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OPPO Reno7 A レビュー デザインはいいが全体的にスペックダウン

 どうも、先日発売されたOPPO Reno7 Aを購入したのでレビューしていこうと思う。過去機種のレビューは以下を参考にしてほしい。

 

www.hayaponlog.site

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ざっくりと

・OPPOが発売する日本向けのミドル帯スマホ

・デザインはかっこいい

・カメラや端末スペックが全機種より若干下がったが、普通に使うことは可能

・画面の明るさが足りず、屋外で使うには画面が見にくく少々残念

・au、ワイモバイル、SIMフリーの市場にて発売。43,800円〜

 

OPPO Reno7 Aってどんなスマホ?

 

 Reno AシリーズはOPPOが日本限定で展開するスマートフォンだ。日本向けにローカライズされ、SIMフリースマートフォンとしては早くから「防水防塵、おサイフケータイ対応」を売りにして好評を得たシリーズだ。イメージキャラクターに指原莉乃さんや木梨憲武さんを起用したこともあって注目度も高い。
 今回レビューのReno7 Aは初代Reno Aから数えて4作目にあたる。以下に簡単にスペックをまとめていく。

 

SoC:Qualcomm Snapdragon 695 5G

メモリ:6GB

ストレージ:128GB

 

画面:6.4インチ FHD+(2400×1080)解像度

AMORED有機ELパネル 90Hz対応

 

カメラ

4800万画素(メイン f1.7)

800万画素(超広角 f2.2)

200万画素(マクロ f2.4)

1600万画素(フロント f2.4)

 

バッテリー:4500mA/h

 

カラー:スターリーブラック/ドリームブルー

 

価格:44,800円(直営ストア)、au/UQ mobile:43,720円、Ymobile:43,200円、楽天モバイル:45,800円


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特徴的な質感のOPPO Grow レビュー機はドリームブルー


 今回より採用のOPPO Growというデザイン。先行してグローバルで販売されたRenoシリーズにも採用されており、見る位置から色が変わったりするものだ。質感自体も樹脂ではあるが安っぽさは感じられず、シャープやXiaomiなどの競合と差別化されている。


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Reno7 Aは黒系のスターリーブラックと白系のドリームブルーの2色展開だ


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デザインには日本企業も携わっており、ユーザーの声をもとに作り上げたと発表会にて触れられている

 

 フレームは角ばったものとなり、これについてもグローバル展開するRenoシリーズに沿ったものと言える。ディスプレイはエッジがあるものではないので、縁を持って誤作動することは少ない。


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画面保護フィルムが初期で貼られている。TPUケースも付属するので、買ってすぐ使える点はありがたい


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イヤホンジャックも搭載だ。ハイレゾ音源にも対応する

 スペックとしては価格帯を考えれば標準的なところとなる。Reno Aシリーズの特徴であるおサイフケータイ(FeliCa)、防水防塵対応のローカライズも引き続き行われている。要望の多いイヤホンジャックやSDカードスロットも引き続き搭載だ。

 

ちょっと残念な点が目立ってしまうReno7 A

 

 初代Reno Aは4万円を切る価格設定ながらSnapdragon 710を搭載し、メモリも6GBと競合よりも高性能な点をアピールしていた。128GBストレージの機種も展開するなど好評であった。


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値段の割に高性能なのも売りだったReno A

 

 Reno3 Aも同じく4万円を切る価格設定ではあったが、プロセッサがSnapdragon 665へとランクダウンした。一方で、有機ELパネルや4眼構成のカメラを搭載してReno Aと差別化を図ったこと、競合商品よりはカメラ性能が良かったこと、ワイモバイルでの取り扱いもあって注目度は高かった。

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カメラ性能が向上し、同価格帯でも優位だったReno3 A

 

 Reno5 Aでは5G対応の関係で値上げこそしたものの、Snapdragon 765Gを搭載して基本性能を向上させたことに加え、6400万画素センサーを採用するなどカメラ性能を強化した。画面こそ液晶画面にランクダウンしたが、90Hzのリフレッシュレートに対応。それ以外も必要十分な性能を備えたことでヒットを記録した端末だ。


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Reno5 Aは指原莉乃さんの「人はカメラと前を向く」のキャッチコピーが印象的だ


 さて、それらを踏まえて今回のReno7 Aはどうだろうか?正直なところ4万円台の機種として考えるのであれば、おすすめしにくい微妙なスマホになってしまった。


 まず惜しいのはカメラ性能だ。ハードウェアとしても、基本性能がReno 5Aからダウンしている。

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カメラは広角(4800万画素)、超広角(800万画素)、マクロ(200万画素)の3眼構成となる。Reno5 Aにあったモノクロが無くなっている

 


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 実際に撮影してみると、写真自体は近年の中国メーカーらしいチューニングだ。やや彩度が強めでカリッとした印象となる。


