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iPhone 8 PlusはiOS17のアップデート対象外へ。最後の5.5インチiPhoneがここで潰える。機種変更先が見つからず「難民化」も

 Appleは日本時間6月6日。iPhone向けとなるiOSの最新バージョンにあたる「iOS17」を発表した。様々な新機能が追加される一方で、iPhone Xなどをはじめとしたスマートフォンがアップデート対象外となった。

 

 ここで、5.5インチiPhoneとしては最後の生き残りとなった「iPhone 8 Plus」も対象外となり、後継機種の購入や検討を悩ましく思う「5.5インチiPhone難民」と呼ばれる人々が顕著になってくる。

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サポート終了となるiPhone 8シリーズ

 

iPhone 8 Plusに代表される5.5インチのiPhoneは全てアップデート対象外へ

 

 5.5インチのiPhoneは2014年発売の「iPhone 6 Plus」から始まり、2017年発売の「iPhone 8 Plus」に至る4年間にわたって展開されたシリーズだ。16:9アスペクト比、フルHD解像度となる液晶パネルを備えたこのスマートフォンは、iPhone Xが登場するまでは最も高解像度な画面を持つiPhoneとなっていた。

 また、カメラもiPhone 7 Plus以降はデュアルカメラを採用するなど、デザイン的にも特徴的な端末となっていた。

 

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iPhone 8 PlusはApple A11 Bionicを採用。3GBのメモリに加え最大256GBのストレージを備えた。無接点充電に対応するなどのトレンドも押さえており、今なお中古相場も高い。

 

 現在はベゼルレスとなった6.7インチのiPhone 14 Pro Maxなどが、その立ち位置を担っており、名実ともにiPhoneの最上位モデルとなる。

 

 

難民化の理由は画面サイズや指紋センサーの存在、後継機の価格設定も

 

 iPhone 8 Plusユーザーが乗り換え先の検討を悩ましくさせるものが、iPhoneの画面のベゼルレス化だ。一見、新型モデルは画面が大型化して視聴体験が向上すると感じるが、必ずしもそうではない。

 画面アスペクト比が16:9ではなく、19:9に近い比率の現行iPhoneでは、画面の上下が黒帯となってしまい、動画視聴に関してはサイズを活かせないものとなる。また、上下のベゼルが「横持ちで持った際の誤作動を防げる」という意味で、ゲームプレイにも地味ながら効果があった。今でもリズムゲームなどの一部コンテンツでは、横持ち時のプレイングで需要がある。

 

 この他、コロナ禍によってマスク着用が当たり前となった際に、優位に働いた指紋センサーの存在も大きい。202gとPro Maxシリーズよりも軽量な本体重量も、なかなか後継機が定まらない背景となった。iPhone 8 Plusは202gに対し、iPhone 14 Pro Maxは240gと重たいのだ。

 

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iPhone 8 Plusは今見てもスラッとしたデザインが特徴だ

 

 

 そして、ネックとなったのは後継モデルの価格設定だ。大画面iPhoneをなかなか乗り換えに至らせられない背景のひとつが、最上位となるPro Maxシリーズの値段の高さだ。

 最新のiPhone 14 Pro Maxの価格は、ストア版でも約18万円からという高価な設定だ。この価格のため選ぶことを躊躇してしまうものだ。今でこそ廉価なiPhone 14 Plusがあるが、それが出るまではこの「大画面モデル」は15万円を超える高価なラインナップとなっていた。

 iPhone 8 Plusは当時10万円前後の設定だっただけに、この設定はかなり高価だ。加えて値引き規制もあって、以前に比べて手軽に購入しにくくなった背景もある。

 

 これに加えて、iPhone 7世代で登場した「256GB」のストレージ容量も、乗り換えし難いものにした。一般にストレージが多いモノは心の余裕にもなるが、今日までiPhone 8 Plusを利用するユーザーは4〜5年近く利用している方も多い。

 そうなってくると、大容量モデルを選択した方も少なくない。なんなら「256GBでも足りない」と評価するユーザーも少なくないのだ。そうなると利用するにも、検討の最低ラインが256GBないし、512GBとなる。

