今まで聴いてきたイヤホンは300本以上!ライターはやぽんです。今回は、プレゼント企画でも好評いただいたNICEHCKのニューモデル「NX8」を提供いただきましたので、サウンドを含めてチェックしてみよう。
- NICEHCKの新作。250ドルクラスのハイブリッド型イヤホンをチェック
- 音場が広く見晴らしの良いサウンド。クセもなくジャンルを選ばないオールラウンダー
- 万人ウケを狙った完成度の高いサウンド。価格を考えてもアリなイヤホン
NICEHCKの新作。250ドルクラスのハイブリッド型イヤホンをチェック
NICEHCKは中国のイヤホンメーカーで、10年以上にわたって意欲的な製品を展開している。今回はその中でも11月20日に発売されたニューモデル「NX8」のレビューしたい。
パッケージ。本機種はダイナミックドライバー、BAドライバー、PZTによる3種類のドライバーを組み合わせたハイブリッド型だ
本体はパープルのフェイスプレートに、3Dプリンターで成形したシェル。比較的小型なので耳への収まりは良い。
付属品はケーブル、イヤーピース、キャリングケース
ケーブルは2Pin規格
イヤーピースは通常のものに加え、液体シリコン製のものも付属する
音場が広く見晴らしの良いサウンド。クセもなくジャンルを選ばないオールラウンダー
NICEHCK NX8は同社のNXシリーズの最新作ながら、他社のフラグシップクラスのイヤホンと同様の構成に仕上げた商品だ。ドライバー構成は1DD/6BA/1PZTの計8ドライバーのハイブリッド構成となっており、フラグシップクラスのサウンドハードウェアとしている。
低域用のダイナミックドライバは10mm径。デュアル磁気回路によって磁束を高めたものを採用。振動版もチタンメッキコーティングを採用し、動作レスポンスを高めた。
構成にあるBAドライバーは片側に6機ずつ搭載。具体的なユニットの内訳は明らかにされていないが、音域的には中高音域を担当する。全てNICEHCK独自カスタマイズのBAドライバーが採用されている。
本機種はBAドライバーのほかにPZT(圧電ドライバー、ピエゾドライバー)を採用している点が珍しい。中国メーカーの機種に多いマイクロPZTと思われるが、こちらは主に超高音域を担当するとしている。
本体のシェルは3Dプリンター形成のレジンシェル。ユニット構成の割に比較的小ぶりなため、装着感は良好。耳が小さい人で、 このイヤホンが入らないという場面は少なそうだ。
ケーブルのコネクタは0.78mmの2Pin規格。いわゆるリケーブルも可能で、付属ケーブルは高純度無酸素総銅に銀コートを施したものが付属する。端子は3.5mmのほか、4.4mmバランスプラグも選択可能。イヤーピースは硬度の異なる2種類が付属し、NX8は液体シリコン製のイヤーピースとのこと。装着感などの好みに応じて使い分けることが可能だ。
そんなイヤホンを早速聴いてみることにする。今回のレビューにて使用するプレイヤーはMOONDROP MIAD01だ。今回は4.4mmバランス接続で使用する。試聴曲は以下の通り。
Holiday∞Holiday/スリーズブーケ
White Night! White Wish!/葛城リーリヤ、花海佑芽、藤田ことね
Dye the sky. -25 colors-/シャイニーカラーズ
私はマグネット/天王寺璃奈(CV.田中ちえ美)
スロウリグレット/田所あずさ
さて、NX8のサウンドは構成の割にバランスの取れたサウンドという印象を感じた。音場(サウンドステージ)が広く、高域の抜けもPZT採用なのか良いものだ。ここに加えて、ボーカルが一歩前に出てくるような感覚のサウンドというのが適切と考える。
ダイナミック型らしい音圧のある低域に加えて、適度な柔らかさのあるボーカル域、伸びのある高域いった形の構成となり、閉塞感などを感じさせないチューニングに仕上げている。
