どうも
気になってた端末を手にすることができました
そう、変態を極めたかのような
YONGNUO YN450です
さて、スマホなのかカメラなのか分からないクレイジーな端末
— はやぽん (@Hayaponlog) 2020年12月9日
YONGNUO YN450を入手しました
マイクロフォーサーズの力、みせてあげる pic.twitter.com/YUNuhmIrxt
- これは何?
- 世界で唯一のAndroid搭載のレンズ交換式カメラ
- 世界で唯一のEFマウントシステムでフォーサーズセンサーなカメラ
- 使い勝手の良いレンズがない
- 操作性はまだ荒削りだが、画質はスマホを超えている
- カメラのチューニングの甘さはAndroid搭載の魅力でカバー
- カメラ?スマホ?いえ。キメラです。
- 最後に
これは何?
Android搭載の4G通信対応ミラーレス一眼カメラです。
この時点で頭にハテナが浮かんだ方。
大丈夫です。あなたの頭は正常です。
簡単なスペックを書いていきますと
SoC Qualcomm Snapdragon 625
RAM 3GB
ストレージ 32GB
画面 5.15インチ FHD
カメラ部
センサー Panasonic製センサー 16MP
(マイクロフォーサーズ)
レンズ部 Canon EFマウント(EF-sレンズ使用可能)
バッテリー 4000mA/h
OS Android 7.1
カメラなのかスマホなのか分からなくなりますね。
見た目は普通のミラーレス一眼ですね。
センサーもスマホと比べたら遥かに大型のタイプですね。
裏面を見たら軽く混乱しそうな見た目です。
普通にAndroid OSが動いているのです。
ちなみにお値段は定価で2999CNY 大体4万円前後です。
世界で唯一のAndroid搭載のレンズ交換式カメラ
と見出しで書くと嘘になります。
と言うのも今から4年ほど前にSAMSUNGよりGalaxy NXというミラーレス一眼にAndroidを載せてしまったカメラがありました。
発売されたかどうかは不明ですが、Polaroid lM1836なんてものもありましたね。
ただ、前者は自社のNXマウントのレンズしか使えず、サードパーティのレンズもほぼ皆無で拡張性もないこと。Samsungがこの市場から撤退したことから後継機が出ることはありませんでした。
後者に至っては1インチのセンサーを使ったシステムでしたが、デザインがNikon 1シリーズと酷似してたことからも訴訟に発展。アメリカでは販売差し止めになったという過去があります。
そんな前任者がいたところに、YONGNUO YN450はそれらの進化系とも言えるカメラとなったのです。
世界で唯一のEFマウントシステムでフォーサーズセンサーなカメラ
このYN450ですが、センサーはマイクロフォーサーズ規格
レンズマウントはCANON EFマウントという変態というかゲテモノです。
カメラを少しでもかじったことがある人ならこれがいかに変態だかわかります。
簡単に言えば、オリンパスやパナソニックのカメラにCanonのレンズがマウントアダプター無しで付くのです。
これは普通ではあり得ないことで、基本的にカメラは同じメーカーのレンズ(レンズメーカーは除く)以外のものを付けられない仕様になってるのです。
(フォーサーズのようにメーカーの垣根を越えて規格を共有してるものを除く)
意味がわからんでしょ。
もちろん、この構成はセンサーをフォーサーズにすることでAPS-Cに比べて本体の小型化やコストダウンもできますし、中国でも豊富に出てるEFマウントの互換レンズも使えると言うこのカメラにしかない利点もあります。
ちなみにYN450のEFマウントは電子接点を備えてますので、オートフォーカス、レンズ内手ぶれ補正、絞りの制御も可能です。
使い勝手の良いレンズがない
先程の項目で「豊富に出てるレンズが使える」と書きました。もちろんその通りです。
ただ、このカメラに関してはセンサーがフォーサーズな故に「使えるレンズ」と言うものが少ないのです。
まず、レンズは基本的に撮影できる画角(範囲)が数字でレンズ本体に書いてあります。
ただ、これはいわゆるフルサイズのカメラで使った時の値で、それよりもセンサーの小さいのAPS-Cやフォーサーズは計算してあげないといけないのです。
