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YONGNUO YN450 レビュー EFマウントのミラーレス一眼にAndroid OS搭載 変態通り越したゲテモノカメラ

 どうも。気になってた端末を手にすることができました。そう、変態を極めたかのようなYONGNUO YN450です。

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YONGNUO YN450 これは何?

 

 一言で言うならAndroid搭載の4G通信対応ミラーレス一眼カメラとなる。この時点で頭にハテナが浮かんだ方。大丈夫です。あなたの頭は正常です。簡単なスペックは以下にようになる。スペックを並べただけなのだが、カメラなのかスマホなのか分からなくなるものだ。

 

SoC Qualcomm Snapdragon 625

RAM 3GB

ストレージ 32GB

 

画面 5.15インチ FHD

 

カメラ部

センサー Panasonic製 1600万画素(マイクロフォーサーズ)

レンズ部 Canon EFマウント(EF-sレンズ使用可能)

 

バッテリー 4000mA/h

 

OS Android 7.1

 

価格:2999元(4万円前後)

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見た目は普通のミラーレス一眼となる。f:id:hayaponlog:20201213102302j:image

フォーサーズサイズのイメージセンサーも、スマホと比べたら遥かに大型だ

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画面を見たら軽く混乱しそうな見た目だ。普通にAndroid OSが動いているのです。 

 

世界で唯一のAndroid搭載のレンズ交換式カメラ

 

 このような見出しで書くと嘘になる。そのように記すのも、今から4年ほど前にSAMSUNGよりGalaxy NXというミラーレス一眼にAndroidを載せてしまったカメラがあるのだ。発売されたかどうかは不明ですが、Polaroid lM1836なんてものも存在する。

 

 前者は自社のNXマウントレンズしか利用できず、サードパーティレンズもほぼ皆無で拡張性もないこと。サムスンが市場から撤退したことから後継機が出ることはなかった。後者に至っては1型のセンサーを使ったシステムでしたが、デザインがNikon 1シリーズと酷似してたことからも訴訟に発展。アメリカでは販売差し止めになったという過去があります。

 そんな前任者がいたところに、YONGNUO YN450はそれらの進化系とも言えるカメラとなったのだ。

 

世界で唯一のEFマウントシステムでフォーサーズセンサーなカメラ

 

 このYN450はセンサーサイズはマイクロフォーサーズ規格に対して、レンズマウントはCANON EFマウントという変態というかゲテモノです。
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 カメラを少しでもかじったことがある人ならこれがいかに変態だかわかることだろう。簡単に言えば、オリンパスやパナソニックのカメラに、Canonのレンズがマウントアダプター無しで装着できてしまうのだ。

 

 これは普通あり得ないことで、基本的にカメラは同じメーカーのレンズ(レンズメーカーを除く)以外のものを付けられない仕様になってるのです。(フォーサーズのようにメーカーの垣根を越えて規格を共有してるものを除く)

 

 もはや意味がわからん。この構成はセンサーをフォーサーズにすることで、APS-Cフォーマットに比べて本体の小型化やコストダウンができ、中国でも豊富に出てるEFマウントの互換レンズも使える利点がある。ちなみにYN450のEFマウントは電子接点を備えているので、オートフォーカス、レンズ内手ぶれ補正、絞りの制御も可能だ。ゲテモノ以外の言葉を当てることができない。

 

豊富なレンズが使える一方、使い勝手の良いレンズがない

 

 先程の項目で「豊富に出てるレンズが使える」と書いた。一方で、このカメラに関してはセンサーがフォーサーズな故に「使えるレンズ」と言うものが少ない。

 

 まず、レンズは基本的に撮影できる画角(範囲)が数字でレンズ本体に書いてあることが大半だ。この数字は、いわゆるフルサイズのカメラで利用した時の値で、それよりもセンサーサイズの小さいのAPS-Cやフォーサーズは換算しないと正確な値にならない。

 

フルサイズ=1.0倍

APS-C=1.5倍

フォーサーズ=2倍

 

 ざっくりと上記のように換算する必要があります。そして何より問題なのはEFマウントレンズというのは、基本的にフルサイズかAPS-Cサイズのカメラで使うことを前提に設計されています。

