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Huawei P50 Pro レビュー 5GもGoogleもないが、期待を裏切らない高いカメラ性能を持つスマートフォン

 どうも。この馬鹿はまたもスマホを買ってしまいました。今回は最強の4Gスマートフォン。Huawei  P50 Proのレビューとなる。

 

 

制裁下のファーウェイが起死回生で展開したカメラ性能重視のハイエンドスマホ

 

 ファーウェイのPシリーズと言えば、ライカとコラボしてカメラ性能を突き詰めたモデルとして有名なスマホだ。筆者もライカコラボ初代となる「P9」からほぼ毎年買いあさり、常に進化するカメラ性能に度肝を抜かれてきたものだ。これらは過去にレビューでまとめている。

 

 2019年以降は米国制裁の関係で翌年のP40シリーズこそ辛うじて出せたものの、Googleサービスは非搭載という足かせを被って大きく失速。加えて、5G関連機器には半導体部品の出荷規制なども絡み、P50シリーズの発売は絶望的と言われた中での起死回生とも言うべきか。いや、良く世に出せたものだ。

 

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今回はホワイトにしてみた。はじめての白系になるが、これはこれでかわいい。 また、来月には廉価モデルのP50も発売予定だ。
   

スマホカメラの1つの完成形を示す。自然な色味で意識せずに美しく撮れるP50 Pro

 

 制裁が強化された関係でSoCなどのチップセットはもちろん、ソニーやサムスンのイメージセンサーまでも規制がかかったと言われるファーウェイ。昨年のP40シリーズまではソニーと蜜月に開発したRYYBセンサーを搭載していたが、今回は制裁の関係からか搭載は見送られた。

 

 それでもライカのクオリティを達成するハードウェアやソフトウェアのノウハウはしっかりと残り、カメラ性能を"次の世代"へもって行こうとしてる気概を感じさせる。

 

 また、ファーウェイが得意としていたコンピューテーションフォトグラフィーの分野でも大きく進化と発表会では触れられていた。XD Fusion Proという画像信号復元システムを採用し、発表会では「光学性能の限界を超えた」とアピールするくらいの力の入れようだ。

 

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カメラ部は「デュアルマトリクス」という二つのレンズを連想させるデザインに。あまり他社でも採用例がない。

 

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レンズはライカのVARIO-SUMMILUXを冠するものにはなってるが、撮影した写真のウォーターマークにはLEICAの文字はなくなっている。

 ライセンスの絡みも噂されるので、本機種が恐らく最後のライカを冠したスマホになるともいえる。

 

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P50 Proの画角は35mm換算で13-90mm相当となる。

 今までの機種に比べるとやや望遠端が抑えられた形となるが、そこは高画素センサーでカバーしている。P50 Proでは以下の通りの4眼構成となっている。

 

1300万画素 f2.2 13mm 超広角

5000万画素 f1.9 23mm 標準

4000万画素 f1.8 26mm 標準(モノクロ)

6400万画素 f3.5 90mm 望遠

 

 ここからはいくつかの作例を。特記のないものは全てオートにて撮影している。

 

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 P50 Proは発表会で述べられていたように「自然な色味」を表現していることが印象的だ。色味でいえば直近のP40シリーズよりは、構成的にも近いP20 Proが最も似ていると言える。

 

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 色味が崩れやすい場面でも、自然なカラーバランスで撮影できる。特に2枚目は青い空の色が飛びやすいのだが、そこはしっかり補正をかけてくるあたりさすがだ。

 

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 同社のスマホではP20 Pro以来の搭載となっていたモノクロカメラを搭載。専用センサーなだけあって、表現力の高さは目を見張るところがある。

 

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 超広角カメラは換算13㎜相当とMate 40 Proシリーズより広角端が広くなっている。最上位のMate 40 Pro+で採用されていたフリーフォームレンズがP50シリーズで採用されてるかは不明だ。

 

 実のところ換算13㎜クラスの超広角カメラはGalaxy Sシリーズくらいの採用例にとどまる。ファーウェイのスマホではP30 Proで16mm、P40 Proで18㎜となっており、超広角の画角では物足りなさもあったので大いに満足だ。

 

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1倍

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10倍ズームでもくっきりと写る。

 

 

