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中古も1万円以下!8年前のAndroidスマートフォン「ARROWS NX F-04G」はまだ使うことができるのか。実際に使ってみてわかった意外な使い道

 昨今は携帯電話の価格上昇が続いている。これはAndroidスマートフォンも例外ではなく、高性能なものは10万円以上の価格設定となった。

 そのため、古い機種をなかなか乗り換えられずに使っている方も多いはずだ。


 今回は8年前に発売された富士通のARROWS NX F-04Gを改めて使ってみて、今はどれだけ使えるのか、どのような部分が新しい機種に比べて苦しい立ち位置になっているのかといったところをまとめてみようと思う。iPhoneに比べてどれだけ厳しいかわかれば幸いだ。

 

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世界初の虹彩認証とTransferjet対応スマホ!ARROWS NX F-04Gをおさらい

 

 まず、ARROWS NX F-04Gは2015年5月にドコモ向けに発売されたスマートフォンだ。当時最新の8コアプロセッサである「Snapdragon 810」を搭載し、高精細な液晶パネルを採用した。独自の機能も多く備え、注目された携帯電話だった。

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カメラは当時としては高性能なIMX230を採用。Xperia Z3並のスペックとなっている。

 

 世界初の虹彩認証や大容量近接無線伝送規格である「Transferjet」にハードウェアレベルで対応。OSも64bit化されたAndroid 5.0を採用するなど、これからの時代にふさわしい意欲的な機種であった。

 

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 虹彩認証は顔、指紋に続く生体認証だ。「Iris Passport」と称され、同社としてもかなり力を入れた機能だ。

 虹彩パターンは偽造がほぼ不可能という点からセキュア面でも高く評価され、後にGalaxy S8シリーズで採用されるなど、世界的にも注目度は高いものであった。
 また、新型コロナウイルスの情勢下では、マスク着用時でも認証できたことから再注目された。

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 Transferjetは「3cmしか飛ばない無線」のコンセプトで開発され、対応SDカードやアダプタ間では最大375Mbpsでの伝送可能だ。

 その一方で対応機器の少なさに喘ぎ、スマートフォンで採用された機種は富士通のARROWSが2機種と、ベトナムで販売されたBkav Bphoneのみとなっている。


 さて、ARROWS NX F-04Gはハイエンドスペックな仕上がりだ。防水防塵はもちろん、FeliCa、ワンセグ、赤外線の三種の神器を備える国内メーカーらしいものとなった。

 VoLTE対応、SIMロック解除義務化以降の端末となったので、ロック解除すれば他社SIM運用も可能であった。

世代的にはGalaxy S6やXperia Z4、iPhone 6Sも同じものになる。

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USB端子には防水キャップを備える世代となる。

 

 その一方で、チューニング不足ゆえに発熱が目立ち、発売当初からプリインストールアプリが不安定な挙動を見せたりもした。

 電源を落とすと、電源が入らなくなる不具合もあったほか、カメラが起動できない不具合もあった。

 発売から2か月で基板の接続不良に起因する不具合により、販売を一時停止するなど話題には事欠かなかった。

 

 ファンからは「F-10Dの再来」や「ホッカイロ」と称され、後述の理由から「ポンコツアンドロイド」とも呼ばれた。

 

8年前のAndroidスマートフォン。今使うにはかなりの制約とストレスを感じる


 今回は普段Xperia 1IVを利用する筆者がARROWS NX F-04Gを実際に使って、改めて評価してみたいと思う。使用するものは筆者が発売日に購入したものだ。


 まずは性能面から見ていく。ARROWS NX F-04GはSnapdragon 810、Xperia 1IVはSnapdragon 8 Gen.1と7世代分の差となる。

 そのため、体感的な性能は大きく変わってくる。単純にプロセッサの性能は4倍近い差があり、メモリ量やストレージ性能にも大きな差が出ている。

 

