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iPhone 15 Proが実質12円だが、総負担額は3万円超え?ソフトバンクの新トクするサポート(プレミアム)の仕組みを解説。

 ソフトバンクの機種購入プラン「新トクするサポート(プレミアム)」が話題を呼んでいる。なんでも、iPhone 15 ProやPixel 8 Proといったフラグシップモデルを1年間は実質12円で利用できるという。今回はこの施策がなぜ可能なのか考えてみよう。

 

 

iPhone 15 Proは本当に現行法内で実質12円が可能なのか。考えてみる

 

 最初に説明するが、今回の実質12円はあくまで機種料金のみで、最終的な総負担額は計算してみると3万円を超える可能性もある。過度にお得な話には必ず裏があるのだ。

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どちらも高価な端末だ

 

 それを踏まえて、値引きの仕組みを解説しよう。まず、ソフトバンクのiPhone 15 Proの定価は18万5760円だ。実のところ、従来の機種割引や端末値引き(価格改定)は一切入っていないため、「値下げ」はされていないのだ。

 ここで端末を48分割の「新トクするサポート(プレミアム)」というプランを適用して、1年後に返却すると最大36ヶ月分の料金が減免になる。こうすると、iPhone 15 Proの場合残金は4万3992円となる。

 ここに法改正された最大4万4000円の契約時割引を利用すると残金が12円となり、上記の通り1年後に返却すれば負担額は12円になるというものだ。ちなみに本体の値引きは一切行っていないため、いわゆる「投げ売り」「白ロム割」には該当せず、おひとりさま1台限定といった制限もない。

 

 さて、18万円の端末が12円で使えるからくりは「新トクするサポート(プレミアム)」というプランにある。実はこの施策、1年目の料金を毎月3666円とし、12か月払いで4万3992円。後半36ヶ月は3938円として、総額は18万5760円と本体が特別値引きされているわけではない。

 前半の1年間に回線値引きの4万3980円を組み込むことで、実質12円を提供できるようにした。直営店のほか、全国の量販店などでも中心に行われるものとみられる。

 

 それで計算してみると、値引き後が金額は14万1780円だ。この金額では従来の1円スマホは困難であり、やはりiPhone 15 Proで毎月1円スマホは成り立たない。

 それでも1円スマホとして仕立てるには、回収した際の残価で調整をかけているのだ。この手のプランが1年で返却としている理由は、端末の1年後の中古相場金額(概算13万円前後)を上記の回線値引きにプラスしていると考える。

 

 中古相場の根拠はiPhone 14 Proのものと考える。記事執筆時点でもiPhone 14 Pro 128GBの中古美品はイオシスで13万2800円、ムスビーなどでも13万円前後の価格となっており、金額面では納得がいく。iPhone 15 Proは投げ売り等で市場に出ないことから高止まりするという予測なのだろう。

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イオシスの相場を見れば、iPhone 15 Proの1年後残価が13万円の設定には納得がいく

 

 さて、前述の残価を概ね算出してみたが、それでも計算は合わない。確かに、ソフトバンクのiPhone 15 Proの定価18万5760円から回線値引きの4万3980円と残価の13万円を差し引くと1万1780円が残る。やはり、普通の割引や残価設定だけでは実質12円にはできないのだ。

 

 

実質12円にするには「保証パックの継続加入」と「早期返却利用料」の支払いが別途必須。

 

 

 前述の通り、残価設定込みでも18万円のiPhone 15 Proを実質12円にすることはできず、1万円ほど溢れてしまうのだ。そこで、ソフトバンクでは「必須の保証パックに継続加入」「早期返却利用料」が別途必要な形をとった。これは機種料金には含まれないオプション料金だ。

 

 特に早期返却利用料の支払いはなかなかのもので、1年で返却する場合は「早とくオプション利用料」として最大1万2100円が別途必要だ。この早期返却利用料は機種料金ではなく、別途必要なオプション料金という扱いだ。

 ここでうまい具合に残価を調整しているものと思われる。一方で、本体を破損した状態で返却する場合は一律2万2000円が別途請求される。

 

 確かに、iPhone 15 Proの場合は早期返却利用料を満額で支払うと、本体料金は若干のマイナスになる。「回線値引き」+「機種の残価」+「早期返却利用料」を合算して本体料金を上回る数字なら、機種料金を実質12円にしても法令違反ではない。

 

