分を持つフラッグシップに近いラインのスマホだ。
画面についてはかなり綺麗なものだ。2K(WQHD+)解像度のサムスン製E4 AMOLEDパネルを採用している。高解像度なだけあって肉眼でのドットの判別は不可能だ。サイズは6.67インチと近年のこの手のスマホとしては一般的になりつつあるものだ。
画面のリフレッシュレートは120Hz、タッチスキャンレートは480Hzとなっている。Xiaomi 12シリーズよりも廉価グレードでありながら、画面性能にはかなり力を入れていることが分かる。画面の明るさはピーク時で1200nitと直射日光下でもある程度表示を確認できる。
Redmi K50 Proでは近年増えつつある画面内指紋センサーを備えておらず、電源ボタン一体型の指紋センサーが採用されている。感度はかなり良好だ。
本体スピーカーも比較的良質だ。Redmi K50 Gamingのグローバル版にあたるPOCO F4 GTに比べると一歩劣るが、価格を考えれば十分すぎるものだ。Xiaomi Mi12などと異なり、Harman Kardonチューニングではないが、Dolby Atmosに対応している。
カメラについては、1億800万画素の標準カメラと800万画素の超広角カメラ、200万画素のマクロカメラとなる。超広角カメラの性能が抑えられている点などを見て、フラッグシップよりはひとつ下のラインで展開されるスマートフォンとわかる。
デカデカと「108MP OIS」とあるだけあって1億画素のイメージセンサーに加え、光学式の手ブレ補正機構を備える。Redmi K50 Proでの作例は以下の通りだ。
何枚か撮ってみたが、比較的綺麗に撮れる。特段こだわりや競合他社の重視モデルと比較をしなければ十分といえる。
マクロカメラを備えるため、意外と寄れる点はありがたい。さすがにMi11のようなカミソリマクロとはいかないものの、SNSにアップロードするくらいなら十分だ。
撮影条件によっては、HDR合成やディテール処理の甘い描写も見られた。これは単純な光学性能だけではなく、Dimensity 9000に備わるISPのチューニングの甘さに起因すると思われる。カメラハードウェアやチップの基本性能が高くても、この辺りでSnapdragon搭載機に差を空けられる点は惜しいと言わざるを得ない。
また、vivo X80のようにV1+というISPを補助するプロセッサを搭載して、Dimensity 9000採用でも高いカメラ性能を持った機種も存在する。Xiaomiもライカとのコラボレーションで画像処理のノウハウを得たはずなので、今後はRedmiシリーズにもノウハウが反映されてくるはずだ。
Xiaomi Redmi K50 Proにて
— はやぽん (@Hayaponlog) 2022年10月2日
カメラはまぁまぁ。一言でいうなら安定のMediaTek ISPのクオリティである。特に4枚目は pic.twitter.com/NNvJVUCt6z
Redmi K50 Proの大きな特徴として120Wの高速充電がある。独自のSurge P1という電源制御ICを採用しており、安全面にも配慮されている。120W充電を行うことで、バッテリーをものの20分ほどでフルチャージ可能だ。本体のバッテリーについてはあまり持ちはよろしくないものの、120W充電と組み合わせることで対応できそうだ。もちろん充電器も付属する。
数が少ないDimensity 9000搭載スマホ。結果としてハイエンドスマホ並みに高騰も
Dimensity 9000は高性能ながらも、発熱が少ないと考えられていたこともあり、ネット上では注目度も高いSoCであった。Snapdragon 8 Gen.1搭載のスマートフォンが排熱に苦しんだ点もふまえると納得だ。
一方で、本来MediaTekが得意とする価格的優位差をあまり出せていない点も目立つ。Dimensity 9000は確かに高性能なことに間違いはないが、それはCPUやGPUと言ったところを主体として見たアプリケーションプロセッサとしての話になる。
スマートフォンとしては通信に関わるモデム性能、カメラ性能に直結するISP性能、近年ではAI処理を行うAPU性能も注目される。AI性能はベンチマークによっては高い数字を示しているが、モデムやISPの性能はどうしてもSnapdragon 8 Gen 1に比べると劣る結果となる。
実際、Redmi K50 ProよりもPOCO F4 GT(Redmi K50 Gamingのグローバル版)のほうが写りが綺麗だった場面もあり、弱いところが出たと感じる次第だ。