 P50 Proでのズーム倍率は、広角端からの換算でデジタル最大200倍となる。過去の機種と起算位置が違うので注意だが、こっちのほうが正しい。

 望遠レンズは3.5倍 90㎜相当と前作のP40 Proなどの望遠端で125㎜よりは抑えられてるが、センサーには6400万画素の高画素のセンサーを採用している。

 高画素センサーを望遠レンズで使う点では「エアリーディスク径の関係で性能を生かしきれないのでは」という声もあるが、P50 Proではその光学的限界をソフトウェアでカバーすることで解決。

 前年のウルトラハイエンドP40 Pro+とも引けを取らないズーム性能には驚くばかりだ。

 

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 夜景モードもかなり優秀だ。特にP40やP30シリーズでよく見られた不自然に黄色くなる写りが改善され、より見た目に近い形で撮れるようになっている。

 

 

 力を入れているVIVO X60 Pro+やAQUOS R6も夜景モードは善戦してる。ここまでくれば好みの差だろう。

 

 動画撮影も手ぶれ補正がしっかり効いて使いやすい。ただ、1080p 60fpsの設定では超広角カメラでの撮影はできないので注意してもらいたい。

 

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 前モデルであるP40 Pro+からの比較では、正直惜しいところがかなり改善されている印象だ。

 P40シリーズはRYYBセンサーという高感度重視のセンサーを採用した反面、色表現ではやや難があった。P40シリーズには色情報を補完するセンサーも搭載されていたが、夜景モード使用時などでは黄色がかることがあった。

 今回のP50 Proではその辺のカラーバランスが改善され、 「目で見た色に近い」表現が可能になっている。ファーウェイのやや彩度高めのチューニングが苦手という方にも、手に取ってもらえる商品と言える。

 

 

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 日本で販売された「もうひとつのライカスマホ」ことAQUOS R6との比較では、正直P50 Proの方に軍配が上がる場面が多かった。

 AQUOS R6がいくら1型のセンサーを積んでいたとしても、ソフトウェアはまだまだこれからといったところだ。正直ソフトウェアまわりに関してはパイオニアと言えるファーウェイ相手では部が悪いとも言える。

 

 それでも、明るい場面では肉筆するような写真が撮れたりと被写体によってはあとは好みの差というレベルまでは達している。

 AQUOSに関しては今後の改良に期待したいという所だ。

 

 

カメラ以外もしっかり進化したP50 Proのスペックもチェック

 

 もちろん、カメラ性能以外も順当にアップデートされた形だ。核となるSoCはHiSilicon Kirin 9000もしくはQualcomm Snapdragon 888となる。どちらも今年のモバイル業界をリードするハイエンドチップセットだ。

 

 発売地域などでチップセットが違うのかと思いきや、9月以降は中国版でも順次Snapdragon版に切り替わるのではないかという情報もある。

 昨年のMate 40シリーズから細々とハイエンド機に積まれていたKirin 9000の在庫もそろそろ潮時なのだろうか。

 

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画面性能は6.6インチ フルHD+解像度の有機ELパネルとなる。120Hzのリフレッシュレートにも対応し、この辺りはMate 40シリーズを踏襲してると言えるだろう。

 

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 個人的にはフロントカメラがセンターパンチホールとなったのがうれしいところだ。

 P40シリーズのあのバカでかいパンチホールは画質は良くてもどうも気に入らなかった。それでも同世代のものに比べると、カメラ部はやや大きめと言える。

 

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 P50 Proではステレオスピーカーを搭載。Mateシリーズとの住み分けなど、いろんな理由からステレオスピーカーを搭載していなかったPシリーズだけに今回のステレオスピーカーはうれしい限りだ。

 

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 OSは近年のHuawei機では標準搭載となるHarmony OS 2.0 を搭載する。一応AndroidベースのカスタムUIとなるので、既存のアプリ自体は動作するが残念ながらGoogleサービスは非搭載となる。

 

 中国ではHarmony OS 2.0 搭載の端末や家電が続々と発売されおり、これらとの連携の強さを売りとしている。スマホでも別の端末のカメラアプリを制御してマルチアングル撮影を可能にするなどのパフォーマンスが公表されており、今後の進展にも期待したところだ。ちなみにP50 Proの動作自体は、Kirin 9000搭載とあって快適そのものだ。

 

 

 試しに普段からプレイしているミリシタを起動させてみた。ノーツ音がずれてしまうが、タイミングとしてはほぼ完ぺきともいえる。

 

5G通信とGoogleに非対応なのがあまりにも惜しいP50 Pro

 

 米国の制裁の関係でP50 Proでは引き続きGoogleサービスは使用できない。特に今作は5G対応機器には部品の供給すら制限をかけるよう制裁強化された背景もあって、5G対応も見送られた。

