今年もカメラ特化スマホが目白押しとなった1年。世間ではiPhone 14シリーズで湧き上がるなか、ひねくれた筆者はこんなスマホを代わりに買いました。
vivo X90 Pro+です。カメラです。そんな機種のファーストインプレと行きましょう。
私のところにもVIVO X90 Pro+が来たぞ〜
— はやぽん (@Hayaponlog) 2022年12月16日
それにしてもカメラデケェなおいw#はぁ〜また買っちゃった pic.twitter.com/97f59CDo8o
- 極限までカメラ性能を強化したvivoのスマートフォン。そのフラグシップがX90 Pro+
- 強力なハードウェア+強烈なソフト補正。現時点で最強クラスのカメラスマホとなったX90 Pro+
- 世界初のSnapdragon 8 Gen 2搭載。強力な冷却機構と全方位に進化したvivo X90 Pro+
- 最後に、妥協のないカメラ性能を求めるならvivo X90 Pro+はマストバイ
極限までカメラ性能を強化したvivoのスマートフォン。そのフラグシップがX90 Pro+
近年のvivo XシリーズというスマートフォンはファーウェイのPシリーズに対抗する「カメラ性能特化スマホ」という位置づけの展開となる。名称に「Pro+」を用いる時点で、ファーウェイのカメラ性能の高いスマホへの対抗意識がうかがえる。特にMicro PTZを搭載したX50 Pro以降はカメラ性能の評価が高く、筆者も昨年にその後継となるX60 Pro+とX70 Pro+を購入している。
vivo X70シリーズでは、上位モデルにドイツの光学機器メーカーZEISSのレンズとコーティングが使用されている。初の独自補助チップとなる「VIVO V1」を搭載するなど、マニアの間でも評価の高いスマホだ。
そんな最強スペックのX90 Pro+のスペックは以下のようになる。
SoC:Qualcomm Snapdragon 8 Gen 2
メモリ:12GBストレージ:256/512GB
画面:6.78インチ WQHD+解像度
120Hz対応 AMOLEDパネルタッチスキャンレート:最大1200Hz
カメラ
標準:5000万画素 f1.75 1型センサー
超広角:5000万画素 f2.22倍望遠:5000万画素 f1.6
3.5倍望遠:6400万画素 f3.5フロント:3200万画素
vivo V2チップ搭載
バッテリー:4700mAh
80W充電対応、50Wワイヤレス充電10Wリバースチャージ対応
Android 13/Origin OS 3.0
今回は赤系のカラーをチョイス。レザー調の仕上がりで過度な主張はない。前作同様にIP68の防水に対応しており、撮影の幅も普通のカメラに比べてグッと広がる。
とにかくカメラが分厚い。1型センサーが入っているだけはある。
今作もドイツのCarl Zeissとのコラボレーションとなっており、本体には青いロゴが入っている。
強力なハードウェア+強烈なソフト補正。現時点で最強クラスのカメラスマホとなったX90 Pro+
カメラ性能が大幅に強化されたvivoX90 Pro+となるが、そのハードウェアについては以下のようになる。
超広角:5000万画素 f2.2
メイン:5000万画素 f1.75 1型センサー
2倍望遠:5000万画素 f1.6
3.5倍望遠:6400万画素(最大100倍ズーム) f3.5
前作のX80 Proに引き続きZeiss T⋆コーティング、高品質なレンズが採用されている。メインカメラに1型センサーが採用されたこと。一新された独自ISPといえるV2チップの存在が従来機との違いと言えるでしょう。
カメラ部の存在感は圧巻だ。望遠レンズ内のスリットは反射を抑えるものだろうか。他社のものではあまり見られない。ちなみにカメラバンプ(厚み)は実にSIMカード6枚分という厚さだ。そんなX90 Pro+の作例は以下に掲載する。
X90 Pro+で撮影すると、全体的に明暗差のある場所でも白飛びが少なく、HDR 補正がかなり強烈に効いていることが分かる。良し悪しについては読者の好みに任せるが、目が覚めるような写りに仕上がっている点はスマートフォンらしい進化を遂げたものだ。
独自のISPとなるVIVO V2チップを搭載し、これはV1世代から性能が大幅に向上している。これによりプロセッサー標準のものでは難しい処理、時間のかかる処理を補完する形で撮影が可能だ。
フォトスタイル「サイバーパンク」を使用
もちろん、1型センサーを生かしたボケ表現も魅力だ。レンズもf1.75と明るいため、体感的にもかなりボケる印象だ。被写体に応じて後述の2倍望遠カメラと使い分けると良い。
フォトスタイル「サイバーパンク」を使用
2倍望遠は得意とする画角とあって見事だ。同社のXシリーズでは「ポートレート望遠」と呼ばれるこの画角に力を入れている。こちらもf1.6の明るいレンズを採用し、デジタルズームではなく専用のカメラを使うことで、かなりきれいに撮れるようになっている。X90 Pro +ではこの画角にも光学式手ブレ補正も備えており、抜かりのない仕上がりだ。
