あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
今回は、小さいスマホが欲しいと思いながらひょんなことから手に入れたXiaomi 12のレビューとなる。昨年の宿題とも言う。
Xiaomi 12はコンパクトなハイエンドスマートフォン
Xiaomi 12のスペックを簡単にまとめると以下のようになる。
SoC Snapdragon 8 Gen 1
メモリ 8GB LPDDR5
ストレージ 128/256GB UFS 3.1
画面サイズ 6.28インチ
FHD+ AMOLED 120Hz対応
カメラ
5000万画素(標準)
1300万画素(超広角)
500万画素(マクロ)3200万画素(フロントカメラ)
バッテリー 4500mA/h
67W充電、ワイヤレス50W充電
Xiaomi 12は6.28インチの画面を採用するスマートフォンだ。もともとこのラインはサムスンのGalaxy Sシリーズが王道を占めるようなものだった。
主に iPhoneの標準的なサイズでiPhone 14などといったスマートフォンにぶつける存在であったが、中国メーカー各社は自国の需要を満たせることもあって、比較的画面サイズの大きいスマートフォンを多く展開していた。
2021年発売のXiaomi Mi11は6.81インチと大型のディスプレイを採用していた。Zenfone 7 Pro(左)と比較しても大型だ
そんなXiaomi がグローバル展開を視野に入れて、Galaxy S22などと真っ向勝負するために展開したスマートフォンがXiaomi 12だ。筆者も上位モデルにあたるXiaomi 12 Proをレビューしており、マット加工のガラスといったデザイン的な部分は同じとなる。
Xiaomi 12ではSnapdragon 8 Gen.1を搭載しているだけあって動作は快適だ。本体が小さいため冷却機構では上位機種に比べて不利だが、日常的に利用するコンテンツにおいてはおおむね問題ないように感じた。
高負荷な原神も問題なく動作するが、発熱もあってか連続稼働時間はやや短いように感じる。最高画質やフレームレートを重視した設定でプレイされる方は調整が必要だ。
コンパクトだけど、カメラ性能はかなり良い
このようなコンパクトな。スマートフォンはハードウェア的にも削られがちだが、Xiaomi 12では上位機種ほどではないにしても力を入れている。
Xiaomi 12は5000万画素のメインカメラを備えている。iPhone 14などと比べてもズーム時の画質は有利だ。
近年のXiaomiのスマートフォンはカメラ性能が高いことでも知られており、Xiaomi 12でもハイエンドらしくきれいに撮影できる。ライカとのコラボレーションの前の機種となるが、このクオリティであれば満足できる人も多いはずだ。
夜景モードを備えるため、きれいに撮影できる。
料理についてはAIがやや強めの補正をかける場面が見られた。
Xiaomi 12は本体スピーカーの音が良い
iPhone 14やGalaxy S22と比較しても真っ先に思い立った点はスピーカー性能だ。春先にXiaomi 12 Proを使った時も思ったが、ここ数年のXiaomiのスマートフォンはかなり本体スピーカーのサウンドに力を入れている。
正直、Galaxy S22のスピーカーは微妙と言わざるを得ない。最上位のS22 Ultraですら、近年の力を入れている中国メーカーの機種たちに比べると劣ってしまうのだ。実際、Galaxy S22とXiaomi 12の両者を聞き比べたところ、筆者としてはXiaomi 12のほうが好みであった。
安価でもharman/kardonチューニングのスピーカーを採用するなど力を入れている。独立グリルなこともあって、このサイズ感ながら非常に優れたサウンドとなっている。
圧倒的なバランスの良さを持つスマホ
Xiaomi のスマートフォンと聞いて癖が強いとか使いにくいというイメージを持つ方も少なくないはずだ。確かに数年前の機種はカメラ構成やUI の癖などが強く、防水等にも非対応なことから初心者にはなかなか進めにくい機種も多かった。
近年では日本でもXiaomiのスマートフォンが販売されているため、多少なり調べたら答えは見つかる環境にはなる。それでもGalaxyやXperiaに比べると少ない点は否めない。
一方で筆者が感じたXiaomi 12の感想は「無難」と言えるものだ。正直Xiaomi がこういうスマートフォンを作ってこれる点についてはすごく評価している。
高スペックなプロセッサはもちろん画面の品質も向上し、UIのクセもかなり抑えられた。近年のトレンドである防水といったところもしっかり備えている。まさにグローバルスタンダードと言えるハイエンド端末だ。
中国の新規メーカーという立ち位置もあり、サムスンに勝つためには価格の安さとちょっと差別化された個性的な機能と言ったところがXiaomi の特徴であったが、もうそのようなイメージは古いものだ。
ここ数年でしっかりXiaomiとしてブランディングを行い、カメラやUIも使いやすくブラッシュアップさせる方向に進化させた点は興味深いものだ。
グローバルでのXiaomi 12の価格は749ドル(発表当時約9万円)と決して安いものではない。
もっとも安価なスマートフォンはRedmiやPOCOなどにバトンタッチしており、Xiaomi ブランドとしては良いものを適切な価値で販売する方向にシフトしたのだと感じる。
Xiaomi 12をあえて選ぶのはアリなのか
さて、今回のまとめにはなるが、世界的に見るとiPhone と同等のサイズでハイエンドのAndroid端末と呼べるものは以外にも少ない。グローバル展開だとGalaxy S22が強く、Xperia 5IVやZenfone 9もあるが諸外国ではあまり注目されていないのが実情だ。そのため、Xiaomi 12は欧州や東南アジアでも一定の売れ行きを示しているという。
中国ではカメラがライカチューニングとなり、一部スペックがアップデートされたXiaomi 12Sが販売されている。
日本はコンパクトなスマートフォンが受け入れられる市場ではあるが、iPhoneがかなり強い市場だ。Android端末ではGalaxy S22はもとい、全キャリア販売のXperia 5IVやオープンマーケットで注目を集めるZenFone 9の存在はかなり大きい。また、わかりやすい機能で人気を集めるGoogle Pixel 7の存在も無視できないものになっている。
Xiaomi 12はGalaxy S22やXperia 5IVと比較しても強化しているカメラ性能や、67Wの急速充電、個性的なカラーリングや本体の質感もあって"あえて選ぶ"要素はある。もともとGalaxy S22にぶつけるだけあって、端末の完成度は非常に高いものだ。
もちろんXiaomi 12にも先ほどを述べたような利点はあるものの、パフォーマンスでは発熱対策に力を入れたZenfone 9があり、カメラではPixel 7、オーディオ面ではXperia 5IVが強力なライバルとなる。 後者2つは価格面でもキャリアの優遇施策などによって戦略的なものとなる。今あえて輸入してまで使うかと言われると少々厳しいところもある。
後継のXiaomi 13も発売されたことで販路によっては安価に手に入るようだ。人と違うちょっと変わったスマートフォンが欲しい方は、検討してみてはいかがだろうか。