耳を塞がないタイプのイヤホンも近年話題だ。中でも個性的な機種を多く展開するACEFASTから新商品の「ACEFIT Air」が発売された。今回は実機を提供いただいたので、主にサウンドを中心にレビューしてみることにする。
- 耳をふさがなくても高音質!オープン型のACEFIT Airをチェック!
- オープン型ながら低域もしっかりと鳴る!初の商品ながら良質なサウンド。
- 7.5gの軽量ボディからなる軽い装着感!薄型ケースはポケットに入れても嵩張らない
- オープン型でも薄型軽量で差別化。軽い装着感を求める方にはアリ
耳をふさがなくても高音質!オープン型のACEFIT Airをチェック!
今回のACEFIT Airはいわゆるオープン型のイヤホン。Oladanceなどが得意としているジャンルの商品で、同じく耳を塞がない骨伝導型よりも高音質というメリットがある。
これまで個性的な商品を多く登場させてきたACEFASTから登場したオープン型イヤホンは、「存在しない」という感覚に挑戦するレベルの「薄型、軽量」をアピールしてきた商品だ。
本体パッケージ
カラーはブラックとホワイトを選択できる。今回はブラック
スピーカー部は大口径のドライバーユニットを採用している。ネックバンドではなく、完全ワイヤレスタイプだ
耳に触れる部分はシリコン素材を採用し、付けごこちも良い
オープン型ながら低域もしっかりと鳴る!初の商品ながら良質なサウンド。
市場競争が過熱するワイヤレスイヤホンの市場。近年、注目されるジャンルに「ながら聴き」という分野がある。周囲の環境音を聞き取りつつ、音楽や通話を楽しみたいという用途で用いられ、ランニング等のアクティビティが多いユーザーに受け入れられている。ここには、耳をふさがない骨伝導タイプも存在感を示している。
そんな中、今回の「ACEFIT Air」はイヤースピーカー方式を採用している。構造上、音質面では不利な骨伝導タイプよりも高音質をアピールした製品だ。高音質を可能にしたのは大口径のドライバーユニットと、高音質なAACコーデックに対応する点だ。
ドライバーユニットは大型ユニットを採用しつつ、1.4gという軽量化されたものを採用。振動板の振幅をしっかり確保したことで、迫力ある低域再生ができるとしている。
一般にこの手の製品では音漏れが気になるが、ACEFIT Airでは独自の空間伝導技術を採用。出音に指向性を持たせることで耳にダイレクトに届け、それ以外の部分には届きにくくしている。これはオーディオグラス等も採用する方式だ。
指向性の強いスピーカーを用いている
ACEFIT Airの対応コーデックはSBC/AACに対応。アプリから操作割り当てやイコライザーによる調整も可能で、低域の増強もできる。
ここでACEFIT Airを早速聴いてみることにする。今回の試聴環境はスマートフォンにソニーのXperia 1 VIを採用し、AACの環境で使用する。
実際に聴いてみるとオープン型の特徴である抜けの良さはもちろん、思った以上に厚みのある低域に驚く。このようなタイプの機種を利用することが少ない筆者だが、骨伝導タイプに比べると音質の差は明白だ。
音量も小さすぎることなく、むしろ「やかましい」くらいまで出せる。イメージはイヤホンよりもスピーカーなどで聴いたサウンドに近く、イヤホンオーディオとは異なる感覚だった。
どちらかと言えばイヤースピーカーに近く、インナーイヤー型イヤホンや骨伝導型のイヤホンでも体験できない解放感を味わえる。耳を全くふさがないことから「ながら」には最適な上、骨伝導イヤホンよりも高音質という点は大きなアドバンテージだ。
7.5gの軽量ボディからなる軽い装着感!薄型ケースはポケットに入れても嵩張らない
さて、音質についてはこの辺りにして、ここからは音以外の部分について書いてみる。ACEFIT Airの特徴は何といっても、片耳7.5gという軽量なボディだ。競合のOladance OWS Proが13.8g、Nothing Ear(Air)が8.1gを踏まえると、かなり軽量に仕上げた。
実際に装着してみると名前の通り、かなり軽い装着感で不快感や重量感は感じなかった。イヤーフックも柔らかく、適度な"しなり"があって装着もしやすい。
そしてケースがかなり薄い点もポイント。500円玉の直径より薄いとアピールするケースは最も厚いところでも24mmとかなり薄く、ポケットにも容易に収まるとした。実際ポケットへの収まりも良く、ワイヤレスイヤホンのケースをズボンのポケットに入れた際に感じる異物感は少ない。
薄型化したケース。どことなくどら焼きやカスタネットみたいだ
確かにカスタネットみたいだ
薄型化した関係か、USB端子は底面に
また、本機種はスポーツ等のアクティビティ向けのイヤホンということもあって、気になる防水性能はIP54等級を採用。汗等で本体が汚れても手入れが容易なのはありがたい。
装着感やフィット感については耳にかけるタイプのため、メガネを併用する場合は注意が必要。シリコン素材を採用しているため付け心地もよく、耐久面では1万回の曲げ伸ばし耐久試験をクリアしている。
バッテリーライフは連続再生6時間、ケース併用で25時間。実際に使ってみたところ5時間半でバッテリーが切れたので概ね公称値通りのバッテリー持ちだった。日常使いでは十分すぎるバッテリー持ちだ。
通話音質も良好だ。通話時は2つのマイクに加えて、ノイズ低減処理も行われる。風切り音の抑制も行われるので、ランニングやサイクリングといった用途でもクリアな通話ができるとしている。
ACEFIT Airにはマルチポイント接続機能も備える。マルチポイント接続は2つの端末との同時接続が可能な機能だ。例えば、プライベートと仕事用で携帯電話を分けて2台利用している場合、前者から音楽を再生し、後者の着信待ち受けを常時を行うことが可能だ。
オープン型でも薄型軽量で差別化。軽い装着感を求める方にはアリ
今回のACEFAST ACEFIT Airだが、所詮はながら聴きの高音質など"たかが知れている"と思ったところ、この高音質サウンドにはにいい意味で裏切られた。オープン型という特性のため、音質を求めるユーザーは少ないと思うが、アクティビティ中に耳をふさがずともいい音で楽しみたい方にはマストな選択肢だ。
また、骨伝導型と異なり、肌に直接接触しない点も差別化できるポイントだ。皮膚がプルプルするあの現象が苦手な方にとってはいい代替機器になりえる。市場想定価格は1万3000円とやや高価だが、本体の軽量さ、ケースの薄さなどは唯一無二の存在。その価値はあると実感できた。
軽い付け心地のオープン型イヤホンを求めるならアリだ
サウンドクオリティや防水性能、アプリによるカスタマイズなどの機能性などを踏まえたトータルの完成度は価格を考えれば十分。興味がある方はぜひ検討してみてはいかがだろうか。
提供:ACEFAST