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Huawei Pura70 Ultra レビュー グローバル展開も狙うロマンあふれる最強カメラスマホ

  こんにちは。これまで使ったスマホは300台以上。生まれはギリギリZ世代のライター はやぽんです。

 さて、各所で話題のファーウェイのカメラ性能特化スマホ。Pura70シリーズのうち、最上位のPura70 Ultraの実機を入手したので、レビューといきましょう。

 なお、本レビューは海外で実施しているため、SIMカードを入れた状態で利用している。日本国内では電波法第103条の6の解釈並びに所轄総通の回答に基づき、電波を発した状態で利用する。

 

 

写りに文句なし。Huaweiスマホのカメラはやはり最強だった

 

 Huawei Pura70 Ultraはメインカメラに5000万画素のセンサーを採用。同社としては初の1型センサーを採用し、配列はより多くの光を取り込めることで著名なRYYB配列が採用されている。

 今回は特許取得済みの可変絞り機構に加え、沈胴式のレンズも備えている。このため、センサーシフト式の手ぶれ補正を備えながら、レンズを畳んだ状態では、1型センサー機のAQUOS R8 proなどの厚みとほぼ同等に抑えている。

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メインカメラ部はかなり大型だ

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沈胴式のレンズを備える。これでIP68の防水なのだから驚きだ

 

 沈胴式のレンズはギアを用いた機構で滑らかに本体から出てくる。メーカー公称では30万回以上の起動に耐えるとしており、耐久性も高そうだ。また、レンズが外圧などで正常に展開できない場合はエラーが表示される。

 

 

 これに加えて4000万画素の超広角カメラ、5000万画素の3.5倍望遠カメラが搭載されている。望遠カメラもレンズがf2.1と明るく、最短撮影距離は5センチまで寄ってのテレマクロも撮影可能だ。こちらにもセンサーシフト式の手ぶれ補正を採用しており、手ブレを抑えて撮影できる。

 

 Pura70シリーズでも、独自の画像処理技術となるHuawei image XMAGEが採用される。ライカとの提携が終了したファーウェイにおいて、技術革新、撮影体験の革新を目的に新たな画像処理技術のブランディングとして展開されるものだ。

 

 

 

 そんな最強ハードウェアにXMAGEのノウハウが合わさった「最強のカメラスマホ」とも言わんばかりのPura70 Ultra。作例は以下のようになる。撮って出しの無編集の状態だ。


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Pura70 Ultraの写りを見て感じるものは、HDR補正が大きく入り、白飛びがかなり抑えられていることが分かる。特にハードウェアで不利だったファーウェイが、今回に限っては最強クラスのハードウェア手にしたことによって、今まで以上に格の差を見せつけられる。

 

 XMAGEの方向性から彩度やシャープネスが落ち着いており、カリッとしていない柔らかさがある点も特徴だ。とにかく打率が良く、特別な知識も必要もしない。誰が撮影してもきれいに撮影できるスマートフォンだ。



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超広角カメラも綺麗だ。上位モデルなだけあって、このカメラもしっかり強化されている


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望遠性能も見事だ。3.5倍のペリスコープ方式の望遠を備えるので、構成的にはP60 Proに近いものとなっている。
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10倍のデジタル望遠も見事だ。その一方で20倍を超えてくると流石に補正の色が強く、実用の難しさを感じた。
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30倍ズームだとネオンのディテールが潰れるなど、メモ用などに限られる


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マクロ撮影は極めて優秀だ。望遠カメラながら最短撮影距離は5cmと寄れる上に、マクロモード時は35倍まで拡大可能だ。ここまでの性能があれば、スマートフォンの画面ドットなども視認できる。


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Pura70 Ultraで特徴的な写真は料理の写真だ。AIが料理を認識するとf3.5やf4と絞って撮影するので、変にボケたり流れたりと言った描画が少なく綺麗に撮影できる。可変絞りを生かした表現だ。もちろん、望遠カメラを使っての撮影も有効だ。
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アパチャーモードで絞りを自由に調整して撮影するのも面白い。環境が揃えば手持ちながら光芒を持つ写真が撮れるなど、可変絞りと高度な画像処理の組み合わせは、スマートフォンのカメラにもまだまだ技術革新が起こると感じさせる。

 

 今回度肝を抜かれた新機能が動体撮影だ。デモでは高速で回転する円盤の上から撮影しても、被写体がしっかりと流れずに描写できる点をアピールしていた。

 


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実際の写真はこちら

 