フルサイズ=1.0倍
APS-C=1.5倍
フォーサーズ=2倍
と換算する必要があります。
そして何より問題なのはEFマウントレンズというのは、基本的にフルサイズかAPS-Cサイズのセンサーで使うことを前提に設計されています。
そのため、よく出回るAPS-C用キットレンズのEF-S 18-55mm
APS-C換算だと27-78mmとよくある標準レンズになります。
ところが、このレンズをYN450につけると
フォーサーズ換算では2倍となるので、36-110mmという中望遠のレンズになってしまうのです。
そのため、普通のEFレンズやEF-Sレンズでは広角である30mm以下の画角を撮れるレンズがかなり少ないのです。
Sigmaなどのサードパーティーに10-20 f4.5-5.6と言った安価なものもない事はない。
しかもこの世界では「超広角レンズはズームレンズに比べて値段も高い」と言うのもあり、10mm未満の広角端を持つ超広角EFマウントのズームレンズなど皆無に等しいものです。
一応、EF-SというAPS-C専用レンズなら10-22mmのような超広角レンズもあります。
もちろんフォーサーズのセンサーサイズに最適化されたレンズもあります。
12-40mmのレンズと言った換算で28-80mmという標準的なものや8mm単焦点という換算16mmの広角単焦点レンズもちゃんとあります。
ですが、これはフォーサーズマウントというもので、YN450で使われてるものとは規格が違うので装着することができないのです。
EFマウント→フォーサーズシステムのマウントアダプタもほとんど聞いたことは無いです。(フォーサーズシステム→EFマウントはある)
操作性はまだ荒削りだが、画質はスマホを超えている
カメラとして見る場合に大切なのは操作性
このYN450も過去にAndroid搭載のカメラ機と同様に使い難い点があるのは否定できません。
撮影時にメニューボタンに手が触れるため、予期せずタスク画面に戻る点や、ズームレンズによっては絞りがフレキシブルに動いてくれない点など荒削り感は否めないです。
また、高倍率ズームでも確かにオートフォーカスは決まってくれるものの、フォーカス速度に関しては速いとは言えないものです。
これについてはファームウェアアップデートで多少は改善され、使いやすくなったみたいですね。
この辺りを求めるなら中級機クラスのミラーレス一眼を買った方が幸せになりますね。
特に現時点のチューニングはセンサーの性能を全て引き出してるとは言えず、暗所やコントラスト差のある場面にはかなり弱いものになっています。
そのため、カメラアプリ側もオートモードだとかなりISOを上げたりでノイジーな作例になることが多いです。
オートモードにて。
明るさ等が無理やり持ち上がってるのがわかる。
作例については今回、以下のレンズを使用しました。
YONGNUO 35mm f2
同社のEF互換レンズとしては安価なものです。
使いやすい画角でもある35mm単焦点レンズが1万円以下とお求めやすいのも特長。
レンズも軽量なのでこの手の軽量ボディにはぴったりと言えます。
ただ、このカメラでは70mmスナップとなるのがやや使いにくいところ。
Canon EOS Kissユーザーが撒き餌レンズことEF50 f1.8 STMをつけた時と似たような画角となるので、それと同じように使うと良いでしょう。
YONGNUO YN450+YONGNUO EF 35mm f2
35mm f2.8 SS 1/80 ISO 400
YONGNUO YN450+YONGNUO EF 35mm f2
35mm f4 SS 1/120 ISO 200
SIGMA 17-70mm f2.8-4 DC OS HSM
SIGMAのAPS-C用標準ズームレンズ
キットレンズより明るく、画質も良く、手ぶれ補正もついて望遠端も余裕があることから非常に使いやすいレンズ
このカメラでは換算34-140mmと広角フォト以外は大体こなせる画角となるので使い勝手も良い。
難点は時々絞りの挙動が変になるくらい。
手ぶれ補正含めてちゃんと動作しますよ
YONGNUO YN450+SIGMA 17-70mm f2.8-4 DC OS HSM
70mm f4 SS 1/125 ISO 200
YONGNUO YN450+SIGMA 17-70mm f2.8-4 DC OS HSM
