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最後の液晶ハイエンドスマホかも?「AQUOS R5G」実機レビュー 明るい画面がうれしいスマートフォン

 どうもこんにちは。今回は最後の液晶パネル搭載ハイエンドスマホかもしれないシャープのAQUOS R5Gの実機レビューとなる。

 

 

AQUOS R5Gはどんなスマホ?

 

 シャープが初めて発売した5G対応のスマートフォンだ。日本ではドコモ、au、ソフトバンクにて発売され、後日には楽天モバイルでも発売された数少ない日本4キャリアで取扱のある5G対応のハイエンドスマートフォンだったりする。意外と知られていないが、このAQUOS R5Gは台湾でも販売されている。スペックは以下の通りだ。

 

SoC Qualcomm Snapdragon 865 5G

メモリ 12GB

ストレージ 256GB

 

画面 6.5インチ QHD IGZO液晶

 

カメラ

4800万画素(メイン)

1200万画素(超広角)

1200万画素(3倍望遠)

深度センサー

 

1600万画素(フロント)

 


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本体はカメラ部が特徴的なフォルムだ


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イヤホンジャックもしっかり備える

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サイズとしては6.5インチながらやや大きめと言える

 

液晶パネルにこだわり続ける最後のハイエンドスマホがAQUOS R5G

 

 AQUOS R 5Gの最大の特徴は画面が液晶パネルである点だ。近年のハイエンドスマホのほとんどが有機ELパネル(OLEDやAMOLEDとも呼ばれるもの)に移行し、現在では廉価なスマホに液晶パネルが採用されることが多くなっている。

 そんな中で、AQUOS R5Gは10万円超えのハイエンドながら「液晶パネル」にこだわった端末として発売された。ある種の絶滅危惧種のようなスマホとなっている。

 

 この液晶パネルはIGZOと呼ばれるものが採用されており、省電力にも寄与する設計となっている。以前からシャープのスマートフォンでは広く使われているものだが、時代と共に進化を遂げてAQUOS R5Gでは第7世代のものが使用されている。液晶パネルは10億色の色表現にも対応したPro IGZOを採用。HDR10などのリッチなコンテンツも余すことなく表現できる。



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有機ELパネル採用機に比べてもかなり健闘する色表現と言える

 

 ただ「黒」の表現は液晶パネルの構造のため難しいところではある。それを含めても、画質や色表現はかなり健闘してると言える。決して、液晶パネルだからというディスアドバンテージは感じさせないのだ。

 その上で、有機ELパネルより輝度が稼げる点や、安価に高フレームレート対応にできる点でのアドバンテージがある。モバイル端末では特に気になる「画面の焼き付き」が発生しにくい点も今では立派なアドバンテージだ。


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デュアルノッチと呼ばれるこの2面切掛けは、世界的に見ても稀な存在だ

 

 シャープ独自の技術で液晶パネルの曲面加工が可能なら事から、液晶パネル搭載端末ながらノッチを備えたりとデザイン的なトレンドも抑えてるのが特徴だ。このAQUOS R5Gは前作のAQUOS R3に続いて、フロントカメラと下部の指紋センサー付近を切り取った「デュアルノッチ」の構成となっている。

 世界中を探してもデュアルノッチの端末はシャープのハイエンド機くらいしかなく、ましてやこれが、有機ELよりも曲面化が難しい液晶パネルの機種だ。実際、AQUOS R3を香港のスマホ好きの方に見せたら「日本にはこんな面白い形の画面のスマホがあるのか!」と驚かれたものだ。

 


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指紋センサーを画面の下部ベゼルに備える

 

 液晶パネルのため画面内に指紋センサーは設けられておらず、画面下のベゼルに収められている。液晶パネルでも赤外線方式の画面内指紋認証もあるが、搭載は少数に限られる。AQUOS R5Gでは本体が縦長なこともあって、指紋認証時にやや使いにくいことが気になった。

 

8Kで動画も残せる、写真も綺麗に撮れるAQUOS R 5G

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3眼カメラ搭載のAQUOS R5G

 

 このAQUOS R 5Gでは、カメラ性能を大きくアピールしている。AQUOS R3までは動画専用だった超広角カメラを廃し、グローバルトレンドに沿った標準、超広角、望遠、深度の4眼構成となっている。もちろん、これらのカメラでは深度を除いてそれぞれのカメラで静止画の撮影が可能だ。

 以下に作例をまとめる。AQUOSにしては非常に綺麗に撮影できており、他社の機種と比較しても大幅に劣ることも少なくなってきた。


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作例は全てオートモードでの撮影

 

 筆者的にはここまで撮ってみて「以前よりかなりカメラは良くなった」と感じることが出来ました。正直AQUOS Rくらいの頃は、Googleカメラ入れてからが勝負とか言われたが、もう標準カメラだけでも十分綺麗に撮れるのだ。

 それでも夜間撮影などは、トレンド最先端のクオリティにたどり着いてるとは言えず、そのようなシチュエーションではGoogleカメラを使用した方が良い。

 このAQUOS R5GではGalaxy S20シリーズ同様に「8K解像度の動画撮影に対応した」と大きく掲げられた。実際、8Kを体感できる環境はまだ少ないが、こればかりは「8Kで残せる」と言う点に価値を見いだせるかで評価が分かれる。この2021年を、令和3年を手元のスマートフォンで8Kで撮って10年後に「あの時の割にはこんなに綺麗に撮れたんだよな」って振り返れる。そんな機能だと筆者は感じる。

