ソニーは5月11日、新型スマートフォンとなる「Xperia 10 V」を発表した。日本ではドコモ、au、UQモバイル、ソフトバンク、楽天モバイルが取り扱う。
Xperiaシリーズでは"普及価格"の位置づけとなるXperia 10 Vでは、「たっぷり使えて、どっぷりハマる。」をテーマに、従来モデルから本体スピーカーとリアカメラ、電池持ちの改良が図られている。
ついに4800万画素へ!強化されたカメラ性能がありがたい。
本体背面のリアカメラは、メインカメラに加え、超広角、2倍望遠の3眼構成となる。メインのカメラでは、イメージセンサーのサイズを大型化している。4800万画素のものを採用し、センサーサイズも1/2型となったことで、暗所での撮影性能を約60%向上させた。これによって従来よりもノイズを抑えて撮影できる。
4800万画素、1/2型というとソニーではIMX586というイメージセンサーがよぎるのだが、もう少し新しい世代のものが積まれていると考えたい。
超広角カメラは4800万画素ながら、常時1200万画素で記録されるようだ。
また、光学式手ぶれ補正も搭載されており、手ブレを抑えた写真を撮影できる。動画撮影時は、電子式手ブレ補正も併用し、従来よりも手ブレを抑えて撮影ができるようになった。フロントカメラについては、800万画素のものが引き続き採用されている。
Xperia 10 Vの基本性能をチェック。ステレオスピーカーがうれしい
チップセットは「Qualcomm Snapdragon 695 5G」を採用し、メモリは6GB、ストレージは128GBとなる。SDカードによる容量の拡張も可能だ。この辺りはXperia 10 IVから据え置きとなる。もっともXperia 10 III(Snapdragon 690 5G)からも大きな進化はない。
その一方でエンタメ機能は進化した。ディスプレイはFHD+解像度、21:9アスペクト比の6.1インチOLEDディスプレイを採用。先代モデル比約1.5倍の輝度をもつ明るいディスプレイとなり、直射日光の強い屋外でもより視認性が向上したという。
また、本体のスピーカーはディスプレイの上下に配置するデュアルスピーカーを採用した。Xperia 5シリーズなどと同じく、前面に均等に配置することで、横持ち時にバランス良く音が広がる臨場感のあるステレオサウンドが楽しめる。音圧も、Xperia 10 IV比で20%向上しており、従来のモノラルスピーカーから大きく進化した形となる。
Xperia 10シリーズでは初のステレオスピーカーとなった
また、ハイレゾ対応の3.5mmイヤホンジャック、LDAC等のハイレゾ対応のBluetoothオーディオもサポートしている。
Xperia 10 Vでは従来に引き続き5000mAhの大容量バッテリーを搭載している。連続動画撮影時間は最大約34時間で、省エネ性能も改善されている。バッテリーは、3年使っても劣化しにくいものを搭載しており、大容量とともに長期間使用できるよう改良されている。
また、大容量バッテリーを搭載しているにもかかわらず、本体の重さは159gとかなり軽量だ。5000mAh以上のバッテリーを備える同様のスマートフォンの中では"世界最軽量"をアピールしており、長時間使っても持ち手が疲れにくいよう改善された。
バッテリーはコンパクトながら大容量だ
このほか、IP65/68等級の防水、防塵機能にも対応し、おサイフケータイにも対応だ。nanoSIM+eSIMのデュアルSIM仕様となる。
本体カラーは、ブラックとラベンダー、セージグリーン、ホワイトの4色が展開される。キャリアによって取扱カラーは変わるようだ。
据え置かれた基本性能。いつまでSnapdragon 695で勝負するのだ
正直なところ、カメラ性能やステレオスピーカー化などのブラッシュアップが図られたXperia 10 Vであったが、その進化点はXperia 1 Vほどの衝撃はなかった。むしろプロセッサーが前作から据え置かれたことで、基本的な性能向上はないと言ってもいいくらいのものだ。
ある意味では「Xperia 10 IVプラス」的な存在だろうか。ステレオスピーカーを求めなければ、各所で安価になり始めたXperia 10 IVのコストパフォーマンスが光ってしまう結果となる。Snapdragon 7番台といった選択もあっただろうが、この辺りは為替相場や予算なども関係してくるので、一概にダメとは言えないところだ。それにしても惜しい。
そんなXperia 10 Vの価格はキャリア向けで概ね6〜7万円前後となる。楽天モバイルでの一括価格は7万2800円とかなり高価になったことは否めない。そして奇しくも同日発表となった「Google Pixel 7a」の存在があまりに痛すぎるのだ。キャリア版でも価格差は数千円と言ったところになり、あえて選ぶ要素も薄くなってしまう。
それでも、イヤホンジャックや軽量ボディなどの"求められるところ"はしっかり押さえた堅実な商品だ。Xperia 1 Vのようなチャレンジングな製品ではないものの、堅実なソニーらしさを感じると商品となるはずだ。