MMD研究所は、最新のスマートフォンの利用者実態調査を行なった。MNPを利用した有無や認知度、eSIMやデュアルSIMの利用率といった統計がとられている。
MNPの利用したことがあるユーザーは24.8% 制度や仕組みについてよく理解しているユーザーはわずか2.8%
MNPについては「乗り換え先でも番号をそのまま使える」という認識はあるが、やはり複雑なものという認識がつよいよくだ。
電気通信事業法が改正されて多くの障壁が取り払われたが、利用率は4人に1人の25%というあたりに「壁」があることがわかる。
同研究所がMNPの詳細について簡単な設問をしたところ、全問正解できたユーザーはわずか2.8%にすぎなかった。
基礎的な部分の周知ができていないこと、従来の認識のまま、アップデートされていないユーザーが多いことがわかる。
筆者としては、端末にSIMロックがかかっていると乗り換え手続きができない問※のほか、キャリアメールやMNP手数料などは厳密に問えば異なるものもある。数字はあくまで参考にすると良いはずだ。
※ドコモからocnやBIGLOBEのDプランといったドコモの回線を利用するMVNOにMNPする場合、ドコモで利用していた端末であればSIMロック解除しなくても利用可能だ。
もちろん、店頭でAPN設定を行えば乗り換え手続きもスムーズだ。
推し進めたeSIM。認知度は高いが利用率はわずか8%に留まる。
iPhoneやPixelをはじめとして利用できるようになっているeSIM。店頭手続き不要で簡単かつ即開通できる便利なものだ。
日本の携帯キャリアでは組み込みを意味する「embedded SIM」と、RSP(遠隔で情報書き換え)が可能な「eUICC SIM」のどちらも該当するものという認識になる。
これについては、総務省も普及を推し進め、キャリアも各社対応させたが、実際に利用したことのあるユーザーはわずか8%にとどまっている。
認知度も半分程度の数字になっており、認知されていないような意見もある。
また、eSIMについては提供事業者によってサービスの質が大きく異なり、ものによってはSIMの再発行可能な時間が指定されているものもある。
現時点では、早くからサービスを展開した楽天モバイルが最も手厚いものとなっている。
その一方で、端末側は順次対応しているので、これから普及するのでは?という見方で良いはずだ。
「待望のデュアルSIM」と言われる端末は多いが、実際の利用はわずかに6%
スマートフォンにおいてはiPhoneがeSIMに対応してデュアルSIMになったほか、Android端末でもSIMフリーの市場を中心に求められてある。
中には海外からデュアルSIMの端末をわざわざ入手するコアユーザーもいるが、実際の利用実態ではわずか6%にとどまっている。
デュアルSIMはeSIMユーザーよりも利用者が少ない結果だ。
これについては、わざわざ2回線持つ意味がないという声や、大容量プランが身近になったこともあって「データと通話」といった形で分ける必要がなくなったという意見もある。
もっとも、古い端末を有効利用している例もある。楽天モバイルやpovo 2.0といった安価に利用できるSIMを入れて2台持ちとするニーズもあり、必ずしも必要とは言えないものとなる。
最後に。色々と課題が見える調査結果
これを見て思う点としては、MNPについてはもっと自由な状態になっていることを各社アピールすることが大切だと感じた。
解約金の上限はもちろん、MNP乗り換え後もキャリアメール等が利用できることなどもしっかり周知することが大切だ。
この辺りは公正取引委員会の報告でも触れられており、乗り換えしやすいことを周知しないことで、MVNO等に流動しにくくなっているとしていた。
eSIM対応端末の例
また、近年はeSIMの採用でキャリアの端末もデュアルSIM対応となってきているが、利用実体的には10%以下という結果になっている。
この辺りは「10人に1人使うかわからん機能に金かけるなら、無くして安くしろ」という意見もある。
その一方で、推し進めているeSIMの普及には、キャリアの端末で利用できることが不可欠だ。
iPhone 14シリーズでは北米地域のみeSIMのみの仕様となっており、物理SIMが利用できなくなった。このような波が来れば、端末としてはいずれeSIMのみとなってもおかしくないのだ。
データから見えた意外な事実。筆者としてはMNPはもっと多くの方が利用しているかと思ったのだが、世間的にはあまり多くないようだ。
追記:MMD研究所から調査結果に対して誤記があり、修正があったので記事内を修正しました。