新年早々スマホを買ってしまいました。海の向こうからやってきた、もうひとつの1型センサー搭載ハイエンドスマホ。Xiaomi 13 Proのレビューといきましょう。
- ライカとXiaomiがタッグを組んだ!1型センサー搭載スマホ第2弾
- カメラは安定のライカクオリティ!寄れる望遠カメラがすごい
- カメラだけじゃない。全方位でまとめてきたフラッグシップスマホがXiaomi 13 Pro
- 素晴らしいクオリティのXiaomi 13 Pro。写真を撮るのが楽しくなる
ライカとXiaomiがタッグを組んだ!1型センサー搭載スマホ第2弾
昨年、業界に衝撃を与えたXiaomiとライカのコラボレーション。その中でもXiaomi 12S Ultraは1型の大型センサーを採用して話題となった。
Xiaomiもファーウェイなどと同じくカメラ性能を重視することになり、Xiaomi 12S Ultraは「Xiaomiのブランディング」の今後の行方を占う端末となった。そんなXiaomiから早くもライカコラボレーションの第2弾とも言える新型、Xiaomi 13シリーズが発売された。
箱にもライカのロゴが入っていますね〜
本体はセラミックまたはレザー調のデザインとなっており、カラーリングによって仕上げや重量が異なる。
Xiaomi 13 ProはメインカメラにXiaomi 12S Ultraと同じソニーの5000万画素のセンサーとなるIMX989を採用。センサーサイズは1型となり、大きさだけなら市場にあるスマホでは最大のものもなる。
大型カメラの存在感というか厚みがすごい。セラミックの質感はどちらかと言うと、過去のHuawei Pシリーズの上位モデルを意識させる質感だ。
セラミックボディのP40 Pro+と比較すると姉妹機のようだ。
加えてXiaomi 13シリーズのカメラチューニングは、引き続き独ライカカメラ社が監修している。スマホメーカーとの共同チューニングではHuaweiとシャープに続く形となる。
ライカのロゴにそそられる
センサーが1型と巨大ではあるが、AQUOS R7のような単眼にはなっていない。画角的には超広角と75mm相当の望遠カメラを備えている。
カメラは安定のライカクオリティ!寄れる望遠カメラがすごい
売りとしているカメラは3眼構成。35㎜換算で12㎜の超広角、23mmの標準、75mmの望遠となる。レンズ自体はライカの「ズミクロン」を冠するものとなり、Xiaomiらしく8枚レンズに加えコーティングが一新されるなど従来より大きく改善されている。
ズームレンズとなるため「VARIO-SUMMICRON」の表記が見られる
Xiaomi 13 Proでの作例は以下のようになる。Xiaomi 13 Proではデフォルトのクォーターマークに画角が表示されるのでそちらを参考にしてほしい。
Xiaomi 13 Proではライカを冠するファーウェイのスマホに近い質感の絵が出る印象だ。デフォルトで若干彩度が高めだった12S Ultraに比べてやや抑えられたように感じる。
同じ風景をXiaomi 13 ProとXiaomi 12S Ultraで撮影してみた。設定は全く同じなのだが、Xiaomi 13 Proの方がより見た目に近い感覚で撮影できる。
どちらかと言うと、かつてのファーウェイのスマートフォンにも近いチューニングだ。Huawei P20 ProやMate 20 Proなどを愛用している方なら、 近い感覚で利用できると考えてよい。
Xiaomi 13 Proの夜景モードは強力だ。どちらかと言うと黒をハッキリ出すチューニングとなっており、メリハリのある作例となる。
Xiaomi 13 Proでは「AIカメラ」という部分に加えて「LEICA AUTHENTIC」と「LEICA VIBRANT」という大きな枠がある。これらにHDRのオンオフと4種類のライカフィルターを組み合わせることで、ファーウェイやシャープのライカを冠したスマートフォンに近い色を出すこともできる。
AIカメラ:オン、LEICA AUTENTIC、LEICA NATフィルターにて撮影。Huawei端末の色に近い印象だ
組み合わせだけで言えば、モノクロを含めてプリセットで32通りのライカ監修パターンが出てくるものになる。凄いといえばすごいのだが、ユーザーにとって分かりやすいかと言われると少々複雑にも感じる次第だ。
このようなモノクロ写真も撮影できる。フレームはプリセットであり、数パターンから後付けも可能だ
