年度末にかけて、1円等の特価販売で安く入手できるスマートフォン。安く入手できる一方で、基本的に最廉価モデルであることから本体の容量も少ないものとなる。
今回は、このような機種が普段使いにおいて、気にかけなればならないこと、どのような方が得をするのかと言ったところを改めて考えてみる。
容量不足になりがちな一括1円や実質1円で買えるスマートフォン
ここ最近、実質1円等で廉価販売されたスマートフォンをチェックすると、64GBまたは128GBのストレージ容量となっていることが多い。
BCNランキングで売れ筋の上位に並ぶiPhone 13も、全て128GBと一番下の容量になっている。
売り上げ上位のiPhone 13やPixel 7については、家電量販店等でも「実質1円」といった形で廉価に提供されているなどの理由もある
ただ、直近では多くのユーザーが3〜4年間は同じスマートフォンを使うというデータも出ている。ここから考えると、128GBはもとより、64GBの容量は長く使っていく上ではかなり厳しいものと考える。
写真等はクラウドにアップロードすることが多い筆者でも、128GBのiPhoneを1ヶ月ほど利用しただけでこの有様だ。
SNSもテキスト主体から動画等の動的メディアにコンテンツが変わりゆく今、これらのコンテンツを本体に保存して楽しむとなれば、64GBの容量はあっという間に消費してしまうものだ。
LINEなどのSNSも保存しているトーク履歴や画像等のデータによって、数GBの容量になるものも当たり前となった。
このようなSNSを3つ4つ使う。それだけで10GBくらい容量を消費していてもおかしくないのだ。
筆者のTwitterですら1.8GBの容量となっていた
加えて、ソーシャルゲームなども容量増加が続き、10GBを超えるものも見かけるようになってきた。
原神のように20GBを超える容量のコンテンツも出てきた。
64GBのスマートフォンでは、半分近い容量を原神だけで消費してしまう。もはや遊ぶことすら厳しい死活問題の域だ。
ここに写真や動画が追加されることになる。1年目ならさておき、2年目3年目となれば撮影した写真がトータルで1000枚を超えることも少なくない。
撮影した写真や動画はSDカードに逃すこともできる。ただ、iPhoneをはじめ容量拡張したくてもできない機種が増えている。
BCNランキングが発表した今年2月のスマートフォンの販売台数ランキング。実に上位5位、台数ベースで57.7%のスマートフォンがSDカードを利用できないものとなっている。
AndroidスマートフォンでもSDカードが使えない機種が多数に。容量不足には要注意
確かに、キャリアの施策で安価に高性能なスマートフォンが購入できることは、体験面でも非常に評価したい。その一方で、長く使っていく上では、容量不足は不安に直結する要素も多いものだ。
高性能なiPhone 13でも128GBの容量では少ないと感じるユーザーも多い
正直、筆者も64GBのストレージでこれから3年間同じスマホを使えと言われたら、かなり厳しいという感想だ。
仮に使うとしたら、写真や動画はクラウドストレージに保存することを前提とし、アプリもかなり絞った形で利用していかなければならない。
正直、キャリアの一括1円、実質1円端末の多くは、自分がスマートフォンをどのように利用するのか把握している方向けのものだ。
加えて、写真や動画はクラウドストレージや自宅のPC等にバックアップし、常にストレージに余裕を持たせる事を前提として利用できる人向けだ。
この使いこなしを求められるストレージの少ないスマートフォンは、明らかに上級者向けのものとなる。
Android端末であれば、SDカードを利用できる機種を選ぶことで「容量不足になるかもしれない」という不安を低減できる。
その一方で、SDカード利用できない機種も増えており、必ずしもこちらを選べば安心だと言うことはなくなってきている。
例えば、売筋上位に食い込むGoogle Pixelに関してはSDカードを利用できない。
店頭でも「その程度の利用なら」と濁され、安価に買えることを推されて、64GBや128GBの容量のスマートフォンを購入した方も少なくなくないはずだ。
このあと、2年経たずに容量不足となった例は筆者も多く見てきた。
正直なところ、どのように使うのかわからない。ゲーム等も楽しみたいのであれば、256GB等の大容量の機種を買った方が後々のストレスは少ない。
その一方で、このような上位モデルは安価に販売されることは少なく、その分価格は高価になる。これはAndroid端末でも同様だ。
店頭で安売りされるスマートフォン。ただ安いと言うプライスタグだけではなく、自分の利用状況に合ったものを選ぶことが改めて大切だ。