「耳をふさがないイヤホンでも高音質」をアピールするOladance OWS SportsがMakuakeにてクラウドファンディングを実施中だ。IPX8等級の防水だけでなく、高音質もアピールしている製品だ。今回は実機を提供いただいたので、主に高音質を謳うサウンドを中心にレビューしてみることにする。
- 耳をふさがなくても高音質!Oladance OWS Sportsをチェック!
- オープン型ながら低域もしっかりと鳴る。思った以上に良質なサウンド
- 防水性能や長時間バッテリーも売り。イチオシはマルチペアリング機能
- オープン型でも高音質とスポーツ向けで差別化。IPX8防水も備えて2万円台で購入可能
耳をふさがなくても高音質!Oladance OWS Sportsをチェック!
Oladance OWS Sportsはいわゆるスポーツタイプのイヤホンだ。Oladanceでは過去にもオープン型のイヤホンを展開しており、ユーザーから高い評価を得ている。今回のOWS Sports初のスポーツタイプとなるが、同社が得意とするながら聴きイヤホンと外音を遮断しないことが求められるスポーツ等のアクティビティは相性が良く、ニーズにマッチした製品だ。
本体パッケージは大きめだ。レビュー品のパッケージは海外向けだが、日本向けには日本語が表記されたパッケージとなる
今回はイエローを選択。メーカーロゴも同一の色でデザインアクセントになっている
スピーカー部は大口径のドライバーユニットを採用している
防水仕様のため、操作ボタンは物理ボタンだ
充電端子は専用のマグネット端子だ
キャリングケースはネックタイプのため、少々大型だ。充電ケーブルも収容できる
このほかの付属品は各種説明書類だ。日本向けには日本語の説明書が同梱される
オープン型ながら低域もしっかりと鳴る。思った以上に良質なサウンド
市場競争が過熱するワイヤレスイヤホンの市場。近年注目されるセグメントに「ながら聴き」という分野がある。周囲の環境音を聞き取りつつ、音楽や通話を楽しみたいという用途で利用され、ランニング等のアクティビティが多いユーザーに受け入れられている。近年では耳をふさがない骨伝導タイプが存在感を示している。
そんな中、今回の「OWS Sports」はイヤースピーカー方式を採用している。構造上、音質面では不利な骨伝導タイプよりも高音質をアピールした製品だ。高音質を可能にしたのは大口径のドライバーユニットと、高音質なaptX HDコーデックに対応な点だ。
ドライバーユニットは楕円型のものを採用し、サイズは23mm×10mmと大型だ。これに加えて独自のアンプチップを採用。大口径ドライバーユニットもしっかり鳴らし、ボリュームも稼ぐことができるという。これらの要素によって、オープン型ながら迫力の低域再生を可能にしている。
一般にこの手の製品では音漏れが気になるが、OWS Sportsでは独自の空間伝導技術を採用。出音に指向性を持たせることで耳にダイレクトに届け、それ以外の部分には届きにくくしている。これはオーディオグラス等も採用する方式だ。
OWS Sportsの対応コーデックは、SBC/AAC/aptX/aptX HDに対応している。aptX HDはハイレゾ相当の24bit/48kHz再生も可能なコーデックだが、ひと世代前のものとなる。一方で対応機種は多く、Android 8.0以降を採用する多くのスマートフォン等で利用できる。また、現在主流のaptX Adaptive対応機種では後方互換としてaptX HDを利用できる。
本機種ではスポーツタイプとしては珍しく高音質コーデックのaptX HDに対応している点も高音質に寄与している。音質を求めない製品が多い中では立派な差別化要素だ。また、アプリからイコライジングも可能で、低域の増強もできる。そんな音にも妥協はないと触れ込みのOWS Sportsを早速聴いてみることにする。今回の試聴曲はこちら
ラブライブ!スーパースターより/FANTASTiC
機動戦士ガンダムSEEDより /Meteor-ミーティア‐
スロウリグレット/田所あずさ
今回の試聴環境はスマートフォンにソニーのXperia 1 Vを採用し、aptX HDの環境で使用する。ストリーミング環境もスマホ単独で24bit/96kHzの再生が可能で、高音質なハードウェアを備える機種だ。
試聴にはXperia 1 Vを使用する
実際に聴いてみるとオープン型の特徴である抜けの良さはもちろん、思った以上に厚みのある低域に驚く。このようなタイプの機種を利用することが少ない筆者だが、骨伝導タイプに比べると音質の差は明白だ。音量も小さすぎることなく、むしろ「やかましい」くらいまで出せる。イメージはイヤホンよりもスピーカーなどで聴いたサウンドに近く、イヤホンオーディオとは異なる感覚だった。
