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【最新版】mocopiの推奨端末をソニーが公表しないので合計82台のスマホ、タブレットでチェックしてみた。

 ソニーが販売しているモバイルモーションキャプチャーの「mocopi」

 

 購入を考えるユーザーの中には、メーカーが公表した動作確認端末があまりに少ないということで、購入を躊躇している方も多いはずだ。前回、手元に転がってた35機種のスマホで動作確認のレポートを書いたが、これは正直少なかったと思う。

 

 そのため、今回はより多くの機種にて確認を行うことにした。結果、前回から47機種追加して確認端末は合計で82機種となった。このうち数機種は香港の店舗にも協力していただき、日本未発売環境でも検証できた。協力して頂いたMr.Digital(HK)Limitedのスタッフにはこの場を借りてお礼したい。

 

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最新機種でもチェックを行った

 

 改めて推奨端末のレポートとする。前回記事の35台と合わせてチェックしてみて欲しい。

 

www.hayaponlog.site

 

 

 

 


mocopiの動作要件を改めてチェック

 

 まず最初に、mocopiの動作要件について改めておさらいだ。この機種の動作要件は以下のようになっている

 

iOS:iOS15.7.1以降
Android :Android11以降

 

 確かにこの要件は、比較的高いと言わざるを得ない。この環境以外の機種ではアプリがストア表示されず、Android 10の端末にapkインストールも試みたが、結果は起動不可だった。今回はタブレット端末での動作も検証に加えてみる。基本的なUIは引き延ばされる形となるが、画面が大きい分モーションチェックをしやすいという利点がある。

 

 

追加でmocopiを試した47台のスマートフォンを一挙公開。ハイエンドスマホ以外では厳しそう
 

 mocopiではモーションキャプチャしつつ、スマートフォン側でリアルタイムレンダリングを行うものだ。そのため、スマートフォンとしての基本スペックは高いものが求められる。

 

 加えて、Bluetooth接続で6個のトラッカーを全てスマートフォンに1個ずつ接続する仕様のため、接続性も含めて安定しているハイエンドスマートフォンが必須に近い状況だ。

 

 筆者の方で追加で動作確認できた45台については以下にまとめる。

 

◎:快適に動作(推奨ライン)

○:問題なく動作

△:動作するが、挙動等に問題あり

×:起動不可、キャプチャ不可

赤字:メーカー動作確認端末

青字:日本未発売端末(特例制度を用いて検証)

 

iPhone/iPad

 

iPhone SE(第3世代):◎(Apple A15)
iPhone 12 Pro:◎(Apple A14)

iPad Pro 11(第3世代):◎(Apple M1)

iPad Pro 11(第1世代):◎(Apple A12X)

 

Androidスマートフォン/タブレット

 

nubia REDMAGIC 8 Pro:◎(Snapdragon 8 Gen 2)

nubia Z50:◎(Snapdragon 8 Gen 2)

OnePlus 11:◎(Snapdragon 8 Gen 2)

Galaxy S23 Ultra:◎(Snapdragon 8 Gen 2 For Galaxy)

OPPO Find X6 Pro:◎(Snapdragon 8 Gen 2)
Xiaomi 13 Ultra:◎(Snapdragon 8 Gen 2)

 

Galaxy Z Fold4:◎(Snapdragon 8+ Gen 1)

ASUS ROGPhone 6:◎(Snapdragon 8+ Gen 1)

ASUS Zenfone 9:◎(Snapdragon 8+ Gen 1)

Huawei P60 Pro:◎(Snapdragon 8+ Gen 1)

Xiaomi Pad6 Pro: ◎(Snapdragon 8+ Gen 1)

 

Xiaomi POCO F4 GT:◎(Snapdragon 8 Gen 1)

Galaxy tab S8:◎(Snapdragon 8 Gen 1)

Lenovo Legion Y90:◎(Snapdragon 8 Gen 1)

VIVO X Fold:◎(Snapdragon 8 Gen 1)

 

SONY Xperia 5III:◎(Snapdragon 888)

