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スマホのシャッター音が規制で消せない韓国。「消したい」という不満が大多数なことがアンケート調査で発覚

 日本でも賛否の別れるスマートフォンの「カメラのシャッター音」。近年ではオープンマーケットの機種を中心に”無音”にできるものが増えているものの、市場的にはまだまだ少数だ。

 一方で、世界で唯一「カメラのシャッター音」が規制によって実質的に義務化されている国があることをご存知でしょうか。

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今回はスマホカメラのシャッター音についてのコラムだ


 世界で唯一、携帯電話のシャッター音が規制されており、実質的に義務化されている国は韓国だ。韓国では2004年に盗撮等の違法撮影防止の観点から携帯電話のシャッター音が規制されており、これは今現在も継続している。

 韓国の場合、民間の業界関係者が集まった韓国情報通信技術協会が制定した基準案をもとに規制を制定しているため、厳密には法的拘束力はない。そのような意味では日本の自主規制に近いところもある。


 規制では、韓国で販売されている携帯電話は60~68dbの音量でシャッター音が鳴るように定められている。また、日本と同様にマナーモードでもシャッター音が鳴るようになっている。

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韓国版のGalaxy。中古が安い背景にはシャッター音が強制的に鳴るという理由もある

 

 そんな携帯電話のシャッター音が義務化されている韓国。この仕様が強制されていることについて、民衆はあまり良く思っていないようだ。
 韓国では2023年に、政府機関の国民権益委員会が「携帯電話のシャッター音」についてアンケート調査を行い、その結果を朝鮮日報などが報じている。この調査には約3700人が回答し「シャッター音を自分で設定できるようにしてほしい。」という意見。すなわち、規制を撤廃してほしいという回答が約85%を占めた。

 

 ここでは本来、日本でのアンケート調査を比較として出したいところだが、調べた限り携帯電話のシャッター音を題材とした調査は調査会社等のもとでは行われていない。

 

 

 

 さて、韓国でのシャッター音規制撤廃の側の意見としては、シャッター音の規制は業界関係者が集まって作った協会の規制なので、法的拘束力がないことを理由に盗撮等の違法撮影防止にはならないとし「実態にそぐわない過剰な規制」という意見がある。

 このほか「図書館等の静かな場所で使いにくい」「乳幼児やペットの撮影に困る」「講義や会議中に鳴ると集中力が削がれる」という意見が出ている。

 

 韓国ではシャッター音が鳴ることによる使い勝手の悪さなどを理由に、以前より無音カメラ(シャッター音の鳴らないカメラアプリ)が普及している。

 これに加えて海外から輸入した端末ではシャッター音が鳴らないこと、動画撮影時では無音であることから、法令によるシャッター音の義務化による不正撮影防止等の効果は薄いと指摘されていた。


 一方で「盗撮の抑止力が無くなる」「犯罪者に優位になる」「使いたい方は無音カメラアプリを入れれば良い」といったシャッター音が鳴らないことに対して否定的な意見も14%ほどと決して少なくない。近年のスマートフォンではズーム性能の進化もあり「以前よりも盗撮被害が増えるのではないか」という指摘もある。

 

 アンケートを実施した国民権益委員会はこの結果を、スマートフォン等の規制を管轄する韓国情報通信技術協会に伝達するとし、規制緩和を促す方針だという。

 これらを見ているとスマートフォンのシャッター音は、日本とほぼ同様のルールを敷く韓国でも、「シャッター音の強制」はあまりよく思われていないことがわかった。近年では国際ローミングや現地SIMを利用することで、日本や韓国で販売されているスマートフォンでもシャッター音が鳴らない状態で利用できる。海外で使うのであれば、以前ほど神経質になる必要はなくなっている。

 

 試しに韓国版のGalaxy S23を国際ローミングで香港で使うと以下のようになる。ダイアログには「韓国と日本以外の国ではシステム音量を使用して、カメラシャッターの音量を変更できます。」とある。つまるところ、日本と韓国以外ならシャッター音を鳴らさない状態で利用できる。

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韓国版のGalaxyを国際ローミングするとこんな表記が出てくる

 

 

 日本でも批判的にとらえられるスマートフォンのシャッター音を強制する仕様は、同じく規制されている韓国でも批判的な意見が多いようだ。
 筆者としてもシャッター音は無音カメラアプリ等で対策される上に、スマホでメモを残すような感覚で写真を撮るような時代にそぐわない部分があると感じる。

 これに加えAppleのiOS15アップデートでは、販売地域以外のSIMカードを挿すとシャッター音がならない仕様にできるなど、ソフトウェアの改修だけでシャッター音はどうにでもなることを如実に示した。

 日本や韓国のシャッター音の規制には法的拘束力がないことから、メーカーが利用者の利便性をとって「無音化」できれば簡単に覆ってしまう。ましてや、Appleとサムスンのツートップが大半を占める韓国市場では、どちらか一方が対応すれば瞬く間に消費者へ広がると考える。

 

 日本でのシャッター音の自主規制、韓国の規制施行から20年以上が経過した今、そろそろ時代に合わせた見直しが必要な時期なのかもしれない。

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