折りたたみスマホの防水性能について、近年は目覚ましいものがあるが、「罠」がある点も忘れてはいけない。今回はそんな罠について解説していこう
シャワーをかけてはいけない。折りたたみスマホの防水性能
折りたたみスマートフォンの防水には罠がある。その罠とは、防水等級が「IPX8のみしか有していない」ことだ。
防水等級はIP等級の第二数字でその性能が示され、ここには0〜8までの数字が入る。この数字は1〜6が主に対象物に水滴や水流を噴射する試験を行うに対し、7と8は対象物を水没させる試験を行う。実は6までの数字と7、8の数字では全く意味が異なる。
多くの折りたたみスマートフォンでは、防水性能はIPX8しか有していない。そのため、水没に耐える性能は有しているものの、対象物に水流を噴射する場面での防水性能は保証できない。つまるところ、端末を水風呂に沈めるのは問題ないが、端末にシャワーをかけるのはダメということになる。
よくよく考えれば不思議なもので、水没に耐えられるのに水をかけるのはダメなのか。水中に沈められるのに、なぜ防塵じゃないのかと疑問に思う方も少なくないはずだ 。
Galaxy Z Fold5はIPX8等級を取得している
Galaxy Z Fold6のオンラインマニュアルにもIP48(IPX8)の防水性能を有するとある
この理由は本体の構造にある。確かに防水性能があるなら「水中に沈めるのは問題なくて、シャワーはダメ」と言われてもピンとこないかもしれない。
これは折りたためるディスプレイが大きな要因と考える。この手の機種のディスプレイやヒンジは強い力を与えることは非推奨であり、稼働部がある以上なんらかの外力がかかると破損する可能性を否定できないのだ。
このため、仮に防水は保証できても、水流を当てた場合は製品の正常な動作を保証できない可能性があるのだ。このような理由から、防水は水没のみIPX8の認証を取得しているのではないかと考える。
また、IPX8等級は厳密な基準がないことも、この等級のみ取得している理由と考える。試験では水中に沈めることは前提としていても、水中での使用(折りたたみ動作)や電源を入れての使用は考慮されていない可能性がある。
このため、一般のスマートフォンの「防水」と同じように使用することはできない可能性があるのだ。このような部分が折りたたみスマートフォンの防水における表記の罠だと感じている。
最後になるが、今回Galaxy Z Fold6が初めてこの手のスマートフォンでIP4Xを取得した。固形物の侵入を防ぐ意味の第一数字が入ったことは大きな進化だが、これは厳密に言うと「防塵」ではない。
IP4Xは「1ミリ以上の物体が侵入しない構造」で、粉塵等のある環境で利用した場合の動作は保証できない。そのため、細かい砂などの侵入は保護しきれないものと思ってもらって良い。
IP48の防塵、防水性能を持つGalaxy Z Fold6
折りたたみのスマートフォンで防水性能。最初に付与したのはサムスンのGalaxy Z Fold3だ。それ以降 、Xiaomi、vivo、Huawei、HONORなどが続いており、フラグシップの折りたたみスマートフォンにおいて、防水性能は当たり前に備えるべきスペックのひとつとなった。
3年の期間を経て防水、防塵性能も備えて一般のスマートフォンのように使いやすくなった折りたたみスマートフォン。それでも、今まで使ってきたスマートフォンに比べると同じ防水性能を持っていてもその性能で劣る事は事実だ。
折りたたみスマートフォンは大切に使うことに越した事はないが、この夏の時期。防水の罠を頭の片隅にでも置いておくと、より安心して利用できるはずだ。