TSMC 4nm製造ということもあるのか、多く供給できていない点もあるようだ。採用機が明らかに少ないこともあり、値段としても高価なものが多い印象だ。
Redmi K50 Proも発表当初は約6万円の価格設定となり、スペック比では安価であった。一方でSnapdragon 8 Gen 1搭載のRedmi K50 Gamingなどと大きな価格差がなかったことから、Dimensity 1000系採用機のような価格的メリットは少ないものであった。価格面で優位なポジションはある意味Dimensity 8000系に譲り渡したという見方もできる。
Dimensity 9000系搭載端末を見てみると、OPPO Find X5 Pro Dimensity Editionや Xiaomi 12 Pro Dimensity版と言った、同じバリエーションの中でSoCのみ変更している端末もある。Snapdragon版に比べて若干安価な価格設定にはしているものの、大きな価格差がないため影に隠れがちな存在となっている。加えてモデム性能やISP性能で劣ることから、あえて選ぶかと言われると微妙な存在だ。
Honor 70シリーズのように上位機種にDimensity 8000/9000を採用する例もあるが、基本的にDimensity搭載端末は、Snapdragon搭載機の下位という位置付けだ。
Redmi K50 Proは安価なハイエンド端末を再び切り開く。そんなスマートフォン
筆者的にはRedmi K50 Pro自体はDimensity 9000端末として評価するのであれば、Snapdragon 8 Gen 1採用機とも対等に渡り合えるだけの性能を持ったスマートフォンだと思っている。
一方でおすすめかと言われると首を縦に振り切れないところがある。Redmi K50 Proの惜しい点として、写真の写りが現行ハイエンドに比べてやや劣る点がある。この辺りはMediaTekのプロセッサ搭載機では全般的に弱い印象もあるため、何らかの補助がない限りはSnapdragon 8 Gen 1を搭載した機種に比べると劣って見える。この辺りは昨年日本でも発売されたXiaomi 11Tについても似たような感想であった。
加えてアプリの最適化の問題が関わってくる。GPU周りは今でこそGoogle Tensor G2がMali G710を採用している関係で、日本でもある程度最適化されるとは思われるが、依然として兆しはない。通信周りについても難がある仕様だ。Redmi K50 ProではVoLTEが利用できる(ソフトバンク系にて確認)が、海外発売のDimensity系はVoLTE周りでも使いにくいものが多い。
通信速度、接続安定性等を含めてSnapdragonより劣る点でもあり、日本でMediaTek製のSoCを採用しているスマートフォンが少ない理由にもなる。Dimensity 8000/9000採用機は中国向けにはある程度数があるものの、グローバル展開されている機種は少数だ。
改めて価格をチェックすると、Redmi K50 Proは2999元〜と約6万円から購入できる。諸費用を考えても6万円台後半で買えることを考えれば、スペックを踏まえてもかなりお得な商品であることに変わりはない。
Redmi K50 ProではDimensity 9000を採用することで、価格を抑えながらも高解像度な画面、高性能なカメラ、独自のICチップを採用したスマートフォンに仕上がっている。旧モデルのSnapdragon 888を採用するよりも高性能で、アピールポイントも多く、価格を抑えられているのであれば良い選択肢のはずだ。
一方で中国でも3000元クラスでSnapdragon 8 Gen 1端末が買えること、日本でもPOCO F4 GTと言ったラインのスマホが7万円台で購入できることを考えると、やはり価格的なメリットは薄いように感じる。
それでもDimensity 9000や8000のようなSnapdragonのハイエンドと真っ向に勝負できるSoCの登場。それを搭載したスマートフォンの存在は、市場においても大きな刺激を与えるはずだ。今後はアッパーミドルと言われるラインのスマートフォンも、1年落ちのハイエンドスマホ程度の性能に底上げされていくことになる。Redmi K50やK50 Proの存在はこの流れの口火を切ったスマートフォンとして評価したい。アッパーミドルの高性能化、Redmiシリーズの展開も含めて目が離せない。