 

 そのため、よく出回るAPS-C用キットレンズに当たるEF-S 18-55mm f3.5-5.6というレンズ。APS-C換算だと27-78mmとなり、よくある標準レンズになるのだ。ところが、このレンズをYN450に装着すると、フォーサーズ換算では2倍となるので、36-110mmという中望遠のレンズになってしまう。

 

 そのため、普通のEFレンズやEF-Sレンズでは広角である30mm以下の画角を撮れるレンズがかなり少ないのです。シグマなどのサードパーティーに換算10-20mm f4.5-5.6と言った、安価な超広角ズームレンズがないわけでもないが、かなり少数だ。。

 

 しかもこの世界では「超広角レンズはズームレンズに比べて値段も高い」といった部分もあり、換算10mm未満の広角端を持つ超広角EFマウントのズームレンズなど皆無に等しい。f:id:hayaponlog:20201213102350j:image

一応、EF-SというAPS-C専用レンズなら10-22mmのような超広角レンズも存在する。

 

 もちろんフォーサーズのセンサーサイズに最適化されたレンズもあります。12-40mmのレンズと言った換算で28-80mmという標準的なものや、8mm単焦点という換算16mmの広角単焦点レンズもちゃんとあります。

 

 これはフォーサーズマウントというものになり、YN450で使われてるものとは規格が違うので装着することができないのだ。EFマウント→フォーサーズシステムのマウントアダプタもほとんど聞いたことが無い、(フォーサーズシステム→EFマウントはある)

 

操作性はまだ荒削りだが、画質は並みのスマホを超えている

 

 カメラとして見る場合に大切なのは操作性だ。このYN450も過去にAndroid搭載のカメラ機と同様に使い難い点があるのは否定できない。影時にメニューボタンに手が触れるため、予期せずタスク画面に戻る点や、ズームレンズによっては絞りがフレキシブルに動いてくれない点など荒削り感は否めない。

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 また、高倍率ズームでも確かにオートフォーカスは決まってくれるものの、フォーカス速度に関しては速いとは言えない。これについてはファームウェアアップデートで多少は改善され、使いやすくなったようだ。

 

 この辺りを求めるなら中級機クラスのミラーレス一眼を買った方が幸せになりますね。特に現時点のチューニングは、センサーの性能を全て引き出してるとは言えず、暗所やコントラスト差のある場面にはかなり弱いものになる。そのため、カメラアプリ側もオートモードだとかなりISOを上げたりでノイジーな作例になることが多い。


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オートモードにて。明るさ等が無理やり持ち上がってるのがわかる。

今回レビュー用に撮影した作例については、以下のレンズを使用している。

 

YONGNUO 35mm f2f:id:hayaponlog:20201213101957j:image

 同社のEF互換レンズとしては安価なものになる。使いやすい画角でもある35mm単焦点レンズが1万円以下とお求めやすいのも特長。レンズも軽量なのでこの手の軽量ボディにはぴったりだ。

 

 ただ、このカメラでは70mmスナップとなるのがやや使いにくいところ。Canon EOS Kissユーザーが撒き餌レンズこと、EF50 f1.8 STMをつけた時と似たような画角となるので、それと同じように使うと良いでしょう。


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YONGNUO YN450+YONGNUO EF 35mm  f2

35mm f2.8 SS 1/80 ISO 400


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YONGNUO YN450+YONGNUO EF 35mm f2

35mm f4 SS 1/120 ISO 200

 

 

 

SIGMA 17-70mm f2.8-4 DC OS HSMf:id:hayaponlog:20201213102017j:image

 SIGMAのAPS-C用標準ズームレンズだ。キットレンズより明るく、画質も良く、手ぶれ補正もついて望遠端も余裕があることから非常に使いやすいレンズとなる。

 このカメラでは換算34-140mmと広角フォト以外は大体こなせる画角となるので使い勝手も良い。難点は時々絞りの挙動が変になるくらいで、手ぶれ補正含めてちゃんと動作する。


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YONGNUO YN450+SIGMA 17-70mm f2.8-4 DC OS HSM