70mm f5.6 SS 1/125 ISO 200
YONGNUO YN450+SIGMA 17-70mm f2.8-4 DC HSM
50mm f3.5 SS 1/100 ISO 200
YONGNUO YN450+SIGMA 17-70mm f2.8-4 DC HSM
28mm f3.5 SS 1/60 ISO 200
YONGNUO YN450+SIGMA 17-70mm f2.8-4 DC OS HSM
17mm f2.8 SS 1/80 ISO 200
SIGMA 30mm f1.4 DC HSM
換算60mmとなる大口径単焦点です。Artラインを冠するモデルで、APS-Cではマストバイとも言われる単焦点レンズのひとつと言えます。
開放にしても解像してくれるのが特徴。
価格の割にはとにかくキレッキレで画質が良いのでおすすめしたいレンズ。
YONGNUO YN450+SIGMA 30mm f1.4 DC HSM
30mm f2.8 SS 1/80 ISO200
YONGNUO YN450+SIGMA 30mm f1.4 DC HSM
30mm f3.5 SS 1/60 ISO200
YONGNUO YN450+SIGMA 30mm f1.4 DC HSM
30mm f1.4 SS 1/60 ISO200
YONGNUO YN450+SIGMA 30mm f1.4 DC HSM
30mm f2.8 SS 1/80 ISO400
YONGNUO YN450+SIGMA 30mm f1.4 DC HSM
30mm f2.2 SS 1/60 ISO400
ここまで撮ってきて気づくと思いますが、全体的に暗いものが多いかと思います。
実はこのカメラ、露出計より体感的に1段暗く撮れるんですよね。
ここにあげた写真のほとんどはRAWで撮影し、ややアンダー気味にLightroomにて現像したものになってます。
Jpegで撮るのもいいですが、この露出の低さというクセに慣れないうちは階調も残って補正しやすいRAWで撮ることをオススメします。
正直、晴れた場所や十分な明るさで撮れる環境でもない限りオートモードは使い物になりません。
無理やりISO3200にあげた被写体を撮ろうとしたりと少々無茶があります。
マニュアル設定で使うのが前提、最低でも絞り優先やシャッタースピード優先などのモードで撮るしか無いと言えるかもしれません。
正直なところ、センサーが悪いのかよくわからんけど暗いのよね…レンズは明るいのを使ってるので
— はやぽん (@Hayaponlog) 2020年12月10日
これもRAWで撮ってかなり持ち上げてる。もちろん、ISO上げれば明るくはなるけど、ノイズリダクションの効きが弱いこのボディでは諸刃の剣 https://t.co/Dtta9JIkdZ
カメラのチューニングの甘さはAndroid搭載の魅力でカバー
この機種の最大の特徴は、このハードウェアを積んでいながらも4Gモデム搭載でAndroid OSが入ってること。
つまり、皆さんの見知ったアプリが動くことからも撮った写真を即座に現像、編集してSNSなどに即座にアップロードすることができてしまうのです。
しかも単体でAdobe Lightroomも動いてしまいますからね。
レンズプロファイルもしっかり読み込みます。
即応性の求められる場面で即座にSNSやウェブサイトに掲載する写真を超高画質で撮れるのはYN450の唯一無二の魅力かと思います。
プロセッサはSDM625と2年くらい前のミドル帯スマホにも使われたSoCのため、スペックは決してパワフルではないにしてもカメラとしては必要十分に動いてくれます。
まってwww
— はやぽん (@Hayaponlog) 2020年12月10日
ミラーレス一眼でミリシタが動いたwww pic.twitter.com/6DsePByOqj
多分世界で唯一、ミラーレス一眼カメラでリズムゲームをプレイした動画 pic.twitter.com/DzEiSCMYrC
— はやぽん (@Hayaponlog) 2020年12月10日
一応、ミリシタがプレイできるくらいにはパワフルです。
そこそこ重たいミリシタがプレイ出来る、現状唯一のレンズ交換式ミラーレス一眼です。
残念なのは中国市場がメインのためか、Googleサービスはなし。
