IP68防水に対応したASUSのROG Phone 8の登場によって、防水機能とイヤホンジャックを備えるハイエンドスマートフォンにニューフェイスが加わる。特に6.5インチを超える端末ではAQUOSとXperiaしか選択肢がなかったので、新たな選択肢の一つとなりそうだ。今回はイヤホンジャックを用いた音楽プレイヤーとしての音質などを確認してみる。
ROG Phone 8のサウンドを競合スマホと合わせてチェック
ROG Phone 8のオーディオ機能としてはDIRAC Audio Wizardがある。イコライジングなどが可能なDSP機能といえばわかりがいい。Zenfoneにも搭載されてるが、ROG Phoneでは同社のイヤホンやヘッドセットに合わせたプリセットが用意される。この他にはゲーム用のサウンドプリセットなども用意されている。
ハードウェアとしては有線イヤホンはもちろん、ワイヤレスオーディオ周りも充実しており、LDACをはじめaptX AdaptiveやaptX Losslessにも対応する。Snapdragon Sound認定も取得しているスマートフォンだ。
それと、忘れていけないのがDirac Virtuoというステレオ音源を空間オーディオっぽく変換してくれる機能だ。機能としては過去のROG Phone 7やZenfone 10にも採用されているが、ROG Phone 8シリーズではアンプ回りも一新されているため、サウンドクオリティは向上しているようだ。
サウンド面もしっかりしているASUSのスマートフォン
さて、何曲か聞いてみることにしよう。手元にあったUE18+ Proで試してみたところ、思った以上の音量が稼げることに驚いた。ゲーミングスマホだからか、イヤホンジャックからのサウンドについてもある程度強化されているように感じた。
少なくとも過去に出たROG Phoneシリーズの中では、最も筆者好みのサウンドであった。これはESS製のDACを採用していたROG Phone 5よりも上に感じる。
また空間オーディオについては、どんな音源もそれっぽくできることに興味深く感じた一方で、利用するイヤホンによっては相性が悪いことがある。筆者的にはダイナミック型のイヤホンが相性がいいように感じた。
他機種とも比較してみる。AQUOS R8 proと比較すると、やはり ROG Phone 8の方が音が良い。DSP関連の差かと思ったが、アンプ出力が異なるのか、そもそもシステムの最大音量が異なる。ROG Phone 8の方がよりパワフルなサウンドだ。
Xperia 1 Vと比較してみると、最強クラスのエンタメスマホを名乗るだけはあり、イヤホンジャックの出音ではROG Phone 8が一歩劣る印象だ。一方でXperiaの「DSEE Ultimate」をオフにするとかなり健闘する。パワフルなサウンドから、EDMなどはROG Phone 8のチューニングが好きだという方も少なくないのではと感じた。
SRC回避、360Upmixなどの観点から見てもXperiaは音に関しては異端なスマホであり、音楽再生に限っては今もなお最強クラスだ。なかなか右に出る機種はいない。
防水防塵ハイエンドにイヤホンジャック付きのレア端末。サウンドはスマホにしては上出来
今回は ROG Phone 8の音にフォーカスしてみた。スマホレビューの方でも記載したが、本体スピーカーは前作に比べるとやや劣ってしまう形となった。一方でイヤホンジャックのサウンドに関しては、DSP処理が最適化されたのかROG Phone 7よりも進化したように感じた。
音楽プレイヤーとして考えた場合は、少々足りなさは感じるが、並のスマートフォンよりもはるかにイヤホンジャックの音は良かった。最新規格のワイヤレス環境にも対応するため、ワイヤレス方面の機材を揃えるのもありだ。
日本では今もなお需要の根強いイヤホンジャック。特に画面の大きいスマートフォンでは、採用機種がことごとく減っていった事情がある。2020年のLG V60 ThinQ以降はシャープとソニーしか出さないセグメントだったので、ここにASUSが食い込んできたのは歓迎したい。
また、ゲーミングスマートフォンはどうしても防水性能がないから選べなかった。そんな理由から日常利用しにくいと感じていた方にとって、ROG Phone 8は助け舟とも言える選択肢だ。
また、共通プラットフォームのZenfone 11 Ultraもほぼ同等のサウンドを楽しめると考える。ゲーム機能を求めないならこちらの選択もアリだ。技適も取得して日本発売も間近に迫るROG Phone 8はゲーム性能はもちろん、普段使いプラス「エンタメ機能」で選んでも満足できるスマートフォンに仕上がっているはずだ。