70mm f4 SS 1/125  ISO 200


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YONGNUO YN450+SIGMA 17-70mm f2.8-4 DC OS HSM

70mm f5.6 SS 1/125  ISO 200


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YONGNUO YN450+SIGMA 17-70mm f2.8-4 DC HSM

50mm f3.5 SS 1/100  ISO 200


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YONGNUO YN450+SIGMA 17-70mm f2.8-4 DC HSM

28mm f3.5 SS 1/60  ISO 200



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YONGNUO YN450+SIGMA 17-70mm f2.8-4 DC OS HSM

17mm f2.8 SS 1/80  ISO 200

 

 

SIGMA 30mm f1.4 DC HSMf:id:hayaponlog:20201213102036j:image

 換算60mmとなる大口径単焦点です。Artラインを冠するモデルで、APS-Cではマストバイとも言われる単焦点レンズのひとつだ。開放にしても解像してくれるのが特徴で、価格の割にはとにかくキレッキレで画質が良いのでおすすめしたいレンズだ。

 


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YONGNUO YN450+SIGMA 30mm f1.4 DC HSM

30mm f2.8 SS 1/80 ISO200

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YONGNUO YN450+SIGMA 30mm f1.4 DC HSM

30mm f3.5 SS 1/60 ISO200


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YONGNUO YN450+SIGMA 30mm f1.4 DC HSM

30mm f1.4 SS 1/60 ISO200


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YONGNUO YN450+SIGMA 30mm f1.4 DC HSM

30mm f2.8 SS 1/80 ISO400


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YONGNUO YN450+SIGMA 30mm f1.4 DC HSM

30mm f2.2 SS 1/60 ISO400

 

 

 

 ここまで撮ってきて気がつくと思うが、YN450の作例は全体的に暗いものが多い。実はこのカメラ、露出計より体感的に1段暗く撮れるのだ。

 ここにあげた写真のほとんどはRAWで撮影し、やや露光を補正したのち、Lightroomにて現像したものになっている。Jpegで撮るのもアリだが、この露出の低さというクセに慣れないうちは階調も残って補正しやすいRAWで撮ることをオススメする。

 

 正直、晴れた場所や十分な明るさで撮れる環境でもない限りオートモードは使い物にならない。無理やりISO感度を3200にあげた被写体を撮ろうとしたりと少々無茶してしまう感は否めない。マニュアル設定で使うのが前提、最低でも絞り優先やシャッタースピード優先などのモードで撮るしか無いと言える。

 

 

カメラのチューニングの甘さはAndroid搭載の魅力でカバー

 

 この機種の最大の特徴は、このハードウェアを積んでいながらも4Gモデム搭載でAndroid OSが入ってることだ。つまり、皆さんの見知ったアプリが動くことからも、撮った写真を即座に現像、編集してSNSなどにすぐさまアップロードすることができてしまうのだ。


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 しかも単体でAdobe Lightroomも動いてしまうのだ。レンズプロファイルもしっかり読み込みます。

 

 即応性の求められる場面で、即座にSNSやウェブサイトに掲載する写真を超高画質で撮れるのはYN450の唯一無二の魅力かと思われる。

 

 プロセッサはQualcomm Snapdragon 625となっている。2年くらい前のミドル帯スマホによく使われたSoCのため、スペックは決してパワフルではない。それにしてもカメラとしては必要十分に動いてくれるものだ。

 

 

 一応、ミリシタがプレイできるくらいにはパワフルなので、そこそこ重たいリズムゲームをプレイ出来る現状唯一のレンズ交換式ミラーレス一眼となるはずだ。

 

 残念な点としては、中国市場がメインのためかGoogleサービスは入っていない。一応日本語ロケールは入ってますが、カメラアプリの日本語対応も不十分なのが惜しいところですね。

 

 あと、ハードウェアに「音量ボタン」がないのだ。そのため、音量調整はステータスバーから行うものとなる。スクリーンショットの撮影も同様となるため、Android端末としても絶妙に使いにくい。

 

