はやぽんログ!

使ったスマホは300台以上。スマホネイティブ世代のライターが独自の視点でレビューやニュース、コラムを発信中!

技適未取得の端末を使える総務省の「特例制度」個人でもスマホから可能なので使い方を解説

 海外のスマートフォンやBluetooth機器を使用するときに悩ましい問題が技適マークの問題だ。電波法も絡むこの問題、一般のユーザーであればどう扱うべきなのか悩ましいが、利用できないこともないようだ。

 その一例として「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」があるのだが、今回は端末の登録手順を含めて紹介したい。

 

   

日本におけるスマートフォンを含めた「無線局」と技適とはどういうものなのか。

 

まず、日本では電波を発する機器については全て「無線局」として扱われる。電波法の第4条には以下のようにある。

 

無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。ただし、次の各号に掲げる無線局については、この限りでない。


 このようにあるため、基本的に日本で「無線局」を利用するためには、総務大臣から免許を交付されなければならない。その一方で、「次の各号に掲げる無線局については、この限りでない。」という中には以下のものがある。

 

・発する電波が微弱な機器
・技術基準適合証明を受けた機器(技適マークを持つ機器)
・いわゆる登録局と呼ばれるもの
・日本に入国する人が持ち込んだ機器(90日ルールや技適ランともいう)
・技適未取得機器を用いた実験等の特例制度を申請した場合(免許不要項目のみ 180日間)

 

 スマートフォンは、技術基準適合証明を受けた機器(以下:技適)と言われるものだ。この技適は免許申請をメーカー側が行っているため、利用者である我々が免許申請を行う必要はない。

 

 その一方で、電波法によると技適のない「違法無線局」を利用した場合は、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が課せられる可能性がある。

 ただ、この場合メーカーや販売店ではなく、この罰金が向けられる対象は利用者である我々に向けられている。これはかつての無線設備の考え方がそのまま適用されており、利用者は技適取得端末を利用する場合は「技適マークの有無の確認」を必要とされている。

 

 技適マークのある端末を分解すると「技適が無効」になるというのはまさにその通りだ。これは工場出荷時の状態で、法規内に収まる品質を保たれた「無線機」として申請されているためだ。仮にもメーカー以外がバッテリー交換でバックパネルを開封すると「違法に無線機を改造した」という扱いになるのだ。

 

f:id:hayaponlog:20230211094115j:image

そのため、非正規の修理店でも修理可能なように、総務省指定修理業者という制度がある。

 

 余談だが技適が無効になった端末は、技適がある旨を物理的に消す等の対策をしないと電波法違反となってしまう。具体的にはマークの表示を塗りつぶす、本体を物理的に削って見えなくするといった対策が必要だ。

 

 

 実は個人でも技適の取得は可能であるが、そのためには工事設計書を総務省から認定を受けた試験機関に提出する必要がある。この設計書は個人で回路設計をした等を除いて、一般人が入手できるものではない。まず無理と考えるのが適当だ。

 

基本的に無線局の免許を申請するには「無線免許申請書」「無線局事項書及び工事設計書」「システム系統図※」の提出が必要となる。

※移動設備は不要

 

 仮に工事設計書をクリアできたとしても、その無線設備が日本の電波法規内に収まっているかどうかの確認も必要だ。これには無線従事者免許なども必要となってくる。認証機関への持ち込みを含めてこれを個人で行うと、1台あたり10万円ほどのコストがかかる。時間もかかるので現実的とは言えないものだ。

 

 仮にもこのような仕組みがなければ、携帯電話やBluetoothイヤホンを買うたびに免許申請が必要になる。利用者が面倒な申請書類を書いて、証紙を貼って関係機関に送りつけたら、お金を払って試験して免許交付まで1から2ヶ月待たされる。これは面倒極まりないものだ。

 

技適未取得機器を用いた実験等の特例制度を使ってみよう

 

 さて、技適のないスマートフォンや無線機器を日本で使う需要は少ないが存在する。これを可能にしているのが、技適未取得機器を用いた実験等の特例制度というものだ。

 

 この制度は技適のない無線局を日本国内で、研究、試験等の目的で利用するものだ。例えば、日本向けのモニタリングテストや海外機器の先行展示といった場面では、このような制度は非常に優位だ。

 f:id:hayaponlog:20230210234129j:image

 一般の免許申請に比べて申請自体は簡素化されており、現在ではオンラインでも可能になっている。入力画面もスマートフォン対応だ。

 


