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ASUS ROG Phone 8 レビュー 防水性能を備えた最強ゲーミングスマホ 技適も取得して日本発売も間近か

 1月のCESで発表され、従来からコンセプトが一新されたASUSのゲーミングスマートフォン「ROG Phone 8」。同社では「第3世代」と称して従来のゲーミングスマホから大きく進化させたとした。今回は先行販売されている海外版を手にする機会を得たのでレビューしたい。

 

 

 

性能は最強クラス!AI処理のゲーミングアシストも備えるROG Phone 8


 ROG Phone 8は「ゲーミングスマホ」に分類されるゲームパフォーマンス重視のスマートフォンだ。本体のスペックは以下の通り。

 

プロセッサ:Snapdragon 8 Gen 3
メモリ:12GB/16GB
ストレージ:256GB/512GB
ディスプレイ:6.78型 FHD+

AMOLED 1〜120Hz LTPO対応、165Hz
アウトカメラ:標準:5000万画素 F1.9
超広角:1300万画素 F2.2、望遠:3200万画素 F2.4
インカメラ:800万画素
バッテリー:5500mAh
65W充電、10Wワイヤレス充電


 画面サイズは6.78型。画面解像度はFHD+のAMOLEDパネルを搭載しており。1〜120Hzの可変リフレッシュレート、165Hzのハイフレームに対応している。従来からの変更点としてパンチホールインカメラを備える画面となり、良くも悪くも「普通のスマホ」の画面になった。

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画面は近年ハイエンド機同様のAMOLEDパネルを採用する

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パンチホールを備えるディスプレイを採用する

 
 もちろん、ゲーミングスマートフォンらしく、フルフラットのディスプレイと本体形状もあって角張った筐体が印象的だ。本体スピーカーはステレオ構成となっており、高音質での再生が可能だ。


 プロセッサはQualcommの最新チップセットSnapdragon 8 Gen 3を採用。同社のモバイル向けプロセッサとしては最上位のもので、高い性能を発揮する。基本性能だけにとどまらずISP性能やAI性能が向上したことで、カメラ性能の向上にも大きく寄与している。従来同様にプロセッサを端末の中央部に配置して放熱性能を高めており、ベイパーチャンバーをはじめとした本体の冷却機構は従来比で約20%の性能向上を果たした。

 

 ROG Phone 8を使ってみると、最新ハイエンド機のためブラウジング、SNSや動画視聴といった基本的な動作にストレスは感じない。例えばゲームでも「原神」のような高負荷なコンテンツを1時間ほど続けてプレイしても極端に「熱い」と感じることは少なかった。

 特にゲームプレイでは性能の高さを大いに実感できる。最新プロセッサと高性能な冷却機構の組み合わせによって、ファン等なしでも長時間のゲームも問題なく遊ぶことができた。メモリについては12GB、16GB、24GBとそれぞれグレードごとに設定されている。本レビューでは16GBのものを使用し、ストレージもUFS4.0規格の高速なものが採用されている。

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原神も快適に遊べるだけの高い性能を備える

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原神よりも動作が重いシャニソンも最高画質で快適に動く


 独自の機能として本体側面にはおなじみの「Air Trigger」を備え、L/Rボタンの機能を割り当てることができる。今作では各種人気ゲーム用のプリセット配置も用意されており、「原神」などが対応している。

 もちろん、ROG Phone らしく2つ目のUSB-C端子を本体側面に備える。横持でも本体側面の端子から充電することで、持ち手付近に突起を作らない設計だ。ここからの外部映像出力、急速充電も可能だ。

 

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AirTriggerと側面のUSB端子は健在だ

 

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ゲームコントローラーのL/Rボタンに相当する操作を割当できる

 

 OSはAndroid 14で独自UIの「ZenUI」を採用する。今回はゲーム用のAI機能も搭載し、特定のゲームではAIが特定のプレーなどをアシストする機能として「X Sensn」が利用できる。ある種のAIアシスト機能を用いて快適にゲームを遊ぶという意味では、性能向上以外の方法でユーザー体験を向上させる思想を感じられる。


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X Senseの例として、原神ではいくつかの機能が利用できる。例えばアイテムの自動回収、テキストの高速更新は役立つ便利な機能だ。

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崩壊スターレイルでも会話スキップは利用できる

 

 

 

カメラ強化と防水対応で普段使いも。ROG Phone 8は毎日使うスマホとしてもしっかり使える1台に


 ASUSのスマートフォンはZenfoneシリーズにて近年カメラ性能を強化しているが、その流れがROG Phoneにもやってきた。同社はZenfone で好評の6軸手振れ補正をゲーミングブランドのROG Phoneにも投入。静止画撮影はもちろん、動画撮影でも手振れを抑えて撮影できる。

 メインカメラにはソニー製のIMX890というイメージセンサーを採用。従来モデルから一新され、Zenfone 10並みにカメラ性能は強化された。また、3200万画素の3倍望遠カメラと1300万画素の超広角カメラも備える。

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今回入手したモデルは望遠カメラがマクロカメラへ変更された中国向けの仕様だ。コストを抑えた結果の構成だが、それ以外はグローバル版と同じ仕様だ


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標準カメラで何枚か。Galaxyなどのチューニングに近く青が特徴的だが、きれいに撮影できる


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超広角もきれいだ


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夜景モードはディテールをハッキリ出すチューニングとなっており、メリハリのある作例となる


