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Galaxy Z Flip3 レビュー Z世代の筆者が使ってわかったメリット、デメリット。若い世代にはどう映ったのか

 今回は Galaxy Z Flip3を半年間使った感想を書いてみる。筆者はギリギリZ世代と言われる世代…らしいので、令和の時代を生きる若者世代の人間の目線から見て、このスマートフォンはどのように映ったのか。そんな点も含めてまとめてみよう。

 


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 Galaxy Z Flip3は縦に折れるタイプのフォルダブル(折りたたみ)スマートフォンだ。既に後継機に当たるGalaxy Z Flip4が出ているが、プロセッサ性能が向上したことを除けば、ハードウェアとしては近いものとなる。

 近年では中古価格も安定しており、比較的安価に入手できるスマートフォンの一つだ。筆者はドコモで安く売られていたタイミングで購入し、半年ほど利用しての感想となる。

 

簡単なスペックは以下ににまとめることにする。

 

SoC:Qualcomm Snapdragon 888

メモリ:8GB

ストレージ:128GB(日本版)

 

画面 6.8インチ FHD+解像度 Dynamic AMOLED

LTPO対応(10〜120Hz)

サブ画面 1.9インチ Super AMOLED

 

カメラ

メインカメラ:1200万画素 

超広角カメラ:1200万画素

フロントカメラ:1000万画素

 

バッテリー:3300mAh

 

IPX8の防水性能、無接点充電に対応

 

 

Galaxy Z Flip3のメリット。防水でおサイフケータイにも対応。安心して使えるスマートフォン


 Galaxy Z Flip3のメリットを挙げるのであれば、防水機能を搭載して安心して使えるようになった点だ。筆者も数多くのフォルダブルスマートフォンを利用してきたが、多くが防水に非対応であり、使い勝手においてもクセが多いものが多かった印象だ。

 初期のフォルダブルスマートフォンは折りたためる機構ゆえに、破損しやすいものも多かった。過去に筆者も1台破損させてしまっていることから、安心して使える点については非常にありがたい。


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 本体のスペックについても抜かりはない。Galaxy Z Flip 3はSnapdragon 888を搭載し、8GBのメモリを採用する。当時の一般的なハイエンドスマートフォンと同等のものだ。原神といったゲームだって快適に動かすことができる。


 もちろん、フラッグシップに比べると少々物足りないところはあるが、スペック重視のフラッグシップスマホではなく、カジュアルさ重視のスマートフォンのため、そこまで高度なスペックが要求されない。


 それでも最新のプロセッサを搭載したことで、サポート期間の長さは確保されている。長期間利用できるハードウェアをしっかり備えているため、安心して利用することができる。

 

    画面は6.8インチのDynamic AMOLEDパネルを採用。有機EL画面らしく、鮮やかな発色が特徴だ。画面輝度も明るくなっており、屋外でも見やすくなっている。フレキシブルなリフレッシュレート制御を可能にしており、最大120Hzの描画が可能だ。


 そして何よりおサイフケータイが利用できるようになったこと、ドコモや auで購入できることが大きな変化だ。この手のスマートフォンは量販店でもなかなか触れないものが多かっただけに、ある意味レビュー頼りなところがあった。


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FeliCaマークがあることから、おサイフケータイ機能が利用できる。Suicaなども利用できるので、普段使いでも問題なく利用可能だ。

 

 Galaxy Z Flip 3ではiPhone 13 Pro程度に価格が抑えられ、地方の量販店でもホットモック呼ばれる動作する見本が展示されていた。

 このようなスマートフォンは実際に手に取ってみないとフィーリングがわからないことが多い。そのため、手にとれる環境が地方にあるというところが、フォルダブルスマートフォンの認知にもつながっている。


 もちろん、折りたたみスマホらしいメリットも健在だ。Galaxy Z Flip 3では、サブディスプレイが大型化し、セルフィーモニターとしてもかなり利用しやすくなっている。

 加えてハンドジェスチャーでカメラのシャッターが切れたりと、自撮りについてはかなり使いやすいものとなっている。

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サブモニターでプレビューできる点、角度を固定できる点はありがたいものだ。超広角カメラを使って大人数での集合写真も撮影可能だ。


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折りたたみスマホらしく、フロントカメラも画面下にプレビューを表示することも可能だ。


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大型化したサブディスプレイは壁紙の設定が可能だ。楽曲再生時の操作なども使いやすくなっている。

 

Galaxy Z Flip3のデメリット。バッテリー持ちがあまり良くない


 Galaxy Z Flip3で惜しい感じたことは、やはりバッテリー持ちがあまりよろしくなかった点だ。これに関しては、同等スペックのスマートフォンに比べると、バッテリー容量が少ない点が挙げられる。