また、X90シリーズにはフードモードも備わっている。こちらはデフォルトが2倍望遠となっており、メインカメラの1型センサーを使うことで起こる「過度なボケ」を抑えている。一応メインカメラでも撮影は可能だ。
フォトスタイル「サイバーパンク」を使用
望遠カメラが3.5倍望遠となった点は大きく評価したい。従来の5倍望遠に比べて大型のセンサーを搭載したことで、画質は大きく向上している。特に夜景でも比較的綺麗な望遠撮影が可能な点はありがたい。
場合によっては強烈な補正も入るが、Galaxy S22 Ultraなどのように過剰には入らない印象だ。他の機種に比べて少々手振れしやすい点が気になったところだ。
1倍(標準カメラ)
3.5倍(望遠カメラ)
スマートフォンの望遠カメラながら、高い解像感を持っていることが分かる。夜間撮影でこれだけ撮れるとは驚きだ。
望遠カメラ(3.5倍)
望遠カメラ(10倍ズーム)
望遠カメラ(20倍ズーム)
デジタルズームの補正に関しては得意不得意があるように感じた。このようなディテールがはっきりしているものについては得意なように感じる。10倍クラスまでは十分実用できるクオリティだ。
フォトスタイル「サイバーパンク」を使用
X90 Pro+は超広角カメラでも綺麗に撮影できる。Micro PTZ等の光学式手ぶれ補正機構は無くなってしまったものの、電子式の手ぶれ補正は対応している。
精度自体は従来機に引けをとらないくらい優秀ではあるが、手ぶれ補正がない関係で静止画では少々撮りにくくなってしまった。動画撮影に関しては「Pro手ぶれ補正」機能は引き続き使えるので、前機種のユーザーとしても嬉しいところだ。
Xperiaのような感覚で撮影できる「ZEISSナチュラルカラー」も引き続き搭載されている。こちらの処理は中華メーカーに多い派手目で明るいものではなく、ナチュラルカラーというだけあって見た色に近い処理となっている。
このZEISSナチュラルカラーとAIオートの併用はできないものとなっているため、実質的にオートモードがふたつあると思ってもらって良い。
vivo V2チップの真価を発揮するのは夜間撮影、明暗差のある場所での撮影だ。これらの写真は夜景モードにて撮影しており、自然なホワイトバランス処理の優秀さ、白飛びしないようにマルチフレーム合成されていることがわかる。
vivo X90 Pro+では長時間露光を生かした撮影モードが充実している。フォトスタイルを変えるだけで簡単に光の軌跡を描いたりできるので、使い勝手によっては面白いだろう。
他にも被写界深度合成機能や星空撮影モードなど特徴的な機能をいくつも備える。詳細な使用感はSNS等で追って更新したい。
動画撮影性能も強化。Pro手振れ補正と水平線補正モードに続き、Dolby VISIONモードがある。V2チップの強烈なリアルタイム補正で4K30fpsまでは夜間でもHDR補正が入ったまま撮影が可能だ。
動画撮影においてもフィルターが豊富な上に、手振れ補正も強力なため、撮影がへたくそな筆者でも簡単に撮影できた。
前にVIVO X90 Pro+で撮った動画。もう少しブラッシュアップしてみました。
— はやぽん (@Hayaponlog) 2022年12月20日
スマホだけでこれが撮れるなんていい時代ですよね。 pic.twitter.com/RbCKIbiVrs
世界初のSnapdragon 8 Gen 2搭載。強力な冷却機構と全方位に進化したvivo X90 Pro+
核となるプロセッサーにはQualcomm Snapdragon 8 Gen 2を搭載。2023年における標準とも言えるハイエンドチップセットを世界初搭載しており、実質的なローンチデバイスとなっている。従来ののSnapdragon 8 Gen 1に比べてCPU/GPU性能、AI処理性能が向上している。
世界初搭載のSnapdragon 8 Gen 2
加えてISP性能をはじめとした画像処理部分の性能も向上しており、X90 Pro+で採用されるソニー製の1型センサーは、このプロセッサ向けに大幅な最適化が図られている。
メモリについては、12GBと必要十分ながらも最大で8GBの仮想メモリにも対応している。ストレージの最低容量が256GBとなっており、写真を撮るのが売りのスマートフォンなだけにありがたいものだ。
高性能なゆえに発熱が気になるところだが、X90 Pro+では冷却機構が改善され、8900㎡の面積をもつVC(ベイパーチャンバー)が採用されている。これは並みのハイエンド機の倍近い面積であり、このおかげもあって「本体やフレームが極度に熱くなる」ということは少なくなっている。発熱しても本体の背面がジワジワと暖かくなる程度だ。
vivo V2チップにはISP性能以外にも、ディスプレイ制御のMEMCチップの機能も備えるなど、よりSoCに近い存在となっている。動画視聴やゲームプレイなどでは恩恵を得られるはずだ。
実際にX90 Pro+でゲームをいくつか遊んでみたが、性能が高いこともあって動作には全く困ることはなかった。ただ、多くのコンテンツで最適化は進んでおらず、最大限の性能を発揮できない辺りが現時点でのネックといえる。