センサーが1型と大型なこともあり、良くも悪くもボケがスマホとしては強めとなる。加えて、最短撮影距離はどうしても長めになるのでAQUOS R7やXperia Pro-I同様にメインカメラでは「寄れない」印象は否めない。一方でレンズのフレアは前作からやや改善されているので、このあたりは使い勝手も向上している。
そしてXiaomi 13 Pro最大の特徴が75mm相当の望遠カメラだ。レンズのf値が2.0と明るいことに加え、最短撮影距離が10cmとこちらはかなり寄れるため、テレマクロ撮影が簡単に可能だ。
従来のスマートフォンではイメージセンサーの大型化に伴って最短撮影距離が伸びてしまい、マクロ撮影やクローズアップする作例はかえって難しいものになっていた。超広角マクロ機能を備える機種も増えてきているが、撮影しにくいことも多く必ずしも使い勝手が良いものではなかった。
望遠カメラながら被写体に寄れることから、よりクローズアップしての撮影が簡単に可能だ。また、望遠カメラは5000万画素のものを採用するため、5〜6倍でも綺麗に撮影ができる。
モノ撮りも簡単にできる。寄れることに加えて、歪みが少ない点もありがたい。
光学特性的に玉ボケも大きく出る。従来のスマートフォンでは難しかった表現も可能だ。
Xiaomi 13 Proは扱いやすい望遠レンズを備えることで、今までのスマートフォンよりも手軽にクローズアップフォトやテレマクロ撮影を可能にした。そのようなところに力を入れることで、同じくカメラ性能をアピールしているvivo X90 Proと明確に差別化を図っていることがわかる。
カメラ性能の評価が高いvivo X90 Pro+と直接被らない構成なので、使い分けも可能だ。
カメラだけじゃない。全方位でまとめてきたフラッグシップスマホがXiaomi 13 Pro
Xiaomi 13 Proに関しては1型の大型センサー搭載のカメラやテレマクロ性能に注目が行きがちだが、画面性能なども大きく評価したい。ざっとスペックを書くとこんなところだ
SoC:Qualcomm Snapdragon 8 Gen 2
メモリ:8/12GB
ストレージ:256/512GB画面:6.73インチ 2K+ Samsung E5 AMOLED
カメラ
リアカメラ標準:5000万画素 f1.9 1型センサー
超広角:5000万画素 f2.2
望遠:5000万画素 f2.0
フロント:3200万画素
バッテリー:4820mA/h
120W充電 無接点充電対応
画面は近年のXiaomiらしくOLEDパネルとなっている。前作のXiaomi 12 Proと比較して、より自然な色が表現できるようになった点は大きく評価したい。前作では初回起動時にやたらと特定の色が強く出たこともあったが、今回はそのようなことは起こっていない。
画面は6.73インチと大型な部類となる。発色もよいE6 AMOLEDパネルを搭載し、画面解像度は2K+と言われるとなる。滑らかにエッジを描くなど画面形状としてはXiaomi 12 Proと大きく変わらない。画面輝度もピーク時1900nitと比較的高く、屋外でも利用しやすいものだ。
画面は緩やかなエッジとなっている。
プロセッサはSnapdragon 8 Gen 2を採用している。先行しているvivo X90 Pro+、iQOO11 Proに次ぐ形での搭載となっている。搭載メモリは8または12GBと必要十分だ。 冷却性能も大容積の冷却機構を搭載しており、プロセッサーとの組み合わせもあってか、長時間のゲームも問題なく遊ぶことができた。
ストレージもUFS4.0規格の高速なものが採用されている。省電力ながら高速の伝送が可能になっており、仮想メモリ等を利用してもパフォーマンスの低下を抑えられていると言う。
Xiaomi 13 Proを使ってみると、ハイエンド機というのもあって動作にストレスは感じない。Snapdragon 8 Gen 2はかなり優秀なチップセットなのか、単純な発熱もかなり抑えられているように感じた。原神のような高負荷なコンテンツを1時間ほどぶっ通しでプレイしても、発熱で「熱い」と感じることは少ない印象だ。
本体スピーカーの音はXiaomi 12S Ultraと同等といった印象だ。harman/ kardonとの提携が解消されたため、独自チューニングのスピーカーだが、筐体の箱鳴りは抑えられているように感じた。音量が出るよりも「高音質での再生」に力を入れているようだ。
高音質なステレオスピーカーは引き続き搭載だ。前作と異なり本体上部に独立グリルは備えていないため、クリア感ではやや劣るように感じた。