Huawei P50 Pro:◎(Snapdragon 888)

 

SONY Xperia 1II:○(Snapdragon 865)
Xiaomi Mi10 Ultra:○(Snapdragon 865)

 

Xiaomi Redmi Note 12 Turbo:◎(Snapdragon 7 Gen 2)※

Xiaomi 13 Lite:○(Snapdragon 7 Gen 1)※

nothing phone(1):○(Snapdragon 778)

BALMUDA Phone:△(Snapdragon 765)

Xiaomi Redimi Note 9S:△(Snapdragon 720G)

Rakuten Hand:△(Snapdragon 720)

 

OPPO Reno7 A:△(Snapdragon 695G)

SONY Xperia 10 IV:△(Snapdragon 695G)

Xiaomi Redmi Note 11:△(Snapdragon 680)

 

Xiaomi Redmi Note 10T:△(Snapdragon 480)

FCNT arrows We:△(Snapdragon 480)

FCNT arrows be 4 plus:×(Snapdragon 460)

 

vivo X90:◎(Dimensity 9200)※

Xiaomi Redmi K50:◎(Dimensity 8100)※

vivo iQOO Z1:○(Dimensity 1000)

XIaomi Redmi Note 9T:△(Dimensity 800)

realme nazro 50:△(MediaTek Helio G96)

Lenovo Yoga Tab P11:△(MediaTek Helio G90T)

SONY Xperia Ace II:×(MediaTek Helio P35)

OPPO A77:×(MediaTek Helio G35)

 

Galaxy S21:◎(Exynos 2100)

Galaxy S10e:△(Exynos 9820)

Galaxy A53:△(Exynos 1280)

Google Pixel 7a:〇(Tensor G2)

※滞在先の香港にて検証
 

 今回、手元にあった端末及び、お借りできた端末でmocopiを動かしてみた。改めてiOS、Android端末ともに、要求スペックがかなり高めであることがわかった。

 

 また、前回の検証でテクスチャエラーを起こしていた「vivo X90 Pro+ 」(Snapdragon 8 Gen.2)については、アプリを最新のバージョンにアップデートすることで改善された。

 当初、起動しないとしていた「LG WING」(Snapdragon 765G)についても、Android 13へのOSアップデートや、アプリのアップデートで問題なく起動するようになった。

 

 まず、評価判定に「◎」がついている機種に関しては、フレーム落ちもほとんどなく、外部のVRM形式のモデルでも動作を確認できた。iOSでは掲載されている動作確認端末、Android端末では概ねSnapdragon 888クラスが求められるので、動作要件はかなり高そうだ。

 

 その他環境として、「MediaTek Dimensity 9200」(GPU:ARM Immortalis-G715 )を搭載するvivo X90でもテクスチャが乱れる等の大きな問題はなかった。韓国版のGalaxyに採用される「Exynos」についてもExynos 2100(GPU:ARM Mali G78)環境にて問題なく動くことを確認できた。

 

 また、Snapdragonの7番台の中ではかなり高い性能を誇る「Snapdragon 7 Gen 2」についても、比較的快適なものであった。一方で、このような環境を用意しても、利用するモデルによっては「パフォーマンス低下」の警告が出ることがあった。本当のところはApple A16、Snapdragon 8 Gen 2くらいの性能は欲しいと思うところだ。

 

 また、mocopiはその処理の関係から、長時間にわたってスマートフォンが高負荷な状態となる。可能であれば、純正で空冷ファン等のアクセサリーがある端末や、空冷ファンそのものを搭載している端末を利用できれば好ましい。これによって長時間のキャプチャでも、より快適に使うことができる。

 

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純正空冷ファンを持つスマホの例:ASUS ROG Phone 6
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本体に空冷ファンを備えるスマホの例:Lenovo Legion Y90

 

 

 評価判定が「○」の機種は、外部のVRMモデルを導入した際にフレーム落ちや、端末が極度に発熱することがあった機種だ。

 

