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コストパフォーマンスの高いAndroidスマートフォンは、なぜ日本で売れないのか

 基本的な製造原価が上がったことで、スマートフォンの価格高騰が続いている。

 価格高騰の中でコストパフォーマンスの高いスマートフォンが各国では求められているが、どうやが日本ではあまり流行らないらしい。

 

 今回は日本市場において、"コスパハイエンドスマホ"はなぜ流行らないのか?といったところを考えてみる。

 

 

コストパフォーマンスの高いスマートフォン。強みを生かすSIMフリーのオープンマーケット

 

 コストパフォーマンスの高いハイエンドスマートフォンとは何だろうか?諸外国を見ると性能の高いプロセッサ、高性能なカメラを積みながらも価格を安価に抑えたスマートフォンなどが例に挙がる。「性能は高くて価格は安い。」そういったものだ。

 iPhoneのような高嶺の花に対して、そこまで手は届かないが、高いパフォーマンスは欲しいと言ったユーザーにはうってつけのものだ。 


 日本でコストパフォーマンスの高いスマートフォンが強さを見せつけられる場所は、オープンマーケットと呼ばれる市場だ。

 少し前まで「 SIM フリー」や「格安スマホ」と呼ばれていたこの市場では、消費者の中でも維持費や端末価格と言ったところに敏感な層が多い。

 さて、そんな市場ではどんなスマートフォンが売れているのか、直近の大手量販店ランキングを見てみることにする。今回はヨドバシカメラとビックカメラのランキングを掲載している。

ヨドバシカメラ
SIMフリースマートフォン リセールランキング(1月19日集計)

1位 SHARP AQUOS Sense 7
2位 OPPO A77
3位 SONY Xperia 5IV(予約受付)
4位 ASUS ROGPhone 6(16/512GB)
5位 HTC Desire 22 pro
6位 OPPO Reno7 A
7位 BlackShark 4 Pro(7万円台への値引き)
8位 ASUS Zenfone 9(8/128GB)
9位 Xiaomi Redmi Note 11
10位 ASUS Zenfone 9(16/256GB)

※カラーリングでの重複は上位にカウント

 

ビックカメラ
人気SIMフリースマホ売れ筋ランキング(1月12~18日の週間集計)

1位 ASUS Zenfone 9(16/256GB)
2位 ASUS ROGPhone 6(16/256GB)
3位 Xiaomi Redmi Note 11
4位 ASUS Zenfone 9(8/128GB)
5位 Nothing Phone(1) (8/256GB)
6位 BlackShark 5
7位 Motorola edge 30 Pro
8位 SONY Xperia 5III
9位 OPPO Reno5 A
10位SONY Xperia 5II

※カラーリングでの重複は上位にカウント


 これを見るとコストパフォーマンスの高いスマートフォンはもちろん、ゲーミングスマホをはじめとしたややクセのあるスマートフォンが上位にランクインしている。
 この2つは集計方法や期間が異なるので比較はできないが、どちらにもランクインしているASUSのZenfone 9やROG Phone 6は注目すべきものだ。

 どちらもほぼ10万円を超える価格設定となり、オープンマーケットで販売されるスマートフォンとしてはかなり高価なものになる。


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ASUS Zenfone 9はコンパクトな筐体に高性能、防水防塵、おサイフケータイを載せている。まさに日本のコアユーザーにうってつけのスマートフォンだ。

 端末価格が高騰する中でも、最廉価モデルを9万9800円というかなり攻めた値段で出してきたのもポイントだ。
 例年4万円台のスマートフォンが強いこの市場で、10万円を超えるこの機種が平然とランクインするなど存在感を見せつけている。

 

 この中でコストパフォーマンスが高いラインとなると、4万円台で無類の強さを見せるOPPO Reno7 AやReno5 A、2万円台で有機ELパネルを採用するXiaomi Redmi Note 11だ。
 筆者もこれらの機種はレビューしたが、価格の割にはよくできているスマートフォンと感じた。どちらも昨年を通じて話題性も高かった機種だ。

 

 アッパーミドルの6~7万円クラスではMotorola edge 30 ProやBlackShark 5になるだろうか。キャリアでもGoogle Pixel 7の存在もあって注目度の高い価格帯だ。

