各社からフラグシップのスマートフォンが出揃う中、その下にある「コストパフォーマンス」に優れたハイエンド端末も熾烈な争いが繰り広げられる。中でも原神とのコラボで注目を集めるOnePlusはその筆頭とも言える存在だ。
今回は今更感があるが、昨年発売されたコラボ端末の「OnePlus Ace 2」を利用できる機会があったのでレビューしてみよう。
豪華絢爛なパッケージ。原神コラボ要素をチェック
今回筆者が入手したものは人気ゲーム「原神」とコラボしたスペシャルバージョンだ。専用のパッケージと各種特典が付属する限定仕様で、発売直後は争奪戦になった。コラボキャラクターは香菱、もちろんグゥオパァーも一緒である。
パッケージは料理を入れて運ぶ桶の「おかもち」をモチーフにし、香菱のイメージカラーである赤で統一されている。取っ手はなんと金属製だ。
香菱のモチーフとONEPLUSロゴを添えて
さて、見るからにパッケージは...「ええええっ」と声が出るほどクソでかい。本当にスマートフォンなのか?と疑うほど大きく、そしてずっしりと重たい。過去に300台以上のスマホを買ってきた筆者の記憶の中でも断トツのクソでか重量級パッケージだ。
体積比なら通常のスマートフォンの10倍くらいには大きい箱だ。ちなみに端末込みの重量は実に4.2kgもあり、通常のスマホの8倍くらいの重量だ。
当初筆者は現地で在庫を確保できたら、これを深センから香港経由でハンドキャリーで持ち帰ろうとしていただけに「あの時売り切れで良かった」と思わざるを得なかった。
こんなものをハンドキャリーで運んだら腕が取れてしまう上に、飛行機の荷物棚には恐らく寝かさないと入らない。税関で「これはスマートフォン」と説明しても信じてはもらえないことだろう。
中身は原神ワールド一色だ。パッケージを開ければ璃月の街が現れ、キャラクターのイラストがお目見える
特典はなんか強そうな冊子と共に同梱される。中身はステッカー、ミニタペストリー、ポストカード、強そうな冊子、SIMイジェクトピンだ。後者はグォウパァーの意匠であしらわれ、特別感を演出する。もはやスマホというよりマニアのコレクターズアイテムだ。
見るからに強そうな冊子だ
中身の特典も充実。もはや即売会やイベント物販にでも行ってきたのかと言わんばかりだ。
ミニタペストリーはもはや掛け軸である
SIMイジェクトピンはかわいい。
本体は専用カラーの熔岩紅が採用された。レザー調のバックパネルで通常モデルとは異なる質感だ。また、本体にゲームやキャラクターのロゴ、シルエットデザインもなく、あくまでモチーフデザインという点も筆者としては好感が持てる。
オタク感を出さずとも、見る人が見ればわかるさりげなさ。こういうものが好きです
パッケージや本体だけでなく、スマホの中身もしっかりコラボ仕様だ。専用の壁紙やシステムテーマだけでなく、着信音やゲーミングモード利用時に香菱のキャラクターボイスの設定にできる。ボイスは中国版の声優さんが担当しており、ファンにとってはうれしい仕様だ。
壁紙やアイコンテーマも専用のものがプリインストールされている
ゲームモードなどのテーマもカスタマイズされている
日本や韓国※でも原神コラボスマホは発売されたが、いずれも「側だけ」が多く、中身までカスタマイズされた商品は展開されていない。筆者としては中身までカスタマイズされているこれらの機種には好感が持てる。
※韓国ではアクセサリーキットとして、超豪華なケースや各種特典がまとめられたものが数量限定で販売された。
端末は2段になった引き出し部から現れる。もちろん専用仕様だ
OnePlus Ace 2の基本スペックをチェック
さて、原神コラボの要素はお伝えしたので、ここからは普通にスマホとしての使用感をチェックする。OnePlus Ace 2を一言で示すのであれば、高い性能を持ちながらコストを抑えたスマートフォンだ。
同世代のOnePlus 11に近いコンセプトを継承しつつ、1世代前のプロセッサを採用したり、カメラ構成を変更することで最廉価構成を5万円台に抑えた。現行OnePlusの中でもコストパフォーマンスを重視したシリーズだ。
SoC:Qualcomm Snapdragon 8+ Gen 1
メモリ:12/16/18GB
ストレージ:256/512GB
画面:6.74インチ 1.5K解像度
120Hz対応 AMOLEDパネル
カメラ
標準:5000万画素
超広角:800万画素
マクロ:200万画素フロント:1600万画素
バッテリー:5000mAh
100W充電対応(約20分でフル充電可能)
OS:Android 13
大陸版:ColorOS、グローバル版:Oxygen OS
価格:約5万5000円〜(直販ストア)
今回は原神特装版のレッドをチョイス。通常モデルでは選択できない熔岩紅というカラーでレザー調の意匠が施される
ディスプレイは6.74インチのAMOLEDパネルが採用される。解像度は1.5Kで120Hzのリフレッシュレートにも対応だ。 スマートフォンでよく目にする部分は画面なので、ここを高品質なものにしているところは好感が持てる。
画面は6.74インチ 1.5+解像度のものを採用しており、コスパモデルとしてはかなり綺麗だ。
