IDC Japan 株式会社は国内の従来型携帯電話およびスマートフォン端末の2024年第2四半期(4~6月)の出荷台数を発表した。2024年第2四半期における国内市場の携帯電話端末の合計出荷台数は、前年同期比5.6%減の690万台。そのうちスマートフォンの出荷は685万台(前年同期比5.5%減)と発表した。
また、本四半期のスマートフォン出荷台数をベンダー別に見ていくと、Appleが361万台(シェア52.4%)でトップ、2位は74万台(同10.8%)のシャープ、3位は58万台(同8.5%)のGoogle、4位は49万台(同7.2%)のXiaomi、同じく49万台(同7.2%)のサムスンとしている。
この順位はスマートフォンの出荷台数のため、廉価端末を多くラインナップしているメーカーが有利になる点に留意が必要だ。
注目すべき点は2位のシャープと4位のXiaomiだ。シャープは出荷台数が74万台で2位につけた。同社はこの四半期において新機種を投入しておらず、この数字は既存機種の販売シェアで積み上げてきたものだ。
国内大手4キャリアに供給できる「強さ」はもちろんのこと、AQUOS sense8やAQUOS wish3といった既存機種の人気の強さも現れている。3位以下のメーカーが新機種投入で注目度を高めた状態で数字を積み上げた中、既存機種だけでここまで積み上げた点は評価したい。
7月に発売したハイエンドスマートフォン「AQUOS R9」は10万円台の価格に抑えたことで、市場からの関心も高い。エントリーモデルのAQUOS wish4を含め、好調を維持したまま第三四半期のシェアにも注目したい。
IDC Japanでは国内メーカーが勢いを失う中、シャープが以前と同水準の出荷量を保っていると分析している。
デザインが一新されたAQUOSの2024年モデルにも期待していきたい
4位のXiaomiは中国メーカーとしては制裁前のファーウェイ以来のランクインとしており、前年同期比464.4%の成長を示している。
Xiaomiの場合は5月にau/UQ mobile向けに投入した「Redmi Note 13 Pro」に加え、昨年からヒットを飛ばす「Redmi 12 5G」の存在がシェアを押し上げた大きな要因と考える。
特にRedmi 12 5Gはかなり好調な端末で、大手キャリアを中心に多く販売されている。このセグメントでは珍しい256GBの大容量版を備える点もプラスに評価できる。
今年はリアルイベントを多く開催したり、フラグシップの「Xiaomi 14 Ultra」やコストパフォーマンスモデルの「POCO F6 Pro」を日本に投入するなど、メーカーブランドの告知と廉価スマホ中心のラインナップから脱却を図っている。
IDC JapanではXiaomiがメディアなどの露出で認知度が高まったことを評価しつつ「ドコモ向けに製品を供給していない」点に触れ、この数字の増加具合は一時的なものと分析している。
Xiaomiは渋谷のPARCOにて期間限定のポップアップストアを展開するなど、今までにない取り組みも行った
フラグシップのXiaomi 14 Ultraを日本にも投入するなど、製品も廉価帯中心のラインナップから脱却を図った
この他、3位につけたGoogleはシェアを落としつつも、5月に発売したPixel 8aの存在が後押しした。Googleは高価な機種が中心であるが、中でもキャリアで廉価販売されたPixel 7aやPixel 8の存在が出荷台数増に寄与していると考える。
IDC Japanも通信キャリアが新規獲得キャンペーンの対象製品にPixelシリーズを積極的に採用している状況に変化はなく、さらなるシェア拡大が見込まれると分析している。
5位のサムスンはシェアを落としたものの、販売する端末がGalaxy Sシリーズを中心とした廉価帯からハイエンド中心に移行。直販での取り扱いも行うなど、新しい販売市場を開拓している。
IDC Japanは販売価格の平均値が大きく上昇していることから、出荷数を維持しつつ収益性の確保に成功していると分析している。
携帯電話の2024年度第2四半期の動向をIDC Japan株式会社 Consumer Devicesのマーケットアナリストである井辺氏は以下のようにコメントした。
「2024年第2四半期の国内スマートフォン出荷は700万台を割った。この出荷水準はCOVID-19の影響を大きく受けた2020年第3四半期に匹敵する。国内市場が縮小すると、ローカルベンダーのさらなる苦戦が続くことが想定される。当該四半期はシャオミの台頭が目立ったが、モトローラなど国内で急速に出荷量を伸ばしているグローバルベンダーは多い。今後はTop5の入れ替わりが頻繁に起こるだろう」
このコメントの通り、モトローラは廉価帯の端末を中心に出荷台数を伸ばしており、ソフトバンクを中心にキャリアにも端末の供給を行っている。四半期によっては上位5社に食い込む可能性は大いに考えられる。
また、レノボ傘下となったarrowsブランドのスマートフォンを展開するFCNT合同会社の動向も気になるところだ。