ファーウェイは現地時間10日。最新スマートフォン「Mate XT ULTIMATE DESIGN」を発表した。世界初の三つ折り(トライフォールド)端末であり、展開時は10型を超える大画面を備える。価格は19999元(約40万3000円)からとし、9月20日より中国国内で発売としている。
Mate XT ULTIMATE DESIGNは展開時に10.2型という大画面のディスプレイを備えながら、それを三つ折りに畳むことで一般的なスマートフォンと同じサイズ感で利用できるとした。
展開時の画面サイズは10.2型とした。スマートフォンとしては世界最大としている
大画面を生かして複数のタスクを動かしたり、より鮮烈なメディア体験ができる
画像編集などのシーンでも大画面は生きてくる
このスマートフォンの仕組みは1枚のフレキシブルディスプレイを外折り、内折りという形で2回折りたたむ。コンセプトモデルではいくつか存在したが、製品として販売されるのは世界初だ。
ディスプレイの強度は未知数だが、Mate Xs 2をはじめとした外折りの機種、Mate X5をはじめとした内折りの機種の両方を展開している。両方式の知見を豊富に持ち合わせるからこそ、世に送り出すことのできた製品だ。
ふたつのヒンジは高い強度のメカ機構を備える。
本体の厚みは最薄部で驚異の3.6mmだ。3つ重ねても12.8mmと少し厚いスマホ程度に仕上げた。本体重量も298gと最初に出した製品としては驚異的な完成度を持つ。制裁をものともしない驚異的な技術を持つと評価したい。
本体はシングルスクリーンの状態で156.7mm (長さ) × 73.5mm (幅) × 12.8mm (厚さ) だ。画面サイズは6.4型でこの時点でも普通のスマートフォン並の厚さだに抑えた。
画面を1枚広げたデュアルスクリーンでは156.7mm (長さ) × 143.mm (幅) × 7.45mm/4.75mm (厚さ)となる。こちらのサイズは7.9型と一般的な折りたたみスマホと同じくらいのサイズ感だ。パンチホールカメラのない大画面を楽しめる。
この状態では2枚重ねた側が若干厚くなるが、Mate X2などに近いくさび型の形状のため、左側に重心が動く。左手で持った場合、見た目の割に重量は感じないものと考える。
画面を全て広げた状態だと156.7mm (長さ)×219.0mm(幅)×3.6mm/3.6mm/4.75mm(厚さ)とした。最薄部の3.6mmという驚異的な薄さを実感できることだ。
最薄部は驚異の3.6mmという薄さだ
カメラ性能もフラグシップモデルらしく高いラインに仕上げた。メインカメラは5000万画素のものを採用し、f1.4-4.0までの物理的な可変絞りと光学式の手ぶれ補正機構を備える。
超広角カメラは1200万画素、5.5倍の望遠はペリスコープ方式を採用した。構成的には同社のPura 70などに近い物に仕上げた。
画像処理はファーウェイ独自のXMAGEを採用。スマートフォンの中でも高いレベルの写真が撮影できる。
カメラ性能はフラグシップレベルに高めた
メインカメラは可変絞りを備える
望遠カメラはペリスコープ方式を採用する
バッテリーは5600mAhのものを採用する。厚さがわずか1.9mmの薄型バッテリーを複数搭載している。大画面でも安心して利用できる容量を採用したとしている。本機種では66Wの有線充電に加え、50Wのワイヤレス充電にも対応する。
バッテリーは5600mAhと大容量だ。
充電周りも充実している
プロセッサや通信周りの詳細は明かされなかったが、本機種のプロセッサにはHiSilicon Kirin 9010が搭載されていることが判明している。これはPura70 Ultraなどで採用されているものと同様で、5G通信に対応している可能性が極めて高いものだ。
OSはHarmonyOS 4.2が採用されている。次世代のHarmonyOS NEXTではないため、本機種はPura70シリーズ同様にAndroid 12ベースである可能性が高い。
ここまで大きな画面を柔軟に使えるかは未知数で、ある意味次代OSにアップデートされて以降が本機のトライフォールドという強みを発揮できるようになると考える。
天通衛星による衛星通信にも対応する
そんな世界初の三つ折りスマホ「Mate XT ULTIMATE DESIGN」だが、価格も高価になった。本機種の価格は19999元(約40万3000円)からとなっており、通常の折りたたみスマートフォンよりもさらに高価なラインだ。
筆者としても、世界初の実用的なトライフォード端末と考えればこの価格は妥当と考える。まさに持ち歩けるロマンそのものだ。
その一方、最初の実用的なフォルダブル端末「Galaxy Fold」が約24万円の価格設定をして以降、この金額を基準とした市場価値を形成した。
このように最初に出た端末が実質的な市場価値を形成するものでと考えれば、今後もこのようなトライフォールド端末の基準価格は40万円前後になるのではないかと考える。
このように高価なスマホながらも中国国内では高い関心を示しており、プレオーダーには400万を超える注文が入っている。実際に注文される数はそれよりも少ないと思われるが、この数字がファーウェイに対する高い関心度を示す指標と見ることができる。
Mate XT ULTIMATE DESIGNは40万円オーバーとプレミアムすぎるスマートフォンになった
本機種はAppleのiPhoneと同時に発表したことが大きな話題となった。変化の少ないiPhoneに対し、全く新しいスマートフォンの形を見せつけたファーウェイ。
このようなスマートフォンが一般的になるにはまだまだ時間がかかると思う。それでも、現時点で米国の制裁を受けながらもここまでの完成度で市場に投入したファーウェイの技術力の高さには驚きという言葉以外にない。
このようなロマン溢れるスマートフォンを見ると、スマホマニアの筆者としては「いちど実機を触ってみたい」と思う限りだ。