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【後編】Zenfone 11 Ultraの発表からASUSのスマートフォンの今後を考える。

 本記事はZenfone 11 Ultraが登場したことによる今後のASUSのスマートフォンを考える記事の後編だ。前編をまだ読んでない方はこちらを一読してほしい。

 

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今後のASUSのスマートフォン。小型版も何らかの形で残すと考える


 今後のASUSのスマートフォンはROG PhoneやZenfone 11 Ultraを主軸にしつつ、一部地域向けにZenfone 10ベースの新モデル。もしくは、Zenfone 10を値下げして併売するのではないかと考えられる。

 Zenfone 11を仮に出すとしても、Zenfone 10をベースにカメラ性能の強化(IMX766からIMX890への変更)や各種細かいところの機能改善がメインだろう。プロセッサは据え置きか、直近で登場したSnapdragon 8s Gen 3を採用するのではないかと考える。

 そもそもZenfone 9からZenfone 10がプロセッサを載せ替え、各種機能強化した製品であり、フルモデルチェンジと言うわけではない。製品としてはコアユーザーを中心に支持されており、これと同じ流れになるのではないかと考えられる。

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Zenfone 10はZenfone 9のマイナーチェンジ版と評されることもある。外観面はほぼ同じだ

 

 プロセッサの据え置きはAppleのiPhoneに前例がある。iPhone 15のプロセッサはiPhone 14と据え置きにするなど、必ずしも最新プロセッサを載せるわけではなくなったのだ。
 加えて、旧モデルの併売はどのメーカーも行っており、珍しい事ではない。ただ、ASUSのようなOSアップデート期間が短いメーカーでは「最新の環境で使える期間」が他社製品よりも短いため、長期利用を考えるユーザーには不安要素となる。

 それでも形落ちとなるZenfone 10も多くのアッパーミドルよりは高性能であり、性能不足を感じる場面は少ないだろう。新作もZenfone 11「Ultra」という名称にしていることから、いわゆる「無印」が登場してもおかしくないわけだ。

 プロセッサーの載せ替えが考えられる理由としては、やはりオンデバイスAI性能だ。今年のASUSのスマートフォンはAIスマホよりのコンセプトになっており、Zenfone 11 UltraはオンデバイスAIによる機能をアピールしている。

 同じラインで揃えてくるならZenfone 11シリーズは「オンデバイスAIスマホ」としてアピールする必要がある。そうなればプロセッサのアップグレードが必要だ。
 理想は上位モデルと同じプロセッサが望ましいが、小型端末には放熱の問題が常に付きまとう。高性能なプロセッサを採用してもその性能を存分に発揮することは難しい。標準モデルとしてコストを抑えるなら、より安価なSnapdragon 8s Gen 3を採用する可能性は十分にあるのだ。
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先日発売されたSnapdragon 8s Gen 3。クアルコムは「オンデバイスAIを多くのユーザーに体験して欲しい」としている

 

 

キャリア展開は?今後の日本向けはどうなる?

 

 ASUSのZenfoneは日本向けのみFeliCa対応、各種バンドの最適化もしっかり行っていたことから、コアユーザーを中心に支持を集めている。この傾向は今後も続くことになるだろう。

 

 一方で、現状のASUSを考えると、よほどのことがない限りキャリアへの供給は行わないものと考える。筆者もキャリアに供給すれば出荷台数は増えるのではないかと考えたが、様々な理由を考慮するとキャリアへの供給はマイナスになりかねない要素がある。

 

 キャリアでの販売は販売元がキャリアに移管する関係で、メーカー自身が希望小売価格を設定することはできないと言われている。コスパ要素を詰め込んでも高価に販売されたり、想定よりも安価に販売されてキャリアフリー版と大きな価格差が生まれることもあり得るのだ。

 

 Zenfoneはどちらかと言えばニッチ要素全開の端末だ。これで価格を攻めても生きていけるのは、競争相手が少なく「価格」がフォーカスされつつ、ニッチユーザーが多いキャリアフリーと言う他国にない歪んだ市場を中心としているからだ。

 

 確かに今のキャリアフリーはGalaxyやPixelも事実上存在しない市場で、ソニーやシャープの直販版はイマイチ存在感を示せていない。そのような状況をしっかり分析して、機能や価格面で日本のコアユーザーにマッチした端末を出せば注目度はかなり高くなる。だからこそZenfone 8以降の機種は支持されるのだ。

 仮にもあのような端末をキャリアで供給しても、競合の影に隠れてしまう可能性はかなり高い。予期せず価格改定されて、ブランド価値を下げるよりは、キャリアフリー市場で着実にシェアを積み上げる方針なのだろう。

 

 

 ここまで2回にわたってZenfone 11 Ultraの登場による今後のASUSのスマホ戦略を考察してみたが、本機種自体は大画面端末がROG Phoneしかなかったことに対するラインナップの拡充と考える。

 小数生産でコスト的には不利な立場ながら、ROG Phone 8とある程度共通化させたことで、Galaxy S24+相当の価格に抑えている。大画面スマホのシェアが強いアジア圏や、比較的ASUSの知名度が高いヨーロッパ圏ではより注目される機種となりそうだ。

 

 また、Zenfone 10の後継となる小型端末の存続には、日本市場の存在も大きく関わってきそうだ。同社のスマホの出荷数の約2割を占めるこの市場は価格的にも、機能的にも他国より優位な条件で展開している。10年以上かけて種を蒔き、育ててきた市場はそう簡単に手放さないと感じる。

 一方で価格面と知名度不足などから強みを出しきれない日本のキャリア市場とは相性が悪く、市場規模の10%に過ぎないキャリアフリー市場でしか勝負できないのは単純に惜しい。ここはau +1 collectionのようなカテゴリで取り扱いが増えれば、検討を考えるユーザも増えることだろう。

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au +1 collectionではROG Phone 7が販売されている

 

 直近ではネガティブな報道が続いていたASUSだったが、今年登場した端末を見る限り、独自要素からの復調の兆しも感じられる。今後の同社の展開にも注視していきたい。