どうも。ソニーのXperia PRO-Iのレビューだ。最強の1型センサースマホの実力をとくと堪能したい。
Xperia Pro Iというカメラが届きました。
— はやぽん (@Hayaponlog) 2021年12月15日
今年はもうスマホ買いません#はぁ〜また買っちゃった pic.twitter.com/2nQg809ZCj
- 1型センサーを積んでしまったカメラ性能特化のXperia PRO-I
- Xperia史上最強のカメラスマホ。高いクオリティに納得
- Xperia PRO-Iのみの新機能 Videography Proをチェック
- 性能もしっかりハイエンド。単なるカメラにはとどまらないXperia PRO-I
- Xperia 1IIIとXperia PRO-Iの違いはカメラだけではなかった
- 値段の高さが惜しいが、SONYの1型コンデジとハイエンド5Gスマホを買ったと思えれば買い
1型センサーを積んでしまったカメラ性能特化のXperia PRO-I
Xperia PRO-Iの特徴はこの飛び出た構造のメインカメラだ。1型というスマホとしては大型のセンサーを搭載し、これは過去の例を見てもパナソニックのLUMLX CM1/10、シャープのAQUOS R6と同じプラットフォームのLeitz Phone 1くらいしか搭載例がない。このXperia PRO-Iのカメラについて簡単にスペックを書くと、以下のようになる。
超広角16mm f2.2
広角 24mm f2.0-4.0 1型センサー
望遠 50mm f2.3
Xperia PRO-Iはカメラ性能に特化してる
Xperia PRO-Iに採用された1型センサーはソニーのプレミアムコンデジ「RX100VII」と同じものを採用。RX100シリーズはソニーでも長くにわたってモデルチェンジを繰り返しながら、愛されてきた製品なだけに期待値は高い。
Xperia PRO-Iでは、1型センサーながらもXperia 1IIIクラスの高速なオートフォーカスにも対応。 大型センサーながらデュアルフォトダイオードを採用しており、秒間20コマの連写とトラッキングAFなどを用いた超高速のピント合わせが可能となる。
この専用機向けセンサーとはフロントエンドLSIを用いて橋渡しをする構成であり、このおかげでAndroid端末でも利用できるようにした。ここはソニー内でもスマホ部門とカメラ部門がタッグを組んで、相当に力を入れているポイントだ。これに加えレンズはガラスモールドレンズを採用。スマートフォンに収められる範囲で画質を追求した。また、f2.0と4.0の二段階で切り替えられる可変絞り機構も備える。
Xperia PRO-IのレンズはZeissのTessarを冠するものにで、レンズはガラス製となる。普通のXperiaでは見られない青いZEISSのロゴが輝いており、レンズには反射防止のT*コーティングも抜かりない。
レンズはXperia 1IIIに引き続きZEISSレンズを採用。
Xperia史上最強のカメラスマホ。高いクオリティに納得
「カメラ、極まる」なんてキャッチコピーを打つほどの最強スペック。そんなXperia PRO-Iでいくつか撮ってみたのが以下の通り
撮り心地については、もうこいつ「カメラそのものでは」と思わせてくれる。まず、出てくる絵の質感が違うのだ。塗り絵のようにならず、撮って出しでもリアルな描写をしてくれる。特に1型センサーのメインカメラはダイナミックレンジも文句の言いようがない。
Xperia Pro Iはほんとにカメラよな。
— はやぽん (@Hayaponlog) 2021年12月16日
スマホでは主流の考え方で作られてないホントの意味でカメラ。AI補正も最小限、ありのままを写すとはこういう事なんだなと pic.twitter.com/vDVMq193h9
Xperia Pro I
— はやぽん (@Hayaponlog) 2021年12月16日
24mm f4.0 SS:1秒 ISO:100
さすがといえるな。フィルターとかつけて使いたくなる pic.twitter.com/EU3WJW7e8M
比較的露光時間が長い場面でもしっかり描写されるのは嬉しいところ。 暗いところでもしっかりと質感が残ってるため、RAWで撮影した時などでは重宝する。マニュアルで追い込みやすいところもあってこの辺りはPROを名乗るだけはある。
また、Xperia PRO-IではXperia 1IIIと同様にリアルタイムトラッキングAFに対応。世の中に出ているスマホでもここまで「動体撮影」に強いスマホはなく、超高速AFと秒間20コマ撮影、可変絞り機構を備えたソニーのカメラそのものだ。
風になびく花もしっかり撮影できる。大事なシャッターチャンスも逃さないスマホだ。
カメラUIに関しては静止画撮影ではPhoto Proを搭載。Xperia 1IIIと同様に標準カメラアプリがPhoto Proに一本化されており、よりシームレスな切り替えが可能だ。細かいところの設定項目もいくつか異なり、例えばマニュアルモードで設定可能なISO感度は100-12800までとXperia 1IIIとは異なっている。
Xperia PRO-Iのみの新機能 Videography Proをチェック
