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OnePlus 10R(OnePlus Ace)レビュー Dimensity 8100-Max搭載!安価でもしっかり高スペックなスマートフォン

 

 今回はOnePlus 10Rを今更ながら入手する機会があったので、レビューしてみたい。なお、今回レビューの製品は海外セラーで販売されている中国版OnePlus Aceにグローバル版のROMを導入したものになる。予めご了承いただきい。

 

 

新型チップ搭載で高性能となったOnePlus 10R
 

OnePlus 10Rを一言で示すのであれば、とても性能の高いスマートフォンだ。スペックは以下のようになる

 

SoC:MediaTek Dimensity 8100Max
メモリ:8/12GB
ストレージ:128/256GB UFS3.1

 

画面:6.7インチ FHD+解像度
120Hz対応 AMOLEDパネル

 

カメラ
標準:5000万画素 f1.88(SONY IMX766を採用)
超広角:800万画素 f2.2
マクロ:200万画素 f2.4

フロント:1600万画素

 

バッテリー:5000mAh ※150W充電対応モデルは4500mAh

80W/150W充電対応

OS:Android 12 Oxygen OS

 

 OnePlus 10RはOPPO傘下となったOnePlusシリーズから登場したアッパーミドルと呼ぶべきスマートフォンだ。

 

 OnePlusはOPPOから独立し、歩歩高グループの一員としてスマートフォンを展開していたメーカーだ。独自路線とカスタマイズ性の高いOxygen OSがファンからの評価も高く、欧州に限らずアメリカでも販売している数少ない中国メーカーであった。

 昨年6月にOPPO傘下に入ったことも影響し、中国ではOnePlusながらColor OSが採用されるなど、デザインや方向性を含めてガラッと変わってしまったところがある。今回レビューのOnePlus 10RもどこかOPPOのスマートフォンの面影を感じるデザインとなっている。

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 今回は青系となるForest Greenをチョイス。ストライプラインが印象的なものだ。デザインはどことなく近年のOPPO Renoシリーズを感じるものである。もちろん、OnePlusのロゴも入っている。

 

 OnePlus 10Rの特徴としては、今年初頭に発表されたMediaTekのプロセッサであるDimensity 8100-Maxを搭載している点、150Wの急速充電に対応している点だ。

 

安価だけど高性能!Dimensity 8100の高いスペック

 

 OnePlus 10RにはDimensity 8100が搭載されている。8100もMediaTekらしく安価ながらも高性能なプロセッサというポジションになる。ベースの8000と比較すると最大周波数が向上している他、AI性能やISP性能が一部向上しているという。

 同社フラッグシップのDimensity 9000よりもひとつ下のラインではあるが、かなりの高性能だ。

 Dimdnsity 8100はTSMC 5nmプロセスを採用しており、性能的にもSnapdragon 888に引けを取らないものになっているなど注目されている。

 なお、Dimensity 8100はDimensity 5G Open Resource Architectureに対応しており、メーカーからの多少のカスタムが可能になっている。今回はOPPOの意向が反映されたDimensity 8100-MaxがOnePlus 10Rには搭載されている。

 

 OnePlus 10Rを使ってみたが、Dimensity 8100-Maxは従来のMediaTekを感じさせないハイエンドチップと言える仕上がりだ。CPUではARM Cortex A78、A55コアを採用した2クラスター構成となり、GPUではMali G610 MC6を採用している。

 基本性能はSnapdragon 888に並ぶという謳い文句に間違いはなく、ゲームパフォーマンスや動作感を含めてかなり快適なスマートフォンだ。Dimensity 8000系はグローバル向けにも搭載端末が多いことから、コンテンツの最適化も進んでいる点も特筆したい。

 

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ベンチマークスコアもSnapdragon 888に肉筆する。ここまで高性能なものをアッパーミドルにしてしまうとは恐れ入る。

 

 OnePlus 10Rは強力な冷却機構も魅力の1つだ。中国メーカーでよく見るVC(ベイパーチャンバー)の面積は4129.8mm²と大型のものが採用されている。その他の冷却機構も合わせると35000mm²以上の冷却面積となり、ゲームプレイ時に重要となる高い冷却性能をアピールしている。


   

カメラ性能や画面性能もチェック

 

 高性能なチップセットだけではなく、カメラ性能や画面性能などもチェックしていく。

 カメラ性能については5000万画素のメインカメラを中心として、超広角カメラとマクロカメラを備える3眼構成となる。メインカメラは1/1.56型センサーを採用するなど、アッパーミドルと言われるポジションとしては健闘している。光学式手ぶれ補正も備えるなど、使い勝手にも配慮された構成だ。


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カメラは3眼構成となっている。


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何枚か撮ってみたが、比較的マトモに撮れる。特段こだわりや競合他社の重視モデルと比較をしなければ十分といえる。


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フードモードはあるが、ちょっと彩度が甘めな印象を受ける。必要に応じて編集すると良い。


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超広角カメラは性能が落とされていることもあって、他社製品と比べて特筆するような部分はない。むしろ価格帯を考えればもう一声ほしいところだ。


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夜景モードはそこそこ撮れるが、時折色が不自然になることがあった。


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 撮影条件によっては、HDR合成やディテール処理の甘い描写も見られた。これは単純な光学性能だけではなく、Dimensity 8100に備わるISPのチューニングの甘さに起因すると思われる。カメラハードウェアやチップの基本性能が高くても、この辺りでSnapdragon搭載機に差を空けられる点は惜しいと言わざるを得ない。

 

 動画撮影を試したが、OnePlus 10Rはどうも手ぶれ補正が弱いようだ。この点はRedmi K50 Proのほうが優秀であった。

 

