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【まだ使える?】なぜiPhone 8やiPhone XがiOS17のアップデート対象外になったのか。その理由を考えてみる。

 AppleがiPhone向けの新型OS「iOS17」を発表した。新機能の追加、各種デザインの最適化なども行われる大きなアップデートだが、iPhone 8などの端末は対象外となった。

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最新のiOS17はiPhone Xs以降から利用できる

 

 親しまれた機種でもアップデートが終了する背景として、考えられるものはいくつかある。特に"搭載メモリ2GBの壁"、"チップセット固有のセキュリティの問題"、"搭載機種の少なさとターニングポイント"は大きな要因と考えられる。

 今回はiPhone 8世代の端末である「Apple A11」チップセット搭載端末になぜアップデートが提供されないのか考えてみる。

 

iPhoneでもメモリ2GBはもう厳しい。アプリの動作にも影響か

  メモリ2GBの壁とはまさにその通りのものだ。該当機種の中ではiPhone 8があり、こちらは2GBのメモリを採用している。なお、iPhone 8 PlusやiPhone Xは3GBとなっている。近年のiOSでも多くのメモリを使用するアプリも増えたことで、iOS16環境では動作は厳しいものであった。

 これ以降に登場したiPhoneは概ねメモリ3GB以上となっていることから、今後登場するアプリや既存アプリのアップデートも"このあたり"のスペックを最低ラインとして、開発することが容易に想像できる。

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原神などのコンテンツはメモリ量も要求される

 

 これは単純にスペック的な要因でアップデートの対象外になったというものだ。スペック的に不満がないユーザーにとっては、長く愛着を持って使いたいものであるが、対象となった機種が6年落ちのスマートフォンと言われればそれまでだ。

 

iPhone 8シリーズのチップセットにはアップデートで解消できない脆弱性も

 チップセット固有のセキュリティの問題については、通称「Checkm8問題」がある。これはJPCERT/CCとIPAが運営する脆弱性情報データベース「JVN」でも公開されているものだ。内容としてはSecureROMに解放済メモリ使用(use-after-free)の脆弱性が存在するもので、物理的にアクセスできる第三者より、任意のコードを実行される可能性がある。なお、これ以降となるApple A12より後に出ているiPhoneには、上記のような脆弱性はないとしている。

 

 そのため、この脆弱性が残るA11チップセットが載った端末をこれ以上ユーザーに使わせるのは「まずい」と判断し、iPhoneについてはサポート終了となったと考えられる。ただ、iPadについては例外なのか、最新のiPad OS17にてA10/A10Xを搭載した端末がアップデート対象になっている。これについては、iPhoneとは別の枠組になっていると考えられる。

 

意外と採用機種が少ないA11、iPhone Xをはじめとした"転換期"も背景に

 

 上の2つは大きな要因になると考えるが、このほかにも「Apple A11搭載機種の少なさ」とアップルとしても、iPhoneの転換期。ターニングポイントだった点も考えられる。

 まず、Apple A11の採用端末はiPhone 8世代の3機種のみとなり、過去のA10や次代のA12に比べるとかなり少ない。これらの機種に搭載されたA11は初の独自GPUやNPU、6コア同時稼働可能なCPUコアを兼ね備えた高性能なものだった。

 

 明確な理由は不明だが、一部では歩留まりの悪さや次世代プロセス移行への過渡期であったことなどで生産数を絞っていたのではないかと指摘されている。そして、これらの機種が発売された2017年はiPhoneの発売10周年を迎える大きな転換期となった。そのため旧来のラインとなるiPhone 8シリーズと、次世代への架け橋となったiPhone Xのふたつが存在した異例の年となった。そしてこれ以降、端末ラインナップも大きく変わる形となった。

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 4.7インチのiPhone 8はナンバリングモデルとしては最後となり、以降はSEシリーズとして何度か登場している。それでも、現在は王道のラインナップではない。

 

 5.5インチのiPhone 8 Plusはこれが最後の5.5インチiPhoneとなり、以降この画面サイズを備えた端末は登場していない。

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 5.8インチのiPhone Xはまさに「次世代のiPhone」を体現する存在で、現在にも通じるデザインとなった。

 

 また、機能面でもeSIMに非対応であったり、FeliCaのバックアップバッテリーを備えないといった部分もある。この辺りのラインナップやアップデートには影響を与えたのではないかと考えられる。

 

発売から6年。過去と未来が交差したiPhone 8やiPhone Xは"まだ使える"がそろそろ限界か

 

 最後にはなるが、iPhone 8やiPhone Xは発売から6年が経過するものの、ある程度の性能を持ち合わせていることから、今もなお利用者が多いスマートフォンだ。そのため、このようにOSアップデートの終了が公表されたiPhone 8やiPhone Xといった機種を「まだ使えるのか?」「いつまで使えるのか?」と言う声はよく耳にする。

 

 極論を言えば、物理的に壊れるまで使うこと自体は可能だ。ただ、最新のセキュリティ対策が行われなかったり、利用しているアプリが動作しなくなる可能性があるなど、不安要素以前よりも増える。

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極端な話、物理的に壊れていなければ2009年発売のiPhone 3GSも今現在スマートフォンとして利用できる。

 

 ここで言う「使えるのか?」は個人の感覚に委ねられるが、筆者としてはOSのアップデートが終了する端末からは、速やかに乗り換えたほうが賢明と考える。使える使えないではなく、安心して使うために必要で大切なアップグレードだ。

 さて、iPhone 8やiPhone Xを振り返ってみれば、過去と未来が交差した。そんな時代のiPhoneであったことだ。アップデートが終了してしまうのは惜しいが、他のスマートフォンよりもはるかに長期となる6年にわたって、OSアップデートが続いたことは大きく評価したい。

 

 ただ、6年という歳月はあまりにも残酷だ。一言で言えばもう限界に達しており、最新OSへのアップデート非対応はまさにその象徴だ。6年経てばあらゆるものが変わる。小学校に入学したお子様が、卒業を迎える位の長い時間だ。

 スマートフォンだけで見ても、通信規格は5G通信対応となり、端末の性能も飛躍的に向上した。iPhone Xのような画面は進化して「Dynamic Island」と称するパンチホールカメラになった。そして今度は充電端子がUSB Type-Cなるのではないかと噂されるくらいだ。

 

 iPhone Xが出たとき、当時のユーザは誰1人とこのような未来を想像できなかっただろう。それくらいの年月が経っているのだ。そんなiPhone 8やiPhone Xだが、次回のアップデートが利用できないからと言って、今すぐにお手持ちのiPhoneが危険にさらされたり、使えなくなる事は無い。

 

 新しい機種へ乗り換える大きな目安になる事は間違いない。これを機に古いiPhoneを使っていらっしゃる方は、ぜひとも機種変更を前向きに検討してみてはいかがだろうか。

 

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