 これは2枚の写真を撮影し、その動いた距離をベクトル変換して、AI補正するといったものだ。そのため、従来の十数枚撮影しての連写処理による重ね合わせ合成ではない。実際の処理を見せつけられるとビビる。

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街中の大道芸人パフォーマンスもバッチリ撮影できる



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夜景についても比較的綺麗に撮影することができる。一般的なシーンで困る場面は少ないことだろう。

 

 

中国製のKirin 9010搭載して制裁を回避したハイエンドスマホ
 

 Huawei Pura70 Ultraに関してもプロセッサ等を中国製造として「制裁を回避」した部分の関心は高い。超強力なカメラに注目が行きがちだが、画面性能なども評価したい。ざっとスペックを書くとこんなところだ

 

SoC:HiSilicon Kirin 9010
メモリ:12GB
ストレージ:512GB/1TB USF3.1

画面:6.76インチ FHD+ OLED 120Hz対応

カメラ
リアカメラ
メイン:5000万画素 27mm相当 f1.4-4.0
超広角:4000万画素 15mm相当 f2.2
望遠 :5000万画素 95mm相当 f2.1

フロント:1300万画素

バッテリー:5200mA/h
100W急速充電
50W無接点充電対応

衛星通信対応

 

 

 核となるプロセッサはHiSilicon Kirin 9010を搭載していることが判明している。中国の半導体ファウンダリーであるSMICにて製造されており、製造プロセスは7nmとされている。

 Kirin 9010はKirin 9000Sのマイナーチェンジ版と思われるが、コアの変更や動作周波数の差が確認できる。基本性能は決して低いものではなく、昨今のハイエンドスマートフォンに匹敵する性能を持ち合わせる。
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筆者が計測したベンチマークスコア(パフォーマンスモード)では、GeekBench 6でシングル1435点、マルチ4414点であった。これはGoogle Pixel 8などに採用されるTensor G3よりも高いスコアとなっており、Kirin 9000Sよりも10%以上伸びている。

 

また、ゲーム性能などに直結するグラフィック性能は3D Markで計測した。WILD LIFE Extreme(Vulkan)にて1536というスコアとなっており、これもTensor G3に近いスコアとなっている。

 

 全体的にPixel 8に採用されるTensor G3より高性能かつ、Snapdragon 888やSnapdragon 8+ Gen 1といったプロセッサに近いスコアを計測している。簡易的なテストではあるが、基本的な性能は高いものを出せていることに驚きを隠せない。

 

 スマホとして使ってみると、上記のような性能を持つハイエンド機なのもあって、動作にストレスは感じない。パフォーマンスモードで使用してもバッテリー消費はさほど多くなく、普通に利用できるものとなっている。搭載メモリは12GBとなっている。

 

 グラフィックに関してはGPUのMaleoon 910が据え置きで採用。独自の構成となっているためか、コンテンツ側の最適化が全く追いついていないものとなる。原神のように高度な最適化が行われて快適に動くコンテンツもあるが、一応あらかたのゲームは動作しそうだ。

 

 

 

 ディスプレイは120Hzのリフレッシュレートに対応している。少し前のトレンドであった3Dガラスのような仕上げとなっており、質感や画質に関しては価格相当の仕上がりとなっている。また、ベゼルは上下左右すべて均等であり、デザイン的なバランス面も非常に良好だ。

 今回はマニュアル設定できる輝度の上限が高く、iPhoneなどよりも明るい画面表示が可能だ。一部ではマニュアルで1500nitまで上げられるといった情報も出ている。


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ディスプレイは輝度も比較的高く、視認性も良い


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画面は3Dガラスのような仕上げだ

 

 Huawei Pura70 Ultraのデザインを見て、まず目が行く点は特徴的な背面カメラだ。三角形をかたどったデザインで、カメラ配置からローマ字の「P」を意識したものとしている。従来のPシリーズとも異なる全く新しいデザインなのだ。

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どことなく「P」の意匠を感じるデザインだ

 

 本体は合皮と金属パーツが融合したものとなっており、他社では見られないデザインとなっている。最上位のPura70 Ultraはレザーのような質感で高い所有感を満たしてくれる。


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素材が変わる繋ぎ目の質感もしっかりしている

 

 バッテリーも5200mAhと大容量化した。一方で電池持ちはカメラをメインで使う関係かあまり良くはないものの、Xiaomi 14 Ultraよりも良好な印象だ。

 有線では100Wの急速充電に対応しており、高速で充電できる。付属の充電器で対応できるので、別途購入などは不要だ。

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100W充電器は付属する

 