 メインカメラには強力な手振れ補正を採用したことで、ミスショットが少ない点は優位だ。デジタルズームも比較的綺麗に処理を行うため、50mmなどの画角でも画質が荒れたりする場面は少ない印象だ。

 

 もちろん、使いやすく進化したのはカメラだけではない。本体をシェイプしたことによる小型軽量化、IP68等級の防水対応も大きな変化だ。ワイヤレス充電にも対応するなど、普段使いでも利用しやすく仕上がった。

 本体はROG Phone 7比較で小型化。重量は225gと実に20g近い軽量化も達成した。感覚的にはiPhone 14 Proシリーズから15 Proシリーズへ乗り換えたときの感覚に近い。

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持ってみると、思ったより軽量化の意味を感じる。一般的なスマホと大して変わらない重量だ

 

 このほかにIP68の防水性能も備えており、ゲーミングスマホでは世界初とした。ハイパフォーマンスを求めるゲーミングスマホでは防水性能の両立が難しいとされていただけに、まともな防水性能を備えることに驚いた。


 バッテリーは5500mAhのものを採用し、2750mAhのバッテリーを2つ搭載する仕様とした。従来モデルより500mAh減ったものの、通常のスマートフォンと考えればかなり大容量だ。これに加えて最大65Wの急速充電にも対応し、ROG Phoneでは初のワイヤレス充電にも対応する。

 ゲーム時はもとより、一般利用時にはこのバッテリー容量は生きてくる。実際にvivo iQOO 12 Proなどよりもバッテリー持ちは良かった。

 

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また、3.5mmジャックを備えることで有線イヤホンも利用できる。絶滅危惧種と言われる「ハイエンドかつ防水性能を備え、イヤホンジャックのあるスマホ」に選択肢が増えた形だ。これについては歓迎したい。

 このほか、恒例でケースが付属する。今回からは画面保護フィルムも初期状態で貼られているので、購入してから別途そろえる必要もない。

 

 

 

ROG Phone 8は普通に使えるスマホへ変化。価格は気になるが、日本での発売に期待


 ASUS ROG Phone 8はクセこそあるが、Zenfone並みに強化されたカメラ性能、IP68の防水防塵性能を備えたことで、普段使いでも利用しやすくなった1台だ。高いゲームパフォーマンスはもちろん、AIアシスト機能やなどのゲーミングスマホという要素も強化しつつ、カメラ機能強化や防水などの普段使い要素まで強化してきた。同社が「第三世代」とアピールした意味をしっかりと感じ取れた。

 一方で、従来までは「ゲームに特化」した構成だったからこそ、他社製品と明確に差別化できていた面もあった。特に本体スピーカーは顕著で、ROG Phone 7の左右対称のフロントステレオスピーカーと比較すると明らかに引けを取る。
 画面内にフロントカメラを設けない姿勢や、カメラの出っ張りや端末の角を抑えて横持ちでもホールドしやすかった点も今作では失われた。これらの部分は妥協したと評価できるため「ゲーミングスマホ」としては魅力が低下した部分だ。

 そのため、ROG Phone 8は「ゲームに特化したサブスマホ」ではなく、あくまで普通に使えるスマートフォンとして使いやすく仕上がったと評価したい。


 使いやすさの秘訣は、ある程度プラットフォームを共通化させたZenfone 11 Ultraの存在だ。両者のハードウェア構成は似通っており、型番もA2401_HとROG Phone 8の型番であるA2401_Cと同じファミリーに属していることが分かる。
 むしろROG Phone 8はZenfone 11 Ultraにゲーミング要素を追加したアップチューンモデルと見る方が適切なのかもしれない。自動車でいうところの、市販車ベースにサーキットを追い込めるようなオプションを装備した「レーシンググレード」に近い感覚だ。

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Zenfone 11 UltraとZenfone 8は兄弟機と見ても良い存在だ

 

 ここで気になる価格だが、先行販売している香港ではROG Phone 8が8499香港ドル(税抜約16万3000円)だ。専用の空冷ファンをお得に買える特典などが付くとはいえ、高価な設定だ。アメリカや台湾も同じような価格設定で、全体的に高騰している。同社が戦略市場としている日本なら税込15万円前後で販売して欲しいところだ。


 一方で、カメラハードウェアを変更してまで安価に提供した中国版は4799RMB(約10万円から)だ。グローバル版と比較するとかなり安く仕上げたが、ここには中国独自の事情も絡むため、かなり攻めた設定にしている。

ROG Phone 8シリーズは決して安価なスマホではないのだ


 日本での発売は技適を取得していることから、近いうちの発売はほぼ確実と考えられる。グローバル版の型番で取得した関係でおサイフケータイ(FeliCa)の対応は難しいと考えるが、これで対応してきたらかなり魅力的な選択肢になりそうだ。

 一方で為替の関係もあってROG Phone 8は以前よりも高価になりそうだ。上記の価格は税抜き価格のため、日本で発売される場合はこの価格+消費税が参考価格だ。

 最後になるが、ROG Phone 8は「ゲーム特化」のゲーミングスマートフォンではなく、本体の軽量化、カメラ機能の強化、IP68の防水性能、ワイヤレス充電対応などで普段使いでも選びやすい機種に変化した。量販店だけでなくMVNOなどで取り扱われると日本でも大きく注目される1台になりそうだ。

 

 

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