 日常の動きであれば問題ないが、激しいダンスモーションなどでは追従処理が追いつかず、フレーム落ちをする挙動となっていた。キャプチャで使用する場合は、デフォルトモデルを「HUMAN」にすることで、ある程度負荷を低減することが可能だ。VRChatなどで利用する場合は、こちらのモデルを積極的に使うと良いだろう。

 

 それでも動作確認ラインに関しては、Apple A13並びにSnapdragon 865クラスが求められる。ある程度のフレームをキープできる最低ラインでもSnapdragon 778Gクラスとなるので、要求スペックはかなり高いものだ。

 

 評価判定「△」は現時点でなんらかの問題がある場合、もしくはスペックがギリギリでダンスモーションなどでは厳しいものだ。

 具体的には、BALMUDA PhoneといったSnapdragon 765世代の機種、OPPO Reno7 AやAQUOS sense7といったSnapdragon 600番台の機種では単純にスペック不足が目立った。

 これらの機種では、激しい動きのトラッキング処理時には、座標の取得漏れや不安定な挙動をしていた。メモリが少ない機種では、処理落ちからの強制終了もあった。

 

 この原因については、単純なスペック不足に加え、Bluetoothモデムの性能の関係から厳しい形となる。後者はスペック表にも出てこないものなので、じっくり吟味することすら難しい。

 

 判定「×」のものはそもそも動作しない。動作してもキャリブレーションの画面や、基本動作で処理落ちするものだ。正直なところ、正常な動作が期待できないもので、これに関しては廉価なスマートフォンで見られた。

 

 また、MediaTekの廉価なSoCを搭載する端末では、トラッカーの動作が不安定になることが多かった。これはスペック不足だけでなく、Bluetoothチップの性能も関係もありそうだ。例えばソニーのスマートフォンである「Xperia Ace II」では起動の遅さはさておき、ペアリングは10回ほど失敗。何とかトラッカーがつながり、キャリブレーションが終わったと思ったら、RAYNOSちゃんが表示された瞬間に強制終了と散々な様子だった。

 

 そのような結果から、ミッドレンジ以下のSoCを採用するスマートフォンにおけるmocopiの動作は、筆者としても動作は保証できない。もちろん、オススメもできない。お手持ちのスマートフォンがこのラインであれば買い替えか、HaritoraX等のモーションキャプチャを利用した方が賢明だ。あくまで、筆者の環境になるので、この辺りは別途お手持ちの機種で試していただける方の情報が欲しいところだ。
 

動作未確認機種でも動作はするが、安価なスマホは要注意。推奨は2021年以降のハイエンド機種
 

 

 さて、今回は動作の比較に先立って、使用することができたスマートフォンをリストアップしてみた。メーカーのことを考えると、他社の機種まで検証に回らないことは理解できるので、この辺りは仕方ないと言える。

 

 筆者としてもmocopiの動作要件は、改めて高いものと感じた。端末の基本スペックだけではなく、Bluetoothの安定性なども求められ端末選びはかなりシビアなものとなっている。

 

 機種選びで間違いないものは、やはりiPhoneやiPadになる。iPhone 12以降の機種では処理落ちは感じなかったが、バッテリーの消費はかなり早い印象だった。長時間の利用は電源に接続することをオススメする。

 

 Android端末に関しては動作確認端末のXperiaが安定性含めて良かったが、それでも多くの環境ではスペック不足になることもわかった。

 基本的にハイエンド以外は受け付けないものと思ってもらった方が良い。

 また、現行のフラグシップであるSnapdragon 8 Gen 2であれば、長時間の収録にも耐えうるものであると再確認できた。

 

 本気で相性問題含めて"いいもの"を求めるなら、次月以降発売の「Xperia 1V」を待った方が賢明かもしれない。

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Xperia 1 VはSnapdragon 8 Gen 2を採用し、ゲーミング性能なども高めている。

 

 モーションキャプチャという存在ををより身近なものにするmocopi。お手持ちのスマートフォンで動くかどうか分かったところで、安心して選んで欲しい。

 

実際に動かしてみた感想は以下の記事でお伝えする。

 

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