こんにちは。これまで使ったスマホは300台以上。生まれはギリギリZ世代のライター はやぽんです。今回はvivoの最新スマートフォンとなるX200 Ultraです。香港にて入手できたのでレビューと行きましょう。
- ついにベールを脱いだvivo X200 Ultra。メインカメラを35mmに変更!カメラ性能を進化させたフラグシップ。
- 強力な超広角と35mmのメインカメラ。高い望遠性能も魅力なカメラスマホ
- 大容量バッテリーにフラグシップのプロセッサ。全方位に進化したニューモデル
- 進化した望遠性能。カメラスマホとして期待を裏切らない高スペック
ついにベールを脱いだvivo X200 Ultra。メインカメラを35mmに変更!カメラ性能を進化させたフラグシップ。
昨年発売されたvivo X200 Proは、望遠カメラに2億画素の大型センサーを備え、高い望遠性能を見せつけた。この望遠性能は最上位モデルへの期待感をグッと高めた。その後に多くのカメラ特化スマホが登場したが、今回vivoは中華勢における今世代の「トリ」を務めることになりそうだ。
vivoのUltraはメインカメラを換算35mmに変更するなど、全く新しい機種へと進化した。従来と同じくドイツの光学機器メーカー「ZEISS」のレンズとT*コーティングが採用されている。独自チップにあたる「V3+」を搭載するなど、マニアの間でも評価の高いスマホだ。
そんな最強スペックのX100シリーズを軽く超えたと好評なvivo X200 Ultra。スペックは以下のようになる。
SoC:Snapdragon 8 Elite
メモリ:12/16GBストレージ:256/512GB/1TB
画面:6.83型 WQHD+解像度
1〜120Hz対応 AMOLEDパネルカメラ
標準:5000万画素 f1.8 1/1.28型センサー
超広角:5000万画素 f2.0 1/1.28型センサー3.7倍望遠:2億画素 f2.27 1/1.4型センサー
フロント:5000万画素
vivo V3+チップ搭載
vivo VS1チップ搭載
バッテリー:6000mAh90W充電対応、40Wワイヤレス充電
リバースチャージ対応Android 15/Origin OS 5.0
本体デザインはカメラを意識したもの。ハイエンドスマホでは珍しいIP69の防水に対応しており、温水を噴射したテストをクリアしている。メーカーの説明では-20度の低温環境でも安定して動作するなど、過酷な環境にも耐えうるスペックだ。撮影の幅も普通のカメラに比べてグッと広がる。
今回はレッドをチョイス。競合するXiaomiの上位モデルはビーガンレザーを採用するが、こちらはガラス筐体
静電方式のシャッターボタンも備える。iPhoneのようなスワイプ操作の露出動作に加え、シャッターの半押しにも対応する
強力な超広角と35mmのメインカメラ。高い望遠性能も魅力なカメラスマホ
カメラ性能が大幅に強化されたvivo X200 Ultraだが、カメラハードウェアについてはざっくりと以下のようになる。
超広角:5000万画素 f2.0 1/1.28型センサー
メイン:5000万画素 f1.8 1/1.28型センサー
3.7倍望遠:2億画素(最大100倍ズーム) f2.27
vivo X200 Proに引き続きZeiss T*コーティング、Zeiss APOを冠する高品質な望遠レンズが採用されている。最上位のX200 Ultraではカメラ構成の変化、望遠性能の強化がアピールポイントとして紹介された。
特にメインカメラは換算35mmの仕様に変更されており、5000万画素、1/1.28型のセンサーを採用。一般的なスマートフォンでいう1.5倍の画角がメインとなるため、少々寄った画角となる。日本ではnubia Z70 Ultraにて採用された構成だ。
一般的なスマートフォンの画角は超広角カメラがカバーする。こちらも1/1.28型のセンサーを採用しており、光学式手ブレ補正も備える。超広角カメラとしては異次元レベルに強化されており、メインカメラと大差ない仕様。
そのため、本機種の超広角カメラはサブではなく、メインカメラと合わせて「 換算14〜70mmまでカバーできるメインカメラ」という考え方だ。
