どうもこんにちは。買わないとか言いつつ。結局買ってしまったGoogle Pixel 7 Proのレビューといきましょう。
- Googleが本気で作ったスマートフォン。その第2世代がPixel 7
- 望遠性能がより進化。他社スマホもびっくりの大幅強化されたPixel 7 Pro
- 独自SoCはTensor G2に進化。さらに強力な処理も可能に
- Pixel 7 Proは撮影体験を次のステップに引き上げるスマートフォン
- カメラよし!スペック良し!サポート良し!お買い得なPixel 7 Pro
Googleが本気で作ったスマートフォン。その第2世代がPixel 7
昨年発売のPixel 6シリーズはスペックも強化されたことで、ハイエンドと呼べるスマートフォンになっていた。auやソフトバンクでの取り扱いもあり、市場でもかなり話題となったスマートフォンだ。直近では廉価モデルにあたるPixel 6aが売れ筋上位に食い込むなど、再び日本でも注目されている。筆者も昨年Pixel 6 Proを購入してレビューしている。
そんなPixelであるが、ついに後継機にあたるPixel 7シリーズが現れた。日本市場では円安という逆風ながらも、価格面にかなり力を入れての販売となった。
今回筆者はPixel 7 Proをチョイス。望遠カメラを備える上位モデルだ。スペックは以下のようになる。
SoC:Google Tensor G2
メモリ:12GB
ストレージ:128/256/512GB
画面:6.7インチ WQHD+ OLED
LTPO技術を用いた可変リフレッシュレート
カメラ
メイン:5000万画素 f1.85
超広角:1200万画素 f2.2
望遠:4800万画素 f3.5 5倍望遠
フロントカメラ 1080万画素
バッテリー:5050mAh
カラー
Snow/Hazel/Obsidian
基本的にPixel 7シリーズは純粋なPixel 6シリーズの後継機に当たる。機能が抑えられていることはなく、順当に進化したものと考えられる。
特徴として後述する強化されたカメラ性能が挙げられる。Tensor G2という独自チップを使ったGoogleにしかできないAI 処理をはじめ、まさに本気で作ったスマートフォンというものをを感じる。
今回も標準モデルに当たるPixel 7と上位モデルに当たるPixel 7 Proの2種類が展開される。これらの違いは基本的にメモリ搭載量、カメラ構成、画面性能、端末サイズとなる。
上位モデルのPixel 7 Pro においては、画面にエッジを備えるものを採用。LTPO技術を用いた可変リフレッシュレートの有機EL ディスプレイとなっている。エッジのカーブはPixel 6 Proよりも抑えられており、現行のトレンドに沿った形だ。
Pixel 7 Proでは 6.7インチの大画面となっており、持った時のサイズはGalaxy S22 Ultraなどに近い。
望遠性能がより進化。他社スマホもびっくりの大幅強化されたPixel 7 Pro
今回も引き続き印象深い点はカメラ性能だ。筆者も近年のスマホを買うならまずはカメラ性能からというくらいには注視している。
Pixel 6 Proでスペック的に他社のハイエンドとも大差なくなったが、Pixel 7 Proにおいてはハードウェア的な進化は少ない。Galaxy S21→S22になったときの感想に近いものだ。
Pixel 7 ProはPixel 6 Pro同様の3眼構成となるが、レンズ構成など一部変更されている。
その一方、画像処理に関してはPixel 6世代から更に磨きをかけてきた。Pixel 6 Proではやや青が強めに映るような印象があったが、Pixel 7 Proでは改善されている。
何枚か撮ってみたが、AI処理が入るので必ずしも「見たまま」には映らないが、非常にきれいに撮影できる。もともとPixelは高度なAI処理を得意とすることもあり、Pixel 6aなどの安価な機種でもそこそこ写ることで知られている。
Pixel 7 Proではハイエンドスマホでも採用される大型センサーを採用しているため、ハードウェアの基本性能の高さも関係しているようだ。
Pixel 7 Proでは超広角カメラの画角が13mm相当と、前作のPixel 6 Proに比べて広角端が広くなっている。これによって撮影できる幅が広がることはありがたい限りだ。
Pixel 7 Proでは光学5倍相当のペリスコープ望遠レンズを搭載。Pixel 6 Proよりもレンジの長い最大30倍望遠まで可能になった。
