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なぜ?今、64GBのiPhoneを選んではいけない理由とは

 新年度が近づき、これから初めてのスマートフォンを購入する方も多い時期に突入する。その中でも「iPhone SEの64GB」だけはむやみに選んではいけないと意見する。どんなに安くてもこれだけは選んではいけないのだ。

 

64GBのiPhone。今ではあっという間に容量不足に陥る


 まず、令和のこの時代に64GBのiPhoneは拷問以外の何物でもない。ちょっとでもリッチなコンテンツが楽しむものなら、あっという間に容量不足に陥る。一般的な使用方法でも、長期的な利用は難しい容量だ。

 

 よく知られていることだが、64GBのiPhoneでも64GB丸々利用できるわけではない。OSなどのスマートフォンを動作させるソフトウェアなどの容量がここから差し引かれ、概ね55GB前後が実際に利用できる容量だ。ここによく使うアプリをインストールしたり、写真や動画を保存していくことになる。

 

 皆さんがよく使うアプリではLINEやInstagram、X(旧Twitter)をはじめ、各種決済アプリなどが挙がるだろう。LINEやXも履歴の内容によっては数ギガの容量を消費し、他のアプリも数百MBの容量を消費するものが大半だ。これだけで10GB近く消費する方も少なくないことだろう。


 そして、バカにならないものが写真や動画だ。これは昨年MMD研究所が平均してスマートフォンに保存している写真の枚数を調査しており、全年代平均で1411.8枚としている。現代のスマートフォンのカメラで撮影すると1枚辺り約3MBの容量なので、平均して写真だけで約4.2GBは容量を消費している。

 

 また、若い世代(10代)では平均2308枚と一気に多くなり、写真だけで7GB近い容量を消費しているのだ。お子様にスマートフォンを与える場合は、この辺も留意して容量を選ぶと良さそうだ。

 

 動画については、近年のスマホの標準画質となるフルHDで撮影すると、1分あたり平均100MBが目安だ。仮に累計で1時間なら6GBの容量を消費することになる。これもチリが積もれば見過ごすことのできない大容量なものだ。

 

 iPhoneではSDカードが利用できず、外部ストレージの接続にも制約がある。写真や動画は移動できてもアプリのデータなどを移動することはできず、Androidスマートフォンに比べて容量不足になりやすいのだ。


 さて、ここまで使っての残容量は約40GB。まだまだいけると思うかもしれないが、ここにゲームが加わると64GBのiPhoneでは一気に容量不足となるのだ。
 人気ゲームの「原神」は約32GB、「崩壊3rd」は約26GB、「ウマ娘」は約20GB、「初音ミクプロジェクトセカイ」はフルデータで約15GBの容量を消費する。もちろん、音声や追加コンテンツをカットすることで多少の軽量化はできるが、この中から2本入れただけで容量不足になりかねない。


 これ以外のパズルゲーム、位置情報ゲームなどでも数GBの容量を持つものは少なくない。暇つぶしのゲームをいくつか入れて楽しもうにも、スマートフォンの本体容量を圧迫しかねないのだ。

 

 ここに主要エンタメの音楽配信サービス、動画配信サービスなども加えてみよう。近年ではオフラインで再生できるようにダウンロードできるものもあるが、既に日常的に使うアプリと写真や動画、ゲームで空き容量がほぼないことがわかるはずだ。

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ここまで来ると64GBはおろか、128GBでも厳しくなってくる
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容量不足になるとOSアップデートすらままならない
 

無難に選ぶiPhoneだからこそ。容量選びは慎重に

 

 特段筆者はiPhone SEを毛嫌いしているわけではない。第3世代の現行モデルの基本性能は高く、多くのコンテンツも快適に楽しむことができる。スマートフォンを選ぶ際に何を買ったらいいか迷ったとき、無難に選ぶ機種としてはこれ以上にない選択肢だ。

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iPhoneとしては完成されたハードウェアだ

 

 だからこそ、64GBという容量のモデルを選んではいけないのだ。どれだけ性能が高くても、現在この容量のスマートフォンでは長期利用は難しい。特に今のご時世では、環境的な要因から64GBの容量ではあっという間に容量不足に陥る。


 そして、昨今では同じスマートフォンを利用する期間も長くなってきている。直近の消費者動向調査によると、スマートフォンは平均4.6年利用するとしたデータが出ている。
 4年も同じスマートフォン使えば撮影した写真も数千を数え、便利なツールからゲームをはじめたした多くのアプリを利用していると想像できる。とても64GBで足りるとは思えない。

 そもそも現在の日本市場において、64GBの容量のスマートフォンはかなり少ない。もはやこの容量では厳しくなっていると評価してもいい。AppleがiPhoneでこの容量を残していることが不思議なくらいだ。

 

 幸い、iPhone SEでは最大256GBの容量を選ぶことができる。上位モデルではさらに大きな容量があるため、写真や動画を多く残したい、ゲームを多く楽しみたい場合は、より大きな容量を持つ方が安心して利用できる。
 容量の大きいiPhoneは割引が効かなかったり、価格が高価だったりする。それでも容量の少ない機種買って容量不足に苦しむのであれば、追加でお金を払っても選ぶ価値はある。ケチって容量の少ないものを買って失敗し、安物買いの銭失いとなった例は過去にいくつも見てきた。

 

 そんな64GBのiPhoneの需要としては、法人が従業員に支給する「会社スマホ」としての利用方法が最もしっくりくるだろう。主に通話やグループチャットツール、Office等の利用が中心だ。
 多くのストレージ容量を必要としないこと、安価でかつサポートが充実している機種としてこの用途ならマストな選択肢だ。
 言い換えれば、このくらいストイックに利用できなければ64GBのiPhoneはお勧めできない。利用者が「このアプリしか使わない」「この機能に絞って使う」「写真や動画はiCloudにアップロードする」という割り切りをしたうえで利用できる上級者向けなのだ。

  

 最後になるが、何も分からないから無難にiPhoneを選ぶ場面でも、今から64GBのiPhoneだけはお勧めできない。これは新品で買えるiPhone SEはもちろん、中古で販売されているiPhone 12なども含めてだ。安価な価格は魅力的かもしれないが、それ相応の使いこなしが求められる点を忘れてはいけない。
 
 選ぶ基準は多少高くても容量が大きいもの。今なら最低でも128GBは欲しいところだ。乗り換える場合は、今利用している機種よりも一回り大きい容量を購入しておけば間違いないと筆者は考える。

 

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