 カメラ以外の大きな売りとしては、衛星通信対応とHarmonyOS 4.2になる。この衛星通信機能は北斗を用いたものになっており、緊急時にショートメールやSOS信号の発信が可能だ。このバージョンではMeeTimeで画像の送信も可能になった。

 また、天通衛星を用いた通話も可能だ。前述のショートメール機能とは異なる衛星のため、ファーウェイの上位機種では、この2つの衛星の電波を同時につかむことで、通話しながらショートメッセージの送信が可能になっている。

 アンテナ設計も強化されたことで、従来よりも不自由のない通話を可能にしているなど、もはやPura70シリーズは衛星携帯と言える存在なのだ。

 

 OSはHarmonyOS 4.2を採用。同社が提唱する「シームレスな接続」を売りにしており、連携機能がより強化されている。ものとしてはAndroid 12に近いものになっているようだ。

 

 

制裁回避してもなお、さらなる進化を遂げたPura70シリーズ。グローバル版も登場

 

 

 P60シリーズから名前を一新して、大きな進化を見せつけた「カメラフラッグシップ」となったPura70シリーズ。 今回もプロセッサや通信対応バンドといったスペックの多くを「ブラックボックス」として発売した異色すぎるスマホとなった。

 

 使ってみての感想は、やはりファーウェイのカメラ特化スマホは期待裏切らないというものだ。写りの良さはもちろん、数多くの最新技術が投入されていることも魅力だ。特にマクロ撮影や動体撮影といった従来のスマートフォンに苦手な分野の克服に走ったように感じた。

 あまりにAIの補正が強いため「写真」と呼ぶべきかどうか問われると、首を縦に触れない意見も見受けられる。筆者としてはこれからのAI時代におけるスマートフォンの進化のあり方としては、このような存在があっても驚きはしない。

 

 

 これは純正のギャラリーアプリに備わるAI消しゴム機能だ。Google Pixel 8などの編集マジックに近いものだが、再構成した場所のAI生成が他メーカーよりもかなりうまい。一般に画像の6割を超える部分を消去しようとするとおかしな描写をするが、ファーウェイは9割くらい消しても違和感少なく生成してくる。

 

 これ以外にも、本体の基本的な性能の向上、100Wの急速充電への対応、上質な質感といったところも大きく評価したい。価格的にはiPhone 15 Pro MaxやGalaxy S24 Ultraがここに並ぶ存在だが、これらの機種とも引けをとらない上質な質感や体験ができると感じた。


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パッケージや付属ケースも上質なものが採用され、フラグシップらしい体験をここでも体感できる

 

 今回も自国製のチップセットで米国の制裁を回避していたのだ。なんなら5Gにも対応している可能性が極めて高く、基本性能も欧米で販売されるハイエンド機に迫る性能に仕上げた製品だ。

 加えてMate 60 Proよりも部品の内製化率が向上しており、廉価モデルでは8割を超える内製化を達成したとの報道も出ている。今回はメモリやストレージといった部分も内製化するなど、より「脅威」とも捉えかねないスマートフォンに仕上がった。

 

 ただ、このようなスマートフォンを「中国だけで製造した」というのがひとつのマイルストーンと評価できる存在だ。制裁下でも5Gにも対応させ、自国で高性能なプロセッサーも製造できる。まさに、中国が国策で行っている半導体事業の成果が出た形となった。

 

 もちろん中国での関心もとても高く、このスマートフォン自体入荷してもすぐに売り切れる状態だ。その一方で、前作の機種に比べると供給そのものは安定しており、過度な品不足には見舞われていない。

 加えて中国以外では20を超える国と地域で販売が予定されるなど、グローバル展開も視野に入れている。自国生産のチップになってからのグローバル展開は初めてな上、Kirin 9010搭載端末では初めて対応周波数バンドが公表されている。

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グローバル展開のPura70シリーズは「4G」と付ける販売キャリアもあり、5G通信に対応しないものと思われる

 

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 最後になるが、価格は最廉価なPura70で5499元~(11万円前後)、今回レビューのPura70 Ultraで9999元~(21万円前後)の設定となる。

 諸般の事情からGoogleサービスが正規の方法では利用できないなどの制約もあるPura70シリーズは「あえて買うか」と言われると微妙な選択になると思う。それでも、ファーウェイのスマートフォンをずっと追いかけ続けたファンを決して後悔させない仕上がりだ。興味がある方は是非チェックしてみてほしいスマートフォンだ。