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 画面性能についてはFHD+解像度のAMOLEDパネルを採用する。120Hzのリフレッシュレートには対応するが、柔軟な可変リフレッシュレートを可能にするLTPO技術は採用されていない。タッチスキャンレートは720Hzとなっており、対応コンテンツによっては1000Hzにも対応している。パネルの感度は良好だ。


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画面は6.7インチとそこそこ大型だ。エッジ等もなく近年主流のフラットディスプレイとなっている。

 

 また、DimensityのGPUとは別にMEMCチップも搭載されている。対応コンテンツでのフレーム補間などで利用されるなど、快適なゲーミングと消費電力低減を両立している。


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 指紋センサーは画面内に備える。認証位置はやや下ではあるが、指の位置的には触れやすいものとなる。認証速度がやや遅い印象を受けたが、これはDimensity側に起因するものと言われている。

 

 OnePlus 10Rの大きな特徴として150Wの高速充電がある。独自の電源制御を行い、最短15分でフル充電可能という化け物だ。なお、150Wで充電するには200V環境が必須になることから日本では125Wに制限される。

 また、今回レビューのOnePlus 10Rは中国版のOnePlus Aceにいわゆるロム焼きをしたものになる。そのため、中国版ハードであれば150W対応となるものの、ソフトウェアの関係で80W充電のものとなる。それでもかなり高速な部類だ。f:id:hayaponlog:20221126015431j:image

付属のチャージャーは160Wの記載がある。

 

OSはAndroid 12を採用。グローバル向けOnePlusはOxygen OSが引き続き採用される。


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AOSPとは異なるが、基本的な操作系は近いものとなっている。日本のユーザーだとこちらの方が使いやすいと感じる方も多いことだろう。

 

OnePlus 10Rは高いスペックと超高速充電が魅力のスマートフォン
 

 筆者的にはOnePlus 10R自体はDimensity 8100端末として評価するのであれば、Snapdragon 888採用機とも対等に渡り合えるだけの性能を持ったスマートフォンだと思っている。 

 一方でおすすめかと言われると首を縦に振り切れないところがある。OnePlus 10Rの惜しい点として、写真の写りが現行の同等価格製品に比べてやや劣る点がある。この辺りはMediaTekのプロセッサ搭載機では全般的に弱い印象もあるため、何らかの補助がない限りはSnapdragon 888や870を搭載した機種に比べると劣って見える。この辺りは以前レビューしたRedmi K50 Proについても似たような感想であった。

 

 通信周りについても難がある仕様だ。OnePlus 10RではVoLTEが利用できない。海外発売のDimensity搭載端末はVoLTE周りで使いにくいものが多く、取り寄せて使うにも利用しにくいものが大半だ。

 通信速度、接続安定性等を含めてSnapdragonより劣る点でもあり、日本でMediaTek製のSoCを採用しているスマートフォンが少ない理由にもなる。Dimensity 8000採用機は中国に限らず東南アジアやヨーロッパ向けにもある程度数があるものの、Snapdragon採用機種に比べると少数だ。


 改めて価格をチェックすると、OnePlus 10Rは38,999インドルピー(約6万7000円)からの設定となる。中国版にあたるOnePlus Aceに至っては2499元(4万8000円)からの設定となり、スペックを踏まえるとかなりお得な商品であることに変わりはない。

 OnePlus 10RではDimensity 8100-Maxを採用することで、高性能ながら価格を抑えることができている。高解像度な画面、高性能なカメラユニット、150Wの急速充電に独自のICチップを採用したスマートフォンに仕上がっている。

 Snapdragon 870を採用するよりも高性能、かつ新型チップなので電力効率向上といったアピールポイントも多く、価格を抑えられているのであれば良い選択肢のはずだ。

 一方で中国での2500〜3000元ラインは戦国時代と言わんばかりの激戦区だ。直近ではVIVOがDimensty 9000+搭載のiQOO Neo 7が2699元で、XiaomiもSnapdragon 8+ Gen.1搭載のRedmi K50 Ultraを2999元で展開するなど、各社しのぎを削っている。どれもOnePlus Aceからの価格差が1万円に満たない上に高性能であることから、かなり悩ましい選択となっている。

 

 日本市場においては、ここまで高性能で5万円クラスにて販売されているスマートフォンは少ない。強いてあげるならiPhone SE(第3世代)やGoogle Pixel 6aあたりになるが、これについてはSoCを除いてハードウェアスペックがかなり落とされている。

 画面性能、カメラ性能を含めたスペックとなれば、昨年発売のXiaomi 11T Proがセール時価格で5万円台になるなど、近い存在になっているはずだ。

 多くのメーカーが今のアッパーミドルよりもワンランク上となるこのセグメントに商品展開をしていくと、市場に並ぶスマートフォンも変わってくるはずだ。

 

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 今後はこのラインのスマートフォンも、1年落ちのハイエンドスマホ程度の性能に底上げされていくことになる。OnePlus 10Rの存在は「ただ安い」だけではなく、画面性能や急速充電に強みを持って商品展開することで差別化を図っている。

 筆者としても、VoLTE非対応などのつかいにくい点があるので玄人向けとはなるが、安価に高性能なスマートフォンを求めているのであれば、OnePlus 10Rはある程度オススメできるスマートフォンだ。強力な冷却性能、発熱の少ないDimensity 8100-Max、フレーム補間チップの採用もあってゲーミングスマホに近い側面も持ち合わせている。

 

 ハイエンドラインで展開するOnePlusであるが、今後の動向にはOPPOの意向が大きく絡むものとなった。どこまで独自の商品展開ができるのか目が離せない。