 加えて、発売時に比べると、3D表現を多用したより高性能かつ、多くのメモリを必要とするリッチなアプリが増えている。

 そのようなコンテンツを利用するにあたっては、ARROWS NX F-04Gでは推奨環境から外れていることもあり、動作には不満を感じてしまう。

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環境的に動かないアプリもいくつか見られるようになった。
 
 その一方、ブラウジングや SNS が中心といった使い方であれば、引っかかりこそあるものの、なんとか利用できる印象だ。

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 SNSアプリは重たいながらもなんとか動く。動作にはかなりストレスを覚えるものだ。

 Twitterなどはサードパーティーのアプリが好ましいが、APIの締め出しから難しくなっている。

 

 またLINEやDiscordでは通話機能などを利用すると、本体がかなり発熱して動作が不安定になることがあった。

 

 近年におけるリッチコンテンツの代表例とも言える原神に関しても、ARROWS NX F-04Gは容量が32GBということもあって、遊ぶことができなかった。

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ミリシタはなんとか遊べたが、ガックガクな挙動でログインするのがせいいっぱいだ。


 画面性能に関しては2Kの解像度を持ち。アスペクト比以外では今でも通ずるものになっている。 

 一方で、画面輝度や色表現などは大きな進化を遂げており、直射日光下での視認性では近年の機種に比べてかなり劣ることになる。
 

 カメラ性能については、世代差が出るような形だ。発売時のトレンドの違いもあるだろうが、ARROWS NX F-04GはHDR補正が弱く、明暗差の大きいところでは白飛びが目立つ印象を感じた。

 夜景モードを備えていないこともあり、夜間の撮影では少々不利に感じることもある。昼間の撮影が中心といった形でも、ソフトスナップと言えるようなものとなる。

 

 バッテリーに関しては、今回8年近く利用したスマートフォンを用いて評価している。

 

 8年近く経過したスマートフォンのバッテリーを評価すると、気温が低い環境で電源が落ちたり、40%から突然20%の表記になるようなことが見られた。古い機種ではこのようにバッテリーが劣化してる場合も多いはずだ。


 新しい機種に変えれば、バッテリーも新しいものになっているため、電池持ちに関しても安心して利用できる。もちろん、古い機種でもバッテリー交換を行うことで安心して利用できる。

 

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ARROWS NX F-04Gは年数が経過していることもあって、ドコモの正規修理は終了している。


テレビといった用途でならまだアリ。スペックやOSバージョンの関係で、スマホとして使うにはもう厳しい

 

 今回紹介した7〜8年前のスマートフォンをこれからも使い続けていくことに関しては、筆者的にはかなり厳しいように感じた。

 

 ARROWS NX F-04Gの性能は近年の廉価なスマートフォンよりも低く、ストレージの規格も古いものになる。内蔵ストレージが32GBと少ない点も近年のコンテンツを楽しむうえでは厳しいものとなる。
 OSアップデートがAndroid 6.0で終了したこの機種では、利用できないアプリも存在している。

 

 加えて8年近く前の製品となれば、バッテリーの劣化や画面の黄ばみも出てくる。長く愛着を持って使うことも大切だが、8年利用したとなればそろそろ買え時だと思うところだ。

 

 SIMロック解除義務化とVoLTE対応となる2015年以降の機種でないと、今後は電話のみの運用も難しくなっていく。

 そのような意味でも、あと数年は「電話」として使えるもっとも古い世代となるのだ。


 ちなみにこれより前の機種はVoLTE非対応なこともあって、携帯電話としての利用も今後は難しくなっていく。

 その一方で、お子様に与える端末や、2台目用のスマホとしてARROWS NX F-04Gを選ぶ、使い続けることは難しいと感じた。

 通話はできてもそれ以外は「なんとかできる」の世界なので絶望的だ。使っているスマートフォンが故障した時の代替え機代わりとしてが精一杯だ。

 