 

 

AQUOS R 5Gは「スペック表に見えない機能」が使いやすさに繋がる。そんなスマートフォン

 

 このAQUOS R5Gはハイエンドといえるスマホだ。スペック的には核とも言えるSoCにSnapdragon 865 5G搭載しており、かなりの高性能なのがうかがえる。メモリも12GBと他社より多いのもうれしいところだ。加えて、ストレージは256GBで規格もUFS3.0を採用。

 このハイスペックっぷりは近年シャープ自体がeSportsにも力を入れており、そのためのスペックとも言える。

 ここ数年AQUOSではリズムゲームに力を入れており、このAQUOS R5Gでも発表時のパフォーマンスアピールでは「アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ」が使用されていた。近年では「初音ミク プロジェクトセカイ」の公式大会スポンサーをAQUOSブランドで担当するなど、リズムゲームに寄せてくる戦略なのを感じさせる。


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実際にプレイしても快適だ

 

 このくらいの性能もあることから普通に使って困ることはまず無い。動作の引っかかりはなく、ほとんどのコンテンツが快適に動作した。


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 AQUOSとしては初の5G対応機となり、いわゆるSub6帯域に対応している。注意点としては、販売元のキャリアによって対応してる5Gバンドが同じAQUOS R5Gでも異なる点に注意が必要だ。

 

細やかな使い勝手の良さが嬉しいAQUOS R5G

 


 筆者の感じるAQUOSの良さは「スペック表に見えない細やかな工夫」と言える部分だ。例えば、なめらかハイスピード表示ではスクロール体験を重視したチューニングがされているため、Galaxy S20などをはじめとした主流の高フレームレート機とはやや挙動が異なる点も挙げられる。リッチカラーテクノロジーではHDR非対応のコンテンツでも、擬似的に拡張して楽しむことが出来たりと、HDRコンテンツの黎明期からしっかり使えた機能の1つだ。

 

 利点としては非120Hz対応コンテンツでなくても疑似的に表示できる点や、指の吸い付きがとても良いと言われるタップ感度もある。AQUOS R5Gの場合「液晶パネル」であることがアドバンテージとなっており、焼き付きが少なく、画面輝度を出せる点はOLEDが市場の中心になってからは利点となっている。

 

 また、覗き見ブロック機能やリラックスビューをはじめとした独自機能面、省電力バックライトと言った点もスペック表には見えてこない点だ。通知ランプの存在やイヤホンジャックと言った点も「使いやすさ」に繋がる点だ。

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本体下部に通知ランプを備える

 

 加えて、AQUOSシリーズお馴染みの独自の音声アシスタントであるエモパーも備えており、シャープらしさをふんだんに感じられるスマホだ。

 

 日本で発売された5G端末としてはiPhone 12シリーズとこのAQUOS R5Gがドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの4キャリア全てで正式に発売された機種だ。そのため、市場においても流通量が多くアクセサリーが豊富にあるのも特徴だ。中国系のメーカーのモデルに比べればコストあたりのパフォーマンスやカメラ性能は劣るが、これらの機種には持ち合わせてない個性や使いやすさを備えた機種だ。

 

最後のハイエンド液晶端末になるかもしれないAQUOS R5G

 

 筆者的にはこのAQUOS R 5Gは「最後の液晶パネル搭載ハイエンドスマホ」と感じる。後継モデルのAQUOS R6の発表も噂される中、今後もAQUOS Rシリーズが液晶パネルを積んだモデルとして出してくるのかは微妙なラインにいると言われている。

 

 市場を見渡せば、AppleですらiPhone SEを除く全モデルがOLEDに変わり、シャープとしてもAQUOS Zeroシリーズなど向けに自社でOLEDパネルを製造している。

    このため、シャープのハイエンドスマホでも、液晶パネルから有機ELパネルへと変わっていくのが考えられる。一方で、120Hzのフレームレートに対応させるため、液晶パネルにこだわっていた点が液晶パネルの搭載理由である場合も考えられる。

 シャープでもAQUOS Zero2にて120Hzのリフレッシュレートに対応のOLEDパネルを搭載している。自社製造のため、フレームレートの制御も細かくチューニング可能となった今では、自社のハイエンドスマホに液晶パネルを搭載する意義が以前よりも落ちている。

 

 世界的なトレンドもあって、スマホベンダーに高品質な液晶パネルは販売が難しいものとなっている。液晶パネルはバックライトなどの関係で、スマホのデザイン面でもある意味制約がある。OLEDパネルも技術革新で、液晶パネルに優位だった最大輝度や高フレームレート対応を備えるようになったことからも「シャープもハイエンド機はOLED」の流れになると考えられる。

 

 そんな世の中となっているので「高品質な液晶パネル」であることは、スマートフォン選びにおいてもアドバンテージとなる。このAQUOS Rシリーズは液晶パネルを貫くハイエンド機であってほしいと筆者は思うところだ。