望遠カメラには2億画素のセンサーを採用。センサーサイズも1/1.4型と潜望鏡方式の望遠カメラを持つ。スマートフォンの中では現時点で最大のサイズだ。
従来比でf2.27とレンズが明るくなったことで、夜間撮影やステージモードでの精度が向上した。これに加え一新されたレンズコーディング。独自チップセット「V3+」に加えて「VS1」の存在が従来機との違いとなる。
そんなvivo X200 Ultraの作例は以下に掲載する。全て撮って出しの無編集だ。
今回のスマホもきれいに撮影できるカメラを備える
vivo X200 Ultraで撮影すると、明暗差のある場所でも白飛びを抑えて撮影できる。細かい看板などを見ても、HDR補正がかなり強烈に効いていることが分かる。X100 Ultraで感じた「塗り絵感」も抑えられているので、順当に進化した。
写真の良し悪しについては読者の好みに任せるが、全体的に「目が覚めるような写り」に仕上がっており、一発で綺麗に撮れるスマートフォンらしい進化を遂げたと評価したい。
vivo X200 Ultraは独自のISPとなるvivo V3+チップに加えてvivo VS1チップを搭載している。このプロセッサはSoC標準のISPでは難しい処理、時間のかかる処理を補完する形で撮影が可能だ。
V3+では夜景などの低照度環境やライブ等のイベントで演者を撮影する際に優位に働く「ステージモード」などに。VS1ではSoCに撮像信号が入る前段階でノイズ処理などを行うとしている。
超広角カメラが大きく進化した。一般的なスマートフォンの画角を担うため、基本性能も高い。光学式手ぶれ補正を備えるたことで、手ブレを抑えて撮影しやすくなった
また、X200 Ultraにはフードモードも備わっている。複数のカメラを用いて被写界深度合成を行うことで「過度にボケない」撮影が可能。これによって「過度なボケ」を抑えている。
料理も美味しそうに撮影できる。
vivo X200 Ultraの望遠カメラは85mm相当の3.7倍望遠。2億画素のイメージセンサーを採用し、高品質なレンズの採用と処理アルゴリズムの改善でズーム性能は大きく向上した。
レンズは「Zeiss APO」を冠する高品質なレンズを採用。f2.27と明るくなり、レンズ自体も従来より高品質なものに仕上げている。
そんなvivo X200 Ultraの望遠性能は見事だ。
発表会は460mm相当の20倍まで劣化を抑えて撮影できるとしているが、その謳い文句は確かなもの。デジタルズームとはいえ、高画素センサーを存分に活かしてディテールをしっかり残している。
このズーム性能を生かした機能がテレマクロだ。vivo X200 Ultraの望遠カメラは最短撮影距離が10cmと寄れる構成であり、高画素センサーを生かしたテレマクロが撮影できる。
2億画素カメラを生かしたテレマクロ性能は圧巻で、植物からモノ撮りまで幅広く対応できる
ここまで見ても、スマートフォンの望遠カメラながら、高い解像感と広いダイナミックレンジを持っていることが分かる。場面によっては強烈な補正も入るが、HDRを過剰に効かせたものにはならない印象だ。
1倍(標準カメラ)
3.7倍(望遠カメラ)
望遠カメラ(10倍ズーム)
望遠カメラ(30倍ズーム)
望遠カメラ(50倍ズーム)
デジタルズームの補正に関しては、前作のX100 Ultraを凌駕する進化を遂げた。10倍クラスはもちろん、30倍クラスでも強烈な補正で高いクオリティに形に仕上げてくる。
多くの場面では10倍クラスまでは十分、昼間なら20倍でも利用できるシーンがある。30倍までは記録用としてもSNS投稿用に残せるクオリティだ。
一方で航空機などの動きの速い被写体はマルチフレーム合成の関係かAIの補正が追いつかず、撮影こそできるものの決定打に欠ける。このあたりはOPPO Find X8 Ultraに軍配が上がる。
このような場面での打率はあまり高くない。
Xperiaのような感覚で撮影できる「ZEISSナチュラルカラー」も引き続き搭載されている。こちらの処理は中華メーカーに多い派手目で明るいものではなく、ナチュラルカラーというだけあって見た色に近い処理となっている。
ZEISSナチュラルカラーは自然な感覚で撮影できる