画像はそれぞれ1倍、5倍望遠、10倍望遠、30倍望遠となる。Pixel 7 Proの最大倍率は30倍までだが、この30倍がある程度使える画質なのはさすがと言える。ここまで綺麗に撮影できる機種は市場に出ているものを数えてもかなり少数だ。
ズーム性能が高いだけでも今までのスマホとはまた違った写真が撮れる。比較的高い知名度をもつPixelでこのような商品が展開されることは嬉しい限りだ。AI補正もかなり効くので、通常の望遠のみならず、テレマクロ撮影などにも利用できる。
夜景モードもしっかりと備えている。三脚検知で自動的に切り替わる星空撮影モードもあるので、興味があるようなら使ってみるのもよいだろう。
Pixel 7 Proでは8倍までの倍率であれば、星空撮影モードに切り替わる。工場、夜景などやや暗がりの場所でもしっかりディティールを捉えることができるようになっている。
Pixel 7 Pro 夜景モード。
— はやぽん (@Hayaponlog) 2022年10月15日
ズームテストも兼ねてあえて遠くから工場夜景を撮ったけど、こりゃすごいや。
ここまでのクオリティを編集無しで出せるスマホは他に知らないよ。すごい
1枚目 2倍望遠
2枚目 5倍望遠
3枚目 9倍望遠
4枚目 20倍望遠 pic.twitter.com/BsKHdqrumI
独自SoCはTensor G2に進化。さらに強力な処理も可能に
今回も引き続きTensor G2プロセッサにはGoogleの意向が強く反映されたものになる。プロセッサのコア構成は以下のようになる。
Cortex-X1コア×2
Cortex-A78コア×2
Cortex-A55コア×4
Tensor G2は近年のハイエンド向けプロセッサでよく見かける3クラスター構成となっている。初代Tensor同様にプライムコアが2つ積まれている点が特徴だ。
実のところ、コアの構成的にはTensorと大きく変わらない。高効率コアがCortex A76からA78へとバージョンアップし、動作周波数が若干向上した以外に大きな差はない。
GPUはARM Mali G710を採用。前作のMali G78から世代がひとつ新しいものになっている。MediaTek Dimensity 9000などと同じものが搭載されているが、実行ユニット数については非公表だ。
既に出てるベンチマークでは、Snapdragon 888より少し下程度の結果が出ている。これはGoogleとしても「アンビエントコンピューティングに力を入れているため」としている。
これは、単なるベンチマークスコアだけではなく、写真撮影の体験をより良いものにしたり、動画視聴やウェブ閲覧時の快適な動作やバッテリー消費を抑えるといった、日常的な動作を快適にするものを指している。
ベンチマークアプリのスコアだけでは数値化できない体験も、より良いものにしていく考え方だ。
実際にいくつかゲームをプレイしてみたが、そんなに過度な発熱もなく普通にプレイできたのが印象的だった。
Google Pixel 7 Pro ミリシタ
— はやぽん (@Hayaponlog) 2022年10月16日
難易度MM タイミング -2 3D高画質
デフォルトで高画質になったため、最適化済み。同じ系統のGPUを積むDimensity 9000はこうはいかなかった。
Pixel 6の時のようなことはなさそうな印象だ。 pic.twitter.com/FVOHU1iMxG
このTensor G2ではAI処理の高さを売りにしており、恩恵として高精度な文字の書き起こしやリアルタイムで出力される翻訳機能、写真の画像処理エフェクトなどが挙げられている。
Pixel 7では手ぶれした写真を AI補正する機能が新規で搭載されている。これについてもPhotoshopなどに一部実装されているものであるか。 AI処理で簡単にできるという点では、こちらの方が分かりやすさで有意だ。
手ブレしてしまった写真もある程度補正してくれる。正直ここまで補正するのかと思わせてくれるものであり、ところどころ不自然ではあるがぱっと見はそれなりに見える。
Twitter投稿でもかなり大きな反響をいただいた機能であり、綺麗な写真が撮影できることはもちろん、綺麗に残せることにも関心が高いものだ。
ぼく「飛行機撮れたはいいけど手ブレしたか。Pixel 7で補正するか」
— はやぽん (@Hayaponlog) 2022年10月29日
Pixel[クルクルクルクル🌀チン!]