 こちらについては、iPhone 14 Pro Maxの256GBモデルについてはほぼ20万円。キャリアでの販売であれば、ほぼ全て20万円を超える高額なものとなっている。


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ドコモのiPhone 14 Pro Maxの価格は22万円を超える

 

後継機は「iPhone 14 Plus」だが、完全上位互換にはならない。だからこそ5.5インチiPhone難民が生まれる

 

 乗換先の有力候補…と言っても、事実上「iPhone 14 Plus」しかないものと考える。

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iPhone 14 Plus(右側)

 

 iPhone 14 Plusは6.7インチのディスプレイを備えた「iPhone 14の大画面モデル」となる。価格は直販で12万円からとPro Maxシリーズよりは安価な設定だ。重量も203gとiPhone 8 Plusとほぼ変わらず、容量についても最大512GBが用意されている。スペックもApple A15を採用し、基本スペック向上の他、5G通信やeSIMにも対応。夜景モードが利用できるデュアルカメラを備えるなど、多くの場合はこの機種で需要を満たせるはずだ。

 

 ただ、画面比率は「Pro Maxシリーズ」と同様になり、指紋センサーやホームボタンも備えない。iPhone 8 Plusを「画面アスペクト比」「指紋認証/ホームボタン」で選び、今日まで使い続けたユーザーにとっては時代の流れといえど、受け入れ難いものがある。

 大画面iPhoneを「高価な価格」で選べなかったユーザーには、iPhone 14 Plusは助け舟となってくれるが、物理的なハードウェアで選んでいたのであればかなり難しくなる。

 このように、特徴的な端末からファンが多かったものが、ラインナップ変更や撤退を理由に後継機が発売されなくなり、機種変更先が見つからない方々をしばしば「難民」と呼ぶことがある。過去には Xperia Z Ultraを端に発する「ファブレット難民」が有名だが、この5.5インチiPhoneもある意味替えが効かないので、いわゆる「難民」が出てくる可能性が高いのだ。

 

 筆者の身近にもiPhone 8 Plusを5年以上使うヘビーユーザーがいるのだが、やはり「ゲームで遊ぶにあたってベゼルに指を置きたい」という意見をもっていた。これは後継機のiPhone 14 Plusではできないもので、ニッチながらも需要のあるものだとわかった。本人も「そろそろ出るであろう後継機を3年ほど待っていたら、先にOSのアップデートが終了すると聞いて驚いた」とコメントを残した。

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このように、遊ぶ際の指の置き場が近年のスマホにはないと嘆く

 

 その一方で、Android端末では、ホームボタンや大きめのベゼルといったアイデンティティを残したスマホはほとんどない。

 気が付けばiPhone以上のベゼルレス化が進み、物理的なホームボタンなど忘却の彼方へと旅立ってしまった。現在でもある程度のベゼルを残した機種はASUS ROG Phoneシリーズや、ニッチ需要を突くXperiaくらいなものだ。

 

 さて、この5.5インチiPhoneがOSアップデート終了となることは、かつての4インチiPhoneが同様の扱いを受けたときに並ぶ衝撃的な出来事だ。今すぐお手持ちの iPhone が利用できなくなるわけではないが、長期的に見るともう製品寿命はかなり限界に来ていると感じる。

 iPhone 8 Plusに関しては実に6年間にわたってOSアップデートが行われ、今後も重大な脆弱性等が確認されれば随時アップデートが行われる。重ねてにはなるが、今すぐ使えなくなることはないので安心してほしい。

 

 このような機種を長きに渡って使い続けたユーザーも、そろそろ買い換えを検討する時期だ。ある種難民を生み出した端末となっただけに、後継機選びは困難を極めるだろう。

 筆者としては、改めて見つめ直す機会とも捉える。これを機に、いま一度自分のスマホについて、必要なところなどを拾い上げ、機種選びに対して向き合ってみてはいかがだろうか。次回は、iPhone 8 Plus難民と化したユーザーに「iPhone 8 Plusから乗り換えられない理由」を少しばかり聞いてみることにする。

 

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