赤外線通信がTwitterでトレンド入りしているが、かつての携帯電話には「三種の神器」と呼ばれる機能たちがあった。懐かしい響きの機能を今回は振り返ってみる。
- 「ワンセグ」「おサイフ」「赤外線」携帯電話で必須と言われた三つの機能が「三種の神器」
- かつての"三種の神器"を搭載するスマホは激減。理由は時代変化によるサービスの移り変わりか
- 現代にそぐわない携帯電話の"三種の神器"。スマートフォン時代のものを考えてみたくなる
「ワンセグ」「おサイフ」「赤外線」携帯電話で必須と言われた三つの機能が「三種の神器」
ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信
これが日本の携帯電話で「三種の神器」と言われていたものだ。主にガラケーと言われる時代から存在した機能となっている。
これらの機能が利用できない初期のスマートフォンは、「使いにくい」「選ぶに値しない」という評価も少なくなかった
2011年ごろにはこの「三種の神器」を搭載したAndroidスマートフォンも現れた。auでは発表会で「ガラスマ」という言葉を使うなど、既存サービスの使い勝手も兼ね備えた商品としてアピールしていた。
今では市場で強い存在感を持つiPhoneも当初は「おサイフも赤外線も使えないからダメ」という理由で選ばないユーザーも少なくなかった。
"三種の神器"の中でも、"おサイフケータイ"(FeliCa)は今現在もニーズが強く必須とされる機能だ。
公共交通機関の利用はもちろん、当時は今のようなバーコード決済がなく、ある意味当時のキャッシュレス決済と言えばSuiCaや楽天Edyが代表格であった。
『SuiCaならばスイスイお買い物~♪』なんてフレーズも流行ったものだ。
筆者はこのフレーズが10年以上前と聞いてほげええええとなっております。そんなに前なの…
"ワンセグ"は「ワンセグメント部分受信サービス」の略称で、携帯電話で地上デジタル放送を視聴する機能だ。
かつてはモバイル版のサイトは情報量が少ないこと、高速通信ができないことから、ワンセグ視聴も携帯電話を利用した情報収集手段のひとつとなっていた。
SDカードに保存した動画、モバイル版Youtubeなどの動画メディアもあったが、パケットを利用しない点を含めてニーズも大きいものであった。
"赤外線通信"は連絡先交換や画像送信には必須の機能であった。手打ち入力の手間が無く、素早く正確に送れることが便利だった。
また、写真等の送信にも利用されていた。パケットが使用されないため、直接会えるユーザー同士なら、写メールよりも赤外線通信を利用するシーンも多かった。
プリクラではこれらのニーズに応えた赤外線通信を用いた送信機能も備わっていた。
かつての"三種の神器"を搭載するスマホは激減。理由は時代変化によるサービスの移り変わりか
手元のスマートフォンを見ると、「三種の神器」で残ったものはおサイフケータイのみだ。ワンセグと赤外線通信は気が付いたら無くなっていた。
確かに近年のスマートフォンでは、ワンセグと赤外線通信機能を備えるものはかなり少ない。Galaxy、Xperia、AQUOSには必ずと言っていいほどあったが、直近の機種では利用できなくなっている。
ワンセグが減っている理由は利用ニーズの低下が大きな要因だ。4Gや5Gの高速、大容量通信が当たり前になったことで、動画配信サービスの利用へと変化している。
映像コンテンツの多様化による「テレビ離れ」や、ワンセグ端末保有による「NHK受信料の発生」も少なからず影響している。
現在はYouTubeやTikTok、NETFLIXなどの動画配信サービスが多く出ており、ニュース等の情報も自社アプリやYouTube等でライブ配信されるようになった。あえてワンセグで視聴するニーズは少なくなっている。
赤外線通信はテキストコミュニケーションの手段がメールからLINE、FacebookやTwitterと言ったSNSに置き変わったことが理由だ。
連絡先交換もID検索、QRコードをスキャンすると言った「スマートフォン向けの手段」にとってかわったことが影響している。
画像やデータの共有についてはSNSサービスはもちろん、Apple AirDorpやAndroid端末ではNear by Shearと言った近接通信機能に置き換わった。
クラウドサービスを用いたデータ共有などもあり、今までよりもはるかに大きいデータをより手軽に扱うことができるようになった。このため、赤外線通信を必要とする場面は激減したと考える。
かつては古い携帯電話から新しい携帯電話に連絡先送信をするときに使った方も少なくないはずだ。
現在、ワンセグや赤外線通信機能に対応するスマートフォンは高齢者向けのいわゆる「らくらくフォン」と呼ばれるものに限られている。
実は中国メーカーの機種では赤外線通信可能なものが多いが、これは「IRブラスター」というものになる。主に家電製品の制御に用いられ、エアコンやテレビの制御がスマートフォンから可能だが、日本で一般的に言われる赤外線通信とは異なるものだ。
現代にそぐわない携帯電話の"三種の神器"。スマートフォン時代のものを考えてみたくなる
さて、携帯電話の"三種の神器"という言葉が最初に出てきたのはいつだろうか。ワンセグのサービス開始が2006年なので概ね2007~2008年ごろだろうか。
メディア媒体で見つけられた範囲では、2011年の日経クロステックの記事がこの表記で触れている。
確かに2011年くらいまでは、"三種の神器"は必須の機能だった。これらの機能は「無いと惜しい」と言われるもので、これが無いと選ぶ理由から外れる人も少なくなかった。
このようにメディアで使われる「三種の神器」は本来の意味とは別に、"便利なもの三選"などの意味に近い。
携帯電話では日本市場で独自に進化し、民衆に支持された機能がある意味「ワンセグ」「おサイフ」「赤外線通信」と3つあったことからそのように呼ばれたものだろう。
さて、次回は読者の皆様と共に、現在のスマートフォン時代における"三種の神器"を考えてみたいと思う。
今のスマートフォンには必須の機能、無いと困る機能。改めて振り返るいい機会になりそうだ。