ぼく「わーお」 pic.twitter.com/aX847OqKCC
ぼく「さすがのPixelでもここまでブレてたら補正できないだろう。」
— はやぽん (@Hayaponlog) 2022年10月29日
Pixel[クルクルクルクルクルクルクルクル🌀チン!]
ぼく「えっ…エグくないか」 pic.twitter.com/qFOLHGLCNa
引き続き大きく話題に出してる消しゴムマジック、モーションフォトも非常に面白い機能と言える。Pixelの消しゴムマジックはより直感的にわかりやすく人物検知を行い、簡単に編集できるという点では編集アプリを利用するより分かりやすいものだ。
消しゴムマジックの人物検出精度も向上しているようだ。
モーションフォトを応用すると水の流れを滑らかに表現することもできる。
ここまでTensor G2由来の機能について紹介したが、画面についても120hz のリフレッシュレートに対応し、LTPO制御による可変リフレッシュレートにも対応だ。
今回レビューのPixel 7 Proでは6.7インチの画面サイズとなる。画面解像度もWQHD+となり、色表現についても不足な部分は感じない。
OS には Android 13を採用。ローンチデバイスという特成上、アプリによってはうまく動作しないものもあるが、この辺りは時間が経つに連れて改善されていくものだ。
Android 12以降のAOSP端末では、ネットワークタブで1つに括られているため、 Wi-Fiのオンオフ操作がやりにくくなっている点が惜しいところだ。
独自のセキュリティチップとしてTitan M2チップを備えるなど、セキュリティ面でも力を入れている。特化した物理チップとの事で、備えあれば憂いなしと言ったところだ。
Pixel 7 Proの特筆すべき点として、バッテリー持ちもPixel 6 Proよりかなり良くなっている点だ。体感的にも1.5倍くらいに伸びたのではないかと感じる。これもTensor G2の恩恵といえるだろう。
Pixel 7 Proは撮影体験を次のステップに引き上げるスマートフォン
Pixel 7 Proを使ってスマートフォンにおける写真の撮影体験を、新たな次元へ引き上げようとしている存在と感じた。様々なメーカーがカメラ性能を強化する方向にあるが、撮影後の画像処理、編集タブに力を入れている機種は少数だ。
Pixelの画像補正は時に過剰とも言えるぐらいにやってしまう。時に果たして、それは写真と呼べるのか?という議論にまで発展するようなものだろう。
Pixel 7といえど所詮はスマートフォンだ。カメラと呼ばれるものに比べれば、基本性能も光学性能も劣っている。本当に高画質、高品質な写真を求めるのであれば、専用機にはかなわないのだ。
それではスマートフォンのカメラに求められるものは何か?筆者が感じるところでは、誰でも簡単に綺麗な写真を撮ること、ポケットに入る可搬性の高さに尽きるだろう。
大型のイメージセンサー、高品質なレンズを採用して基礎性能を上げることに注力したもの。手ぶれ補正や可変絞りといったアクチュエーター周りの強化に力を入れたもの。老舗カメラメーカーと手を組み、画像処理のノウハウを存分に取り込んだもの。簡単に綺麗な写真を撮影できることに対して、多くのメーカーが様々なアプローチで消費者に対して訴えかけている。
筆者も様々なスマートフォンを利用してきたが、カメラに関するアプローチや画作りは違えど「誰でも、どんなシチュエーションでも、キレイに撮れる」という方向は同じように感じる。
Pixel 7の場合は比較的基礎性能を上げることを重視しつつ、高度なAI処理によって綺麗な写真を撮影できるようにしている。加えて画像編集についてもフィルターや簡単なエディターのみならず、通行人を削除したり、手ブレしてしまった写真の簡易補正、ポートレートにおける光量補正といった「失敗すらリカバーできる機能」が備わっている。
露出ミスの写真もワンタップである程度補正が可能だ。
ぼく「やべ。露出ミスった。Pixelさん。なんとか頑張って補正して」
— はやぽん (@Hayaponlog) 2022年10月29日
Pixel「おまかせあれ」
Pixel [クルクル🌀ドン!]
