今回はMeta Quest 2向けに最適化された低遅延の完全ワイヤレスイヤホンとなる、Anker Soundcore VR P10レビューしてみる。音ゲーも遊べる完全ワイヤレスイヤホンということで話題となっている。
- 世界初のMeta Quest 2向け「Made for Meta」認定の完全ワイヤレスイヤホン
- 音ゲーもできる完全ワイヤレス。独自通信規格で遅延を極限まで抑えたゲーミングイヤホン
- Soundcore VR P10の音質や接続性もチェック。低域の再生に意識したサウンド
遅延はたったの0.03秒!専用ドングルで極限まで遅延を抑えたワイヤレスイヤホン
市場競争が過熱する完全左右独立型イヤホンの市場。個性豊かな機種も多く、ますます注目度が高まっていくセグメントだ。
そんな中、Meta Quest 2との高い親和性でMetaから認証を得た「ゲーミングワイヤレスイヤホン」である、Soundcore VR P10が日本においても発売から注目された。
パッケージにはMade for Metaの表記が見える
ケースは価格相応のものだ。丸いランプがデザインアクセントになっている。
本体の収まり悪くない。いわゆるAirPods Proのようなもので、特段取り出しにくいといったこともなく使いやすいものだ。
世界初のMeta Quest 2向け「Made for Meta」認定の完全ワイヤレスイヤホン
この機種の最大の売りは、Metaが販売するスタンドアローンVRヘッドセットである「Meta Quest 2」向けに最適化されていることだ。
同社では、「世界で初めて【Made for Meta】に認定された完全ワイヤレスゲーミングイヤホン」としており、専用ドングルの形状や機能面からも最適化されていることがうかがえる。
USB-Cドングル接続によりMeta Quest 2への簡単な接続ができる
特徴的な形状のドングルだが、これがQuest 2を利用する際に一番良い形となっている。
ドングル自体にもメス端子を備えており、LinkケーブルでPCに接続した状態でも利用できるなど、VRでの利用シーンに配慮されていることが分かる。
利用シーンとしてはこのようになる。
音ゲーもできる完全ワイヤレス。独自通信規格で遅延を極限まで抑えたゲーミングイヤホン
Soundcore VR P10の対応コーデックとしてはSBC/AACに対応している。コーデックについてはよく見かけるワイヤレスイヤホンと変わり映えしないが、専用のドングルを用いた低遅延送信機能を備えている。
このドングルは2.4GHz帯の電波で通信しており、Bluetooth規格における処理遅延の上限とも言える40ms(aptX LL 0.04秒)よりも少ない30ms(0.03秒)の遅延に抑え込むことに成功している。
音声は最新のLC3コーデックにて伝送され、カスタムチップセットを採用したこの構成を同社はLightningSyncと称している。
なお、ドングルの電源は接続機器から供給されるため、別途充電等は不要だ。
USB Type Cで接続できるドングルを備える
本来は低遅延を生かし、ビートセイバーなどのVR空間上のアクティビティを楽しむことが目的の機種だ。
その一方でこの低遅延はリズムゲームでも許容できるギリギリのラインでもあることから、「音ゲー用完全ワイヤレスイヤホン」としても注目されている。
この辺りは過去に筆者もまとめたが、スマホ向けリズムゲームのノーツ判定幅は厳しいものでも40ms幅前後となっている。
そのため、その数字未満に遅延が抑えられている機種であれば、人間の脳内のバッファとアプリ側のタイミング調整によって、なんとか有線イヤホン並みの操作感で遊べることが分かった。
0.03秒(30ms)の遅延に抑えたVR P10はリズムゲームも遊べるワイヤレスイヤホンだ
実際、人気タイトルのバンドリガールパーティ(ガルパ)やプロジェクトセカイ Feat.初音ミク(プロセカ)のノーツ判定幅は41.66msと言われており、筆者も試してみたところ、タイミング調整次第で快適に遊ぶことができた。
