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スマホメーカーが発表会で「原神」を使う理由。性能アピールの背景にある「信用できない」"ベンチマークスコア"

 話題のオープンRPGの原神。筆者もデジタルカメラで動かしたりと楽しませてもらっているが、近年ではスマートフォンの発表会でも多く使われるようになった。その理由はなぜなのか、簡単に考察してみる

 

ブーストをはじめとした「不正行為」の横行で信用できなくなった"ベンチマークスコア"


 まず、スマートフォンの性能を示す指標にベンチマークスコアがある。これは各種負荷をかけた際の動作を数値化し、客観的な指標に示したものだ。

 著名なものとしては「AnTuTu benchmark」「3D Mark」と言ったものがある。

 

 従来はベンチマークスコアが高い=高性能であったが、現在のスマートフォンでの性能アピールする上でスコアの使用は少なくなってきている。

 理由の一つが、ベンチマークブーストと呼ばれるものだ。近年では中国メーカーの機種が特に顕著で、ベンチマークスコアを求めるあまり、「ベンチマーク時のみ性能制限を解除する」といった無茶な設定をするようになった。

 
 あまりに各社で横行したため、ベンチマークアプリからは不正なスコアとして認識され、掲載不可やスコア除外の措置を食らったメーカーや機種も存在する。

 直近ではrealmeにて「ベンチマークブースト」が確認されていたが、過去を振り返るとXiaomi、OPPO、Huawei の中国メーカーのほか、サムスン、LG、HTC、ソニーなども行っていた。スマートフォンを製造販売した会社のうち、半数以上はこの"不正行為"に手を染めてしまったものと言えるのだ。

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ベンチマークブーストが指摘されたP20 Pro。後に対応のアップデートとして、任意に設定できる「パフォーマンスモード」が追加された。

 


 さて、各社がベンチマークスコアを不正に盛る傾向が強まったため、メーカーが提示するこれらのスコアに対して消費者も不信感を募らせるようになった。特にハイエンドスマートフォンでは、プロセッサも横並びになることから、基本スコアも大きな変動はない。


 いまもなお、発表会にてスコアを掲載するメーカーはあるが、ほとんどが「ラボスコア」と呼ばれるものだ。公称している数字が出ないなど、実態に沿ったものと言えないものが多く存在している。

 ユーザー間でも「冷蔵庫に入れる」「氷枕の上に置く」といった強制冷却によって出した実用外のスコアもあり、そのような意味でも信頼性がないことも事実だ。

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日本向けでは、Playストアから削除されたこともあって多く触れられなかったが、Xiaomi Mi11 Lite 5Gの発表会ではAnTuTu benchmarkのスコアが掲載された

 

ベンチマークに代わり「原神」をつかってパフォーマンスをアピール

 


 さて、これらの不正が横行し、ラボスコアよりも数字が出ない結果を目にした結果、消費者はベンチマークスコアを信頼できなくなってしまった。

 

 そこで、各ユーザーは各々のコミニュティではベンチマークのスコアは参考にしつつ、信頼できるゲームなどの実践的な利用に耐えられるのか?というところに焦点が当てられた。


 消費者としてもベンチマークの瞬間最高性能よりも、実体験に近いものを求めるようになった。そうなると、消費者が実用する範囲で最も高負荷な「ゲームプレイ」が快適か否かといったところに関心が寄せられるようになってきたのだ。

 

 そして、スマホ向けにもリリースされた原神では、かなり高いスペックが求められるようになった。3D表現を駆使し、華麗なグラフィックとストーリー性に富んだ内容や、自由度の高いゲームシステムなどから世界的なヒットとなった。

 合わせて「高い性能を要求されるコンテンツである」というものも、ヒットに合わせて消費者に認知された。この認知度の高さも発表会で原神を利用するものと考えられる。

 

 もうひとつは「原神の立ち位置」も考えられる。原神を運営するmihoyoは大手資本等の傘下ではなく、独立したものとなっている点だ。

 これによってある程度公平性が保てており、端末に対して「過度な最適化」などが行われていないことも比較として成立するのだと考えられる。そのため、ゲームのベンチマークとして考えた際は、とても優秀なものとなったのだ。

 

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iPadの発表でも原神の画面が採用されている

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Galaxy S23 Ultraのパフォーマンスアピールでも使用された原神

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原神を遊んだ際の30分間の平均フレームレートを示す例(Xiaomi 12S Pro)

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こちらも平均フレームレートをアピールしている(OnePlus Ace Pro)

 

 

 また、ベンチマークスコアよりも冷却性能の強化、ベイパーチャンバーをはじめとした冷却機構の有効面積をアピールする背景も、実体験にそったものにあると考えられる。

 

 さて、ここまで振り返ってみたが、ゲームを実質的なベンチマークとして利用する事については、ある意味理にかなっていると感じた。ベンチマークアプリのスコアよりも実体験に沿っていて、下手なスコアの対比よりも実感が湧く。30分遊んだ際のフレームレートなども、ある程度指標にもなってくるように感じた。

 

 

 日本向けではAQUOS zero2が「アイドルマスターミリオンライブ!シアターデイズ」をパフォーマンスアピールとして使っていた例もある。高負荷なコンテンツである程度知名度のあるものが利用された例はあるが、原神ほどのグローバル展開されたものは少ない。

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AQUOS zero2ではミリシタが使われた

 

 現時点においては、原神を快適に遊びたいといった理由で、スマートフォンを選ぶユーザも決して少なくはない。海外ではコラボ端末が展開されるなど、各社から注目度が高い。だからこそ、スマートフォンの発表会でも原神を利用しているのではないかと考える。

 

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本日、中国ではOnePlus Ace2の「香菱」限定モデルが発売された。同社では過去に「胡桃」「スクロース」の限定モデルが数量限定で発売されている。

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また、中国では「クレー」とコラボしたXiaomi Redmi AirDots 3 Proが発売されるなど、原神キャラクターとのコラボガジェットが各社から展開されている。

 

 スマホメーカーがパフォーマンスアピールで原神を利用する理由としては、従来のベンチマークスコアよりも信頼度が高い事。「原神」というものすごく強いネームバリューにあやかる。このような部分も少なからずあるのではないかと考える。

 

www.hayaponlog.site

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