ぼく「わーお」 pic.twitter.com/kVyBNPxneU
このような撮影した写真の編集、ミスのリカバーについても基本的にスマートフォンにおける写真のアップロード先はSNSが中心だ。アップロード時に圧縮されることが多いため、若干の不自然な補正についても拡大さえしなければ大丈夫な場面も多い。
それに優秀な編集機能があろうと、直感的で効果が分かりやすいものでなければ誰も使わない。機能そのものが使いやすくなければ、誰も使わないことも多い。
このようなところにもしっかりテコ入れして、ユーザーにアピールしている点が、Pixelにおける撮影体験をより良いものにしてると感じられる部分だ。
先程の写真もワンタップで夕焼け映えする情景に編集できる。わかりやすいワードかつ、目に見えて効果が分かる点は消費者にとっても嬉しいものだ。
Pixelはテレビコマーシャルにおいても、消しゴムマジックといった部分をかなりアピールしている。機能面から消費者に対してアピールし、「この機能が使えるスマホ」での知名度アップを狙っている。 写真を綺麗に撮るだけではなく、失敗した写真も手軽に綺麗にできる。そんな新しい魅力を与えてくれるスマートフォンなだけに、筆者としては非常に高く評価したい部分だ。
カメラよし!スペック良し!サポート良し!お買い得なPixel 7 Pro
最後になるがPixel 7 Proは非常によくまとまったスマートフォンだ。日本市場における価格はPixel 7が8万2500円〜、今回レビューの上位モデルPixel 7 Pro が12万4800円〜と、どちらもスペックや昨今の円安情勢の割にはそこまで高価な設定ではない。iPhone 14 Pro が約15万円〜、キャリア版のGalaxy S22 Ultra、Xperia 1IV、AQUOS R7が軒並み15万円以上の価格設定を考えると、相対的に安価に見えてしまう。
カメラ性能や高度な画像処理以外の分野で強みと呼べる部分は、基本性能の高さとアップデート期間の長さだ。
前述の通りプロセッサはハイエンドクラスのTensor G2を採用し、スペックについての過不足はない。画面性能もPixel 7 Proは120Hzのリフレッシュレートを採用したOLEDパネルを採用するなど、安価だからと言ってこの辺りはしっかりしている。
防水防塵にもしっかり対応し、日本で需要の高いFeliCaにもPixel 6同様に対応する。加えて販路についても、直販以外にauとソフトバンクにて取り扱いがある。どちらのキャリアでも上位モデルを取り扱うなど、キャリアショップで実機を触って検討しやすい環境になっている。
Pixel 7では3年間の OS アップデート、5年間のセキュリティパッチ提供を明言しており、製品寿命だけで言えば5年間は安心して利用できるものになっている。
日本向けには未定であるが、諸外国ではバッテリー交換等の修理サービスを拡充するなど、預金長く安心して利用できるような仕組みを整えている。
それ以外の機能として高度な音声入力。同時翻訳といったところはPixel 6から引き継いでいる。音声入力についてはPixel 6よりもより精度の高い変換、入力が可能だ。認識速度も上がっており、ある程度早口で喋っていても認識してくれる点には好感が持てる。
特に長期のOSサポートと高度なAI 処理については、Google にしかできないスマートフォンという仕上がりだ。筆者も過去に色々なスマートフォンを使ってきているが、PixelはAOSPと呼ばれるかなりシンプルなUI、最新バージョンのOSをいち早く利用できるスマートフォンというイメージがある。
Pixel 7 Proはシンプルな操作系、最速のアップデート配信のみならず、AI機能を全面に押し出してユーザー体験を向上させるGoogleらしいスマートフォンに仕上がっている。
長く愛着を持って使いたいスマートフォン。その1台として検討してみてはいかがだろうか。