 この辺りはMVNOの割引と組み合わせると5万円前後で購入できることもあり、意外と売れ筋のラインと言われる。
 直近では、値引きによって若干安価になっているSIMフリーのXperiaシリーズもそのラインに入ってくる。
 諸外国を見てもこの7万円ラインが高性能かつ、価格を抑えたスマートフォンの主力と言える価格帯だ。

 10万円を超えるのが当たり前になるハイエンド端末に対して、この価格帯のスマートフォンを拡充してほしいという声は日本でも聞こえてくる。

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中国市場でもコストパフォーマンスの高さを売りにするRedmi  K60 Pro。3299元(6.2万円)からの価格で今年のフラグシップであるSnapdragon 8 Gen.2を採用するなど、スペックを突きつめながらも安価な商品展開をしている。


キャリアを加えたBCNランキングを見るとiPhone中心にガラッと変わる


 ここまでは、家電量販店の SIM フリースマートフォンのランキングを見てきた。ただ安いだけでなく個性的なスマートフォンも多かった。

 ここからはドコモ、au 、ソフトバンクといった大手キャリアの販売台数も加えたBCNランキングの方を見てみる。

 なお、このランキングは家電量販店やEC サイトのレジ通過データをもとにして集計されているものだ。

BCNランキング スマートフォン(集計期間 1月9~15日)

1位 Apple iPhone 13 128GB(ソフトバンク)
2位 Apple iPhone 13 128GB(au)
3位 Google Pixel 6a(au)
4位 Apple iPhone 13 128GB(ドコモ)
5位 Apple iPhone SE 第3世代 64GB(ソフトバンク)
6位 Apple iPhone SE 第3世代 64GB(au)
7位 Samsung Galaxy A53 5G(ドコモ)
8位 Google Pixel 6a(ソフトバンク)
9位 Apple iPhone SE 第3世代 64GB(ドコモ)
10位 Apple iPhone 14 128GB(ドコモ)

 

 キャリアで販売されるスマートフォンをランキングに加えると、構成はガラッと変わってしまう。見ての通りiPhone が上位を独占し、Android端末ではPixel 6aとGalaxy A53 5Gがなんとか食いついている状態だ。

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iPhone 13は本来10万円を余裕に超えるスマートフォンだが、ダントツで売れている。


 先程挙げたSIMフリースマホのランキングにも名前があった機種としては、シャープのAQUOS Sense 7が29位、OPPO Reno7 Aが34位にランクインしている。一方でZenfone 9などのハイエンドやアッパーミドルのスマートフォンは50位すら入らない圏外となっている。

 

 さて、このキャリアの端末ランキングに並ぶラインナップだが、全て共通点を持っている。パッと見て分かった方はさすがだと思う。

 実はここにランクインしているスマートフォンは、ほぼ全て一括1円で購入できる。もしくは、実質1円で2年間維持可能なスマートフォンになっているのだ。
 主に1円で維持できる iPhone 13と14。一括1円で購入可能なiPhone SE (第3世代)。それに一括1円で購入可能で、性能がそこそこ高いAndroid端末というところだ。ドコモにはPixelがないため、GalaxyのA53 5Gをここに持ってきている。

 

 正直キャリアが売れ筋というより、売りたい端末にはかなり強い値引きをかけることがある。そのため、オープンマーケットに並ぶコストパフォーマンスの高いスマートフォンも太刀打ちできない状態だ。


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1円維持のiPhone 13については以前にまとめたが、これも条件次第では6万円台で購入できるなど、コストパフォーマンスという面ではかなり強いものになる。

ある意味日本における"コスパハイエンドスマホ"は1円で維持できるiPhoneなのかもしれない。

 

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"コスパハイエンドスマホ"が根付かない理由。キャリアの強力な割引とオープンマーケットの市場の規模の小ささが原因か


 さて、各所で紹介されるコストパフォーマンスの高いハイエンドスマートフォンだが、正直端末の売上ランキングは発売初週に食い込めればヨシと言ったところだ。
 毎週末に強力な値引きをかけるキャリアのiPhoneやPixelなどの「コストパフォーマンス」には到底敵わないのだ。

 

