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ドコモの回線が遅い!5Gが使えない!理由は「パケ止まり」と「home 5G」によるトラフィックの増加か

 各社で5G回線のエリア整備が進む一方、ドコモでは「通信制限でもないのに通信速度が遅い」「つながりにくくなった」という声を多く聞く。今回はそのあたりを少し考えてみる。

 

繋がりにくい理由は「パケット止まり」か。対策は「5G通信をオフ」にしよう

 

 さて、ドコモの5G回線については以前からパケット通信が詰まると評される事象が起こっている。

 これにはエリア拡充不足による、ハンドオーバー時のゆらぎと言ったものが原因として挙がる。主に「5Gの表記が出ているのに通信できない」と言ったもので、理由としては以下のようなものが挙げられる。

 

・5Gの電波を引っ張る(アンカーバンドの関係)
・電波の強さが近い複数の基地局のうち、どの局に接続するのか迷う(基地局制御)
・基地局の性能不足(ノウハウの少ないメーカーのため)
・端末の最適過不足(キャリアアグリゲーション等)

 

 例えば5Gエリアから4Gエリアに移動すると、通常であれば適切に基地局が切り替わるのだが、今のドコモではこれがうまくいかないと言ったことが多いようだ。

 

 5G通信では複数の電波を束ねる「キャリアアグリゲーション」もまだまだ進んでおらず、5G CA対応端末はかなり限られる。加えて5Gエリアは徐々に面にはなっているが、まだまだエリア内にも「谷」や「穴」と評される利用できない、電波が弱い場所もある。

 このような場所に移動したときに、別の基地局に切り替わるか、4G通信に切り替わると言った挙動をせず、5G通信を引っ張るという現象が起こるのだ。

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エリアの穴や谷は地下や屋内といったところはもちろん、建物の影などの要因もある。もちろん地形等の地理的要因もある。

 

 そのため、このようなパケットの詰まりは5G通信をオフにすることで改善されることが多い。広く普及した4G通信エリア的にもネットワーク的にも安定しており、5G通信よりも速度は出ないものの快適な通信が可能になる。

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5G通信をオフにすることで多少なりは改善される


 今後、さらなるエリア拡充と転用5Gの利用などでこの辺りは改善される見込みもあるが、現時点では5G通信をオフにした方がより安定して通信できるはずだ。

 

home 5Gによる通信トラフィックの増加が速度低下の原因か


 さて、もうひとつの理由である「通信速度が遅い」という点。通信制限でもないのに速度が出ない理由はいくつかあるものの、ネット上では固定回線の代替として利用できる「home 5G」が影響しているのではないかという指摘がある。このような固定回線をモバイル回線で代替えさせる例は他社キャリアでもあるが、基本的にキャリアのメインバンドとは別の帯域を与えてたり、帯域制限をかけて通信している。

 

 一方ドコモの場合は、既存の5G/4G回線をほぼすべて利用している。これには高速通信できる利点があるが、構成が裏目に出ているのだ。

 

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コロナ禍のテレワーク、巣篭もり需要も狙って展開したhome 5G

 

 まず、固定代替の名前のごとく、home 5Gは固定回線の代わりとして利用するサービスなだけあって、利用するデータ量が携帯電話とはまるで違うのだ。家のWi-Fiと同じ扱いなので、家族複数人で利用したら月に数百GBなどざらに利用する。

 

 そのようになると、home 5Gでの通信が一般のスマホユーザーの通信を圧迫する結果となるのだ。基地局がさばけるトラフィックには限りがあり、大容量通信を行う固定代替回線の通信は大きな負荷になる。特に都市部では、マンション等の集合住宅や住宅密集地でこのようなものを複数人が利用すると、周囲の基地局には大きな負荷がかかることが考えられる。

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home 5Gで1日に数GB利用したら基地局側では多くの通信を行う「ヘビーユーザー」にしか見えないのだ

 

 また、ドコモでは「home 5G」を法人需要にも強く売り込みをかけており、小規模オフィスや建設現場等での採用例も多い。こうした需要も拾えていることも大きな理由とも言われる。


 もっとも、この件についてはサービス発表時から「ネットワークのキャパシティに不安が残る」と指摘されていた。ドコモ側も「必要に応じて帯域制限をかけ、周囲の利用者に影響を与えないようにしている」と発言していた。

 

 筆者として課題と感じる点はこの「home 5G」に対して、いかにして「5Gの電波を届けるのか」という点だ。このような機器は本来、窓際等での設置が理想だが、設置する建物の構造などから必ずしもそうはいかない。遮蔽物が多くなると5Gの電波は届かなくなり、4G通信に切り替わってしまう。こうなると我々が多く利用する4G回線の容量を圧迫することになるのだ。

 

 これが5Gバンドの整備の甘さも合わさってトラフィックが4G回線に多く流入し、帯域制限に近いものがかかっていると考えられる。

 

 また、このように「ドコモが遅い」と言われるようになったのはちょうど昨年の今頃だ。思い出してみると、固定代替の契約でhome 5Gが1円で売られ始めた頃だ。この普及と回線のトラフィック増加による通信の不安定さ。決して偶然ではないはずだ。

 

ドコモにおいては高品質な5G回線の早急な整備が当面の課題か

 


 最後になるが「ドコモが遅い、つながらない」といってエンドユーザーの我々にできることは少ない。一番有効な手は回線を他社に乗り換えてしまうことだが、決済サービスの紐付けなどもあってやりにくいものがある。サブ回線でpovo 2.0等を利用する方法もあるが、結局別でコストがかかるのであまり現実的ではない。


 そしてとくに顕著なのがMVNOだ。こちらについては昼間等に制限をかけることに加え、home 5Gなどの利用でただでさえ逼迫した帯域内で窮屈に利用せざるを得なくなっている。5Gを利用しない。なんならドコモの本回線を使用しないユーザーすら不利益を被っているのだ。

 5Gネットワークの整備もまだまだ拡充しきれない中、アフターコロナの時代にしっかり使える通信回線として対応してくれるのか注目したい。