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 撮影し終わって確認するために本体を動かすと、このように撮影した写真がぶれていることが多かった。昼間でもかなり多くみられ、夜間となれば夜景モード使用後も数秒は構えていないといけない点はかなりストレスだ。


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 プロセッサにSnapdragon 695を採用した関係かISPの性能も従来よりダウン。処理に時間がかかったり、HDR処理等が甘い描写が見られた。曇り空とはいえ空が真っ白になり建物と色が被ってしまっている。

 


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Reno7 A 1倍
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Reno7 A 6倍(デジタルズーム)

 

 望遠性能は最大6倍までとなる。最大望遠でもある程度ディテールはキープしているが、ここもReno5 Aが20倍までできただけに惜しいところだ。

 

 動画撮影に関しては機能がグレードダウンしている。初代Reno Aでも可能だった4K撮影は廃止され、HD画質/フルHD画質でも60 FPS の撮影ができないものとなっている。メーカーとしては「ユーザーが利用しない機能なので削った」としているが、前作までしっかり備わっていた機能を削るのはいかがなものかと思うところ。

 
 端末のスペックに関してもReno5 A比較で大きな変わり映えはない。確かにSnapdragon 695 5Gをはじめ、近年の600番台と呼ばれるプロセッサは一昔前に比べればとてもパワフルなものになっているが、AI性能やカメラを制御するISPの性能はあまり高くない。

 実際にミリシタを動かしてみた。確かにSnapdragon 690系端末の中では試した限り優秀な部類にはなる。そもそものスペックが不足しているため、いくら端末にゲーミング設定があっても活かし切るのは難しい。

 画面がReno5 Aの液晶画面から有機ELパネルになったことで、色鮮やかな表現が可能になった点はプラスに評価したい。90Hzのリフレッシュレートにも引き続き対応しており、画面内指紋センサーの感度も良好だ。
 惜しい点は画面輝度の低さだ。元々有機ELパネルは輝度を上げにくい関係で屋外での視認性があまり良くなかったが、近年では技術が向上したこともあって輝度の高い機種も増えてきている。


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AQUOS R6のように有機EL画面でもピーク輝度が1000nitクラスのものも出てきている

 

 一方でReno7 Aは常時430nit/ピーク時600nitとスペックは今風ではない。これはiPhone SE(625nit)よりも劣るため、屋外での視認性は良くないものとなる。実際に屋外で利用したが、やはり直射日光下では画面表示を確認することが難しくなることが見られた。カメラでの撮影時には致命的な部分になるので、惜しいとしか言いようのない部分だ。


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撮影用照明下となるが、これで9割近い輝度となっている


 それ以外では本体スピーカーがモノラルであること、急速充電速度が18Wまでなところ。プロセッサが600番代となったことでaptX Adaptiveに対応しない点は惜しい。

 

ときめき 長持ち。いろいろ疑問なReno7 A


ときめき 長持ち。」これがReno7 Aのキャッチコピーだ。

 正直なところ、長持ちとあるようにこのスマートフォンの魅力は長く使わなければ分からないのかなと思うところもある。

 一方で長持ちの要素にしても、プリインストールが現行から1つ前のAndroid 11であったり、12へのアップデート以降OSのバージョンアップ回数やセキュリティパッチの更新期間などは一切明言されていない。近い価格帯でも長期サポートが売りのiPhone SEをはじめ、Google謹製のPixelシリーズ、2年間のOSアップデートを保証するシャープのAQUOSが強い分野であり、これらのブランドに比べてReno7 Aが「同じくらい長く使えるか」という部分では疑問が残る。


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 36ヶ月利用してもシステム劣化具合が5%未満という表記も、何を基準にしたどのような数字なのか明記されていない。「ラボデータによる」とサイト上に記載はあるが、消費者にはシステム劣化具合とは何なのか?むしろ分かりにくいものと考える。


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 近年の中国メーカーの機種に多い仮想メモリ機能も備わっている。デフォルトで2GBが割り当てられているが、メーカーとしても最大5GBまで増やせるので、快適な動作を可能にしているとアピールしている。
 これも釘を差すようで申し訳ないが、仮想メモリは本来ランダムアクセスをさせないストレージにそのような領域を作るものになる。ストレージ本来の使い方で利用しない関係で、寿命という点では短くなってしまう指摘もあるくらいだ。
 加えて、近年のスマートフォンが採用するUFS3.0以降の規格のストレージであれば読出/書込が高速なので拡張しても多少なりの意味はあるが、Reno 7Aが採用するUFS2.2規格ではさほど高速でもない。拡張したところで大きな効果はないように感じたので、メモリ不足に感じたときの最後の手段とも言えるようなものだ。


 一方で、もうひとつのキャッチコピーにある「ときめき」を与えてくれる要素がReno 7Aにはほとんどないのだ。これと言える特徴もなく、国内で支持の強いAQUOS等に対抗できるカメラ性能もReno5 Aより劣るような状態だ。