Soundcore VR P10の音質や接続性もチェック。低域の再生に意識したサウンド
ここからは音質をチェックしてみる。核となるオーディオ面については11mm経のダイナミックドライバーを採用している。ゲーミングイヤホンの名前の通り、低域に重点をおいたチューニングになっているようだ。
今回の試聴曲はこちら
最悪な日でもあなたが好き。/芹澤優
Tokyo 7th Sistersより Protostar/Stella MiNE
Habit/SEKAI NO OWARI
スロウリグレット/田所あずさ
今回の試聴環境はスマートフォンにソニーのXperia 1IVを使用する。
実際に聴いてみると、サウンドについては価格相応といったところだ。
ただ、ドングル使用時はLC3コーデックになる関係か、Bluetooth接続よりも音が良くなる印象だ。高音質でのリスニングを求める方はこちらを利用したほうがよさそうだ。
ゲーミングイヤホンらしく低域の量感が多めなこと、ボーカルに若干のクセ(少しとがりがある)はあるものの、高音域の抜けの良さはあるので聴きやすいサウンドになっている。
同社のSoundcoreチームがサウンドチューニングを担当したということもあり、極端なサウンドではなく、リスニングも満足に楽しめるものに仕上がっている。
さて、音質についてはこの辺りにして、ここからはマイクの品質や操作性について書いてみる。Soundcore VR P10ではゲーミング重視の低遅延構成となったため、アクティブノイズキャンセリングは搭載されていない。この辺りは価格設定を考えれば致し方ないとも言える。
通話音質は良好だ。ノイズリダイレクションによってノイズの少ない通話を可能にしている。また、ドングル接続機器とは別にスマートフォン等とBluetooth接続も可能だ。
加えてドングル側の音声はパススルーとなるため、ゲームの音声を聞きながらスマートフォン等でのDiscord通話等も可能になっている。
イヤホン本体はIPX4相当の防滴対応に加え、Bluetooth接続における単体での低遅延モード(80ms前後)を備える。バッテリーについてはイヤホン本体で連続6時間、充電ケースを用いて連続24時間となる。一般的な電池持ちと考えるべきだ。
Soundcore VR P10は「Soundcoreアプリ」にて各種設定や本体のアップデートが可能だ。ゲームに最適化されたイコライザーの他、イヤホン本体を光らせるといった調整も可能だ。
イヤホン本体は紫色に点灯する
極限まで抑え込んだ遅延が売りのSoundcore VR P10。1万円台の価格で2本目のイヤホンにもアリな商品
さて、今回レビューのSoundcore VR P10というワイヤレスイヤホン。専用ドングルを用いることで、遅延を極限にまで抑えたゲーミングイヤホンだ。
加えて低遅延モードは専用ドングルの通信となるため、接続機種を選ばない点もポイントだ。Meta Quest 2はもちろん、任天堂SwitchやPS5と言ったものでも利用できる。
ドライバーを必要としないため、Androidスマートフォンはもちろん、iPad ProやWindows PCでも利用できるのだ。
Type-C端子が備わる端末の多くで利用できる。スマートフォンにおいてもBluetoothチップの性能などを気にしないで利用できるので、対応機器などについてあまり考えなくてよい。
筆者としては、現時点における低遅延特化ワイヤレスイヤホンの完成形とも言える商品だ。
ドングルを付けたままスマートフォンの充電もできるので、イヤホンジャックのない端末でも充電しながらイヤホンで聞けるのだ。有線には劣るものの、動画視聴ではゲーム以上に遅延を感じなかった。
ドングルはケースに収容できる。マグネットで固定されるため落とす心配も少ない
唯一の難点は端子がType-C端子のため、iPhoneでは利用できない点だろうか。これも次期iPhoneは欧州の規制の関係からType-C採用となる報道も多く出ていることから、あまり心配しなくてもよさそうだ。
ワイヤレスイヤホンにとことん低遅延を求める方は、Soundcore VR P10をチェックしてみてはいかがだろうか。