ミリシタ UNION!! 39人ライブ
— はやぽん (@Hayaponlog) 2022年12月19日
3D高画質 アナザーシェーダー:高
難易度MM ノーツスピー:195 タイミング:-2
VIVO X90 Pro+(Snapdragon 8 Gen.2 12GB)
手っ取り早く1番重たいものを動かしたけど、フレーム落ちすることなく動作。最適化はまだだが、現時点でも問題なく遊ぶことができる。 pic.twitter.com/Cw0GDOKx2R
画面は前モデルから少し大きくなった6.78インチに。画面解像度はWQHD+となり、ハイエンドスマホらしいものになっている。本機種はエッジディスプレイを採用しているので持ちやすいとはいえ、大きさ的にはGalaxy S22 Ultraクラスとなる。持ちやすさの点での評価は割れるだろう。
今回はサムスンのE6 AMOLEDと呼ばれるものを採用している。10億色の色表現、120Hzの高フレームレート対応と言ったところもしっかり押さえた高品質なものだ。LTPO技術も盛り込まれており、AQUOS R6のような1~120Hzまでフレキシブルにリフレッシュレートを変化させることも可能だ。
また、X90 Pro+ではステレオスピーカーを採用。Hi-Fi Audioをうたっており、従来のXシリーズと比較してかなり音はよくなった印象だ。
指紋センサーにはQualcomm Sonic Maxに対応するものが採用されている。日本ではAQUOS R7で採用されており、認証エリアの広さと精度の高さ、2本指での認証が可能なものだ。世界的に見てもライセンスの関係で採用機が少ないものになっている。
UIはOrigin OS 3.0を採用。Android 13ベースとなっているが、どこかライブタイルを並べたWindows Phoneのようにも思えてくる。
最後に、妥協のないカメラ性能を求めるならvivo X90 Pro+はマストバイ
vivo X90 Pro+のカメラ性能は、スマートフォンの中では現時点でひとつ飛びぬけたものを持っていてる。これを可能にした背景には、1型センサーや高品質なレンズなどを採用した基本性能の高いカメラハードウェア、卓越したソフトウェア処理が挙げられる。
その中でも、夜景モードの多様さ、ZEISSナチュラルカラーの採用は大きい。前者は夜景お化けのファーウェイなどとも差別化でき、後者は彩度高めの中華スマホチューニングとも異なる絵が出せる点で差別化されている。
V2チップを用いた高度なコンピューテショナル・フォトグラフィー。これを駆使した目が覚めるような美しい撮影体験はX90シリーズの特徴だ。動画撮影時の手振れ補正の優秀さをはじめ、オートでもマニュアルでも遊び要素のあるとても良いスマートフォンだ。
もちろん、ライカコラボのAQUOS R7やXiaomi12S Ultra。Huawei Mate 50の可変絞りやHONOR Magic 4 Ulitimateのスペクトル合成、Pixel 7 Proの強烈なAI補正など面白いアプローチのものも多く出た2022年。そんなカメラスマホイヤーの最後の最後をX90 Pro+に持っていかれた感が強い。
そんなX90 Pro+は基本スペックも妥協なきハイエンドとなる。世界初搭載のSnapdragon 8 Gen 2に画面もE6 AMOLED採用で隙が無く、ステレオスピーカーに防水機能もしっかり備える妥協のないハイエンドスマホだ。
どちらかといえば2022年のハイエンドと言うより、2023年のハイエンドと言える構成なので、別格なのは納得できる次第だ。
それでいてお値段は6499元(約12万円)~という価格設定も魅力的だ。日本への直輸入ならざっくり14万円ほどとなる。スペックを考えればそこまで高価なものではない。
vivoとしてはかつてのフラッグシップになるNEXシリーズに近い価格設定で、Huawei Mateシリーズをはじめとした他社のプレミアムラインと近いものになっている。それでも、ここまでカメラに特化したものはそうないはずだ。X90 Pro+では日本でもVoLTEが利用できるようになっているなど、従来に比べて確実に利用しやすくなっている点は好感が持てる。
惜しい点としては従来まで備えていた超広角カメラのMicro PTZと呼ばれる首振り機構が廃されたこと、構造の関係からかカメラ部が結露しやすい点だ。Micro PTZは筐体スペースの関係もあるのだろうが、光学式の強烈な手ぶれ補正は特徴のひとつだっただけに次回作で復活を希望したい。
それと結露は気になった。筆者は雪国在住なので12月は屋内との寒暖差が大きい時期となる。適切に管理した方が良さそうだ。
さっそく気になったこと
— はやぽん (@Hayaponlog) 2022年12月17日
VIVOちゃん寒冷地もしかしてダメな子…
(ドラレコとして使った後にマイナス3度くらいの外で撮影したらレンズ結露したぞ)
※放置してれば元に戻ります pic.twitter.com/rozWe2EzYo
それでは、vivo X90 Pro+のファーストインプレッションでした。記事内で話題に出した機種は以下でレビューしています。