加えて、独自の制御チップによる充電制御や120Wの高速充電、50Wのワイヤレス充電と10Wのリバースチャージにも対応している。
Xiaomi 13 Proでは120Wの充電に対応している。いわゆる「神ジューデン」に対応したスマートフォンだ。もちろん、充電器も同梱される。
バッテリー持ちについてもXiaomi 12 Proからは体感的にも大きく向上している。昨年評価の高かったXiaomi 12S Ultraなどと同等かそれ以上の持ちとも言えるものだ。
素晴らしいクオリティのXiaomi 13 Pro。写真を撮るのが楽しくなる
Xiaomi 13 Proのカメラに関しては、Xiaomi 12S Ultraから進化を遂げたものだ。1型センサーはスマートフォン向けのものを採用し、プロセッサの最適化が行われたことで、高度なHDR処理などを可能にしている。
一方でソフトウェア処理が他社に比べて弱いと言われたXiaomi のスマートフォンに対して、ライカが監修することで高いクオリティでの写真撮影が可能になった。元々ハードウェアに関しては、Xiaomi 12S Ultraをはじめ非常に高性能なものを出してきている。弱点と言われたソフトウェアも徐々に改善されており、追って市場の評価も付いてくるはずだ。
やはりグローバル展開するサムスンのGalaxy Sシリーズにぶつける端末なだけあって、完成度そのものは非常に高い。今回はデザインも洗練されていることもあり、他社のプレミアムラインと言われるスマートフォンの中でも存在感を示している。
それでありながら価格は非常にお手頃な端末となっている。Galaxy S23の価格が高騰するのではないかという情報もある中、最小構成で4999CNY(約10万円)と抑えている点も好感が持てる。端末のスペックを考えれば割安感がある。
Xiaomiも高級路線となってはいるが、まだまだ「Galaxyより高スペックで安価」のポジションとなっている。筆者としては安くて高性能な端末が購入できる点は嬉しいことしかないのだが。
Xiaomi 13 Proの価格設定は4999元〜と日本円で10万円台からの設定だ
筆者としては、Xiaomi 13 Proは「撮影体験が楽しいカメラスマホ」と評価したい。簡単にキレイに撮れるカメラはもちろん、「簡単に作品に昇華できる」ところはまさにファーウェイやシャープがライカとコラボしてたどり着いたところ。
この撮影体験の楽しさは Xperiaなどの楽しさとは異なる。Xiaomi 13 Proは写真を撮った瞬間に「来た」と直感的に分かるような挙動をしてくれる。 加えて、テレマクロ性能を重視した望遠カメラは他社のスマートフォンにはない新しいモノだ。べらぼうな望遠性能だけを突き詰めるのではなく、日常的に利用頻度が高い画角で「使い勝手」を向上させる構成は嬉しいものだ。
さて、これからのXiaomiのスマートフォンの展開にも目が離せなくなった。正直使うまではvivoの一強だと思っていただけに、Xiaomi 13 Proのテレマクロ体験には驚かせられた。今回のXiaomi 13シリーズはグローバル展開も予定されているそうだ。ライカのブランドを引っ提げての世界展開はXiaomiのスマートフォンを「カメラ性能が高い」と印象づけられることだ。
これについては先日、Xiaomi JapanのトップになるSteven Wang氏にインタビューした際も「カメラ性能などのイノベーション分野に力を入れ、中国を始めグローバルでも商品展開をしていきたい」とコメントをいただいた。
Xiaomi のスマートフォンは前作の12S Ultraもあって、カメラ性能重視というイメージを消費者に与えることに成功している。
加えて、ライカとコラボレーションしたことによって、Xiaomiにも画像処理のノウハウが少なからず蓄積されているはずだ 。2作目なだけあってしっかりと作り込まれているのがわかる。今後のXiaomiのスマートフォンにも大いに期待したいところだ。
Xiaomiとライカのパートナーシップは今後のスマホ展開にも影響を与えるはずだ
追記、グローバル版も発表され、同社のライカコラボスマホとしては初のワールド展開となった。masterpieceとあるように「最高傑作」として世に放つXiaomi 13シリーズ。多くの人の手に届いて欲しいものだ。
最後になるが、本記事で名前を挙げたスマートフォンについては別途レビューしている。良ければ参考にしてほしい。