最初にスロウリグレットを聴いてみる。高域の伸びやかさ、ボーカルの艶やかさが伝わるサウンドだ。若干乾いた印象もあるが、塞ぎ込まれたような窮屈さや過度な濃密さと表現されるものはなく、いい意味でオープン型を意識したチューニングだ。
曲をFANTASTiCに変えてみる。低域の表現については評価したいが、50Hzクラスのベースになると低域を増強してもさすがに無理があるように感じた。それでもある程度の低域はしっかり鳴らしてくれるので、ランニング中にリズムでペースを意識するような場面では有用に感じた。
ここで曲をMeteorに変えてみる。過度に下からのベースもないため、一番気持ち良く聴くことができた。サウンドステージも比較的広い機種となるので、このような曲でも窮屈さを感じさせずに気持ちよく聴ける。
ここまで聴いてきて、サウンドクオリティはかなり高いことが分かる。どちらかと言えばイヤースピーカーに近く、インナーイヤー型イヤホンや骨伝導型のイヤホンでも体験できない解放感を味わえる。耳を全くふさがないことから「ながら」には最適な上、骨伝導イヤホンよりも高音質という点は大きなアドバンテージだ。
通話音質も良好だ。通話時は2つのマイクに加えて、ノイズ低減処理も行われる。日常用途で利用した限りでは通話相手から不快感を感じるようなことはなかった。本機種では風切り音の抑制も行われるので、ランニングやサイクリングと言った用途でもクリアな通話ができるとしている。
防水性能や長時間バッテリーも売り。イチオシはマルチペアリング機能
さて、音質についてはこの辺りにして、ここからは音以外の部分について書いてみる。OWS Sportsの特徴は何といっても、スポーツ利用を想定した高い防水性能と長時間のバッテリーライフだ。
防水性能は通常のイヤホンよりも高いIPX8等級を採用。降雨や汗などの水分を気にすることなく利用でき、使用後のお手入れでは本体の水洗いも可能だ。本体が汚れても手入れが容易なのは利点だ。防水等級的には水泳などの場面でも利用可能だが、本機種は空気伝導の製品であること。水泳をはじめとし水中での利用をメーカーは非推奨としている。
バッテリーライフは連続再生15時間だ。これは完全ワイヤレスタイプでなく、首掛け型なのも影響していると思われるが、ワイヤレスイヤホンだとしてもかなりの長時間だ。1日2時間の使用なら1週間はバッテリーが持つ計算となる。
実際に1日30分ほど通勤等で使用したが、1ヵ月ほどの利用で充電はわずか2回しかしていない。ケースに収める完全ワイヤレスイヤホンとは異なる製品だが、充電がうっとしいと感じる場面は少なそうだ。また、15分の充電で最大5.3時間利用できる急速充電にも対応する。
OWS Sportsにはマルチポイント接続機能も備える。マルチポイント接続は2つの端末との同時接続が可能な機能だ。例えば、プライベートと仕事用で携帯電話を分けて2台利用している場合、前者から音楽を再生し、後者の着信待ち受けを常時を行うことが可能だ。
本機種のように、スポーツタイプを売りにする機種でマルチポイント接続できるものはかなり少ないため、そのような意味でも貴重な存在となる。なお、マルチペアリング時はaptX接続は利用できない。
フィット感については耳にかけるタイプだが、シリコン素材を採用しているため付け心地はよい。
オープン型でも高音質とスポーツ向けで差別化。IPX8防水も備えて2万円台で購入可能
今回レビューのOladance OWS Sportsだが、所詮はオープン型での高音質などたかが知れていると思ったら、想像以上のサウンドクオリティにいい意味で裏切られた。オープン型かつスポーツタイプという特性上、音質を求めるユーザーは少ないと思うが、アクティビティ中に耳をふさがずともいい音で楽しみたい方にはマストな選択肢だ。
また、骨伝導型と異なり、肌に直接接触しない点も差別化できるポイントだ。皮膚がプルプルするあの現象が苦手な方にとってはいい代替機器になりえる。市場想定価格は2万6800円とスポーツタイプとしては高価だが、唯一無二の存在からその価値はあると実感できた。
Oladance OWS Sportsは現在Makuakeにて支援中だ。既に目標は達成しているが、お得に購入できる支援プランがいくつか残っている。記事執筆時点では24%オフの2万0360円で購入できるプランがあるため、通常よりもお得に購入できる。
サウンドクオリティや防水性能等の機能性などを踏まえたトータルの完成度はかなり高く、スポーツタイプのイヤホン単品として評価してもなかなか素晴らしいものであった。興味がある方はぜひ検討してみてはいかがだろうか。