独自のvivo V3+、VS1チップの真価を発揮するのは夜間撮影、明暗差のある場所での撮影だ。これらの写真は夜景モードにて撮影しており、自然なホワイトバランス処理の優秀さ、白飛びしないように丁寧に処理されていることがわかる。
筆者が大好きなサイバーパンクモード。香港や深センといったロケーションで撮るなら味が出る
vivo X200 Ultraは新たに「クラシックネガ」というモードが追加。ネガフィルムのアルゴリズムを取り入れたもので、こちらも綺麗に撮影できる
vivo X200 Ultraでは「さすがvivoのスマートフォン」と思わせる長時間露光を生かした撮影モードが充実している。フォトスタイルを変えるだけで簡単に光の軌跡を描いたりできる。
他にも被写界深度合成機能や星空撮影モードなど特徴的な機能をいくつも備える。詳細な使用感はSNS等で追って更新したい。
そして、Xiaomi 15 Ultraのストリートショットなどに近い機能がvivo X200 Ultraにも搭載されている。それが「Humanisticモード」だ。
こちらは通常カメラアプリのシャッターボタンの下からスワイプするとUIが変更され、露出などを調整しやすくなる。14mmの超広角から85mmの中望遠を主体とした撮影方法になる。
Humanisticモードではプリセットも可能。モノクロやエモい質感も出すことができる
合わせて、動画撮影性能も強化された。Pro手振れ補正やDolby VISIONモードがある。V3+チップの強烈なリアルタイム補正で4K30fpsまでは夜間でもHDR補正が入ったまま撮影が可能。
また、超広角、標準、望遠の3つのカメラを4K 60fpsの設定でも撮影中にシームレスに切り替えることができるなど、動画用スマホとしても優秀な仕上がりだ。
今回はメーカーのオプションでカメラグリップ、超望遠テレコンレンズも用意されている。カメラグリップはXiaomiのPhotography Kitよりもグリップが深く、カメラとして使いやすいと感じた
大容量バッテリーにフラグシップのプロセッサ。全方位に進化したニューモデル
vivo X200 Ultraの核となるプロセッサーはSnapdragon 8 Eliteを搭載。高い性能はもちろん、AI処理性能やISP性能をはじめとした画像認識、画像処理部分の性能も前作より向上している。
メモリは12または16GBと必要十分ながら、最大で16GBの仮想メモリにも対応している。ストレージの最低容量が256GBとなっており、写真や動画を撮るのが売りのスマートフォンなだけに、ありがたいものだ。
高性能なゆえに発熱が気になるところだが、X200 Ultraでは冷却機構が改善され、大型の面積をもつVC(ベイパーチャンバー)が採用されている。このおかげもあって「本体やフレームが極度に熱くなる」ということは少なくなっている。
発熱しても本体の背面がジワジワと暖かくなる程度だ。また、原神ではアップスケーリング機能も利用でき、高性能を生かしてより高画質に描画することができる。
原神よりも高負荷な学マスも問題なしだ
vivo V3+チップにはカメラに直結するISP性能以外にも、描写フレーム補完といった描画面の機能も備えるなど、よりSoCに近い存在となっている。動画視聴やゲームプレイなどでは恩恵を得られるはずだ。
実際にゲームをいくつか遊んでみたが、性能が高いこともあって動作には全く困ることはなかった
画面サイズは6.83型のAMOLEDパネルを採用。画面解像度はWQHD+とハイエンドスマホらしいものになっている。画面輝度はピーク時で4500ニトとかなり明るいものが採用され、屋外でも高い視認性を確保している。
画面はピーク輝度4500ニトの明るいものが採用されている
本機種はフラットディスプレイを採用。大きさ的にはXiaomi 15 Ultraクラスとなるため、持ちやすさの点で評価は割れるだろう。
搭載するAMOLEDパネルは120Hzの高フレームレート対応をはじめ、色帯域カバー率も高く主流な機能もしっかり押さえた高品質なもの。LTPO制御も新世代のものが採用され、1~120Hzまでフレキシブルにリフレッシュレートを変化させつつ消費電力を抑えることが可能だ。