 クラウドサービスはGoogle Photoは使えないが、AmazonやMicrosoft OneDriveをメインに使ってる方なら困ることなく写真や動画のオートバックアップも取れる。

 そのため、HuaweiのスマホをGMS無しで使う鋼の意思があるような方なら普通に使ってても困らないはずだ。現に筆者のYN450のアプリ環境はHuawei P40 Pro+とほとんど同じだ。

 

カメラ?スマホ?いえ。キメラです。

 

 こんなゲテモノ端末。カメラと言うよりキメラですね。親しみを込めてキメラと呼びたいです。

 フォーサーズシステムにEFマウントという時点でもなかなかクレイジーなカメラですが、その上にAndroidまで乗ってて4G対応とかクレイジークレイジーすぎます。スマホと異なるシステムのカメラふたつを融合させたかのようなキメラです。

 

 こんなゲテモノを正直普通の人には勧めることはできない。カメラとしては、レンズの選定を踏まえてあまりに特殊なモデルな上に、操作性も「カメラ」として使う分には操作系含めて直感的とは言えない。

 グリップも浅く、単焦点ならまだしもズームレンズではホールドし難く、ズームレンズ利用時はかなり厳しい印象を感じた。絶妙なまでにポンコツとも言えるようなカメラだ。

 

 だからこそ、愛着がわくとも言える。スマホにしても「どこかちょっと抜けている」と言った機種の方が使ってて楽しい点もまた事実。どうも筆者には「完璧にこなせる優等生」というのは合わないようだ。

 

 まぁ、それ以前に、「どこで買ったんですか?」と言われるくらい販路が分かりません。今回はTwitterのフォロワーさんよりお譲りしてもらいましたが、探しても日本ではホント数名しか持ってる方を見かけないくらいレアな端末です。

 

 筆者も1度買おうとしてAliExpressや香港や深圳に住む知り合いを当ってみたところ、「現地の直販で買うしかないのかな?」位の意見しかないもの。どうやら現地でも量販店などでは扱っていないらしい。

 

最後に。キメラと呼びたいYN450

 

 日本ではCP+というカメラのイベントで開発中の実機が展示されていたこともあって、このYN450については、ある程度名の知れた変態カメラになっているようだ。

 お膝元の中国でもまだ少数の出荷に留まり、入手してる人やレビューはかなり少数だ。日本語だと実機レビューは皆無に等しいと思われる。

 

 カメラとしてはの操作性や挙動は荒削りだが、スマホでは絶対に撮影できないような余裕のある描写ができる点は、レンズ交換式という強みだと感じる。

 そんなYONGNUOもフォーサーズ・アライアンスに加盟したことから、正式にフォーサーズシステムのカメラやレンズを作れるようになりました。

 その1弾として、YN450をEFマウントからフォーサーズマウントにした「YN450M」というマイナーチェンジ版がリリースされている。こちらの方が使いやすいレンズが多いので、レンズ周りの使い勝手は良さそうだ。(最初にEFマウント機で出たのはこういう裏もありそうですね…)

 

 筆者としては過去にPanasonic LUMIX DMC-CM10を使っていたこともあって、画質重視とも言えるYN450はまさに後継機とも言える機種だ。ただ、スマホカメラの高画質化、高倍率ズーム化が進んだこともあって、撮れる絵の差は以前より少なくなりつつある。それでもYN450はレンズの性能次第ではスマホなでは、まず撮ることの出来ない写真が撮れる最大の利点がある。

 

 特にズーム性能はフォーサーズ+EFマウントというゲテモノが相まった結果、EF-S 55-200mm ISと言った1万円以下で普通に買える型落ちキットレンズで、手軽に400mm相当が撮れるカメラとなっている。これはAPS-C機でも体験できないこの機種の魅力だ。

 

そんなこのYN450をオススメできる、人は以下のようなところだろうか。

 

・SNSへの即応性のあるカメラが欲しい人

・ゲテモノカメラが欲しい人

・愛着のわくカメラが欲しい人

・人とカメラが被りたくない人

 

 思い切った仕様のカメラとなったYONGNUOの製品。カメラの枠組みにとらわれず、おもしろい製品の登場に期待したいところだ。