最初に聴いたのは「スロウリグレット」だったが、筋をしっかり捉えるボーカルの表現に納得させられる。艶やかな表現といった「聴かせるタイプ」ではないが、解像感は高く、複数人で歌唱する楽曲でも対象を聞き分けやすい印象だ。
ボーカルでは複数BAドライバー機でみられる特有のクセ(不自然さ)を感じにくく仕上げており、非常にうまくチューニングされているように感じる。
ここで「Holiday∞Holiday」「White Night! White Wish!」を続けて聴いてみる。解像感が高く心地の良い低域が印象的で、ボリュームを上げてもボーカル域が低域に埋もれたり、高域がうるさくならない点は気持ちが良い。
低域もしっかりと量感があり、重低音から弾むようなビートまでしっかりこなしてくれる。剛性のある振動板を採用したことによる「音色の硬さ」は感じるが、打ち込み系の楽曲であればこれを感じる場面は少ない。
特に「Holiday∞Holiday」は抜けの良さが印象的で相性が良い。月火水木金土日と毎日聴きたくなるくらい筆者としてもイチオシな組み合わせだった。
続いて「Dye the sky.」と「私はマグネット」を聴いてみる。複数人歌唱による被りもしっかり聴きとれる解像感の高さを感じる。楽器にトゲや刺さりの少ない聴きやすいチューニングではあるが、女性ボーカルについては少々刺さりを感じる場面もあった。
ここまで聴いて感じたことは、低域のビートの表現が気持ちよく、サウンドステージも広く開放感のあるサウンドだと感じた。ある意味でクセになる、感動するといった要素は少ないが、どのようなジャンルでもそつなくこなせる非常に完成度の高いチューニングと考える。
それゆえに苦手なジャンルは少なく、強いて言えば、楽器の音色や自然な空間表現を重視するクラシック音源などは苦手な部類になると思われる。それでも女性ボーカルが絡むコンテンツなら概ね対応できる製品だ。
サウンドに関しては高く評価できるイヤホンだ
万人ウケを狙った完成度の高いサウンド。価格を考えてもアリなイヤホン
ここからまとめになるが、NICEHCK NX8は250ドル(約3万8000円)の設定。サウンドについては特段クセもなく、鳴らしにくさも感じない。装着感を含めて幅広い方にオススメできる機種だと感じた。
同社には「HIMARAYA」という近い価格帯の人気モデルがあるが、それに比べると「感動」「ハマり要素」といった部分では劣る。イヤホンマニア的にはHIMARAYAのほうが面白いだろう。
その一方で、NX8のほうが好き嫌いが大きく割れない素直なサウンド。マルチウェイ機らしい解像感の高いサウンドでありつつ、低域付近のまとまりの良さはいい意味でシングルダイナミックのような感覚。しっかりと「ハイブリッド構成のイヤホン」として作りこんでいることを感じさせる。
そんなNICEHCK NX8はAliExpressで発売記念セール価格で199ドル(約2万5000円)前後の設定で販売されており、日本のAmazonでも約3万円前後の設定だ。また、NICEHCKの日本代理店である4Leafを通じて、専門店等にも販売されるとのこと。試聴もできそうだ。
一般的に見れば高価な製品だが、リケーブル対応や多くのイヤーピース、別売ノズルへの交換ギミックなどを考えれば今後の再生環境のアップデートにも応えてくれる製品だ。もちろん、ワイヤレスイヤホンのサウンドに満足できなくなったユーザーが乗り換えるにもいい機種だと考える。
せっかく買うならいい音で聴きたい。そのような意味ではスティック型のDACなども合わせて準備すると本機種の魅力をより引き出せる。そして、イヤホン側もそのような環境に対してしっかり応えてくれる。NICEHCK NX8はそのような製品だ。
提供:NICEHCK
https://www.aliexpress.com/item/1005008113784727.html
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