サウンド関連では。X200 Ultraはステレオスピーカーを採用。物理的なチャンバー容積が大きくなり、低域もしっかり出せるようになっている。HONOR Magic 7 Proなどには劣るものの、従来のXシリーズと比較してかなり音はよくなった印象だ。
バッテリーはBlueOcean Batteryという半個体電池を採用。6000mAhと大容量ながら本体容積を抑えることに成功している。大容量バッテリーを積んでいるものの、別途独自チップをが2つも載せている関係か、カメラをメインで使ったときは思ったほど電池持ちは良くない。
UIはOrigin OS 5.0を採用。仮想グラフィックカード機能などを備え、表示するフレームレートの安定化を図っている。中身はAndroid 15ベースだ。新機能としては、AOD画像のAI生成もできるようになっている。
進化した望遠性能。カメラスマホとして期待を裏切らない高スペック
vivo X200 Ultraは期待を裏切らない仕上がりだった。中国メーカー各社がカメラ性能を重視した機種を展開しているが、vivoは暗所性能と望遠性能、テレマクロ性能にかなり重きを置いたスマートフォンと感じた。
スマートフォンのレギュレーション内であれば現状頭一つ抜けた存在ではあるが、万能とは言い切れない。これは基本性能の高いカメラハードウェア、卓越したソフトウェア処理があっても、まだ最適化されきれてないことが挙げられる。
夜景モードの多様さ、ZEISSナチュラルカラーの採用は大きい。前者は夜景などではすでに評価の高いvivoを押し上げるものに。後者は彩度高めの中華スマホのチューニングと異なる絵が出せる点で差別化されている。
今回はクラシックネガフィルム調のモードも特徴で、これもXiaomiのライカチューニング、OPPOのハッセルブラッドチューニングとの差別化と捉えることができる。
V3+チップ並びにVS1チップを用いた高度なコンピューテショナル・フォトグラフィーを駆使した「目が覚めるような美しい撮影体験」は最上位のX200 Ultraが持つ特権だ。
動画撮影時の手振れ補正の優秀さをはじめ、オートでもマニュアルでも遊び要素のあるとても良いスマートフォンだ。
そんなvivo X200 Ultraは基本スペックも妥協なきハイエンド。Snapdragon 8 Eliteに加え、画面も高輝度なAMOLEDパネル採用で隙が無い。ステレオスピーカーにIP69等級の防水防塵機能もしっかり備える妥協のないハイエンドスマホだ。
それでいて、お値段は6499元(約14万円)~という価格設定も魅力的だ。日本への直輸入なら輸入消費税などを含めてざっくり16万円ほどとなる。
惜しい点はカメラがまだ調整不足で煮詰めきれていない点。メインカメラが換算35mmと普通のスマホと異なるので、使い勝手が変わる点だ。正直慣れが必要な部分と感じる。
また、vivo X100 Ultraからの乗り換えだと、1型センサーでなくなったことを惜しいと感じることだ。この点は「過度にボケない」という副次的な効果で「使いやすくなった」と評価したい。
筆者の利用した環境が発売前の先行使用ということもあり、今後のアップデートでさらに進化する可能性もある。分かり次第追記していきたい。
カメラ特化のイメージ付けを行うvivo。正直なところファーウェイやXiaomiのような「高いカメラ性能」を十分に周知しきれているとは言い難い。事実、中国以外では苦戦しているのか、グローバル市場では最上位モデルの展開を行わない傾向が見られている。
一方で、2019年以降のvivo Xシリーズはファーウェイの「Pシリーズ」に倣ったカメラ特化の製品して確固たる地位に付けたと筆者は感じている。製品としての魅力は高いところまでもっていけているので、今後はグローバル市場にて多くの客層にアピールしていくのかが課題となりそうだ。
vivo X200 Ultraは今世代のカメラスマホの中では「ズーム性能」「夜景性能」に特化しつつ、メイン画角を35mmにして「撮影体験」に重点を置いたスマートフォンだ。
普段使いのスマホとしても、ポケットに収まるカメラとしても高いクオリティに仕上がっており、日々の写真をワンランクアップさせることができる。そのような意味でも、マニアの皆さんはひとつ手持ちの機種に加えると幸せになれそうだ。