 フォルダブルスマートフォンでは、本体を折りたたむが故にバッテリーを置くスペースにはかなり制約がある。ミッドレンジのSoCを採用して消費電力を抑えるやり方もあるが、そのようにするとOSのアップデート等が遅くなったりと、長く利用するという点では少々難しくなってしまう。

 

    後継にあたるGalaxy Z Flip4では3700mAhに容量が増加されている。このため、電池持ちはこちらの方が優位だ。

 

 日本版ではストレージが128GB になっている点も惜しい。この容量以外の選択肢がないため、写真をたくさん撮ったりするユーザーにとっては少々心許ないものとなる。

 これはGalaxy Z Flip 4でも同様のため、海外で展開されている256GBのストレージ容量も欲しいところだ。

 

 他にもカメラ性能がハイエンド機よりも劣るといった点もある。これについてはこのスマートフォンを求める層が、過度なカメラ性能を求めていないということからも、極端なスペックアップが見送られているように感じる。


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カメラ性能はハイエンド機に劣ると言われても十分綺麗に撮影できる。AI処理もそこそこ優秀なので、比べなければ不満に感じることは少ないはずだ。


 一方でMotorolaもrazr 2022で特徴的だったデザインを廃し、機能性重視の路線に切り替えたている。Huaweiではカメラ性能を強化しつつ、ファッショナブル路線で価格も抑えたHuawei Pocket Sを発表するなど、縦折のスマートフォンにも少しずつ変化が現れている。


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Huawei Pocket SはミッドレンジSoCを採用して価格を抑えつつ、6色のカラーリングとカメラ性能強化でGalaxy Z Flipシリーズとの差別化を図っている。

 

Galaxy Z Flipはコンパクトでファッショナブルな「魅せるスマートフォン」


 ここまでGalaxy Z Filp3を使ってきた上で感じたメリット、デメリットについて触れてきた。最後にZ世代である筆者が、このスマホをどのように感じたか、同世代の人たちに受けるのかどうか。そんな点に触れてまとめとさせていただく。

 

 Galaxy Z Flipシリーズが若い世代に注目されるかどうか。そのように問われると、日本ではまだまだ壁と思われるところがある。

 Galaxy Z Flip4は楽天モバイルでの取り扱いがあるなど、確実に販売チャネルは広がっている。それでも同世代ではiPhone一強の流れは強く、同じ価格を払うのであればiPhoneを選ぶ方は多いはずだ。


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若い世代からはiPhoneの支持が強い


 その一方で、筆者と同世代の人にGalaxy Z Flip3をなにげなく見せると「なにそれ」と多くの場面で言われたことから、明らかに目を引くものである。会話における話題性にも大きく影響してくることだ。
 近年ではネット上に限らず、テレビCMの放映や韓国ドラマで見たという声もあり、ガジェットに興味がない人たちでも、"フォルダブルスマホ"の存在を全く知らないというわけではないようだ。


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確かに目の前でスマートフォンを折り曲げられては、ついつい見てしまう。目を引く存在のはずだ。


 Galaxy Z Flip4では東京ガールズコレクションとタッグを組み、スマートフォンをデコレートした上で、出演モデルの小道具としてランウェイを彩っていた。

 実際に使用されたものが渋谷109で展示されていたこともあり、少しずつ若い世代へのアプローチを行っているように感じた。


 展示会場のスタッフや実際に展示を見に来た利用者に聞き込みをしたところ、やはり「TGCモデルが使ってランウェイを歩いた」という印象は大きく、Instagramでも、Galaxy Z Flipにアクセサリーをつけてコーディネートしたものがよく見られる。


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 渋谷で行われていたGalaxy Z Flip4のトライイットでの一幕。実際にTGCモデルがランウェイを歩いた際に身に着けていたGalaxy Z Flip4のコーデモデルがショーケースにて展示されていた。

 

 


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InstagramではGalaxy Z Flipのタグがついた投稿が10万件を超えるなど、この手のスマートフォンとしてはかなり多い。カジュアルコーデや折りたたみを生かした待ち受け画面なども印象深い。

 
 Galaxy Z Flipはデコレートできる面積が大きい点、折り畳めることで「魅せられる」点が注目されるように感じた。

 iPhone では装飾できる部分は本体裏側のみになってしまうが、Galaxy Z Flipでは本体が折りたためることで、閉じた状態でも自分好みに装飾を施した部分を見せることができる。


 そういう意味では、道具としてのスマートフォンの側面をもありつつ、ファッションの一部として「魅せるスマートフォン」としての側面も合わせ持つものだ。まさにファッショナブルなスマートフォンだ。

 

Galaxy Z Flipというスマホ。若い世代にはどう映るのか?