 もちろん、4万4000円以上の値引きや別途特典にあたる利益供与はしていない。法律の隙間でも攻めたわけではなく、同社が展開するiPhone 15の1年間12円プランに加入必須の保険と早期返却利用料が別途ついただけである。

 

 保証パックの継続加入については筆者は感心してしまった。このプランを利用する場合は「安心保証パック」なる事実上の保険への加入が必須だが、このような返却前提の端末を乱雑に扱う方は少ない。

 1年と利用期間が短期なら破損リスクも低いことから、実質的に保証は使用せずに返却する方が多いはずだ。そのため、返却型プランと保証パックの継続加入の組み合わせはとても相性が良い。

 

 また、保証パックと絡ませることで、端末単体購入や機種変更でも別途利益を稼げる構造にシフトしている。あくまで「お得に使う」なら必要で、割引が不要なら契約する必要はない。

 ちなみに、iPhone 15 Proの場合は、保証パックは月額1740円の13ヶ月。合計で2万2620円が必要だ。ハイエンド機種が対象のため、基本的にこの保険の価格は高額になりがちだ。

 

 また、短期間の利用で回収してリユース店と取引したり、自社販路で「リファビッシュ品」として展開すれば、総務省のいう「中古市場の活性化」にもしっかりアピールできる。国の方針にも寄与できる形だ。よく考えられている。

 

 

負担額は3万円超えのケースも。「保証料」と「早期返却利用料」の存在が実質12円にならない理由

 

 一方で、最初に説明した総負担額が12円にならない理由が保険の継続加入料金と早期返却手数料の存在だ。これによって、消費者にとってはややこしいプランになった。

 iPhone 15 Proの場合、確かに機種料金は1年間で12円だ。この他に加入必須の保証プラン料金が毎月1740円なので、13ヶ月目までなら合計で2万2620円がかかる。

 機種料金を12円で抑えたいなら別途早期返却利用料も必要だ。機種によって異なるそうだが、iPhone 15 Proの場合は1万2100円だ。実質負担額は保険料と合わせて3万4732円となる。残念ながら実質12円にはならないのだ。

 

 今までの実質12円とは異なる料金体型なので、注意が必要だ。安易に店舗ポップに惑わされず、料金案内をしっかり確認することが今まで以上に大切になってくる。

 また、店頭での対応になるため、必然的に3300円の事務手数料もかかってくる。そのため、実質的な負担額は以下の通りになる。

 

 

iPhone 15 Pro(128GB)

定価:18万5760円

前半1年:4万3992円、後半3年総額14万1768円

(新トクするサポート(プレミアム)にて13ヶ月目で端末を返却すると、後半3年分の支払いが不要)

 

回線契約割引:△4万3980円(前半1年に適用)

機種代金:実質12円(1年で返却)

契約時店頭事務手数料:3300円

 

返却時別途必要

 

保証の継続加入:1740円×13ヶ月=2万2620円

早期返却手数料:1万2100円

 

総負担額:3万8032円

 

 ここまで見てみると、あくまで機種代金が事務室12円であって、総負担額はその3000倍以上だ。安いように見えて、意外と安くないと思われる方もいることだろう。

 

 Pixel 8 Proの場合も同じ12円だが、こちらは保証プランの料金が月額990円となるので、総額は1万2870円と少し安くなる。早期返却利用料の1万2100円。事務手数料を含めれば実質負担額は2万8270円となる。

 

 もっとも、ハイエンド端末を1年で乗り換えたいユーザーにとっては従来プランよりも負担額は安くなっている。どちらかといえば、長期で端末を利用するよりも、高価な端末を短期スパンで乗り換えたいユーザー向けのプランになるだろう。

 

 さて、ソフトバンクのハイエンドスマートフォンですら1年間12円で利用できる新トクするサポート(プレミアム)は4月18日より利用可能。対象機種としてはiPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Max、iPhone 15 Plusのほか、Android スマートフォンではGoogle Pixel 8 Pro、ソニーのXperia 1 V、シャープのAQUOS R8 proのほか、今週発売のLEITZ PHONE 3でも利用できる。また、iPhoneとPixelは全ての容量でこのプランが利用できるようになっており、高価だった端末をお得に利用できるようになっている。

「新トクするサポート(プレミアム)」を4月18日に“ソフトバンク”で提供開始 | 企業・IR | ソフトバンク