このXperia PRO-IにはXperia 1以降のハイエンドにて利用できるCinema Proという動画撮影アプリのほか、Videography Proというものが新たに追加されている。
これはCinema Proが「あまりにプロ向けで設定項目が多く、使いにくい」と言った声にこたえるものだ。「より簡単に撮影できる」点を基軸に置いており、主に配信者やVlogerといった人たちをターゲットにしている。オプションでビデオグリップやサブモニター、ガンマイクなどのアクセサリーと組み合わせることで単独での高画質配信が可能という点が特徴だ。
Xperia Pro I
— はやぽん (@Hayaponlog) 2021年12月16日
Video Pro 23.97fps SS:1/30
まぁしっかり撮れてるなと。
雨の日のドラレコはスマホのAFだと予期せぬところに持ってかれるのでMFで設定できる機種がオススメです。 pic.twitter.com/QagIa6MLjE
また、Xperia PRO-IにはL/Rの2つのマイク以外にセンターにもマイクが搭載されており、カメラを向けた相手の声を綺麗に収録できる。写真はもちろん、動画でも本気でアプローチをかけてきたなと思うところだ。Cinema Proとは撮影対象や表現によって使い分けるとよいでしょう。
性能もしっかりハイエンド。単なるカメラにはとどまらないXperia PRO-I
ここまでソニーとしても力を入れたカメラ周りを使ってみたが、スマートフォンとしても使ってみたい。カメラ以外のスペックは以下の通り
SoC:Qualcomm Snapdragon 888
メモリ:12GB
ストレージ:512GB
画面:6.5インチ 4K(3840×1644)
120Hz対応、HDR10 BT2020対応
バッテリー 4500mAh
ディスプレイはXperia 1III同様の4K 120fpsに対応したものだ。残像低減処理を行う240fps相当の処理(原理的にはシャープの黒フレーム挿入の240Hzに近い)や、240Hzのタッチレートにも引き続きしっかり対応している。
もちろん、HDR10やBT2020対応のマスターモニタークラスの画面性能は引き続き備える上に、Xperia PRO-IではXperia 1IIIに比べて画面輝度が高めに設定されているのもポイント。外で使うことが多いデバイスだけにうれしい改善点だ。
サイズ感はXperia 1 IIIと同様だ。
核となるプロセッサにはQualcomm Snapdragon 888を採用している。基本スペックは今期のハイエンドらしく日本版ではメモリ12GB、ストレージは512GBの構成だ。
今季のSnapdragon 888は発熱がやや多めのチップセットという傾向があり、Galaxy S21やAQUOS R6といった機種も含めて発熱は多めだ。実際これらの機種と比べると発熱に大きな差は無いが、Xperia PRO-Iの場合は本体がやや熱く、放熱設計もXperia 1IIIとは異なることもあって体感的に「背面が暖かい」と感じることが多い。
また、Xperia PRO-Iはキャリアからは販売されておらず、SIMフリーのオープンマーケット向けの商品となる。そのためデュアルSIMの構成で、ほぼフルバンドと言える多くの周波数に対応している。Xperia PROのようなミリ波には非対応だ。
本体のデザインとしては側面のメタルフレームにはスリッドの入っている点が特徴だ。ガラス板のようなXperia 1IIIとは異なり、より武骨で同社のカメラにも通じるデザインとなっている。カメラとしての色が強い商品なのか、ストラップホールも備える点などポイントが高い。
スリットが入るデザインとシャッターボタンのエンボス加工が魅力的だ
ストラップホールを備える
Xperia PRO-Iの本体重量は211gとXperia 1IIIの188gより重くはなったものの、カメラの配置がセンター付近にあることから重量バランスはさほど悪くないものと感じる。電池持ちは今日1日使った限りではXperia 1IIIより若干良いかなというところ。ただ、カメラ使用時はガツガツ減って行くのでそこは惜しい。
Xperia 1IIIとXperia PRO-Iの違いはカメラだけではなかった
さて、ソニーではこの7月にフラッグシップであるXperia 1IIIを国内大手3キャリアへ。後にオープンマーケット向けにも発売している。可変式ペリスコープ望遠カメラに世界初の4K 120fps対応モニターなどを備えた意欲作だが、先の通りXperia PRO-Iとの共通部分も多く、Xperia 1IIIの上位モデルとしてみられることもある。
両者の立ち位置は似ている
これは実際に使ってみて分かったが、Xperia 1IIIとXperia PRO-Iは思った以上に別物と感じた。カメラ性能に関しては1型センサーを備えるXperia PRO-Iの方がより表現力の豊かな写真が撮れる。
一方で、望遠性能は望遠端が105mmと大きいXperia 1IIIのほうが優位だ。また、望遠性能もXperia PRO-Iは50mm f2.4となっており、画角的には35mm換算で16-50mmだ。近年のカメラ性能重視のハイエンドスマホにしては少し物足りない印象は拭えない。