 条件付きの利用方法として、音楽プレイヤーやカーナビ等の利用方法であれば古いAndroidスマートフォンの使い道もある。

 思い切ってデジカメの代わりでも良いと思ったが、それなら普通にデジカメ買った方がいい。

 ドライブレコーダーも考えたが、動画撮影をしていると発熱で本体が処理落ちするのであまりオススメできない。

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ワンセグ/フルセグの視聴が可能なので、テレビとして利用するのもアリだ。

ロッドアンテナを採用しているので、受信感度も良好だ。防水防塵でもあるので、意外にもお風呂用のテレビとして使うのがベストだろう。

 

 この世代であれば、中古販売店でもおおむね1万円以下で購入できる。"つなぎ"として購入するのがやっとと言ったところで、コレクション以外の用途ではオススメしない。

 

 2万円台で販売されているRedmi Note 11と比較しても、8年前のハイエンドスマホでは体感的なパフォーマンスは下に感じた。

 

 8年というスペック不足を感じる年数が経っている。加えてバッテリーをはじめとした端末の経年劣化、対応アクセサリーの減少もあり、満足に利用することは難しくなりつつある。

 

 高価になりつつあるスマートフォン。ユーザーの利用頻度や使用用途に合わせて、改めて考えてみると良いはずだ。

 

余談だが…アイマス10周年コラボスマホだったARROWS NX F-04G

 

 ここからは完全に余談になるが、このスマートフォンはアイドルマスターシリーズの10周年記念コラボスマートフォンでもあった。

 機種に刻印等はないが、10周年の節目に合わせて各種タイアップが行われた。

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 各ブランドからイメージキャラクターが選出され、四条貴音、渋谷凛、伊吹翼の3名が選出された。この3名については期間限定で「待ち受け画像」が配信されたりしていた。※1

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抽選で「スマホハイタッチ会」&トークショーへの招待、10周年ライブの「M@STERS OF IDOL WORLD!! 2015」のチケットが当たるなどのキャンペーンも行われた。

 

「スマホハイタッチ会」はTransferjetを用いてキャストから、自分のP名を収録したオリジナルボイスをプレゼントされる企画というもの。

 

なお、筆者はMachicoに入れたが落選した。


 全述の通り、発熱や不具合に悩まされたこと、メーカーが販売を一時停止するなど話題には事欠かなかった。


 アイマス内の楽曲「アタシポンコツアンドロイド」にちなみ、この機種は「ポンコツアンドロイド」とファンからは呼ばれていた。

 楽曲はキュートなのだが、本体はよく発熱したのでどちらかと言えばパッション属性だろう。


 余談だが2015年に行われた10周年ライブでは、シンデレラガールズの楽曲である「アタシポンコツアンドロイド」が披露されなかった。※2

 この理由はARROWSがライブの特別協賛に入っており、発売時点から「ポンコツアンドロイド」と呼ばれていたこの機種に配慮したのでは?なんていう憶測まで飛び交ってしまった。


 あれから8年が経つが、同じ年にリリースされたデレステは、最低要求がAndroid 7.0となったことで昨年10月にこのスマートフォンでは起動できなくなった。

 まさかモバマスのサービス終了よりも先に遊べなくなるとは思っても見なかった。

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ちなみに筆者の選んだこの色は「しぶりんカラー」と言われていた。キャンペーンキャラクターによって持っていた色が違うのだ。

 

 アイドルマスターとコラボしたポンコツアンドロイドがあったこと。心の隅に覚えておいてもらえると嬉しい。

 

※1:今でいう「壁紙」となる。ガラケーの頃は今でいうロック画面が「待ち受け画面」と言われたことから、その名称を使ったものと考える。

 同作品の楽曲にも「待ち受けプリンス」というものがあるが、あれもここからきている。

 

※2:CD上では同シリーズの「Nation Blue」「Orange Sapphire」は本公演で披露された。アタポンもメンバーがそろっていたにも関わらず披露されなかった。
 なお、同年11月の単独公演ではオリジナルメンバーで披露された。

 また、F-04Gの販売停止が7月28日に対し、10thライブは7月18〜19日と近い日程でもあった。

 

 

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