 このサービスを利用するにはアカウントの登録が必要だ。メールアドレスや名前等の情報を入力した後、本人確認認証が必要となる。マイナンバーカードがあれば即日登録で利用可能だ。行政サービスのため、基本的に本名での登録となる。

 

f:id:hayaponlog:20230211091628j:image

 さて、ここからは「開設届」を作っていく。今回は期限切れのMate 40 Proを再度別の理由で申請したので、その手順となる。

 

 メニューに沿って利用機器、製造者、機器固有番号を記入していく。ここで言う利用機器は「機器名称」ではなく「型番表記」となる。機器固有記号はシリアルナンバー、分からなければIMEIでよい。

f:id:hayaponlog:20230211005304j:image

型番は「モデル番号」の項目になる。

 

 利用場所については詳細を求められる。移動機になかなかそれを求めるのは難しいので日本国内で良いはずだ。

f:id:hayaponlog:20230211004320j:image

記入例はこのようになる。

 

f:id:hayaponlog:20230211092439j:image

また、メーカーによっては文字列で弾かれることもある。英語表記があればそちらを使うと良いはずだ。

 

 利用規格は使用する電波の種別になる。この制度では実質的に「免許不要機器」という扱いになる。スマートフォンで利用できるものは、Wi-FiとBluetoothに限られると思ってもらってよい。

f:id:hayaponlog:20230210231516j:image
f:id:hayaponlog:20230210231847j:image

このような項目が出るので、必要な項目にチェックを入れよう。

 

 この制度ではモバイルネットワーク通信はできない。これは日本における携帯電話は免許不要機器ではなく、特定無線設備という扱いになるため、別途試験と申請が必要になるからと思われる。これを通そうとすると、ここに書けないくらい非常に面倒くさい処理をしなければならなくなる。

 

 そのため、このような端末を屋外で利用する場合は技適のあるモバイルルーターや、スマートフォン等のテザリングでWi-Fi接続をして利用するとよい。

 


f:id:hayaponlog:20230211004526j:image

 利用目的としてはメディアライターやブロガーの立場であれば、「比較検証実験」「実機を用いたBluetooth機器接続試験」という名目が真っ当だろう。

f:id:hayaponlog:20230211100011j:image

運用開始日を記入しよう。なお、オンラインの場合は即日となるので申請日で良い。

 

 Wi-FiやBluetoothが利用できる根拠については、特例制度の対象となる端末の確認条項がある。条文には、特例申請で利用する端末にアメリカ合衆国のFCC認証があるかどうか。次いで、各国の法令に基づいた認証があるかどうか。という形になる。これがないと無線従事者による適合相応の確認と工事設計書が必要になる。

f:id:hayaponlog:20230210225929j:image

f:id:hayaponlog:20230211005248j:image

海外版のGalaxyではFCCなどを、中国大陸版であればSRRCを確認根拠にすればよい。

 

f:id:hayaponlog:20230211095933j:image

最後に確認して登録すると申請は完了だ。オンラインの場合は即日で利用可能だ。

 

技適のない端末を使っている方には使っていただきたい制度。課題は利用者のモラルか

 

 最後になるが、日本でも技適のない端末をある程度利用する術は確立されている。スマートフォンに限らず、電波を発する機器を利用する場合は必須のものとなる。Bluetoothイヤホンやスマートウォッチもこの制度を利用すれば、技適のないものも利用できることにはなる。

 

 メディア等で発信される機会が多い方は、積極的に使っていくといい制度だ。電波法的にブラックにならない点は精神的にも良い。

 

 その一方で、この制度自体には審査はなく、あくまで届け出という形になっている。そのため、言い方は悪いが嘘も書けるのだ。ある意味利用者のモラルに関わる部分だが、こんなところにちゃんと申請を出す方はそこそこのリテラシーを備えている方と考える。もちろん、虚偽の記述は罰則、罰金の対象になる。絶対にやめよう。

f:id:hayaponlog:20230210233245j:image

 そして180日の期間を迎えたら速やかに廃止手続きを行うことも大切だ。意外と忘れがちな方も多いかもしれないが、これは条文にもあるので確実に行おう。