カメラにも得意不得意がある
本体のスピーカーはどちらもステレオ構成となっているが、Xperia PRO-IではXperia 1IIIのようなエンクロージャーやスピーカーの構造ではない模様。そのため、本体スピーカーの音が良いのはXperia 1IIIだ。もっとも、Xperia PRO-IもDSEE Ultimateや360Audioの音質拡張機能には対応しているので、イヤホンでのリスニングなら大差はない。それ以外にも無接点充電の有無や画面輝度の差などがあり、Xperia 1IIIをベースにしながらも細かいところに差異がある。
仮にもXperiaシリーズで迷ったら、カメラ特化のXperia Pro-Iと、普段使いのバランスがよいXperia 1IIIといった形でこれらを選ぶとよいだろうか。ここはしっかり差別化されている。
値段の高さが惜しいが、SONYの1型コンデジとハイエンド5Gスマホを買ったと思えれば買い
このタイミングで出てきたXperia PRO-Iというスマホ。正直買うのはみんなマニアと言える人たちになるはずだ。肝心のお値段は直販価格で19万8000円と今までのXperiaよりも値段は数段高く、高性能な部分もあって端末価格に響く結果だ。
筆者としてはこのスマホを評価するなら「SIMカードの入るカメラ」だと感じた。Xperia PRO-Iに関しては、同じ1型センサー搭載スマホであるAQUOS R6の強化版というよりは「 LUMIX DMC-CM1やCM10の後継機」と呼ぶべき存在だろう。
今のスマホカメラのトレンドは「AI補正で簡単に誰でも綺麗に撮れる」という方向で、世界シェアの大きいメーカーを中心にその流れに至っている。それらの機種に対してソニーのXperiaは真逆の方向を目指したスマホであり、中でもカメラにフォーカスを当ててさらに作りこんだのがこのXperia PRO-Iなのだ。
この機種のカメラに関しては完全にスマホの域を超えたスペック、操作性となっており、並みのスマホでは体感できない「撮影するフィーリングの気持ち良さ」が持ち味のスマホだ。シャッターボタンのエンボス加工はまさに「カメラのシャッターボタンそのもの」の触り心地だ。今作ではメカ機構もRX100シリーズと同等のものが採用されており、感覚としてはより専用機に近い。
そして、チューニングはソニーのカメラそのものと言えるでしょう。一見味気ないようにも感じるが、オートで綺麗に撮れるトレンドではなく、リアルタイムトラッキングAFなどを駆使してマニュアルで「撮る楽しさ」「被写体めがけて思いのままにシャッターを切る」という体験に完全に極振りしている。Xperia 1IIIでも言われたが、車でいう「運転する楽しみからマニュアル車がいい」という感覚に非常に近いものを感じる。
もちろん、中途半端になるのではないかという声もある。いくらガラスモールドレンズと言えど所詮はスマホ。画質には限界があるし、専用機にはまだまだ追い付けない。カメラなのかスマホなのか分からない「結局中途半端なスマホなのでは」という声も耳にする。同じようなコンセプトのLUMIX CM1のときから見てきた。
また、Xperia PRO-Iではスマートフォンのサイズに収めた結果として、有効画素数は1220万画素とRX100VIIに積まれた2000万画素級センサーからはクロップしての採用になっている。一部では「1型センサーすべてを使えないのに1型を名乗るのはどうなのか?」という声も上がった。
ソニーとしては高速AF対応、ピクセルピッチの余裕から生まれる表現力、高画素センサーにあるビニング処理なしでの高速処理などの体験にフォーカスを当てた結果としている。事実、コンデジなどでもレンズや筐体設計の関係でセンサーの全画素使えない機種は大いに存在し、スマホにおいてもそのような機種は散見される。
また、動画撮影時は静止画で未使用のエリアもEISで使用することになってるそう。このため必ずしも1型センサーであることが、無意味なものではないと評価できる。今回はセンサーの有効範囲が実質1/1.3型相当となってしまったことから、比較対象と比べられた際には表記的に不親切だったかなと思うところだ。
ここはギーク層を相手にする商品なだけに、このような声が目立つ結果だったと評価する。筆者的にはあまりここには触れずに使っていきたいところだ。
一方で、このスマホにしか体験できないこともある。ポケットにしれっと1型のコンパクトカメラを忍ばせて、不意なシャッターチャンスも逃がさず美しく残せる。
スマホゆえの軽量、薄型ボディだからできる柔軟なアングルでの撮影。防水防塵で気兼ねなく利用でき、撮った写真は即SNSでシェアできるスピード感。いつでも、どこでも今の私を全世界の人に高画質で発信できるスペック。これをひとつでできるカメラ、ガジェットは唯一無二なのではないでしょうか。
この考えはまさに、「コミュニケーションカメラ」だ。2014年にそう銘打って登場したパナソニックのLUMIX CM1の遺志を継ぐ生まれ変わりなのかもしれない。個人的にはこういうカメラのようなスマホが大好きなので今回も入手したような形だ。Xperia PRO-Iはそんな「マニア」の皆様方に贈る究極のカメラではないでしょうか。