100円ショップのダイソーには完全ワイヤレスイヤホンが売られていることが周知のとおりだが、ここに日本最大級のファッションの祭典と名高い「東京ガールズコレクション」とコラボしたポップな製品が登場した。今回は実機のレビューといきたい。
100円ショップの「完全ワイヤレスイヤホン」にニューモデル。TGCコラボでポップなデザインが特徴
あらゆる商品が販売されている100円ショップのダイソーだが、イヤホンも多くの商品が展開される。今回は完全ワイヤレスイヤホンだ。
しかも今作では、東京ガールズコレクションとのコラボレーションでイヤホンもポップな見た目に。百均あるあるの過度な安物感を感じさせない仕上がりだ。
箱はダイソーのワイヤレスイヤホンでよく見かけるタイプだが、ポップな仕上がりだ。
東京ガールズコレクションとのコラボ商品となる。 今回選んだレモンイエロー×ピンクの型番はDG036-02TGCだ。
内容物はイヤホン、Mサイズのイヤーピース、取扱説明書。イヤーピースは完全ワイヤレスイヤホン用の軸が短いものだ
ケースにはデザインアクセントでピンクのラインが入る。今回選んだレモンイエロー×ピンクどちらも淡い感じで派手に目立ったりもしない。
ケースにはマグネットを備え、しっかりと定位置にイヤホンがおさまる。充電インジケータランプもあるので、接続時の視認性は確保している。充電端子はUSB-C端子だが、ケーブルは付属しない。
ダイソーの1000円ワイヤレスイヤホンを聴く。普通にいい音でびっくり
このイヤホンについて、オーディオハードウェアについては8mm経のドライバーユニットを採用している。日本人技術者がチューニングした「日本人に合う」チューニングが行われている。
対応コーデックはSBCのみで、ノイズキャンセリングなどの付加機能は備えない。操作用アプリはないが、遅延を0.06秒に抑えた低遅延モードも備える。
本体をペアリングモードにすると「DG036-02TGC」というものが表示される。色によって型番は異なるが、これを選択すると接続できる。イヤホン本体には最大4台の端末の情報を保存できる。
本体サイズも比較的コンパクトだ
それでは、早速聴いてみることにする。今回の試聴環境はiPhone 15 Proを使用し、Apple Musicを中心とした環境で使用する。試聴曲はこちら
オレンジノキオク/MILLIONSTARS Team3rd
DEEPNESS/蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ
チェリーボム/優木せつ菜(CV.林 鼓子)
スロウリグレット/田所あずさ
さて、ダイソーの1000円ワイヤレスイヤホンの感想は、実売価格1000円の商品と考えれば十分すぎるサウンドで、「正直驚いた」という表現が適切だ。
低域がやや強めで妙なくもり感こそあるが、特段どこかの音域が沈んだりすることはない。1000円という制約の中でよく作り込まれている。高域に抜けの悪さがあるが、価格を考えれば十分すぎる。
最初にスロウリグレットを聴いてみる。高域はややスポイルされて曇る点が気になるが、シャリ感はないからか意外と聴きやすい。近年のハイエンド機に慣れてしまうと、どうしても安っぽく感じるサウンドだが、この機種は1000円の製品であることを考えれば十分すぎるのだ。
ここで曲を「オレンジノキオク」、続けて「DEEPNESS」に変えてみる。低域のレスポンスがこの価格の製品としてはかなりマトモで驚きを隠せない。その一方で、中音域は聴き取りやすくここがフォーカスされているように感じる。
それでも低域に解像感が乏しいことから、全体的にベールがかったサウンドになってしまう印象だ。ソリッドなサウンドを好む筆者とは合わないが、この辺りも価格を考えたら許せてしまう。
ここで曲を「チェリーボム」に変えてみる。ギターが前面に出てくるロックサウンドだが、ここでも“うるささ“をあまり感じなかった点が特徴だ。悪く言えばつまらない音だが、多くの方の好みに合致する最適解を狙ったチューニングだ。
何度も言うが、実売1000円のダイソーワイヤレスイヤホンに求める音としては、この機種のサウンドは十分すぎるのだ。
ここまで聴いてきたが、1000円という価格を考えればかなり好評を得られそうな製品だと感じた。サウンド面は好みの世界だが、安物によくあるシャリ感がないだけでも十分評価できる。音量も多くの場面で十分に取れており、一般的な用途で問題は感じないはずだ。
音質以外もチェック。安い機種ながら低遅延モードはうれしい
ここからは、音質以外の部分もチェックしていこう。今回の製品にはダイソーのワイヤレスイヤホンでは珍しく低遅延モードを備えている。
低遅延モードは本体のタッチセンサーの操作で切り替え可能だ。操作は両方のイヤホンを3回タップするとモードが切り替わる。動画視聴などでは効果を感じることができた。さすがに50ms未満の低遅延勢には劣るが、1000円の商品としては十分すぎる機能だ。
専用アプリは備えないが、本体側での制御なので接続機器を選ばない利点がある。Windowsのパソコンはもちろん、Switchなどのゲーム機と合わせても良いだろう。
マイクも備わっており、基本的にスマートフォンでの利用を想定している。マイクの通話音質はあまり良いものではなかったが、通話程度であれば問題なさそうだった。
バッテリー持ちは公称値で7時間。実際に使った限りでは6時間ほど利用できたので、概ねこの数字通り利用できそうだ。近接センサーは備えないので、耳から外した際に再生停止するような機能はない。
さて、このダイソーハイレゾイヤホンだが、付属のイヤーピースがあまり良いものでないことが惜しい点として挙げられる。これを変えるだけでもある程度の音質改善が見られる。
一方で、完全ワイヤレスイヤホン向けの軸が短いものはデフォルトなので、一般的なイヤーピースでは装着するとケースに収まらなくなった。少々高価になるが、完全ワイヤレスイヤホン向けのものを選ぶ必要がある。
筆者としてはAZLA Sedna Earfit MAX for TWSが高域の刺さりも抑えられて、曇った感覚もやや解消される。手持ちのものでは最もしっくりきた。欠点はこのイヤーピースは1ペアで1490円となるため、ダイソーワイヤレスイヤホンのコスパが意味をなさなくなる点だ。端的に言うとイヤホン本体よりもイヤホンのゴム(イヤーピース)の方が高価なのだ。
1000円にしては音も良くて機能も充実。「どれがいい」と言われたらコレ
今回レビューしたダイソーの1000円ワイヤレスイヤホン。1000円と百均としては高価なものの、価格を考えたら多くの方が納得するサウンド、機能面に仕上がっている。特に低遅延モードは動画視聴時やゲームなどの場面で生きてくる実用性重視の機能だ。
また、機能性重視のデザインが多いダイソー商品としては、かなりカジュアルな見た目なのもポイントだ。正直、この商品は「ダイソーで買った」とでも言わない限り百均の製品とはわからないはずだ。
本体はコンパクトでストラップホールも備える。リュックサックのストラップ感覚で利用するのもアリだ。
単純なワイヤレスイヤホンとしても「ダイソー製品」の中では高音質なのは間違いないと考える。このイヤホン単体でサウンド周りは完結しており「適当に選んでも安心」といえる仕上がりだ。
もちろん、安価で入手性の高いイヤホンのため、予備等で持ち歩いくのもアリな存在だ。音質は重要視せずとも、安くてポップなデザインのワイヤレスイヤホンに興味がある方はチェックしてみてほしい。