 それともう一つの理由がオープンマーケット市場の小ささである。この市場ではMVNO(格安スマホ)の回線契約も盛んだが、その回線契約数は2757万回線となっている。

(出典:総務省 電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表 令和4年度第2四半期)

 一方で日本の携帯電話回線数は、同じ集計で2億515万回線となっており、MVNOのシェアは13.4%となっている。言い返せば残りの人たちはドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルで携帯電話を利用していることになる。 

 

 加えて、携帯電話を購入する場所のアンケート結果をMMD研究所が公表している。2021年のデータだとキャリアショップが54%、家電量販店が12.3%、キャリアやMVNOが運営するオンラインストアが10.8%と続く結果になっている。依然として実店舗の利用が7割近くを占めているのだ。

(出典:MMD研究所 携帯電話端末の利用実態調査 2021年7月時点)

 

 これらの数字をもとに極端な話をすれば、SIMフリーやオープンマーケットという市場は「日本人の9人に1人しか関心のない市場」と表現することもできる。
 これはどんなにコストパフォーマンスが高いスマートフォンを作ったところで、オープンマーケットで販売する限りは良くて半数。

 実際はMVNOの回線契約数の数字に近い15%前後の人にしかリーチしないことになる。

 直近のデータでも携帯電話の購入場所としてキャリアショップを選ぶ方が半数以上おり、家電量販店やオンラインストアを大きく突き放している状態だ。


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コストを徹底的に切り詰めたXiaomi POCO F4 GTはMVNOとの抱き合わせ販売も行わず、メーカーオンラインストアと一部ECサイトのみの販売となった。  
 確かに安価ではあったが、実際にこのスマートフォンがユーザーに届いたのか?と問われるとかなり少ないと思われる。恐らく売上の数字を見るだけでは「知る人ぞ知る」と言った状態だろう。


 正直こんな歪んだ市場であれば、メーカーとしても真っ向勝負でアッパーミドルの機種を投入してくる必要はないわけだ。
 Xiaomi のようにとにかく安くてそこそこ使えるスマートフォンを展開したり、OPPO のようにローカライズして4万円台のスマートフォンを展開するのも商業的には成功している。

 どのみち届く範囲が少ないのであれば、機能面などで差別化し、個性的な端末を展開した方よい。少なくともコアなユーザーには選んでもらえると言ったところだ。


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日本ではASUSは小型ハイエンドスマホと、ゲーミングスマホの二刀流で、オープンマーケットではある程度成功を収めている。

 日本のいびつな市場で10年間、SIMフリーのスマートフォンを販売したノウハウがある意味生きている。今回数字を改めて追ってみて、かなり理にかなった商品展開なんだと改めて感じさせられる。

 

最後に。なぜ日本ではコスパ最強ハイエンドスマホが流行らないのか

 

 最後になるが、このようにキャリアでの販売が強い歪んだ日本市場では、コストパフォーマンスの高いハイエンドスマートフォンはあまりヒットしない。

 確かに値引きされた iPhoneやPixel,Xperia と言った日本でも強いスマートフォンには、他のAndroidスマホがどれだけコスト面を切り詰めて頑張っても越えられない壁がある。これは売上のデータ等で示されてしまっている。


 仮にこのようなスマートフォンを世に放ったとして、人々に受け入れられるかというよりは、最初だけ話題になって数週間で空気になってしまうような印象だ。
 値段だけで勝負したところで、キャリアの割引iPhone に敵うはずもなく、多くはiPhoneほどのブランド力もない。結局のところ「あえて選ぶスマートフォン」といったところになってしまうのだ。


 そして得意の価格で勝負できるオープンマーケットは、スマートフォンユーザーの9人に1人しか注目しない市場である。端末だけで人々の心を鷲掴みにする話題性を持つ機種でないと、展開し続けることは難しい市場である。

 もちろん価格となれば前述の通り、値引きされたiPhoneやPixelの存在はかなり大きく、MVNO主体のオープンマーケットでもこの遠距離射撃は無視できないものだ。移動機販売の自由化も逆風に近い状況だ。


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 筆者としてはPOCO F4 GTのような機種が日本でも「フラグシップキラー」になってくれると思ったのだが、残念ながらランキングを見てもキラーにはれなかった。

 どうやら"コスパハイエンドスマホ"は、日本ではニッチなスマートフォンのようだ。

 

 

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