数多くのカメラ特化スマホが登場しているが、グローバルで存在感を示すHONORも新製品を投入してきた。今回はHONORのフラグシップスマートフォン「HONOR Magic 6 Pro」のレビューといきましょう。
今回は中国にて購入したものを、現地で開通して日本に持ち込んだ状態で利用する。
- 誰でも簡単に、綺麗に撮れる。可変絞りでさらに進化したカメラ。
- 高性能カメラ以外もしっかり進化。独自チップも備えるHONOR Magic 6 Pro
- HONORらしい技術開発と価格も強み。グローバル版も期待
誰でも簡単に、綺麗に撮れる。可変絞りでさらに進化したカメラ。
HONOR Magic 6 Proのデザインを見て、まず目が行くのは特徴的な大型の背面カメラだ。5000万画素のメインカメラを採用し、5000万画素の超広角カメラ、1億8000万画素の望遠カメラを備える。
また、メインカメラは可変絞りを備えf1.4とf2.0に切り替えられる。絞り羽を備えるタイプのため、光芒も表現できる。アップデート次第でf4.0などもできそうなハードウェア構成だ。
リアカメラは3眼だ。
そんなHONOR Magic 6 Proによる作例は以下の通り。全て撮って出しの無編集の状態だ。
HONOR Magic 6 Proの写りを見て感じるものは、HDR補正が大きく入り、白飛びがかなり抑えられていることが分かる。加えて彩度が高く鮮やかな点も特徴だ。SNSに投稿した際も目に付きやすい印象的なものだ。
Falconと銘打つカメラは動体撮影に強いことをアピール。今作ではAI補正も取り入れて早い動きも捉えられる。特に料理の写真はかなりきれいに撮れるものに仕上がっており、飯テロカメラと呼ばれる分野においてはトップレベルのスマートフォンだ。
超広角カメラは優秀だ。13mm相当という広角で撮影が可能で、ほかのスマートフォンよりもダイナミックな画角での撮影が可能だ。
望遠性能も優秀だ。光学2.5倍、換算68mm相当だが、イメージセンサーは1億8000万画素(2億画素の切り抜き)を採用し、10倍相当までは劣化を抑えて撮影できる。
明るい場面なら一般的な実用域において、問題ないくらいのクオリティで撮影できる。その一方で10倍を超える場面や極度に暗い場面では補正が難しくなるようだ。
HONOR Magic 6 Proでは最大で100倍望遠まで可能だ。また、30cmの距離まで寄れるテレマクロ性能はかなり優秀な部類だ。
夜景モードは白飛び知らずとも言える強烈な補正で、比較的綺麗に撮影することができる。一方で場面によっては、補正がうまくいかずフレアやノイズが目立つ描写もいくつか見られた。今後のアップデートや次回以降の機種に期待したいところだ。
可変絞りを備えるため、光芒を演出することができる
さて、このスマートフォンでは「マニュアルモード」の内容がかなり少ないものになる。基本的なスマホカメラの考え方である「誰でも簡単に綺麗に撮れる」という点にすごく注力して作られているのだと感じる。
高性能カメラ以外もしっかり進化。独自チップも備えるHONOR Magic 6 Pro
HONOR Magic 6 Proに関しては大型センサー搭載による高性能なカメラに注目が行きがちだが、画面性能なども評価したい。ざっとスペックを書くと以下の通り。
SoC:Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3メモリ:12GB
ストレージ:512GB(グローバル)
画面:6.81インチ FHD+ OLED LTPO対応
カメラリアカメラ
メイン:5000万画素 1/1.3型センサー 27mm相当 f1.4-2.0 8Pレンズ OIS
超広角:5000万画素 13mm相当 f2.2
望遠 :1億8000万画素 68mm相当 f2.6 OIS
フロント:1200万画素
別途D-tofセンサーあり
OS:Magic UI 8.0 Android 14
バッテリー:5100mA/h
66W急速充電
無接点充電対応
プロセッサにはQualcomm製の最新プロセッサとなるSnapdragon 8 Gen 3を搭載し、今年のハイエンド機らしいところはしっかり押さえている。搭載メモリも12GB、ストレージを用いた仮想メモリ「HONOR RAM Turbo」によって7GBの容量を追加可能などと必要十分だ。
実際に使ってみるとハイエンド機というのもあって動作にストレスは感じない。よほどのことをしない限り発熱で「熱い」と感じることは少ない印象だ。GPU Turbo Xというゲーミング性能向上オプションも備えており、この辺りはファーウェイ由来のものだと感じられる。