 若い世代に折りたたみスマホはどのように映るのか。もちろん「折りたためる」という新鮮さもあり、画面をいちいち開かなきゃいけない「面倒くさいスマホ」と思う側面もある。

 値段が高価な割に"性能は低い"といった意見もある。筆者的には面倒くささよりも、折りたためるという新鮮さの方が優る印象だ。

 

 そのような点ではGalaxy Z Flipシリーズの売りは、本体を折り畳んでコンパクトにできること。それによって可能な本体のデコレーションだ。背景には「携帯電話のデコレーション」というトレンドが、一周回って若い層に新鮮味を帯びているからだ。


 かつて折りたたみ式の携帯(ガラケー)を利用していた方なら、プリントシール、スワロスキーやレジンアクセサリー、アンテナキャップといったアクセサリーをつけていた方も多くいた。

 そのような携帯電話をよく目にした読者の方もいらっしゃるだろう。

 光るアンテナに取り替えてみたり、ストラップホールにキーホルダーをじゃらじゃらとつけてみたり、画面やテンキーにスキンシールを貼って、コーディネートしていたことでしょう。


 本命の「裏蓋プリ、電池裏プリ」はさておき、友達と撮影したプリクラの写真を本体に貼ったりしていた例もあったはずだ。

 

 筆者も初めて携帯電話を持った時はどちらかというと上記の世代であり、裏蓋プリ、じゃらじゃらストラップ、スキンシール…と懐かしさが込み上げてくる。

 アンテナピクトがバリ3じゃないと、アンテナを伸ばしてケータイをよく振ったものである。


 近年の若い世代では、携帯電話と言ったらiPhoneをはじめとしたタッチパネルのスマートフォンしか知らない方が大半だ。

 

    だからこそ、携帯電話をデコレーションしたり、クリアケースの間にプリクラを挟むと言った行為そのものが、彼らなりに新鮮に感じるのだと筆者は感じる。

 

     スマートフォン向けのデコレーションケースはiPhoneを中心に存在したが、アクセサリー感覚で魅せられるようなものは少数だった。近年のスマホは大画面化に伴って、ケースそのもののが大型化してくることも商品の少なさに繋がっている。


 今はそれをネット上に公開することで、すぐに反応が返ってくる時代になってきている。携帯電話のデコレーションもファッションの一部。「かわいい」「オシャレ」と評価するのは友達はもちろん、名前も知らないネット上で同じ価値観を共有できる人たちだ。ガラケーの頃とは環境がまるで違うのだ。

 

 そこにデコレーションのしやすさ、著名モデルが使っていると言った宣伝力の高さで、Galaxy Z Flipシリーズは我々のようなZ世代にもアプローチを仕掛けている。


 近年ではノスタルジーといった言葉が若い世代にも浸透しており、使い捨てカメラやラジカセといったものも、あまり手にしてこなかったからこそ新鮮味をもって彼らは注目している。

 そのようなトレンドでは、ガラケーのように折り畳めるGalaxy Z Flipの存在は、どこか感じるノスタルジックな点も含めて目に引くものである。

 

 当初のGalaxy Z Flipはカラーリング的にもシックで落ち着いたもの、もしくはミラーパープルのような目立つものが多く、今とは違うものだった。

 韓国では若者向けに宣伝を強化したこと、各種値引き施策もあったことから、サムスンとしてもデコレーションできることをアピールしていた。

 

 一方でそれ以外の地域では、本体の価格も高価なこともあり、かつて折りたたみ式のフィーチャーフォンを使っていた年齢層が高いユーザーに、懐かしさも含めてアプローチを仕掛けた商品だったと感じる。



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筆者も利用していた初代Galaxy Z Flip。商品としては良かったものの、すぐさま5Gの時代が来たこと、高価な値段設定や未知の耐久性もあって日本では大きく注目されなかった。


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日本でもGalaxy Z Flipが出たときにこのようなハッシュタグでデコレーションした投稿を集めていたが、auのみの取り扱い、18万円という値段の高さもあって今のような盛り上がりはなかった。

 

 Galaxy Z Flip3からはカジュアルさを主軸に方針転換し、韓国で先行的に行っていたファッショナブルな要素をグローバル展開し始めている。そういう意味で若者に注目されるのであれば、この方針転換は成功だったと思える。


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 このスマートフォンはスペック云々で語るようなものではない。その一方、今後の主流になるかどうかもまだ分からない。ただ、若い世代にも着実に届いているプロダクトだと感じる。

 

    受けるかどうかの答えは今現在、はっきりと言えないものの、お求めやすい価格で継続的に出てくれれば私らと同じ世代の人たちも手に取ってくれるはずだ。

 

    折りたたみスマホのミライ。その答えはきっと数年後に形となって現れることでしょう。

 

 スマートフォンを追いかけるライターでもある筆者としては、新しい形を作り上げる未来のデバイスは今後も注目して見ていきたい。