一応日本語ロケールは入ってますが、カメラアプリの日本語対応も不十分なのが惜しいところですね。
あと、ハードウェアに「音量ボタン」がありません。
そのため、音量調整はステータスバーから行います。 スクリーンショットの撮影も同様です。
Android機としてもなんか絶妙に使いにくいです。
クラウドサービスはGoogle Photoは使えませんが、AmazonやMicrosoft OneDriveをメインに使ってる方なら困ることなく写真や動画のオートバックアップも取れます。
そのため、HuaweiのスマホをGMS無しで使う鋼の意思があるような方なら普通に使ってても困らないと思います。
現に筆者のYN450のアプリ環境はHuawei P40 Pro+とほとんど同じです。
カメラ?スマホ?いえ。キメラです。
こんなゲテモノ端末。カメラと言うよりキメラですね。
親しみを込めてキメラと呼びたいです。
フォーサーズシステムにEFマウントという時点でもなかなかクレイジーなカメラですが、その上にAndroidまで乗ってて4G対応とかクレイジークレイジーすぎます。
スマホと異なるシステムのカメラふたつを融合させたかのようなキメラです。
正直普通の人には勧められません。
カメラとしてはレンズの選定を踏まえてあまりに特殊なモデルな上に、操作性も「カメラ」として使う分では操作系含めて直感的とは言えません。
グリップも浅く、単焦点ならまだしもズームレンズではホールドし難くかなり厳しい印象を感じました。
絶妙なまでにポンコツとも言えるようなカメラです。
だからこそ、愛着がわくんですよね。スマホにしても「どこかちょっと抜けている」という機種の方が使ってて楽しいです。
どうも私には「完璧にこなせる優等生」というのは合わないみたいです。
まぁ、それ以前に、「どこで買ったんですか?」と言われるくらい販路が分かりません。
今回はTwitterのフォロワーさんよりお譲りしてもらいましたが、Twitterを探しても日本ではホント数名しか持ってる方を見かけないくらいレアな端末です。
私も1度買おうとしてAliExpressや香港や深圳に住むの知り合いを当ってみても「現地の直販で買うしかないのかな?」位のもの。どうも現地でも量販店などでは扱ってないらしいのです。
最後に
日本ではCP+というカメラのイベントで開発中の実機が展示されていたこともあって、このYN450はある程度名の知れた変態カメラになっています。
お膝元の中国でもまだ少数の出荷に留まり、入手してる人やレビューはかなり少数です。
日本語だと中華ガジェットに強いちなーるさんの所やすまほんさんくらいしか実機レビューはないと思います。
カメラとしてはの操作性や挙動は荒削りですが、スマホでは絶対に撮影できないような余裕のある描写ができるのはレンズ交換式という強みだと思います。
今ではYONGNUOもフォーサーズ・アライアンスに加盟したことから正式にフォーサーズシステムのカメラやレンズを作れるようになりました。
その1弾としてYN450をEFマウントからフォーサーズマウントにしたYN450Mというマイナーチェンジ版がリリースされるそうです。
(最初にEFマウント機で出たのはこういう裏もありそうですね…)
こちらの方が使いやすいレンズが多いので、レンズ周りの使い勝手は良さそうですね。
筆者としては過去にPanasonic LUMIX DMC-CM10を使っていたこともあって、画質重視とも言えるYN450はまさに後継機とも言える機種でした。
ただ、スマホカメラの高画質化、高倍率ズームに対応したこともあって撮れる絵の差は以前より少なくなりつつあります。
それでもYN450はレンズの性能次第ではスマホなんかではまず撮ることの出来ない写真が撮れるという最大の利点があります。
特にズーム性能はフォーサーズ+EFマウントというゲテモノが相まった結果、EF-S 55-200mm ISと言った1万円以下で普通に買える型落ちキットレンズで手軽に400mm相当が撮れるカメラとなっているのです。
これはAPS-C機でも体験できないこの機種の魅力と言えます。
そんなこのカメラをオススメの人は
・SNSへの即応性のあるカメラが欲しい人
・ゲテモノカメラが欲しい人
・愛着のわくカメラが欲しい人
・人とカメラが被りたくない人
それでは