画面は6.8インチのものが採用されている。LTPO対応の有機ELパネルが採用されており、リフレッシュレートを1〜120Hzまで可変できる。色帯域もかなり豊かに再現できる高品質なものだ。
画面輝度は最大1600nit、HDRコンテンツは最大5000nitの明るさで表示できるなど、画面もかなり明るいものが採用される。4320HzのPWM調光でちらつきも抑えられている。
本体の画面にはHONOR NanoCrystal Shieldと称する強化ガラスを採用。ファーウェイのKunlun Grassに通づるものと思われるが、高硬度による高い耐久性を実現している。
フロントパンチホールは横長に。これには顔認証用のセンサーなどが搭載されている
加えて、本体スピーカーのクオリティも上々だ。HONOR Magic 6 Proでは評価機関のDxO Markで高い評価を得ており、ROG Phone 7等に並ぶ高い評価を得ている。
サウンドに関しては他の同一セグメントの端末とは一線を画す良質なサウンドを楽しむことができる。正直、ROG Phone 8よりも高音質だった点には驚くばかりだ。
実はHONOR Magic 6 Proではいくつかの独自チップも搭載している。発表会で触れられていたものとして.セキュリティチップ「S1」、RF強化チップ「HONOR C1+」パワー強化チップの「HONOR E1」がある。
セキュリティチップはパスコードなどの重要情報を別途管理する。Apple製品のセキュリティチップに近いものと思ってもらえばよい。RF強化チップはワイヤレスイヤホン等をはじめとした無線通信、パワー強化チップは各種電源管理に関わるものだ。
本体は強化ガラスを採用し、今回選択したホワイトはさらさらとした質感を持つものになる。中国向けには本体にテクスチャの入るデザインがラインナップに加わる。高級感のあるもので、フラッグシップモデルらしさを演出している。グローバル版ではこのカラーリングは展開されないため、少々惜しいと感じてしまう。
スキンシールのように感じるが、本体のデザイン意匠だ
HONORらしい技術開発と価格も強み。グローバル版も期待
会社の出自からもファーウェイ系と評価されるHONOR。前作の「HONOR Magic 5 Pro」は中国のみならずグローバル市場でも存在感を見せつけた。
一方で、HONOR Magic 6 Proのカメラには引き続きファーウェイ由来の技術が反映されているように思うが、近年はHONOR独自のものもかなり多くなっている。
特に2億画素のイメージセンサーを望遠カメラに採用したり、独特な可変絞り機構も素晴らしい限りだ。上位モデルの新型バッテリーや高輝度なAMOLEDパネルなども技術開発の賜物と評価したい。
HONORの写真チューニングはどちらかと言えばGalaxyなどに近く、派手目な印象となっている。SNS映えを狙うような現行トレンドのスマートフォンとして考えるのが適切だ。もちろん、写りの良さと言ったところでは、かなり上位に来ていると感じる。
そして、今回手にしたもの先行販売された中国版だが、Magic OS 8.0以降はGoogleサービスも普通に利用できるようになった。通信周りも何ら問題なく利用することができ、VoLTEにもしっかり対応していた。中国版は天通による衛星通信にも対応するなど、通信面でも抜かりはない。
Magic OS 8.0ではアイトラッキングによる端末の一部操作が可能だ。中国版では通知の展開(iPhoneでいう長押しの「ピーク」に該当する)が可能だ。
そのような意味では、HONOR Magic 6 Proはカメラ性能の高さ、エンタメ機能の強さ、基本性能の高さをもつ。5Gが塞がれたファーウェイの後釜ではなく、独自の路線でファーウェイなどとも渡り合ってやろうという気概すら感じられる。
HONOR Magic 6 Proは中国ならびにグローバルでも構成の割に安価なこともあり、ハイエンドスマートフォンの中でも手に取りやすくなっている。HONOR自体も世界的に低迷するスマートフォンシェアの中でも着実に存在感を示すものとなっており、この攻めの姿勢も支持獲得へと繋がっているようだ。
HONOR Magic 6 Proは中国版価格が5699RMB(約12万円)と競合するOPPOやXiaomiよりも安価に仕上げた。グローバル版もGalaxyやXiaomiよりも安価なため、価格面でも攻めの姿勢が見える。
HONORのスマホが今後さらにどのような進化を遂げていくのか。スマホ好きの筆者の目線からも目が離せないところだ。
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