 強いて挙げるなら、他のスマホにない特徴的な本体デザインくらいとなる。使ったときの楽しさ、快適さは前作のReno5 Aより劣ってしまうのは認めたくないが事実だ。むしろ迷ったら、特段こだわりでもない限りReno5 Aを推したいくらいだ。

 

 Reno Aシリーズの過去のキャッチコピーを振り返るとこんなものがあった。

 

Reno A「いろいろと余裕のスマホ。」

Reno3 Aの「余裕が進化したスマホ。」

Reno5 Aの「カメラ選んでほしい5Gスマホ。」

 

 

 Reno5 Aの「カメラで選んでほしい5Gスマホ。」に関しては、Reno7 Aでは前作のイメージを帳消しにするかのような出来になってしまった。正直あんなにブレたり、補正の詰めが甘いようでは、読者の皆様に勧めるのは難しい。
 加えてReno AやReno3 Aのような「いろいろと余裕のスマホ。」でもなくなってしまった。3年前に発売されたReno Aでも可能だった4K解像度撮影が、最新のReno7 Aでは利用できないとなれば、「いろいろと余裕のないスマホ」に捉えられてしまう。

 このReno Aシリーズが日本で好評だった理由のひとつとして、コストパフォーマンスの良さが挙げられる。性能もよく、ローカライズもされていてカメラも綺麗。まさに余裕のあるスマートフォンだったわけだ。一方でReno7 Aに関してはスペック的にはReno5 Aとほぼ横ばいとなり、プロセッサーの関係で部分的にはダウンしている。

 事実、私もこの機種を気になっていた友人に貸し出しているが、やはりカメラのブレの多さと画面輝度の暗さに不満があると述べていた。この友人は筆者のような毎月スマホを買うようなスマホバカではなく、むしろOPPO Reno Aを3年近く使い続けている一般の消費者だ。そのような消費者に「これなら今使ってるReno Aでいいや」と言われるようなスマートフォンでは評価は厳しいはずだ。

 

 今回のReno7 Aはオープンマーケット(SIMフリー)とワイモバイルに加えてau/UQ mobileでの取り扱いもある。販路が広がってより多くの方が手にする機会が増えただけに、この完成度はちょっとおすすめしにくいものになった。

 レビューしているau版もSIMロックはかかっておらず、eSIMに対応したデュアルSIMのものが販売されている。オープンマーケット版は物理デュアルSIM+eSIMの仕様となる。

 

最後に、OPPO Reno7 Aに思うこと


 昨今の携帯電話市場の変化によって「なんとなくAndroidスマートフォンを選ぶ人」は減ってきている。正直、このような機種を検討するユーザーは、デザインのよさだけでスマートフォンを選ぶほど安易に検討はしていない。

 日本でもGoogle Pixelの存在、XiaomiやMotorolaのローカライズ対応、シャープの非常に戦略的な価格帯での商品展開などオープンマーケットを取り巻く情勢も変わってきている。



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特にPixelの存在はミドル帯においても強力な存在だ

 

 シャープのスマホもRシリーズ譲りのカメラ性能をSenseシリーズに落とし込み、基本スペックと合わせて少しずつ良くなってきている。加えて、XiaomiやMotorolaもFeliCa対応などのローカライズに意欲的だ。そうなると消費者にも選ぶ選択肢は増えてきている。

 初代Reno Aが出た頃は「同価格帯では一番性能もよく、ローカライズされていてカメラも綺麗なSIMフリースマホ選ぶ」声が多かった。これに対して、Reno7 Aを展開する今年では「競合する数ある魅力的な選択肢を用途に合わせて足し算引き算しながら選ぶ」に変わってきている。

 この状況ならカメラ性能ではRedmi Note 11 ProやPixel 5a 5Gが候補になり、長期利用の安心感であればAQUOS Sense 6やPixelシリーズがとても魅力的な候補となる。

 Reno7 Aは、持ち前だった性能と使い勝手のバランス良さをブラッシュアップさせた結果、カメラ性能などを必要以上に削ぎ落としすぎて「バランスの良さを変に尖らせてしまったスマホ」になった印象だ。

 

 キャリアで展開するスマートフォンもReno7 Aの価格帯はAQUOSやXiaomiが得意とするものに加えて、arrows Weを展開するFCNTなども競合となる。auに関してはiPhone SEともかち合うポジションだ。このような魅力的な商品の中で、Reno7 Aは選んでもらえるようなスマートフォンかと言われると微妙という評価になる。


 今回のReno7 Aの使った感想としては、ときめきを感じることもなく正直なところ期待外れであった。長年Reno Aシリーズを使ってきたユーザーとして「きょう、スマホを変えよう」と思わせてくれる。そんな「いろいろと余裕のあるスマホ」の展開を再び期待したいところだ。