キャリアでは、スペックが低いスマートフォンのことを「初心者向け」のスマートフォンとして展開することも多い。
その一方、この「初心者向け」というキャッチコピーを当てにして買ったところ、性能が足りずに不満に思ってしまうことも多い。
今回は、そのような機種が初めてスマートフォンを使う「初心者」に向いているのか。改めて考えてみる。
ガラケーからの乗り換えで低スペックスマートフォンに「初心者向け」という名称を使うキャリア
基本的にこのようなスマートフォンは、ガラケーから乗り換えるユーザーに対してアプローチしてるものが多い。
そのため、多くは初めてスマートフォンを使うことから「初心者向け」「エントリー」というものになる。
昨今におけるガラケーからの乗り換えとなれば、そこそこ年齢が高い層をターゲットにしている。
FOMA等では対象向けサービスの多くが終了する中、それでも使い続けるとなれば、使用用途は通話やメールのみと言ったところになる。
確かにその用途であれば、高性能なスマートフォンは必要ないはずだ。
基本的にはこのクラスは3Gのガラケーのほか、4Gの「ガラホ」からの乗り換えも狙っている。後者では2万円の割引しか適用できないため、必然的に端末価格が廉価なものになってくる。
ガラホの乗り換え需要も狙っている
その一方で、「初心者向け」機種といえば、スマートフォンにあまり詳しくないというだけで、「スマートフォンをよく利用する」ユーザーも少なくない。
そのようなユーザーだと、性能の低い機種やストレージの少ない機種では不満を感じるはずだ。
もっとも、自身でスペックを見極めて選べる方はそこまで多くない。筆者の周りでも、店頭スタッフの言われるがままに購入。後にスペックが低くて後悔したという声もある。
また、これらの機種は名前の通り、「初めてスマートフォンを使う人」におすすめという書き方もしている。
言い換えれば、保護者がお子様に与えるスマートフォンもここに該当してしまうのだ。
こうなるとターゲットとしているガラケー乗り換え層とは使用用途は変わってくる。
お子様側も仮に最初は「ゲームやSNSはあまりやらない」と告げても、スマートフォンを1年2年使っていけば変わってくるものだ。
この場合は周囲に影響されて色々なアプリを始めてみたり、自発的にも各種サービスを利用したくなるものだ。
近年のアプリは最新の環境向けに設計されていることも多く、最低限の性能しかないスマートフォンではものの数年で動作が厳しいものもいくつかある。
この辺りはよく話し合って選ばないと、スマートフォン選びで失敗してしまうことになる。
現在のエントリー向けスマートフォンは極端に低性能なものは少ないが、ゲームなどのコンテンツを動かすには、性能が足りなくて厳しいものも少なくない。
原神などのコンテンツは最低画質でも厳しいものもある
「初心者向け」スマホ。もう少し性能があればトラブルも減るのでは
さて、キャリアは初心者にスペックの低いスマートフォンを勧めるという風潮があるが、このようなスマートフォンは自分の利用シーンをしっかり把握できているある意味「上級者向け」のものだ。
廉価な機種の例
近年の廉価のスマートフォンはアップデートも以前より積極的には行われているものの、長く使えるかと言われると難しいところがある。
確かに安い機種でも1年前後はある程度快適に使えるが、2年3年使っていくとなると、かなり厳しいものになる。このような機種は電話やメールだけ、コミュニケーションアプリだけといった使い方でないと厳しいものだ。
筆者としては何もわからない初心者ほど「スマートフォンの性能には、ある程度余裕を持たせた方がいい」という意見だ。
そのため、初心者向けとして「ただ安い機種」を売るだけというのは、あまり良くないものだと考える。
初心者向けスマートフォンはキャリアとしても、もう少し余裕のあるスペックをもつ機種をラインナップする。
そのような意味では、かつての10万円近いハイエンドの端末が平気で一括1円で購入できた規制前の方が、端末のスペック差における不満は少ないものだった。
今ではそのようなことはできないため、手軽な入手性では以前よりも劣るものになる。
予算でよく言われる"4万円台"クラスで性能的にも、サポート的にもある程度利用できる機種をキャリアも「初心者向け」としたほうが良いと考える。
そのようになれば「初心者向けスマホ」に対する疑問も少しは晴れるはずだ。