OnePlus Ace 2はプロセッサにSnapdragon 8+ Gen 1を採用してるが、今なお動作にストレスを感じる場面は極めて少ない。基本性能の高さと後述のソフトウェア発売当初でもSnapdragon 8 Gen 2端末はまだ「出始め」だったので、この性能でも何ら不満点はなかった。
強力な冷却機構のおかげもあり、原神のような高負荷なコンテンツを1時間ほどぶっ通しでプレイしても、発熱で「熱い」と感じることは少ない印象だ。優秀なプロセッサと高度な冷却設計が織りなした結果といえる
今回の原神コラボモデルはメモリ18GB、ストレージ512GBの最上位構成だ。メモリは最新のLPDDR5X規格を採用し、ストレージはUFS3.1規格だ。
また、今回レビューの中国版では、日本向けの原神も擬似的に120Hzのリフレッシュレートで動かすことができる。中国版のゲームであればこのようなことができたものも多かったが、日本向けでもできることには驚いた。
原神を擬似的に120fpsで動作させることも可能
OnePlusの端末らしく、OnePlus Ace 2もマナーモードスライダーが搭載されている。これはiPhoneのマナーモードスイッチと同様の働きをする。物理操作でマナーモードに切り替えられる点は、ユーザーにとってもありがたいものだ。
マナーモードスライダーを備える
コスパ重視モデルでもメインカメラはフラグシップ級。写りも価格を考えれば十分
カメラ性能はコストパフォーマンス重視のモデルながら優秀だ。OnePlus Ace 2はメインカメラに5000万画素のセンサーを採用。ソニーのIMX890と呼ばれるもので、センサーサイズは1/1.56型となり、並のフラグシップクラスのものが採用されている。これはOnePlus 11と同様のもので、いまでもROG Phone 8のメインカメラに採用されるものだ。
その一方で超広角カメラは800万画素、2倍望遠カメラの代わりに200万画素のマクロカメラとするなど、コストカットを行った部分が散見される。また、OnePlus 11にあったハッセルブラッドチューニングも採用されていない。
OnePlus Ace 2で何枚か撮影してみた。標準カメラでの作例は近年のOPPO系のスマートフォンらしく「くっきりとした」絵が特徴だ。フラグシップ級のセンサーを採用しただけあって、綺麗な写りだ。
超広角カメラはスペック的に劣るため、ここは妥協点だ。
夜景モードもかなり綺麗だ。
「これでいい」がしっかり詰まったハイエンドスマホ。ゲーミング重視モデル並みの機能も備えてオススメ
OnePlus Ace 2を改めて評価すると、最新のハイエンド性能までは必要としなくても、多くの人にちょうどいい機能を備えた絶妙な端末という印象だ。従来のコンセプトに沿ったところが強い印象を受けた。
Snapdragon 8+ Gen 1プロセッサや大容量メモリをはじめとした基本の性能の高さはもちろん、使い勝手の良さも高く評価できるものであった。後継のOnePlus Ace 3も含めて安くて性能の高いスマートフォンを検討している方には、十分おすすめできるスマートフォンだ。
そんなOnePlus Ace 2は発売地域によって仕様が異なる点に注意だ。中国版はColorOS、グローバル版はOnePlus 11Rの名称でOxygen OSとなる。操作感は大筋で同じだが、細かい仕様が一部異なる。従来のOnePlusのようなものを求める方は、グローバル版を購入すると良いだろう。
※グローバル版では原神を120fpsで動かすことはできない。
さて、OnePlusをサブブランドとしたOPPO。今後は、この「OnePlus」をvivoの「iQOO」やXiaomiの「Redmi」といったラインと競合させるラインナップとして展開してくものと考える。これはフラグシップとは別口のコストパフォーマンス重視のハイエンド端末だ。
事実、OnePlusのAce シリーズはvivoのiQOO Neoシリーズに近い側面を持ち合わせている。ゲーミングスマホに近い側面を持ちつつも、コストパフォーマンスに優れたラインナップだ。そのような機種と真っ向勝負できる機種がOPPOにはなかったこともあり、いい方向に進み始めたと言って良いだろう。
そのため、OnePlus Ace 2はどちらかと言えば、かつての「OnePlus」が持つイメージに近いものとなる。「GalaxyよりいいものをGalaxyより安く」の言葉通りになっている商品だ。実際、競合するGalaxy Sシリーズの「FE」を冠する機種と比較すると、画面性能などで勝っている面も多い。
そんなOnePlus Ace 2の価格は約5万5000円から、フルスペックの原神モデルでも約7万4000円だ。スペックを考えればかなり安価な設定だったが、これは後継のOnePlus Ace 3にも引き継がれている。
人と違う少し個性的なスマートフォンはもちろん、フラグシップクラスの性能を求めるユーザーにもOnePlus Ace 2はおすすめの1台だ。特に原神版はクソデカパッケージと香菱たちの世界観を味わえ、通常版にはない圧倒的な所有感を満たしてくれることだろう。