 

 ファーウェイとしてはP50 Proでは、2枚のSIMカードを同時通信させる。また公衆Wi-Fiなどを併用することで5G Sub-6規格クラスの通信速度は維持できると明かすが、5Gを推し進めるイノベーティブカンパニーとしては苦渋の決断と言えるだろう。

 

 そのため、どれだけカメラ性能が良くても制裁による足かせがあまりにも大きい端末となってしまった感は否めない。

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 確かにデュアルSIMデュアルアクティブのような挙動を確認できた。通信速度はキャリアアグリケーションなどに非対応な海外スマホとさほど変わらないように感じた。日本のように5Gの拡充が遅れてる地域では4Gのみでも意外と困らないのではと思ったところだ。

 

ファーウェイのカメラの進化を見届けて6年。P50 Proを買ったことには後悔はない

 

 ライカコラボ前のP8は本当にありふれたスマートフォンのひとつだった。日本では販売こそされなかったが、バリエーションモデルのP8 MaxとP8 Liteが発売され話題を呼んだ。カメラに関してはRGBW対応センサーこそ積んではいたが特別性能がすごい訳ではなかった。

 

 翌年のP9でライカとタッグを組んだデュアルカメラ、2018年のP20 Proでのトリプルカメラに数々のAI処理と言った点は間違いなく市場に衝撃を与えたものだ。

 

 その後もスマートフォンのカメラという分野においては常に業界とトレンドの最先端を走り続けたメーカーだけに、今年発売のP50 Proではもう「安心感」を覚える出来栄えとなっている。事前情報の不安要素は何だったのだろうかと忘れさせてくれる。そんなクオリティだ。スマホカメラの現時点での究極系の1つを示していると言っても過言はないだろう。

 

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 こう見えて意外と過去のシリーズも保有している筆者である。どのモデルもそれぞれの個性があって面白いものだ。

 

 ただ、近年の情勢的にGoogleサービスが使用できない上に、次世代通信規格5Gにも非対応となる。そんな実用的に使いにくいスマホを約11万円という決して安い値段でないだけに、普通のユーザーには申し訳ないが勧めにくいのが現実だと言えるだろう。

 また、今後は自社生産のKirinからQualcommのチップセットに切り替わるのではという報道もある。そのため、今後市場にも出てくると思われるQualcomm版P50シリーズは現状唯一のX60モデムを搭載してない可能性のあるSnapdragon 888となる。

 

 特に、ファーウェイのスマホが行っていた高度な画像処理はKirinチップセットだからこそ可能だった側面があるだけに、この分野が劣ってしまうような結果になってしまうと惜しいところだ。

 

それでもこの情勢下でファーウェイがハイエンドスマホを出せただけでも奇跡に近いだろう。

 

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 時を近くしてファーウェイのサブブランドから独立分社化したHONORからハイエンドスマホであるMagic 3シリーズが発表されている。

 

 こちらはカメラ構成こそP50シリーズに近いが、画面解像度が高い点やカメラ特化の構成ながらSONY製のセンサーを搭載したりとP50シリーズよりもプレミアムなモデルとなっている。

 どちらかと言えばMate 40シリーズの後継に近い側面もあり、ある意味Mate 50シリーズという見方もできる。

 

 最上位のMagic 3 Pro+も発表され、カメラお化けみたいなスマホみたいになっている。お値段はヨーロッパの付加価値税込みで約19万円とLEITZ Phone 1もびっくりのプレミアムスマホだ。

 

 ただ、ファーウェイの発表会で触れたようなソフトウェアの話は多くは語られず、搭載チップもSnapdragonであることからこちらも正直未知数と言える。グローバル発表された端末のため、5Gにも対応しGoogleサービスが搭載されてる点などでアドバンテージはあるので、こちらを選ぶのも悪くないだろう。

 

 個人的にMagicを見送ってP50 Proを購入したのは、やはりKirinチップセットの存在だろうか。それとずっとPシリーズを買い続けたファンとしてやはり買わないと後悔するという念が働いたからと言える。意識することなく綺麗に撮れるのはスナップシューターとしては最適解の1つともいえる。また重量も200gを切ることから、画面サイズからしても比較的軽量なのもポイント高い。

 

 スマホのカメラにはスマホらしい進化の道がある。改めてそう思わせられたスマホだ。P50 Proはファーウェイのスマートフォンを追い続けたファンの期待を裏切らない、高いクオリティとなっていることは保証できる。

 

 それでは、P50 Proのファーストインプレッションでした。